文書質問 物流2024問題について 災害時要配慮者対策について あぜ上三和子(江東区選出)
2023年第3回定例会で以下の文書質問を提出しました。
令和5年第三回都議会定例会
文書質問趣意書 提出者 あぜ上三和子
質問事項
一 物流2024問題について
二 災害時要配慮者対策について
答弁
一 物流2024問題について
二 災害時要配慮者対策について
一 物流2024問題について
トラック運転手不足が起きるとされる2024年問題。原因には、トラック運転手の長時間労働と低い賃金があります。トラックやバスなど運転労働者の労働条件は厚生労働省の「改善基準告示」で定められていますが、来年4月から適用の改正「基準告示」では、トラック運転手の年間拘束時間を最大3,516時間から3,400時間と116時間短縮されることとなります。物流業界は、トラック運転手の長時間労働がまん延していますが、来年4月から拘束時間が短縮されることで運転手不足となり、荷物総量の3割が運べなくなるとする試算もあります。
1 運転手不足の対策として、現在、政府が政府案を検討していますが、例えば、高速道路でのトラックの速度制限を今の80キロを引き上げる検討なども入っています。しかし、長時間労働の是正というのは、安全性を置き去りにするようなやり方は絶対にやってはならないことです。都の見解を伺います。
トラック労働者からは「長時間労働で荷待ち時間も長く、身体がもたない」「残業代で何とかなっていたが、身体はきつい。労働時間の短縮は待ったなしだが、大前提が賃金の大幅引き上げだ」という声があがっています。また、中小の運送業者からは、「荷主に運賃改定の交渉などしたら、契約を打ち切られるからとても言えない」「本来、荷下ろしなど別契約でするものだが、弱い立場で運搬費に含まれてしまう場合もある」など燃油高騰で厳しい状況に追い込まれている中小の運輸業者は、賃上げしたくても運賃改定等とても荷主との交渉出来るような状況ではないとの声もあがっています。
政府は、トラック運転手の標準的賃金水準を残業代なしで3.4%アップしたと(2020年から2022年まで)していますが、もともと低い賃金で、燃料代も上がる中でそれで十分とはとてもいえません。
2 都としても中央卸売市場や都の公共事業などあらゆる分野に多大な影響が及ぶことから、トラック運転手不足問題は自らの問題として、まずは都内のトラック運転手の労働実態調査を早急に行うべきです。いかがですか。
3 運輸事業者は都の産業別企業数(東京の産業と雇用就業2022)で見ると、運輸業・郵便業でカウントされており、9,109企業数あり、中小企業比率は98.9%であり、うち76%が小規模企業です。運輸事業者のトラック運転手の産業別特定最賃を確立するよう法整備を国に求めるべきですが、いかがですか。
4 徳島県や大分県などでは、トラック運送事業者や貨物運送事業者などへの支援を9月補正予算で組むなど支援をおこなっています。中小の運輸事業者が賃金引き上げと安全運行を確保できるよう都として支援制度を創設すべきではありませんか。
5 また、中小の運輸事業者に対する燃油高騰対策は9月までです。引き続き、実施すべきではありませんか。
6 国に対し、運送事業の商取引の実態調査を求めるとともに、商取引Gメン(下請けGメン248人)を拡充するよう求めるべきです。また、安全運行を確保できる運賃改定など適正な商取引が行われるよう都として荷主などの事業者に要請するべきだと考えますが、いかがですか。
二 災害時要配慮者対策について
1 大規模災害のたびに、いわゆる災害弱者に被害が集中してきたことから、一昨年の災害対策基本法改正で、自ら避難することが困難な高齢者や障害者など一人ひとりの個別避難計画の策定が、区市町村の努力義務とされました。都は個別避難計画の重要性をどう認識していますか。
2 都内区市町村の個別避難計画は、要支援者数に対して、どれくらいの割合で作成されているのですか。
3 例えば、江東区では、要配慮者の個別計画が完了しているのは国の避難行動要支援者数46,474人のうち支援を希望する要配慮者2万人の半分の1万人です。すべての要配慮者の個別計画を作成するには、障害者施設や高齢者施設など民間に協力していただくことをしなければできないのが現状と伺っています。個別避難計画の都内の作成数を抜本的に引き上げるために、都は広域自治体として、都内区市町村が計画策定にあたり抱えている困難を把握し、それにかみ合った支援を強化することが必要です。都はどう取り組むのですか。
4 難病患者の方々からは「災害時、避難入院ができる病院を増やしてほしい」との声が寄せられています。災害時における難病患者への対策について、都の取組を伺います。
5 都内福祉避難所は、1,600カ所(2022年)ですが、国のガイドラインが改訂され、福祉避難所の確保や直接避難が求められています。直接避難するには、登録制にしなければならず、早急に区市町村と協議し、具体化をすすめることが必要です。特別支援学校など福祉避難所設置に積極的に取組むことを求めますが、いかがですか。
6 備蓄の内容は、障害・病気によっても個人によっても異なります。個々の症状にあったものを預けられる仕組みづくりや個別訓練を行うなど、避難対策の事前対策も重要です。都としてどのような支援をおこなうのですか。
令和5年第三回都議会定例会
あぜ上三和子議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 物流2024問題について
1 長時間労働の是正というのは、安全性を置き去りするようなやり方は絶対にやってはならないことだが、見解を伺う。
回答
物流の分野の中小企業が、時間外労働の上限規制の導入に対応できるよう、現場での働き方の改革を進めることは必要です。
質問事項
一の2 トラック運転手不足問題は自らの問題として、まずは都内のトラック運転手の労働実態調査を早急に行うべきだが、見解を伺う。
回答
都は、都内中小企業の労働条件等に関する実態調査を実施し、その状況を把握しています。
