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質問・条例提案

予算特別委員会 原のり子都議(北多摩第4選出)の一般総括質疑

動画(都議会ホームページです。)
★議事録速報版より

  1. 市販薬オーバードーズ(過剰摂取)をはじめ依存症、アディクション(嗜癖)を抱えている子ども・若者たちへの支援について
  2. 多摩の保健所について
  3. 補聴器:高齢者への聞こえの支援について
  4. 防災対策としての学校プールの活用について

質問パンフレット(テーマ1のみ・PDF)


1.市販薬オーバードーズ(過剰摂取)をはじめ依存症、アディクション(嗜癖)を抱えている子ども・若者たちへの支援について

○原委員 初めに、子供、若者支援について伺います。
 都は、来年度予算案の中で、あらゆる危険から若者を守る取組として、子供、若者を取り巻く課題への対応を進めるとし、具体的には、トー横キッズ、悪質なホストクラブ、オーバードーズについて効果的な取組をするとしています。
 オーバードーズ、市販薬の過剰摂取を位置づけたことについて、大事なことだと思う反面、市販薬ODをはじめ、摂食障害、自傷行為など、依存症、アディクションに悩む子供、若者たちのことをどう捉えているのか、都が問われていると思います。この捉え方を間違うと、全く逆効果になることも考えられます。
 アルコールや薬物など物質に対する依存、ギャンブル、自傷行為、摂食障害、インターネット、人間関係など、非物質系の行動、行為についての依存があります。アルコールや薬物、ギャンブルだけでなく、やめたくてもやめられない状態は広くあり、依存症、アディクション、嗜癖と呼ばれています。意思が弱いからはまっているわけではなくて、適切な支援と治療が必要です。
 まず、知事に伺います。
 市販薬の過剰摂取、オーバードーズをはじめ、依存症、アディクションを抱えている子供、若者たちへの支援は重要です。大事なのは、子供、若者をどう見るかです。
 市販薬ODをはじめ、依存症、アディクションを抱えている子供、若者たち本人に問題があると見るのか、それとも、子供や若者の生きづらさに着目するのか、知事はどう認識していますか。見解を伺います。

○小池知事 依存症を抱える方への支援についてのご質問でございます。
 依存性のある物質摂取、また依存行為が習慣化いたしますと、年齢や性別、社会的立場などにかかわりなく、誰でも依存症になる可能性があるといわれております。そして、適切な支援により回復することができるとされております。
 都におきましては、依存症の相談拠点でございます都内三か所の精神保健福祉センターにおきまして、本人や家族などからの相談に応じ、適切な治療や支援につなげているところでございます。

○原委員 誰でもなり得る、同時に回復もできるということに触れられての答弁で、大事だと思います。
 依存症、アディクションについては、本人の意思が弱いせいだという誤解があり、自己責任論的な見方が強くあります。正しい理解と啓発を強めることが大事だと思いますが、見解を伺います。

○佐藤福祉局長 都は、都民が依存症に関する正しい知識を身につけられますよう、ホームページやリーフレットによる情報発信を行うほか、依存症治療の専門家による講演などを内容とした依存症対策フォーラムを開催するなど、普及啓発を行っているところでございます。

○原委員 この間、数人の市販薬ODと他のアディクションを併せ持っている二十代の女性の方々にお話を伺いました。何人かの方のお話を紹介します。
 ある方は、中一のときに死のうと思って薬を飲んだことが最初で、その後、大学三年生から市販薬ODをするようになった大学院生の方です。大学院に入った後、突然学校に通えなくなり、精神科を受診し、その後、継続して通院しながら、ODや自傷行為と向き合っています。
 また、ある方は、十代のときの性被害や、それに伴う大人たちのセカンドレイプによりPTSDになり、苦しさをずっと抱えています。処方薬ODをしていたが、眠くなってしまうので、仕事や日常生活を送るために市販薬ODをするようになったといいます。やはり主治医と相談しながら依存症と向き合っています。
 また、ある方は、新卒で福祉施設に就職し、夜勤があるため、それまで飲んでいた睡眠薬を飲めなくなり、眠れなくなってしまった。何とか仕事をするためにしゃきっとしようと市販薬を飲むようになり、徐々に過剰摂取になってしまい、体中のかゆみや幻覚が出るようになってしまった。医師から当事者を支援する団体などにつないでもらって、孤独でなくなり、薬物依存に向き合うことができるようになったと話しています。
 皆さん真面目で優しい人たちです。苦しい気持ちを何とかしたいと思いながらODをしているんです。
 市販薬ODの世間の見方について、楽しむためにやっていると思われているのではないかとも話していました。しかし、ODの理由のトップが、ひどい精神状態から解放されたかったからで七二・六%であったと書かれている論文もあります。やはり若者や子供の声を聞くことが必要だと実感しました。
 市販薬ODをはじめ、依存症、アディクションが子供や若者の中にどのぐらい広がっているのか、都として実態調査を実施する必要があると思います。この場では強く検討することを求めておきたいと思います。
 この依存症、アディクションについて正しい理解を増進するためには、都の宣伝物をよりよくしていくということが重要です。
 薬物乱用防止を啓発する現在の東京都の保健医療局のリーフレットを、子供、若者に届くように、不安なことをぜひ相談してほしい、回復はできるというメッセージを強く押し出したものに改善すべきと考えますが、いかがですか。

