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質問・条例提案

2023.11.13

各会計決算特別委員会 神宮外苑再開発について 原田あきら都議(杉並区選出)

原田あきら都議の質疑の様子は下記から動画でご覧いただけます。
2022年度各会計決算特別委員会 全局質疑 原田あきら都議(杉並区)①
2022年度各会計決算特別委員会・全局質疑 原田あきら都議(杉並区)②
神宮外苑再開発 建国記念文庫の森は「公園まちづくり制度」の犠牲に


*速記録より作成

〇原田委員 初めに、防災対策について質問します。
 防災対策は、都民と共に東京都が公的役割を発揮し、様々な機関と連携して対策を行うことが必要です。私も実は地元の消防団員でして、地震や水害などへの備えを行うことの重要性、実感しています。
 昨年度、町会・自治会による防災対策普及啓発事業助成を実施していますが、実績、金額、必須となっている啓発チラシの配布枚数はどうなっていますか。

〇横山生活文化スポーツ局長 本事業は、共助の要となる町会、自治会を通じて、地域における防災意識の醸成と防災力の向上を図るとともに、地域コミュニティの活性化につなげていくことを目的としております。
 本助成におきましては、1773件の町会、自治会に対し3億3千290万円の交付を行いました。家庭における備蓄などを啓発するチラシは約88万枚が配布されました。

〇原田委員 この事業は、1自治会20万円を上限に、10分の10で助成する事業で、簡易トイレ、スマホ充電グッズ、レトルト食品などの物品などの購入に充てることができます。1773件の町会、自治会が活用したということで、地域からはとても喜ばれています。同時に、この制度、私たちのところには苦情や困惑の声も寄せられています。
 こちらをご覧ください。(画像表示)

チラシの表面には、災害に対する備え、日常備蓄のイメージなどについて書いてありますが、この後です。裏面をご覧ください。

まず何が目に飛び込んでくるでしょうか。
 このチラシを配布することは、助成を受ける必須事項となっており、配らないということができません。先ほどの答弁で、88万枚のチラシを町会、自治会が配布したことが分かりました。配布が必須となっているチラシに掲載されているのが、小池知事の写真、直筆の名前とメッセージです。このチラシは3種類ありますが、裏面は全て共通版で、つまり全てに小池知事が掲載されています。
 知事に伺います。
 チラシ配布が拒否できないという立てつけに都民から疑問の声が上がっています。これは税金を原資にして、町会や自治会を使った小池知事の宣伝といわれて仕方ないんじゃありませんか。
 知事の写真、名前、メッセージの入ったチラシを町会、自治会に配布するっていうのは知事の指示ですか。
   〔発言する者あり〕

〇早坂委員長 ご静粛に願います。

〇横山生活文化スポーツ局長 このチラシにつきましては、知事から都民に対して、災害への備えを呼びかけるメッセージを発することを通じて、防災意識の醸成と地域防災力の向上を図ると、こういった目的で行ったものでございます。

〇原田委員 さらに驚いたことがあります。こちらをご覧ください。(画像表示)

これは今年度の関東大震災100年町会・自治会防災力強化助成金を受けるために必須となっているチラシです。昨年度は控え目に裏面に掲載されていた小池知事の写真、名前、メッセージが、何とですね、今年度は表面に登場し、大きさもメッセージの長さも増えています。しかも、よっぽど昨年度のチラシ配布が不評だったのか、今年度はチラシ配布が必須でなくなった代わりに、掲示板に貼ることを必須にしています。
 知事、これは来年の知事選対策といわれても仕方ないんじゃありませんか。知事の写真、名前、メッセージ入りのチラシを掲示板に貼り出さないと助成金を受け取れないというやり方、変えるべきじゃありませんか、どうですか、知事。