質問事項
一の3 運輸事業者は都の産業別企業数(東京の産業と雇用就業2022)で見ると、運輸業・郵便業でカウントされており、9,109企業数あり、中小企業比率は98.9%であり、うち76%が小規模企業である。運輸事業者のトラック運転手の産業別特定最賃を確立するよう法整備を国に求めるべきだが、見解を伺う。
回答
賃金などの労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議により、自律的に定めることが基本です。
質問事項
一の4 徳島県や大分県などでは、トラック運送事業者や貨物運送事業者などへの支援を9月補正予算で組むなど支援をおこなっている。中小の運輸事業者が賃金引き上げと安全運行を確保できるよう都として支援制度を創設すべきだが、見解を伺う。
回答
都は、労働者の処遇改善に向けた中小企業の様々な取組について、経営や職場づくりの面から支援しています。
質問事項
一の5 中小の運輸事業者に対する燃油高騰対策は9月までである。引き続き、実施すべきだが、見解を伺う。
回答
運輸事業者向け燃料費高騰緊急対策事業は、国からの電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を活用して実施しています。
質問事項
一の6 国に対し、運送事業の商取引の実態調査を求めるとともに、商取引Gメン(下請けGメン248人)を拡充するよう求めるべきである。また、安全運行を確保できる運賃改定など適正な商取引が行われるよう都として荷主などの事業者に要請すべきだが、見解を伺う。
回答
都は、中小企業が適正な条件で取引を行うための対応について、既に国に提案しています。また、発注側の会社に巡回し、適正な取引を推進しています。
質問事項
二 災害時要配慮者対策について
1 大規模災害のたびに、いわゆる災害弱者に被害が集中してきたことから、一昨年の災害対策基本法改正で、自ら避難することが困難な高齢者や障害者など一人ひとりの個別避難計画の策定が、区市町村の努力義務とされたが、個別避難計画の重要性について、認識を伺う。
回答
避難行動要支援者の災害時における円滑な避難の実効性を確保するため、令和3年に災害対策基本法が改正され、避難行動要支援者ごとの個別避難計画の作成が、区市町村の努力義務となっています。
区市町村における計画作成を促進する必要があるため、都は、研修会の実施や包括補助などにより、区市町村の取組を支援しています。
質問事項
二の2 都内区市町村の個別避難計画は、要支援者数に対して、どれくらいの割合で作成されているのか伺う。
回答
国は、全国の区市町村における令和5年1月1日現在の個別避難計画の作成状況等について調査を実施し、同年6月に結果を公表しました。
都内の避難行動要支援者数は563,718人、このうち、計画の策定済件数は56,977件であり、要支援者に対する計画策定済件数の割合は、約1割となっています。
その後、国は、進捗状況把握のため同年10月1日時点で計画作成に着手している区市町村数についての追加調査を実施し、都内では9割を超える自治体が既に計画の作成に着手しており、都はこうした区市町村の取組を支援しています。
質問事項
二の3 個別避難計画の都内の作成数を抜本的に引き上げるために、都は広域自治体として、都内区市町村が計画策定にあたり抱えている困難を把握し、それにかみ合った支援を強化することが必要だが、どう取り組むのか伺う。
回答
都は、個別避難計画作成の取組が進むよう、区市町村の担当者を対象に毎年度実施している研修会で、区市町村の意見も踏まえ、先行して計画作成に取り組んでいる自治体の事例紹介などを行っています。
また、個別避難計画を効果的・効率的に作成する区市町村を包括補助により支援しています。
質問事項
二の4 難病患者の方々からは「災害時、避難入院ができる病院を増やしてほしい」との声が寄せられている。災害時における難病患者への対策について、都の取組を伺う。
回答
難病患者は、国が策定した災害時の避難行動支援に関する指針において、避難行動要支援者として例示されており、区市町村は、患者個々の状況により、必要に応じて個別避難計画を作成し、支援することとされています。
また、難病患者を含む在宅での人工呼吸器使用者は、発災時に自ら避難することが困難なため、関係機関や患者・家族が適切に行動できるよう、都は東京都在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針により、区市町村の取組を支援しています。
質問事項
二の5 都内福祉避難所は、1,600カ所(2022年)だが、国のガイドラインが改訂され、福祉避難所の確保や直接避難が求められている。直接避難するには、登録制にしなければならず、早急に区市町村と協議し、具体化をすすめることが必要であり、特別支援学校など福祉避難所設置に積極的に取組むべきだが、見解を伺う。
回答
災害対策基本法及び同法施行令等に基づき、区市町村は、あらかじめ高齢者、障害者など受入対象者を特定した福祉避難所を指定し、都道府県知事に通知するとともに公示することとされています。
都は、「東京都避難所管理運営の指針」を作成し、要介護度の高い方や難病患者の方など、避難生活に配慮が必要な方の状況に応じた区市町村の避難所運営を支援するとともに、国の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」を区市町村に周知しています。
質問事項
二の6 備蓄の内容は、障害・病気によっても個人によっても異なる。個々の症状にあったものを預けられる仕組みづくりや個別訓練を行うなど、避難対策の事前対策も重要だが、どのような支援を行うのか伺う。
回答
都は、「東京都避難所管理運営の指針」において、内部障害のある方や難病患者の方など、避難所利用者の特性に応じて必要な物資などの配慮事項を記載しており、災害発生時に区市町村が避難所を円滑に運営できるよう、支援しています。