○雲田保健医療局長 都は、薬物乱用対策推進計画に基づき、関係機関や地域団体と連携した啓発活動、規制や取締り、相談支援体制の充実など、総合的な薬物乱用防止対策を行っております。
 子供や若者に向けた啓発につきましては、薬物乱用による危険性などを伝えるとともに、不安や悩みを相談できる公的機関をホームページやリーフレット等で周知しており、来年度は、医薬品の適正使用に関する教材の作成、配布など、若年層を対象とした普及啓発を充実することとしております。

○原委員 若年層を対象とした普及啓発を充実するということはとても大切だと思います。
 現在改定中の薬物乱用防止計画の案でも、乱用の背景には様々な悩みや生きづらさがあると考えられ、早めに専門相談機関に相談することの重要性を伝えるなどの取組の必要性について、繰り返し繰り返し述べられています。ぜひその視点を踏まえ、薬についての正しい知識とともに、回復できるという、これもまた正しい知識ということになりますが、そうしたことをきちんと伝えて、相談につながるようにしていただきたいと思います。
 また、リーフレットは違法薬物への依存と市販薬への依存が横並びになっているんですけれども、薬の特性を踏まえたものに、より改善し、若者が受け止められるように工夫することを求めておきたいと思います。
 あわせて、精神保健福祉センターのリーフレットについても伺います。
 市販薬や処方薬のOD、オーバードーズについて、基本的な知識と同時に、相談を呼びかけ、回復できるということを分かりやすく伝えています。このリーフレットの子供、若者版を作成し、子供たちに配布することを求めますが、いかがですか。

○佐藤福祉局長 精神保健福祉センターでは、市販薬、処方薬の乱用、依存に係るリーフレットを作成しておりまして、児童生徒からの相談などに活用するため、区市町村の教育相談部門や都立高校等に配布をしております。

○原委員 都立高校等に配布をしているということは重要です。重要ですけれども、漏れなく全員に行き渡るようにしてほしいと思います。それはなぜかというと、相談があったときだけ渡すとか、何人かピックアップして渡すというやり方では駄目だと思うんですね。
 今どのぐらいの子供たちがODをしているかというのが分からない、そういう中で、本当にみんなに渡して、例えば自分でなくても、友達が悩んでいるということで胸を痛めている人もいます。そういうときにリーフレットを見て、あ、ここに相談すればいいんだなと分かるということもとても大事です。ですので、みんなに、全員に行き渡るようにしてほしいというふうに思います。
 同時に、薬物乱用防止教育は小学校、中学校でも実施されています。私は、このリーフの内容を全ての子供を対象に配布することが大事だと思います。ぜひ検討していただきたいと思います。
 では、学校での薬物乱用防止教育では、市販薬ODについてどのように扱われているのでしょうか。伺います。

○浜教育長 現在、小中高等学校の児童生徒は、保健の授業において、医薬品の正しい使用方法を含めた薬物乱用による健康被害について学習をしています。
 また、薬物乱用防止教室において、医薬品の正しい使用方法を取り扱っている学校もあります。

