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質問・条例提案

2023.12.20

文書質問 「オール東京滞納STOP強化月間」のとりくみについて 尾崎あや子(北多摩第一選出)

 2023年第4回定例会で以下の文書質問を提出しました。

2023年第4回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 尾崎あや子

質問事項
一 「オール東京滞納STOP強化月間」のとりくみについて

答弁
一 「オール東京滞納STOP強化月間」のとりくみについて


一 「オール東京滞納STOP強化月間」のとりくみについて

 東京都はこの間、「オール東京滞納S T O P 強化月間」に取り組んできました。強化月間が実施されていた時は、市役所の玄関入口に、「オール東京滞納S T O P 強化月間」を知らせるのぼり旗が連立されていました。

 私の活動地域である武蔵村山市・東大和市・東村山市でも、市民税滞納者に対し「自動車のタイヤロック」や「ネット公売」などが実施され、市民からは「強権的な取り立てはやめてほしい」「タイヤロックはひどい」などの声が上がり、「商売が大変で払いたくても、払えない」との相談や「病気になって働けなくなり、税金や国保税が払えない」の相談も多くあります。

 市民は「払うべきものは、きちんと払いたい」とみんな思っています。しかし、払えない状況が生じ、どうしていいかわからず悩んでいるとき、「オール東京滞納S T O P 強化月間」の、のぼり旗や職員の姿を見るだけでつらくなり逃げ出したくなります。そんな時、市民の苦しみに寄り添った丁寧な対応をして、本人の状況に応じて分納ができるようにすること。滞納者の生活再建に向けた助言こそ必要だと考えます。

 滋賀県の野洲市では、「野洲市債権管理条例」が2015年4 月1 日に施行されました。第6 条には「生活困窮者」を理由に徴収停止できることを定めています。野洲市は、「差し押さえによる一時的な徴収よりも、生活再建を経て納税していただく方が、長期的な納税額が大きい」とし、差し押さえよりも債務整理の方が納税額を生み出しやすいと「債務管理事務の効果」があるとしています。さらに「債務管理事務の課題」の一つに、困っている市民は自ら相談に来られない。市役所の方から困っている市民を見つけて生活支援につなげ、生活改善・納付へと導くことを目指しています。さらに、野洲市は「滞納を市民からのS O S として捉える」と位置づけて取り組んでいます。このような野洲市の取り組みは大変重要です。

 今年、「オール東京滞納S T O P 強化月間」の、のぼり旗などの設置が見受けられないため、住民の方から問い合わせがありました。

 そこで、いくつか質問します。

1 滋賀県野洲市の「市民生活を壊してまで債権を回収しない。滞納を市民生活支援のきっかけにする」という考えや、「差し押さえによる一時的な徴収よりも、生活再建を経て納税していただく方が、長期的な納税額が大きい」と対応しています。都も、この立場に立って都民への対応が必要だと思いますが、いかがですか。

2 「オール東京滞納S T O P 強化月間」はいつから始まりましたか。また、始めるに当たってどのような協議が行われたのですか。

3 「強化月間」では、具体的にどのようなことが行われたのですか。

4 「強化月間」がはじまってからの「2013年度以降の都と特別区の差押件数」の推移はどうなっていますか。また、「自動車のタイヤロック」、「自宅等の捜索」の件数の推移はどうなっていますか。

5 コロナ禍の3 年間、都は取組を縮小して「強化月間」を実施し、2023 年度は終了したと聞きました。「強化月間」を終了したことは重要ですが、廃止にした理由について伺います。
 また今後、徴収率が低下しても「強化月間」を再開するようなことはあってはならないと考えます。野洲市のような生活再建への支援を強化すべきです。いかがですか。

6 主税局の徴収部門について、都の職員を区市町村に派遣していますが、2012年からの実績の推移を伺います。また、区市町村からの実務研修生や業務体験研修生を受け入れていますが、2012年からの実績の推移を伺います。

7 都は区市町村からの困難事案を引き受けていますが、都は具体的に何を行うのですか。また、2012年からの実績を伺います。

8 2022年度個人都民税の徴収率は97.9% となり、徴収率が低かった2011 年度の徴収率91.8% から6.1ポイント引き上がりましたが、徴収率を引き上げることができた要因について都の認識を伺います。


2023年第4回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一「オール東京滞納S T O P 強化月間」のとりくみについて
1 滋賀県野洲市の「市民生活を壊してまで債権を回収しない。滞納を市民生活支援のきっかけにする」という考えや、「差し押さえによる一時的な徴収よりも、生活再建を経て納税していただく方が、長期的な納税額が大きい」という対応のように、都もこの立場に立って都民への対応が必要だが、見解を伺う。

回答
 都の滞納整理に当たっては、納税者から納税が困難という相談を受けた場合は、納税者個々の納税資力を正確に把握するよう努めています。
 その上で、納税の意思を有しているものの、即座に納税していただくことが困難と認められる場合には、それぞれの事情に応じた猶予による分割納付を御案内するなど、きめ細かな対応を行っています。

