ご意見・ご要望
ページトップヘ

質問・条例提案

2023.06.21

文書質問 教員不足と教育の質の向上について とや英津子都議(練馬区選出)

2023年第2回定例会で以下の文書質問を提出しました。

質問事項 一 教員不足と教育の質の向上について
答 弁  一 教員不足と教育の質の向上について


令和5年第二回都議会定例会
文書質問趣意書 提出者 とや英津子

質問事項
 一 教員不足と教育の質の向上について
  教員不足と教育の質の向上について伺います。
  昨年度に続き今年度も4月7日から小学校で80人もの欠員が生じるなど、教員不足は改善するどころか欠員数が増加する深刻な事態です。「入学式に教員が3人も欠員となっていた」「特別支援学級には本来7人のはずが、6人しか配置されなかった」などの声があちこちから聞かれ、欠員は80人どころではないというのが学校や保護者の実感です。
  このままでは子どもたちの教育が守れないと、都民は大きな衝撃を受け、小手先でなく根本的な解決を求める世論が広がっています。
 1 教員の仕事を増やして長時間で過密な労働環境を生み、教員の退職や病気休職を増やし、教員志望者を減らしている根本には、どれだけ働いても残業代がつかないという「定額働かせ放題」の公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)があることが指摘され、国で見直しの議論が行われています。
   議論では、給特法により給与に上乗せで支払う調整額を4%から10%に引き上げる案などもありますが、これでは現状を固定化させるだけで、教員の仕事を減らし仕事量に見合った人数を配置するインセンティブが働かず、長時間労働の解消にはつながりません。残業代をきちんと支払う法改正をすることが必要だと考えますが、見解を伺います。またそのことを国に要望することを求めますが、いかがですか。
 2 全日本教職員組合の調査によれば、持ち帰り残業も含む都内小中学校教職員の時間外勤務労働時間は、全国平均より月約30時間も長くなっています。この調査では学級規模が大きくなるほど時間外勤務が増えることも明らかになっています。
   本気で教員の労働環境の改善と教員確保を考えるなら、国の動向待ちではなく、他県のような独自の少人数学級の拡大(学年の拡大とクラスサイズの縮小)が急務だと考えますが、いかがですか。
 3 「勤務時間が8時15分からなのに、子どもたちは8時10分から登校してくる」「休憩時間に会議や研修を入れられる」など、時間外勤務が強制となっている事例があることを把握していますか。
   また、「早朝から仕事をしているのに、タイムカードは決まった時間からしか打刻できないシステムになっている」「夕方一定の時間になるとタイムカードを押すことになっているが、その後も残って仕事をしている」など、勤務時間が実際より短く記録されている例があることを把握していますか。
 4 これらの事例は不適切であると思いますが、見解を求めます。
 5 「教員同士で子どもや授業の話をすることがない。話そうとすると『それより行事の企画はどうなっているのか』と言われてしまう」「職員会議が伝達の場とされていることから、教員同士の話し合いがなく、管理職や主幹には何も言えない雰囲気が醸成されている」ことなどが指摘されています。
   こうした実態は好ましくないと考えますが、見解を伺います。教員に、専門性にもとづく裁量や研究、研鑽をする余地があり、子どもたちを中心に生き生きと働ける環境があってこそ、教員不足の解消にもつながるのではないかと考えますが、見解を伺います。
 6 日本若者協議会が先日要望に見えました。メンバーの都立高校生は、「産育休代替教員がみつからず2クラス合同の授業を受けたときに公教育の崩壊を実感した」「英語の教員が1年間に3回も交代し、授業のやり方に慣れるのも信頼関係を作るのも大変だった」「担任の先生は忙しそうで進路や友人関係の相談は申し訳なくてできない」「小学校の時は心を壊してしまった先生もいた」と自らの経験を語り、改善を訴えています。
   都立高校生自身のこの声を正面から受け止めてほしいと思いますが、いかがですか。定数通りに教員が配置されていることは大前提ですが、ただ人数を揃えれば良いというだけではありません。教員の長時間労働や教員不足は子どもたちを傷つけているという認識はありますか。
 7 都教委は、学級担任が欠員となった場合、音楽や図工などの専科や少人数指導加配の教員などを回すように伝えています。専科があるクラスの担任に回った場合、子どもたちは専門性の高い授業を受けられなくなるとともに、専科の受け持っていた授業は各クラスの担任が行うことになり労働時間増につながります。
   また、通常学級の担任確保が優先され、特別支援学級の教員が欠員となっている学校が大量に生じ、子どもの安全確保のために保護者に付き添いをお願いしている学校もあります。
   教員不足の解消に向けて、都教委の認識と対応を伺います。
 8 特に、特別支援教室の配置基準は、区市町村ごとに児童生徒12人に対し教員1名で、学校ごとの定数がないために、教員が未配置であっても学校も保護者もわからない状況が生じていることは問題です。
   5月1日現在で特別支援教室の教員定数は何人で、実際に配置されているのは何人ですか、区市町村ごとの欠員数についても伺います。
 9 また、特別支援教室は自立活動であり教科ではないとして時間講師の配置がされませんが、国の法律により禁じられているのですか。
 10 子どもたちは、取り出しで授業を受けているのであり、自立活動だからと言って欠員が欠員のままで良いはずがありません。マンツーマンの特性に応じた個別の指導ができなくなったり、時間が短くなったりしてしまいます。教員不足が解消するまでの特例措置として、講師配置も可能とすることを検討すべきです。
 11 年度途中からの産休育休や病休などにより、欠員は年度末が近づくにつれ増加する傾向があります。都が今年度から産休育休の4か月まえから代替教員を確保できるとしたことは前進ですが、確実に配置できるようにするためには、産休育休代替教員を正規教員として確保することが必要です。産休育休代替教員は現在、全員、臨時的任用で対応していますが、そもそも地方公務員の育児休業等に関する法律第6条では、職員の配置換えその他の方法によって正規教員を配置することが困難な場合に限り、臨時的任用教員をあてることができることとされており、正規教員を増やして対応していくべきです。見解を求めます。