○原委員 学校の授業や薬物乱用防止教室というのもやられていて、この薬物乱用防止教室実施率、東京都、高いというふうに思うんですね。
 この教室の講師というのは、いろんな方々が講師になられています。学校の要請によって、警察の関係の方であったり、薬剤師さんであったり、いろいろな方が講師になっています。
 私は、どういう方が講師になられていても、そのときに精神保健福祉センターのリーフの子供、若者版を渡せるようにしたらよいと思っているんです。なぜなら、先ほども少しいいましたけれども、目の前の子供たちの中には既にODをしている子供もいる可能性が高いからです。
 国立精神・神経医療研究センターの全国高校生調査では、過去一年以内に市販薬の乱用経験があると答えている高校生の割合が約六十人に一人と推計しています。その子たちに絶対駄目、一度でも手を出したら戻れないなどのメッセージだけが伝わってしまうと、ますます自分を責めて相談できなくなります。相談先を知らせ、回復できるとメッセージを伝えることが重要だと思います。
 では、その相談先はどこか。それは、最初の知事のご答弁にもありましたけれども、相談先の中心は依存症の相談拠点になっている精神保健福祉センターです。子供たちがここに直接相談できるということをぜひ周知していただきたいと思います。
 そして、精神保健福祉センターに相談しやすいように、電話は無料にすること。また、子供、若者のLINE相談も実施をすることが必要だと思いますが、いかがですか。

○佐藤福祉局長 精神保健福祉センターでは、依存症に関する相談につきまして、当事者または家族の状況等を正確に把握し、状況に応じた適切な治療や支援などにつなげていくため、対面実施を基本としております。
 なお、電話相談のフリーダイヤル化については考えてはおりません。

○原委員 考えていませんと。ちょっと冷たいなと思いましたが、困って電話をするときに、短時間で上手に話すというのはとても難しいと思うんですね。無料化は考えていないということですが、私はぜひ検討していただきたいと思います。
 そして、LINE相談を検討する必要があると思います。まず、相談の最初のハードルを下げることが必要だと思うんです。依存症を専門とする精神科医にも伺いましたが、少しでも早く相談につながることが重要だといっています。
 市販薬ODは、先ほど紹介した二十代の女性たち、紹介しましたけれども、この方たちも公的機関に相談するということは全く考えたことがなかった、相談できるところがあるとも知らなかったと話しています。少なくともLINE相談を実施して、それを周知すれば、格段に相談拠点が身近になるのではないでしょうか。
 他の相談でも、今東京都は、子供、若者を対象にLINE相談を進めていますよね。先ほど答弁がありませんでしたが、依存症、アディクションについても若者向けにLINE相談を実施すべきと考えます。もう一度伺いますので、検討を求めますが、いかがですか。

○佐藤福祉局長 精神保健福祉センターでは、依存症に関する相談につきまして、当事者または家族の状況などを正確に把握し、状況に応じた適切な治療や支援などにつなげるため、対面実施を基本としているところでございます。

○原委員 LINE相談だったら子供や若者たちはつながりやすいわけです。そのことが分かっているから、東京都ではほかの分野でもLINE相談を増やしているわけですよね。
 特にその依存症の問題では、本当に人にいえないという、そういう子供たちの、若者たちの思いに寄り添えば、やっぱりLINE相談、必要だというふうに思います。ぜひこれは検討していただきたいと強く求めておきたいというふうに思います。
 都として、市販薬ODにも着目して施策を進めようとしているんですから、相談できるように、どれだけ充実させていくか、これが必須なわけですね。
 先ほど、新卒で福祉現場に就職した方の話を紹介しましたけれども、その方はこうもいっています。新卒の当時は誰にも相談できず孤立し、薬に支配される日々だった。それを経て今思うのは、誰にも相談できないと感じてしまったときに、その人が必要とする公的サービスにつなげてあげる支援があるといいといっています。ぜひ急ぎ検討していただきたいと思います。
 また、市販薬ODは、影響がどう出てくるのか分からない怖さもあります。そのときの体調によって薬の影響が強く出てしまい、体を壊したり、中には命を落とす場合もあります。また、急にやめた場合の離脱症状も心配です。
 ですから、早く相談できて、早く適切な医療機関につながることが大事なんです。LINEなど、相談体制の拡充を強く求めておきます。
 そして、精神保健福祉センターは二十三区には二か所ありますが、広い多摩地域に一か所は少な過ぎます。先ほど、相談は対面実施が基本だといわれました。来所して相談をするということになった場合、センターまでは遠過ぎる地域が多くあります。そういう自治体ではセンターを頼ることができません。
 支所をつくるなど、増設、拡充が必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○佐藤福祉局長 精神保健福祉センターは、精神保健福祉法の規定に基づきまして、都道府県及び政令指定都市が設置することとされておりまして、都では区部に二か所、多摩地域に一か所を設置しております。

