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質問・条例提案

2023.12.20

文書質問 特別養護老人ホームの運営を守るための支援について 福手ゆう子(文京区選出)

 2023年第4回定例会で以下の文書質問を提出しました。

2023年第4回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 福手ゆう子

質問事項
一 特別養護老人ホームの運営を守るための支援について

答弁
一 特別養護老人ホームの運営を守るための支援について


一 特別養護老人ホームの運営を守るための支援について

 全国の介護施設の多くが、低い介護報酬と人手不足等によりコロナ前から経営が厳しく、急激な物価高騰により赤字経営となっています。
 文京区にある特別養護老人ホーム「白山の郷」の運営を行う社会福祉法人福音会が、2025年末に運営から撤退することが文京区議会で報告されました。
 福音会は、特養の他、向丘・白山・本郷の3 か所の在宅サービスセンター、富坂地域包括支援センターの運営を担っています。長きにわたり区民のための介護事業を行い、区民から高い評価を受けていましたが、これら全てから撤退することになります。
 今回の決定を前に、福音会が区長に宛てた文書では、大規模改修に伴う入居者の減少、人件費の確保が困難、介護報酬の減収等が撤退の主な原因とありました。
 白山の郷は1996年に区が建設して以降、施設の老朽化がすすみ、今後、大規模改修が予定されており、その費用は全額区が負担します。しかし、工事によって入所やデイサービスの受け入れは制限せざるをえず、職員の配置転換で介護報酬の減収も避けられないため、この状況での事業継続は困難だという事です。
 利用者や家族からは、長年職員の方たちにお世話になっているので続けてほしい、あと一年半継続してサービスが受けられるのか等、不安の声が寄せられています。

1 東京都は、文京区の特養ホーム運営法人( 文京白山の郷) が撤退することを予定していることを知っていますか。また、社会福祉法、老人福祉法、介護保険法それぞれの法において特養の事業廃止の情報は事前に都にどのように伝えるようになっているのでしょうか、うかがいます。

 利用者や家族の方々の不安な声にこたえることが都にも求められています。

2 介護が必要とする人たちが安心して入所や通所できるようにすることが必要ですが、都の認識を伺います。併せて、事業者に対して、都として大規模改修に伴う独自の経営支援策を検討する必要があると考えますが、見解をうかがいます。

 東京都は、特養ホームの大規模改修に対して補助制度を設けていますが、白山の郷の場合は、土地と建物は文京区が所有しているため制度の対象外です。また、大規模改修を計画する事業者は白山の郷のように、利用者の減少による収入減、人件費の確保が困難になるといった問題を同様に抱えていることが考えられます。

3 施設整備費補助の対象や補助内容などの拡充の検討が必要と考えますが、いかがですか。

 また、東京都が実施している社会福祉施設建替促進施設は都内に2 施設あります。建て替え期間中の代替施設があることで、建て替えを支援する重要な役割を果たしています。
 一方で、大規模改修に伴う負担ということで、区外の施設を利用した場合の家族の負担、就労場所の変更による職員の離職の可能性などが事業者から挙げられていました。建替促進施設の増設が求められていると考えます。

4 次期高齢者保健福祉計画の策定の中で、社会福祉施設建替促進施設の増設を含め、大規模改修の支援の在り方についても検討していただくことを求めますが、いかがですか。

 白山の郷はかつて区立の特養ホームでした。しかし別の区立特養ホームでの不正事件に、東京都は介護保険法の連座制を適用し、その他の区立特養ホームと通所介護も都の事業指定を取り消しました。それ以降、区立による運営から民設民営にかわったままの経緯があります。そもそも区立であれば、経営難で撤退するまでには至らなかったのではないかと思います。
 介護は公的な事業で、公共で支えることが必須です。だからこそ、都としてできる支援を拡充することを求めます。


2023年第4回都議会定例会
福手ゆう子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 特別養護老人ホームの運営を守るための支援について
1 都は、文京区の特養ホーム運営法人( 文京白山の郷) が撤退することを予定していることを知っているか。また、社会福祉法、老人福祉法、介護保険法それぞれの法において特養の事業廃止の情報は事前に都にどのように伝えるようになっているのか、伺う。

回答
 当該事業者は、文京区が保有する土地及び建物を借り受けて特別養護老人ホーム等を運営しており、事業者から文京区に対し、令和6 年度末をもって土地建物使用貸借契約を解除する意向の申出があった旨情報提供を受けています。
 特別養護老人ホームの事業廃止については、社会福祉法では、廃止の日の一月前までに当該都道府県知事に届け出ること、老人福祉法では、都道府県知事の認可を受けること、介護保険法では、一月以上の予告期間を設けて指定を辞退できることが、規定されています。

質問事項
一の2
 介護が必要とする人たちが安心して入所や通所できるようにすることが必要だが、都の認識を伺う。併せて、事業者に対して、都として大規模改修に伴う独自の経営支援策を検討すべきだが、見解を伺う。

回答
 高齢者が、介護が必要になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるためには、施設サービスや在宅サービスなどの介護サービス基盤をバランス良く整備することが重要です。
 都は、老朽化した特別養護老人ホーム等に対し、改築及び大規模改修の補助を行っています。

質問事項
一の3 施設整備費補助の対象や補助内容などの拡充の検討が必要だが、見解を伺う。

回答
 都は、特別養護老人ホーム等の整備を進めるため、都有地の減額貸付けや土地賃借料への補助などによる負担軽減に加え、建築価格の高騰に対応する整備費補助の加算など独自の支援を行っています。

質問事項
一の4 次期高齢者保健福祉計画の策定の中で、社会福祉施設建替促進施設の増設を含め、大規模改修の支援の在り方についても検討していくべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、改築や大規模改修中の特別養護老人ホーム等の利用者を受け入れる代替施設の整備や整備費補助を行う区市町村を支援しています。
 また、老朽化した特別養護老人ホーム等の建替え期間中の代替施設を都有地を活用して整備し、希望する事業者に貸し出す社会福祉施設建替え促進事業を行っています。