令和5年第二回都議会定例会
とや英津子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 教員不足と教育の質の向上について
  1 残業代をきちんと支払う法改正をするべきだが、見解を伺う。またそのことを国に要望することを求めるが、見解を伺う。

回答
  国において「公立の義務教育諸学校等の教職員の給与等に関する特別措置法」の在り方等について検討を始めたところであり、こうした国の議論の動向を注視していきます。

質問事項
 一の2 本気で教員の労働環境の改善と教員確保を考えるなら、国の動向待ちではなく、他県のような独自の少人数学級の拡大(学年の拡大とクラスサイズの縮小)が急務だが見解を伺う。

回答
  義務教育における学級編制は、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」に基づき行っており、少人数学級の拡大については、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えております。

質問事項
 一の3 時間外勤務が強制となっている事例があることを把握しているか。また、「早朝から仕事をしているのに、タイムカードは決まった時間からしか打刻できないシステムになっている」「夕方一定の時間になるとタイムカードを押すことになっているが、その後も残って仕事をしている」など、勤務時間が実際より短く記録されている例があることを把握しているか伺う。

回答
  都教育委員会は、「都立学校の教育職員の在校等時間の上限等に関する方針」を策定し、校長は、教員の在校等時間について、出勤カードシステム等の客観的な方法により日々把握し、その管理及び保存を適切に行うこととしています。
  なお、区市町村立小中学校における教員の在校等時間の把握については、服務監督権者である区市町村教育委員会において、適切に行っているものと考えています。

質問事項
 一の4 これらの事例は不適切だが、見解を伺う。

回答
  都教育委員会は、在校等時間の把握に際し、上限時間の遵守を形式的に行うことが目的化し、実際より短い虚偽の時間を記録する、又は記録させるようなことはあってはならないと、各都立学校に通知しています。
  また、区市町村教育委員会に対してもこの通知を送付しています。