〇横山生活文化スポーツ局長 昨年度のものにつきましては、繰り返しになりますけれども、知事から都民に対して、災害への備えを呼びかけるメッセージを掲載しておりまして、昨年度のものを、先ほど映していただいたもの、少し小さく映っておりましたけれども、知事のメッセージの頭には、東京都からのお知らせというふうに書いてございます。行政として必要なメッセージを知事の発信力という形で配布をさせていただいたものでございます。
 今年度につきましては、今お話がありましたようにこれを掲載するということを条件にしておりますけれども、今年度の事業につきましては一一昨年度の事業は各家庭に配布をするというものでしたが、今年度は町会、自治会が町会、自治会として、備蓄、装備などを備えるというものでありまして、その共助の取組の一環としてのお知らせを地域の方々に明確にお伝えするという意味でポスターとさせていただいているものでございます。

〇原田委員 チラシは1度配ればそれっきりですけれども、掲示板へ貼り出すというのは24時間365日、誰かの目に触れるものであり、宣伝効果としては実はチラシよりも高いんじゃないかっていう話もあるわけですね。
 加えて、ホームページでは、町会、自治会での回覧を推奨し、各戸配布もメニューにあり、真面目にチラシの配布も回覧板も行っている町会もあるわけです。
 防災は大事です。町会、自治会への支援ももちろん大事です。しかし、小池知事の写真、名前、メッセージ入りのチラシの配布や掲示を強制するという制度は必要ないんじゃありませんか。税金と町会、自治会を使って知事の宣伝をするようなことは、今からでもやめるよう厳しく求めておきます。
 次に、2022年度、大きな社会問題に発展した神宮外苑再開発問題についてお聞きします。
 当該年度末、坂本龍一さんが最期の力を振り絞るようにして出した小池知事への手紙は、社会に衝撃を与えました。浅田次郎さんや秋吉久美子さん、加藤登紀子さんら文化人、芸能人、建築家など78名の声明、国際的小説家の村上春樹さん、サザンオールスターズによる外苑再開発を憂う新曲「Relay−杜の詩」のリリースと続きました。
 国会に続き都議会でも、6会派40人から成る外苑議連が発足しました。国際イコモスによるヘリテージアラートが発出された後、伐採が延期されるなどの事態が動いています。神宮外苑再開発での大量伐採に胸を痛めている人たちは、今、この要因ともなっている、なぜ都市計画公園に超高層ビルが建つのかという問題に目を向け始めています。
 三井不動産など事業者は、そうした世論の広がりを恐れたんでしょう。今年4月、突如として再開発の意義について、神宮の護持といい出したわけです。驚くべきことに小池知事までもが5月の記者会見で、明治神宮からは内苑、外苑の護持といったようなことなど、コンセプトも明確に出していただいていると、神宮の護持を再開発の明確なコンセプトといってしまったわけです。
 そこで、知事にお聞きします。
 2022年度、知事は外苑再開発を施行認可していますが、施行認可理由をお示しください。

〇谷崎都市整備局長 都市再開発法では、申請が法に規定する認可の基準を満たす場合には認可しなければならないと定められており、法にのっとり、適切に認可したものでございます。

〇原田委員 大体認可した知事に聞いているのに、何で局長が答弁に立つのかと。知事、局長の答弁、聞いていましたか。法にのっとり適切に認可したと答弁したんです。
 明治神宮の懐事情を救うのが再開発のコンセプトと捉えて施行認可したのだとすれば、認可要件である公共性に反しますし、政教分離の原則にも抵触します。認可した理由が明治神宮の護持なんて、とてもいえないわけですよ。
 外苑再開発というのは、東京都や国の独立行政法人JSCの特別の配慮がない限り、計画できない開発です。その特別配慮が大企業や一宗教法人の利益のためであってはならないわけです。
 外苑再開発での特別配慮とは、1つに、まずJSCが秩父宮ラグビー場の敷地を、この計画に差し出すこと。2つ目に、公園まちづくり制度で都市計画公園を削除し、何でも建てられるようにしてあげること。3つ目に、再開発等促進区で、公園内の容積を三井や伊藤忠のビルに移転させてあげて、幾らでも高いビルを建てられるようにしてあげたこと。いずれも都市計画公園内で行われる前代未聞の特別な配慮です。
 知事がここに来て明治神宮の護持を強調するのは、こうした特別な配慮から都民の目をそらしたい、その一心の苦し紛れの言葉ではないでしょうか。都市再開発は、あくまでもその地域の望ましい発展のために、ひいては東京の未来のために特別の配慮を施すものです。
 ですから、その根拠となる地区計画の策定に利潤を追求するディベロッパーを組み込んで、そのいいなりに行政が地区計画をつくることは許されません。最低限、地権者は影響が大きいことから、行政は意見を聴取することになっています。
 そこで、お聞きしますが、ファクトシートという冊子の8ページには、事業主体のトップに三井不動産が書かれていますが、三井不動産は、神宮外苑地区に土地を有していますか。