○原委員 それは分かって聞いています。大事なのは、相談する人の立場に立って、都として充実することが必要ではないですかということです。しかも、この対面実施が基本だといわれたのですから、この遠くて行けないという問題は、やっぱり解決しないといけないというふうに思います。
 都が来年度予算案で市販薬ODも位置づけ、そして、子供、若者の依存症、アディクションについての相談、これから本人だけではなく、家族や、また保護者からも増えていく可能性もあると思うんですね。増えてくれないと困ると思うんです。相談できるということで増えてくれればいいなと思うんですね。ですから、今ここで求めているわけです。
 子供、若者の依存症、アディクションについて安心して相談できることなど、保護者、家族の支援を強める重要性について、知事はどう認識しているか伺います。

○佐藤福祉局長 都では、都内三か所の精神保健福祉センターが依存症の相談拠点として、アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存症につきまして、本人や家族などからの相談に応じておりますほか、家族が正しい知識や対処法を学ぶ家族教室を実施しております。

○原委員 保護者の方々に伺うと、自分の育て方が悪かったからではないかとご自分を責めています。でも、そうではなくて、どんなに愛情深く育てて、家族が仲がよくても、子供は社会の中で生きているのですから、様々な傷を負う場合があります。大好きな家族だからこそいえずに、一人でODをしながら学校に通っているという子供さんもいます。保護者の方々にも、自分を責めないでとメッセージを送り、家族教室などを案内してもらいたいと思います。
 ここに通うにも、やはりセンターが多摩に一か所では足りないと。増設や拡充がどうしても必要だと指摘し、次の質問に移ります。

2.多摩の保健所について

 次に、多摩地域の保健所について伺います。
 都は、一月に、都保健所の体制・機能の強化についてを取りまとめました。コロナの経験や感染症対応を踏まえた都保健所のあり方検討会を踏まえたものとしていますが、どのような方針なのか伺います。

○雲田保健医療局長 都は、新型コロナ対応で得られた知見や、都保健所のあり方検討会における市町村等との連携強化などが重要との意見等を踏まえ、来年度から多摩地域の都保健所に市町村連携課を新設するなど、体制、機能の強化を図っていくこととしております。

○原委員 この方針では保健所の増設は盛り込まれませんでした。
 パネルをご覧ください。二十三区には、少なくとも、皆さんご存じのように自治体ごとに保健所がありますけれども、多摩地域は八王子と町田を除いて、二十四市に五か所しかありません(パネル1)。これは多摩格差ではないですか、見解を伺います。

 (パネル1)

○雲田保健医療局長 地域保健法におきまして、保健所は、都道府県、政令指定都市、中核市、保健所政令市、または特別区が設置することとされております。
 また、住民に身近な保健サービスは市町村の保健センター等が行い、都道府県の保健所は、より専門的なサービスを実施するという地域保健法の考え方に基づき、多摩地域の都保健所を二次保健医療圏に一か所設置しております。

○原委員 都としてはそういう考え方で臨んでいるということですが、コロナの教訓を踏まえて、今までどおりでいいのかということが問われていると思います。しかも、多摩格差ではないかという質問には答えていません。
 コロナ禍において、一つの保健所が五市、あるいは六市と、たくさん管轄をしていることによる課題、また二十三区と多摩地域の財政力の違いや圏域の広さなどがもっと考慮されるべきです。
 そして、きちんと踏まえるべきなのは、市町村の保健師の業務がどんどん増えていて、余裕がある状態ではないということです。
 こちらをご覧ください。全体的な傾向だけを見ていただければと思います。これは、議員の皆さんは資料としてもともと持っていらっしゃるものです。ごめんなさい、細かいところではなくて、全体の傾向をご覧ください(パネル2)。

(パネル2)