質問事項
 一の5 職員会議が伝達の場とされていることから、教員同士の話し合いがなく、管理職や主幹には何も言えない雰囲気が醸成されていることなどが指摘されており、こうした実態は好ましくないと考えるが、見解を伺う。また、教員に専門性に基づく裁量や研究、研鑽をする余地があり、生き生きと働ける環境があってこそ、教員不足の解消にもつながるのではないかと考えるが、見解を伺う。

回答
  子供たちの豊かな学びと健やかな成長のためにも、学校教育の中核である教員がやりがいを持って生き生きと働くことは大切です。
  都教育委員会では、学校内外での研修や授業研究、日常的な教育活動に関する助言等を通じて教員一人一人の資質能力や適性を向上し、その成果を教員間で共有することで、互いに成長し合う職場づくりを進めています。
  また、職員室において、動線や机の配置などを工夫することで、教員同士のコミュニケーションの円滑化を図るなど、安心して働ける職場環境の整備を進めています。

質問事項
 一の6 日本若者協議会の都立高校生は改善を訴えており、都立高校生自身のこの声を正面から受け止めてほしいが見解を伺う。定数通りに教員が配置されていることは大前提だが、ただ人数を揃えれば良いというだけではなく、教員の長時間労働や教員不足は子どもたちを傷つけているという認識はあるか見解を伺う。

回答
  高校生を含む若者の団体が教員の労働環境の改善について、政策提言を行ったことは承知しています。
  都教育委員会は、校務のDX化や外部人材の活用等により、教員の負担軽減に取り組んでいます。また、教員不足が生じた学校には、臨時的任用教員を紹介するほか、ホームページやチラシ等で臨時的任用教員の募集を行っています。
  引き続き、学校における働き方改革を推進するとともに、教員確保に取り組んでいくこととしています。

質問事項
 一の7 専科があるクラスの担任に回った場合、子どもたちは専門性の高い授業を受けられなくなるとともに、専科の受け持っていた授業は各クラスの担任が行うことになり労働時間増につながる。また、通常学級の担任確保が優先され、特別支援学級の教員が欠員となっている学校が大量に生じ、子どもの安全確保のために保護者に付き添いをお願いしている学校もある。教員不足の解消に向けて、都教委の認識と対応について伺う。

回答
  子供たちの学習環境を整えるためには、専科や特別支援学級等の教員を含めて、教員を適切に確保・配置することが重要です。
  令和5年度は、退職者や休職者が見込みを上回ったことなどにより、主に小学校で教員不足が発生しており、都教育委員会では、現在、不足が生じた学校に臨時的任用教員を紹介するほか、ホームページやチラシ等で臨時的任用教員の募集を行っています。
  引き続き、教員確保に向けて取り組んでいくこととしています。

質問事項
 一の8 5月1日現在で特別支援教室の教員定数は何人で、実際に配置されているのは何人か、区市町村ごとの欠員数についても伺う。

回答
  教員の確保については、都教育委員会が採用等を行い、区市町村教育委員会では、都教育委員会から配当された教員数の中で、各学校の状況等を踏まえながら配置を行っており、都として特別支援教室の教員の配置状況について現時点では把握していません。

質問事項
 一の9 また、特別支援教室は自立活動であり教科ではないとして時間講師の配置がされないが、国の法律により禁じられているのか伺う。

回答
  時間講師は、都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例に定めるものであり、教科の授業に従事することとしています。

質問事項
 一の10 教員不足が解消するまでの特例措置として、講師配置も可能とすることを検討すべきだが、見解を伺う。

回答
  正規教員等を自立活動の授業に従事させた上で、当該教員が担当する教科の授業に時間講師を従事させるなどにより対応している事例もあります。

質問事項
 一の11 産休・育休代替教員は現在、全員、臨時的任用で対応しているが、地方公務員の育児休業等に関する法律第6条では、職員の配置換えその他の方法によって正規教員を配置することが困難な場合に限り、臨時的任用教員をあてることができることとされており、正規教員を増やして対応していくべきだが、見解を伺う。

回答
  産休育休に伴う欠員に対する代替教員の任用については、「女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律」、「地方公務員の育児休業等に関する法律」に基づき、臨時的任用により対応しています。

以上