〇谷崎都市整備局長 ファクトシートの8ページには、事業主体として、再開発事業者の施行者である三井不動産株式会社、宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事株式会社の4者を示してございます。三井不動産は再開発事業の区域内の全地権者の同意を得て、施行者の1人になったと聞いております。

〇原田委員 市街地再開発事業の話は聞いていないわけですよ。
 聞き方を変えます。三井不動産は、神宮外苑地区の地権者なんですか。

〇谷崎都市整備局長 三井不動産は、神宮外苑地区に土地を有していないが、神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書に参加しており、再開発事業区域の全地権者の同意を得て、施行者の1人になったと聞いております。

〇原田委員 要は地権者であると答弁できなかったわけです。それでは、なぜ地権者ではない三井不動産があたかも地権者であるかのように、神宮外苑地区再整備の検討に参加してきたのかが問われます。
 さて、高まる都民の不信に対応するため、都市整備局は昨年度、外苑再開発の正当性を主張するため、ファクトシートという冊子を作成しています。ファクトシートの5ページにまちづくりの経緯が示されていますが、これ細かい経緯がいっぱいあるんですけど、一番上の段は2015年からとなっています。
 しかし、私たちが入手した開示資料では、少なくとも2013年から三井不動産は顔を出すわけですよ。このときから三井不動産と東京都はやり取りをしていたんじゃありませんか。

〇谷崎都市整備局長 平成25年6月の神宮外苑地区地区計画の決定を踏まえ、関係地権者等との個別の調整を行っております。三井不動産と調整を行った記録は見当たりません。
 なお、お話のファクトシートの5ページは、神宮外苑地区のまちづくりに係る関係権利者との基本覚書を締結した平成27年4月以降の経緯を示したものでございます。

〇原田委員 地区計画の決定を踏まえ、関係地権者等との個別の調整を2013年からもう始めていたと。三井不動産と調整を行った記録は、ところが、ないじゃないんですね、見当たらないという答弁でした。2015年よりも前に三井不動産と東京都がやり取りをしていたことは、どうしても認めたくない事情があるようです。
 次の資料をご覧ください。(画像表示)

私たちの開示請求に都が提出した公文書です。タイトルは、神宮外苑地区の再整備について、都市整備局による知事への説明資料です。
 2013年1月に地権者等による神宮外苑地区全体の再整備の検討が始まっていると。そこには地権者として三井不動産の名前があります。この資料は、都市整備局が知事に神宮外苑地区の再整備を説明した公文書ですよ。どういう理屈で三井不動産は地区計画の策定に入り込んだんでしょうか。
 少し過去を振り返ります。三井不動産が初めて公文書に現れた2013年の前の年、2012年には——資料をご覧ください。(画像表示)

当時の佐藤副知事と安井技監が森喜朗氏のもとを訪れ、今の再開発の原形となるイメージ図を見せていた資料を、日本共産党都議団が発見し、大きな話題となってきました。
 実はこのときは、まだ明治神宮に再開発計画を話していなかったことが、開示文書から、この文書からは明らかになります。森喜朗氏は神宮に話をすることについて、こういってるんですね。神様が相手だから大変だな、こうちゃかしました。そして、このとき、オリンピック招致に失敗したら計画が頓挫するのではと森喜朗氏が心配したときです。安井技監が、都市計画変更の調整は全体の再整備を前提に進めると答えたんです。
 ここ大事です。当時は国立競技場の建て替えが焦点になっていた時期、2012年で、国立競技場の範囲だけを都市計画決定すればよかったのに、何で安井氏はこのとき神宮外苑全体の再整備を口にしたのか。
 お聞きします。ファクトシートの8ページで地区計画の範囲が示されていますが、2013年当初、再開発等促進区を定める地区計画をどうして神宮外苑地区全体に指定したのですか。