質問事項
一の2 「オール東京滞納S T O P 強化月間」はいつから始まったか。また、始めるに当たってどのような協議が行われたのか伺う。

回答
 都と区市町村は、協働して徴収対策を推進するために設置した個人住民税徴収対策会議における検討を踏まえ、平成24年度から毎年12月に「オール東京滞納S T O P 強化月間」を実施してきました。

質問事項
一の3 「強化月間」では、具体的にどのようなことが行われたのか伺う。

回答
 「オール東京滞納S T O P 強化月間」は、都と区市町村が連携した納税広報と徴収対策に集中して取り組むことにより、納税に対する理解の促進と新規滞納の抑制を図り、徴収率の向上に寄与することを目的として実施してきました。
 具体的には、毎年12月に共通のロゴマークを掲げ、都と区市町村それぞれが、のぼり旗設置等の納税広報、文書催告等の納税推進、差押等の滞納処分に取り組んできました。

質問事項
一の4 「強化月間」がはじまってからの「2013年度以降の都と特別区の差押件数」の推移はどうなっているか伺う。また、「自動車のタイヤロック」、「自宅等の捜索」の件数の推移はどうなっているか伺う。

回答
 都と特別区の差押件数、タイヤロック件数、捜索件数の推移は、下表のとおりです。

  差押件数 タイヤロック件数 捜索件数
特別区 特別区 特別区
平成25年度 24,611 43,153 154 16 436 127
平成26年度 23,655 50,359 133 43 437 149
平成27年度 22,966 51,596 126 28 510 177
平成28年度 22,889 53,759 180 17 546 215
平成29年度 20,973 60,284 152 29 545 244
平成30年度 21,909 56,531 136 27 537 323
令和元年度 21,265 49,701 150 21 482 259
令和2年度 4,293 42,274 3 10 15 44
令和3年度 11,567 50,437 3 13 43 80
令和4年度 14,033 56,036 49 13 201 115


質問事項
一の5 コロナ禍の3 年間、都は取組を縮小して「強化月間」を実施し、2023年度は終了したと聞いた。「強化月間」を終了したことは重要だが、廃止にした理由について伺う。また今後、徴収率が低下しても「強化月間」を再開するようなことはあってはならず、野洲市のような生活再建への支援を強化すべきだが、見解を伺う。

回答
 開始から10年が経過し、徴収率向上など一定の成果をあげたことから、広域的な徴収対策としての「オール東京滞納S T O P 強化月間」は終了しました。
 都としては引き続き法令に基づく適正な事務執行により税負担の公平性を確保し、徴収率の維持向上に努める一方、納税者の実情を踏まえたきめ細かな滞納整理を行っていきます。

質問事項
一の6 主税局の徴収部門について、都の職員を区市町村に派遣しているが、2012年からの実績の推移を伺う。また、区市町村からの実務研修生や業務体験研修生を受け入れているが、2012年からの実績の推移を伺う。

回答
 区市町村への都職員派遣の実績、区市町村からの実務研修生の受入実績、業務体験研修生の受入実績の推移は、下表のとおりです。

  都職員派遣(団体) 実務研修生受入(人) 業務体験研修生受入(人)
平成24年度 4 16 36
平成25年度 10 14 38
平成26年度 13 16 41
平成27年度 10 16 20
平成28年度 6 19 35
平成29年度 4 24 22
平成30年度 4 21 22
令和元年度 4 17 22
令和2年度 4 17
令和3年度 4 13 15
令和4年度 4 20 15

質問事項
一の7 都は区市町村からの困難事案を引き受けているが、都は具体的に何を行うのか。また、2012年からの実績を伺う。

回答
 都に引き継いだ事案については、文書や電話、訪問による積極的な納税催告を行うとともに、納税資力を把握するために財産調査を着実に実施し、個々の状況に応じて、納付計画の相談や差押等の滞納処分の実施、緩和措置適用の検討など、きめ細かな滞納整理を実施しています。
 なお、徴収引受実績の推移は下表のとおりです。

  引受自治体数(団体) 引受事案数(件)
平成24年度 50 433
平成25年度 50 393
平成26年度 49 305
平成27年度 48 320
平成28年度 48 433
平成29年度 52 569
平成30年度 46 603
令和元年度 47 526
令和2年度 44 464
令和3年度 45 331
令和4年度 45 483


質問事項

一の8 2022年度個人都民税の徴収率は97.9% となり、徴収率が低かった2011年度の徴収率91.8% から6.1ポイント引き上がったが、徴収率を引き上げることができた要因について、認識を伺う。

回答
 都では、個人住民税の賦課徴収を行う区市町村の取組を支援するため、困難事案の引受けや、都職員の派遣、区市町村からの実務研修生の受入れ等を行うとともに、区市町村と連携のもと「オール東京滞納S T O P 強化月間」等の広域的な取組を推進することにより、徴収率の向上を図ってきました。