 一九九七年度には、母子保健のほとんどは市町村へ移りました。その後、二〇〇四年度には精神保健福祉のほとんどが市町村へ移っています。ですから、最初は保健所の四角、枠が大きいわけですけれども、それがどんどん小さくなって、市町村のところがどんどん大きくなっているということを東京都が資料としてつくっています。ここには書かれていない介護保険に関わる業務も加わっています。
 さらに、健診と一言でいっても、この健診の中身はたくさんあって、そのたくさんある上に、今度は五歳児健診、一歳児健診も課題になっています。
 こども家庭庁は、全国で五歳児健診などが実施されるように公費助成を行うこととしましたが、国と市町村で二分の一ずつであり、自治体によっては実施したくてもなかなかできない、保健師の体制や医師の確保が難しいという声が聞かれます。都としてはどのように取り組むのか伺います。

○佐藤福祉局長 都は、五歳児健診につきまして、区市町村の母子保健担当者との連絡会におきまして、実施状況や実施体制などの課題を共有いたしますとともに、東京都医師会に対しまして、区市町村への医師の派遣に関する協力依頼を行っております。

○原委員 子供の健診の多くは地方交付税措置されています。しかし、一か月児と五歳児は地方交付税措置されていませんでした。そのため、今年度の国の補正予算で、国と市町村で二分の一の負担ということにして、今全国に広げようとしているわけです。
 私がここで五歳児健診を特に取り上げているのは、原則、集団健診とされているからなんです。自治体の負担が重いんです。こうやってどんどん業務が来る、大事なことだから実施したい、でも、保健師が足りない、医師も確保できない、都から財政支援もない、これは本当に大変な状況だということを分かっていただきたいと私は思います。
 都は、市町村の保健師体制が厳しいということを知っているのでしょうか。伺います。

○雲田保健医療局長 例えば一例でございますが、保健師の数でございます。多摩小平の保健所を例に取りますと、現在、令和五年度の東京都の多摩小平保健所の保健師の定数は三十名でございます。
 一方、同じこの管内の五市の常勤、各市の常勤保健師数の合計でございますが、平成八年度末時点では三十八名、現在、令和五年五月一日時点では百十四名となっているところでございます。

○原委員 厳しいかどうか知っていますかと聞きましたけれども、そういうふうにお答えになるということは、厳しくないといっているんですかね。それはあまりにも実態を知らな過ぎますし、私が何でその業務がどんどん増えてますよといっているかというと、その人数だけではなくて、その業務量に対してどうなのかということをいっているわけですね。やっぱりその厳しさを本当に分かっていただきたいというふうに思います。
 実際に人数の点でも、私も幾つかの自治体に聞いてみました。今年度の保健師の状況は、ある市では三人足りない、募集しても集まらない、産育休の代替ができない。ある市では二人が足りない、ある市では一人足りないなど、本当に多くのところでそういう大変だという声が聞かれました。それに、先ほどいったように業務量が増えている。
 今回、都の保健師が増えるという対応を東京都がしたことについてはとても大事だと思っていますけれども、連携をする先の市の保健師は本当に厳しい状況でやっているということをご理解いただきたいというふうに思います。
 そういう中で、保健所は増やさないけれども、市の保健師を感染症対策に特化した長期間の研修に出してくれというのは、かなり無理があるのではないかと思います。感染症対策は保健所の重要な業務で、ほかに代わることはできません。必要な増設、体制強化を行い、市町村が通常業務を安心して行えるようにすべきです。
 改めて、多摩地域の保健所の強化、増設の検討を行うことを強く求めて、次の質問に移ります。

3.補聴器:高齢者への聞こえの支援について

 次に、補聴器補助について伺います。
 来年度予算案では、補聴器補助について、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業として、新たな事業が始まることが示されました。これは大事な前進だと思います。
 都は、区市町村アンケートも行いました。その受け止めと、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業として単独メニューにした目的を伺います。

○佐藤福祉局長 都は今年度、区市町村の補聴器補助事業等の実施状況を調査いたしまして、区市町村の状況を幅広く把握いたしました。
 また、専門家など関係者の意見も聞きながら検討を行いまして、多くの区市町村で取組が進むよう事業化を図ったところでございます。

○原委員 知事は施政方針でアクティブChojuプロジェクトを打ち出しました。高齢者の方が生き生きと生活していく上で、聞こえの問題もとても重要ですが、知事が進めるアクティブChojuプロジェクトに補聴器への支援は位置づけられていますか。