〇谷崎都市整備局長 先ほど画面に映していただいた三井不動産という名前でございますが、当時地権者による検討はスタートしていたということは承知してございます。それはあくまで地権者間での打合せということを認識しているところでございます。
 今のご質問につきましては、神宮外苑地区には、国立霞ヶ丘競技場や神宮球場、秩父宮ラグビー場などの大規模スポーツ施設を中心として、様々な施設が集積しております。
 こうした地区の特色を生かして、既存施設の更新及び周辺基盤の整備を推進し、国内外からの集客力が高く、にぎわいあふれるスポーツ、文化、交流のまちを形成することなどを目標として、神宮外苑地区全体を地区計画の区域といたしました。

〇原田委員 このパネル、ご覧ください。(画像表示)

実はこのとき、この森喜朗氏と佐藤副知事が会った2012年、そしてその次の年の2013年、指定された再開発等促進区の区域と今年認可された第一種市街地再開発事業の区域には大きな違いがあることが分かりました。
 2013年に指定した再開発促進区の方には、伊藤忠商事の隣の高層ビル、オラクルビルが入っています。しかし、市街地再開発事業にはオラクルビルは入っていません。なぜ促進区、2013年の促進区の区域にオラクルビルの土地を入れる必要があったのかと。これまで私たちの質疑で、都は、このオラクルビルに三井不動産が権利を持っていると答弁しています。
 それでは、三井不動産がオラクルビルに持っている権利とはどのような権利ですか。

〇谷崎都市整備局長 三井不動産がオラクルビルに持っている権利でございますが、ビルの床の権利ということで承知してございます。

〇原田委員 改めて確認しますが、再開発等促進区のような容積率を高めたり、移転させたりするような地区計画は、あくまでも公共性が必要で、一企業や個人への特別な配慮として使われてはなりません。
 その上で、都市計画法第16条2項では、地区計画の案は、区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者の意見を求めて作成すると。地権者とか、政令に定めた利害関係者には話を聞かないといけないよねと定められているわけです。
 さて、三井不動産がオラクルビルに所有している、有している権利は信託受益権です。しかし、信託受益権は、先ほどの都市計画法第16条2項に定めた政令で定める利害関係者には含まれていません。
 もし地区計画を策定する前に、都が地区計画区域の地権者ではない三井不動産に計画案を説明していたり、意見を求めていたとしたら、随分な拡大解釈となります。一信託の受益権者でしかない三井不動産を、知事レクの資料で地権者として扱い、さらにわざわざ地区計画の網を広げて、その中に入れてあげると。そして、計画策定の意見を求めていたかもしれない。ここに本当の特別な配慮があったんじゃないですか。
 こうしたことを隠すために、ファクトシートは、神宮外苑再開発の経緯について、2015年以降のことしか記載されていないのではないですか。疑問は深まりました。
 さて、この三井不動産は国際イコモスのヘリテージアラートに対し反論を行いました。反論というより、ただのいい逃れでした。しかも、事もあろうに、知事も一緒になって、このヘリテージアラートに対して、こういいました。かなり一方的な情報しか入っていないと。不見識極まりない態度であります。
 そこでお聞きしますが、2022年度、日本イコモスから事業者及び東京都に対してどれだけの提言や意見、質問が行われたのか、また、それに対して返答したのか伺います。

〇谷崎都市整備局長 令和4年度に、日本イコモスから文部科学省、環境省、国土交通省、港区、新宿区、事業者、東京都などに神宮外苑の保全等に関する提言や意見が出されており、都を含めて寄せられた意見等は10件でございました。
 なお、都市計画や環境アセスメントにおいては、法令等に基づく手続の中で、都民からの意見書を受け付け、見解を示すなど、適切に対応しております。

〇原田委員 何と三井不動産と都の両者に対する日本イコモスの意見等は10回に及んだとのことでした。しかし、日本イコモスによれば、三井不動産も都も1度も返信をしていません。どこが適切に対応ですか。議論のテーブルに着こうと必死に訴えたイコモスを無視していたのに、かなり一方的な情報しか入っていないなどと、よくも知事、いえたものじゃありませんか。
 ほかにも見過ごせない、いい逃れがありましたよ。イコモスが世界の主要都市で公園の土地を再開発に回すことは聞いたことがないと批判したのに対して、事業者は、事務所棟、複合棟A、複合棟Bの建設を予定しているが、全て都市計画公園区域の外ですと反論したわけです。
 三井不動産の185メートル超高層ビルが建つ場所は、公園まちづくり制度で区域を削除されるまで、都市計画公園区域だったのではないんですか。都の見解を伺います。

〇谷崎都市整備局長 まず、イコモスへの反論でございますが、先ほど申しましたように都市計画や環境アセスメントにおいて、法令等に基づく手続の中で、都民からの意見書を受け付け、見解を示すなど、適切に本事業は対応しているところでございます。
 ただいまのご質問にお答えいたしますと、公園まちづくり制度は、都心部にある長い間供用されていない区域を含む都市計画公園において、公園機能の早期発現と良好なまちづくりの両立を実現するものでございます。
 事業者は、お話の建物を含め、神宮外苑地区において公園まちづくり制度を活用し、質の高い公園的空間を創出するとともに、青山通り沿道等において、土地の高度利用によるにぎわいの創出を図ることとしております。

〇原田委員 質問に答えていません。三井不動産の超高層ビルが都市計画公園の区域を削除して建てられることが、この計画の最大の特徴でしょう。それをごまかそうとする三井不動産を、イコモスの指摘からかばおうと東京都が答弁するのはおかしいでしょう。
 この都市計画公園区域の削除を可能にした公園まちづくり制度、神宮外苑の地区計画が作成された年、2013年につくられた制度ですよ。この制度では、都市計画公園区域を削除する条件として、削除する面積の60%を緑地等にすることが定められています。外苑再開発でいえば、3・4ヘクタールの公園区域が削除されるので、2ヘクタールの緑地等を新たに確保せねばなりません。
 そこでお聞きしますが、公園まちづくり制度によって新たに確保する緑地とは何を対象としているか。

〇谷崎都市整備局長 公園まちづくり制度における緑地等は、東京都公園まちづくり制度実施要綱に規定するとおり、都市計画の変更により、都市計画公園、緑地を削除する部分に設ける地区施設または主要な公共施設のうち、緑地、広場その他の公共空地をいい、人工地盤上のものを含み、屋内の部分を除くものでございます。

〇原田委員 人工地盤とかエレベーターとか歩道状空地も入っちゃうんですよね。お答えにはありませんでしたが、都市計画公園を削除する面積の60%を削除したビルの周りの区域内で確保できない場合、都市計画公園の中に、つまり外苑の中に新たにつくった緑地等を足すことができます。
 そこで、外苑再開発の区域でどこが緑地等にカウントされているのか調べてきました。ご覧ください。(画像表示)

歩道状空地やエレベーターまで緑地にカウントされていると。
 下の方ですね、その中に何と、この丸で囲った部分です、建国記念文庫の森が含まれているじゃありませんか。建国記念文庫の森は、貴重な植生を含む3分の2の樹木が伐採、移植され、ラグビー場が際まで建ち、まさに完膚なきまでに破壊される森ですよ。
 ところが、そのおよそ3分の1しか残らなかったこの森を、事業者は、何とですよ、新たに確保した緑地等として申請し、公園まちづくり検討会がそれを容認してしまっているんですね。建国記念文庫の森は破壊されるのみじゃありません。超高層ビルを建てる際の条件である新たに確保された緑地に利用されたわけです。
 このように欺瞞に満ちた公園まちづくり制度を東京都がどのように準備したのか、しかもタイミングよく神宮外苑の地区計画が策定される同じ年に創設されたのはなぜなのか、都民には知る権利があります。
 ところがですね、公園まちづくり制度、条例ではなく要綱であるため、つまり行政内部の運用指針レベルのものなので、この制度がどうつくられたのか、政策形成過程は保存年限がたった1年、廃棄されたそうです。私たちの開示請求に対して不存在という回答でした。
 外苑再開発は、公園まちづくり制度を初めて適用した事業で、10年たっても唯一の事例が外苑再開発にもかかわらず、その事業の継続中に政策形成過程の資料を廃棄したと。深刻な問題です。
 ファクトシート5ページを見ると、公園まちづくり計画提案書の提出は、公園まちづくり制度の要綱に定められています。重要な制度が、なぜ条例でなく要綱なんですか。