○佐藤福祉局長 アクティブChojuプロジェクトは、「未来の東京」戦略のバージョンアップに合わせ、始動したものでございまして、この間、施策の強化などを図ったものは、「未来の東京」戦略に反映をされております。
 加齢性難聴は、早期発見、早期対応が重要でございまして、都は、区市町村が高齢者への補聴器支給等事業を実施できるよう支援することとしております。

○原委員 知事の施政方針では、TOKYO認知症施策推進プロジェクトも打ち出されていますが、聞こえの問題と認知症の関連も研究が進んでいる中で、補聴器補助をどこの自治体でも実施できるように後押ししていくことは重要だと思います。
 では、現在、補聴器補助を実施している区市町村はどのぐらいありますか。健診を実施している区市町村はどのぐらいでしょうか。区市町村別に教えてください。

○佐藤福祉局長 補聴器購入費等に係る補助につきまして、都は現在、包括補助の選択事業として実施をしておりまして、今年度の補助実績は、十六区五市二村の合計二十三自治体でございます。
 また、区市町村に対して行いました調査では、二自治体から健診を実施しているとの回答がございました。

○原委員 都の包括補助を活用している自治体が二十三とのことです。さらに、都の補助を使わずに実施しているところも入れると二十六自治体だと思います。広がっていることは重要ですけれども、問題は地域格差です。
 二十三区は、来年度から全ての区で実施されるようになる見通しですが、多摩地域では、財政的に難しいところが少なくなく、多摩格差となっています。その点で、先ほどの答弁で、多くの区市町村で取組が進むよう事業化と述べられました。
 また、同じく答弁にあった「未来の東京」戦略 version up 二〇二四の三か年のアクションプランを見ますと、二〇二六年度には都内の六十二区市町村全てで補聴器支給助成等を実施する計画になっています。
 これはとても重要ですけれども、そうすると、都の補助率二分の一を引き上げずに六十二区市町村を達成するのは難しいのではないでしょうか。この補助率について検討すべきと考えますが、いかがですか。

○佐藤福祉局長 区市町村が高齢者への補聴器支給事業等を実施できるよう、二分の一の支援を行ってまいります。

○原委員 これは、そこを検討しないで六十二区市町村全てで実施ができるのかということが問われています。この場では強く検討を求めておきたいと思います。
 また、先ほどご答弁で健診を実施している自治体二つということでした。都は、区市町村へのアンケートでかなり詳しく健診について聞いていました。健診で聴力をチェックすることが定着すれば、それをきっかけに補聴器をつけることにもつながります。
 補聴器相談医がいない自治体は、健診でチェックをするということについても都の補助を今、活用できるようになっています。ですけれども、それ以外のところは使えないんですね。これを緩和して、健診を実施したいと希望する自治体には認めていくべきだと思います。これはぜひ検討していただきたいと強く要望しておきたいと思います。
 そこで、来年度ですけれども、補聴器補助を行う区市町村数の見通しはどのように持っていらっしゃいますか。伺います。

○佐藤福祉局長 来年度から実施する区市町村の補聴器支給等に対する補助事業につきましては、「未来の東京」戦略 version up 二〇二四の三か年のアクションプランにおきまして、計画値を三十二区市町村としております。

○原委員 それでは、もし希望する自治体が三十二よりも増えたとしても対応すべきだと思いますけれども、どのように考えていますか。

○佐藤福祉局長 予算の範囲で対応してまいります。

○原委員 予算の範囲でということですけれども、これを本当に推進したいということで計画をされているわけですから、確実に対応していただきたいというふうに思います。
 あわせて、安くて、よりよい補聴器を購入できるようにしていくためには、日本の高い技術を生かして、よりよい製品をつくることへの支援も重要だと考えます。このことについても見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は、中小企業の優れた技術による製品開発を支援するため、その開発に係る経費への助成を行っております。
 引き続き、中小企業の取組を適切にサポートいたします。

○原委員 世界で初めてのデジタル補聴器を開発したのは東京都内の企業でした。しかし、量産するまでの資金力や体制が厳しかったということも伺いました。スタートアップに偏重するのではなくて、こうした中小企業振興に力を入れていただきたいと強く求めたいと思います。
 また、補聴器はフィッティングが重要ですが、そのために欠かせないのが認定補聴器技能者の方々です。国家資格になっていない下でも、研修には四年もかかります。こういう方々の育成への都の支援も検討すべきではないでしょうか。いかがですか。