〇谷崎都市整備局長 公園まちづくり制度の実施要綱につきましては、都市計画による法定手続の前段として、民間による公園まちづくり計画が優良なものであるかどうかを判断するための行政の運用基準であることから、要綱として定めたものでございます。
 公園まちづくり計画を踏まえて、都市計画公園の変更及び地区計画の決定を行うに当たっては、都市計画法に基づき、適切に手続を進めております。都市計画審議会等に諮り、決定をいただいております。

〇原田委員 どこが優良なんですか、不良じゃないですか。答弁でいわれた民間とは、つまり都民でなく三井不動産のことでしょう。公園まちづくり制度を要綱にしたこと。それはつまり都市計画公園を削除するという重大な決定を、広く都民にも議会にも公開せず、行政内部の手続で短期間に都市計画変更まで進めるためじゃありませんか。公園まちづくり制度は即刻廃止を求めるものであります。
 このように徹頭徹尾、東京都が三井不動産に特別な配慮を行ってまで建設したいのは一体どんなまちなんでしょうか。
 三井不動産の超高層ビルにはホテルが入りますが、実は外苑は文教地区に指定されています。文教地区とは、教育施設が多く集まっている地区のことで、文教地区建築条例において、演芸場や観覧場、マーケット、そしてホテル建設も原則禁止されているわけです。
 それで、先ほどのファクトシート10ページのまちづくりのビジョンと方針を見ると、複合型のまちづくりと称して、ホテルが記載されています。文教地区建築条例上、ホテルは原則として建てられないこととなっているんですが、この地区でホテルが文教上必要として認められる理由をお聞きしたんですが、最後までお答えは出てきませんでした。
 三井不動産の超高層ビル、ホテルが文教上必要と認められる理由、私、事前に知っておきたいんですけれども、ここにですね、事業者の提出した企画提案書を示しました。(画像表示)

ここで超高層ビルのホテルについて、何と書いてあるか。にぎわい交流機能の項で、こう書いてある。宿泊機能、サービスアパートメントの導入を図るとある。
 サービスアパートメントについては、こう書いてあります。地区周辺の大使館や医療施設等の利用者など中長期利用を見込むことが可能な施設とし、キッチンつきの施設として、大規模スポーツ施設のイベント時の国内外からの中長期のスポーツ選手の滞在もできる施設と書いてあります。もはや庶民のスポーツとはかけ離れ、海外からのビジネスパーソンや国内外の高額所得者による医療ツーリズムも視野に入っていることが分かります。こんな計画が文教上必要なものと認められるはずがありません。
 知事、「未来の東京」戦略 version up 2022における神宮外苑地区の位置づけ、お答えください。

〇谷崎都市整備局長 まず、ファクトシートの10ページには、事業者におけるまちづくりのビジョンと方針などを示しております。
 お尋ねのホテルでございますが、例えば日本青年館については、より一層のスポーツ振興推進等の活動が行われ、新たなスポーツ文化の拠点の役割を果たすとされていることから、宿泊機能を含め文教上必要と認めて許可がされております。
 東京都文教地区建築条例では、文教上必要または文教上の目的を害するおそれがないと認められ、許可を受けた場合は、ホテルの建築が可能となります。

〇原田委員 答弁では、国際競争力を確保する拠点開発として、何と品川駅北周辺地区と神宮外苑を並べました。品川駅北周辺地区、高輪ゲートウェイ周辺の開発のことで、高輪築堤が発掘され、ヘリテージアラートが出ています。これと神宮外苑を並べることなど、到底許されない。

〇早坂委員長 終わってください。

〇原田委員 そのことを指摘して、質疑を終わります。(拍手)