○佐藤福祉局長 認定補聴器技能者は、公益財団法人テクノエイド協会が実施をいたします所定の研修を履修し、試験に合格した者を認定するものとされているところでございます。
 都は、補聴器の使用に際しまして、一人一人の聞こえ方に応じて調整が受けられますよう、認定補聴器技能者が在籍している販売店などの情報を掲載した協会のホームページ等を区市町村に紹介しておりまして、引き続き情報提供をしてまいります。

○原委員 育成支援についてはお答えはありませんでしたけれども、ただ、今のご答弁を聞いていても、認定補聴器技能者の役割、非常に重要だということがよく分かります。
 補聴器補助の拡充と同時に、補聴器の開発支援や認定補聴器技能者の育成支援などが進めば、よい性能の補聴器がもっと安価に手に入るようになるのではないかと思います。補聴器補助の新たな事業化を機に、真剣に検討することを求め、次の質問に移ります。

4.防災対策としての学校プールの活用について

 最後に、学校プールについて伺います。
 私は、昨年の第三回定例会で、学校プール廃止の動きが広がる中、子供の教育の観点から、廃止ではなく充実できるように都が支援していくべきと取り上げました。
 今日は、防災の観点から学校プールについて伺います。
 学校プールは消防活動において重要な水利だと考えますが、見解を伺います。

○吉田消防総監 震災時の消防活動において、防火水槽のほか、消防水利として使用できるプールや河川等の水利は重要であると認識しております。

○原委員 重要だということです。能登半島地震でも、断水の中、火災の対応で学校プールの水が使われ、大事さを改めて実感しました。
 また、学校は避難所にもなり、二〇二二年七月に、各都道府県防災担当主管部長宛ての国の通知では、飲料水や断水時のトイレ対策などについて充実強化を推進することを求めています。これは避難所の中でのことです。
 学校プールの水を避難所のトイレに活用したり、浄水して生活用水、飲料水として活用するための機器の購入などについて、補助はあるのか伺います。

○浜教育長 災害時に公立小中学校のプールの水を飲料水等に活用するための施設整備につきましては、プールを新築または改築するに当たって、浄化装置を備える工事や、既存のプールに必要な設備を備える工事に関して、設置者の財政負担に対する国の補助制度がございます。

○原委員 今ご答弁いただいた補助というのは施設整備でして、浄水器などを購入する場合には対象となっていないと思います。
 国立教育政策研究所文教施設研究センターの避難所となる学校施設の防災機能に関する調査研究報告書に掲載されている都内の自治体の例では、避難所になっている学校で使えるようにと、各学校分の浄水器を導入しているということが紹介されています。こうした取組への支援が必要だと思っています。
 では、東京都地域防災計画の中で、被災後、断水した場合の避難所のトイレ対応についてはどのように示していますか。

○野間総務局長 東京都地域防災計画では、区市町村の役割として、断水した場合には、学校のプール、雨水貯留槽等を活用し、災害用トイレ等で必要となる生活用水を確保することとしております。
 また、発災後三日目までは、し尿収集車による収集を要しない携帯トイレや簡易トイレなどを避難所等に確保するよう努めることとしてございます。

○原委員 地域防災計画の中にも学校プールは位置づけられているわけですね。私は、改めて子供の教育の観点からも、同時に、その防災の観点からも、学校プールを存続していくことは重要だというふうに思います。
 昨年の夏に共産党都議団で実施した都内全区市町村に対する学校プールの調査でも、そのとき廃止の計画で進めていますという自治体も含めて、学校プールを防災のときには活用すると位置づけているんですね。
 ぜひとも、老朽化したプールなどを改築したいと考えたときには支援が必要だというふうに思います。ぜひとも補助の拡充と、そして東京都として、このプール改築への支援をするべきと考えますが、いかがですか。

○浜教育長 公立小中学校の施設整備の経費は、原則として、設置者である区市町村が負担することとされております。
 都は、区市町村に対しては、国の補助制度を活用し、施設整備が進められるよう支援をするとともに、国に対し、補助率の引上げ等を要望しております。