2024年第2回定例会を終えて(談話)
2024年第2回定例会を終えて
2024年6月12日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ
小池知事は本日、都知事選挙への出馬を表明しましたが、2期8年の小池都政を終わらせる必要性が、今定例会をとおしていよいよ明らかになりました。
第一に、都民の暮らし、健康と命に無関心な小池知事の姿勢が、改めて浮き彫りになりました。
都庁などに映像を映すプロジェクションマッピングに、知事は2年間で48億円もの税金を使っています。かたや、都庁の足元で行われている食料支援に、毎週800人もの方が列をなしている現場を、知事は一度も訪ねていないことが明らかになりました。都民の暮らしの実態を見ようとしない、知事の冷たい姿勢が表れています。
国民健康保険料の大幅値上げが都民の生活を追い詰めているなか、知事は、国保料・国保税の負担軽減に背を向けました。立川市では市長が、国保料の検討を諮問する際、市民の生活は大変苦しい状況なので考慮してほしいという旨の発言をし、据え置くことになりました。自治体の長として大事な姿勢だと思いませんかと知事にただしましたが、小池知事は大事だと決して答弁しませんでした。
高すぎる家賃に苦しむ都民への家賃助成や、都営住宅の新規建設、高齢者、ひとり親家庭、障害者への経済的支援の拡充にも、知事はこたえようとしませんでした。
所信表明で知事は、都民の健康と命を守り抜くために、新型コロナウイルスとの闘いに全身全霊を傾けたと述べました。 しかし小池知事は、新型コロナの感染拡大のさなかに、都民の命と健康を守る都立病院の地方独立行政法人化を強行しました。その結果、休止病床が629床にのぼり、行政的医療は大後退しています。
社会福祉施設でのコロナの集団感染が増えています。福祉施設の定期的検査を打ち切った国と都の責任は重大です。最低限、福祉施設での定期検査、治療薬への公費負担実施、後遺症相談窓口の復活が必要です。
多摩格差解消に向けた保健所の増設にも、知事は背を向けています。PFAS汚染は、都民の健康と命にかかわる重大問題なのに、知事は都議会で一度も答弁したことがありません。
小池知事には、都民に寄り添う姿勢がありません。
スウェーデンの国家予算に匹敵する都の財政力を都民のために使うなら、巨大な変化が生まれます。
都が区市町村に900億円の財政支援をすれば、国保料を一人当たり3万円引き下げたうえ、子どもの均等割保険料をゼロ円にできます。75歳以上の低所得者の医療費無料化は491億円、シルバーパスを2万510円パスを含めて無料にし、多摩都市モノレールや都県境のバスでも使えるようにするのは305億円で実現できます。補聴器購入費助成を都が全額補助して全区市町村が実施し充実するのに必要な予算は102億円です。
都民のみなさん、切実な都民の願いに向き合う都政に変えようではありませんか。
都民の暮らしを守り、経済の好循環を生み出すカギは抜本的な賃上げです。
多くの団体が求め、都としてできるのは公契約条例ですが、小池知事は後ろ向きです。わが党の質問に、都が発注する契約は年間約9万件、金額だと1.7兆円に上り、入札参加資格を持つ業者の約9割が中小企業という答弁がありました。波及効果が非常に大きいことは明らかです。最低生計費を上回る賃金を保障する仕組みをもつ公契約条例の制定に踏み出す都政に変えようではありませんか。
また、事業所の9割、雇用の7割を担う中小企業、町工場や商店街が、地域の中で豊かに発展していける経済政策への転換が必要です。
都立職業能力開発センターの授業料を無料にする条例案を、わが党と、立憲民主党、グリーンな東京、生活者ネットの4会派共同で提出しました。わが党の調査では、全国5つの県が無料です。福井県は、「開発校に通う方は社会的弱者の方が多く、授業料を取るのは適切ではない」としています。都のセンターも無料とすべきです。自民、都民ファ、公明などの反対で否決されましたが、今後も野党共闘と新しい知事の誕生で実現させる決意です。
第二に、「財界ファースト」の大型開発推進の姿勢も、改めて鮮明になりました。
神宮外苑再開発の中止、見直しを求める都民の声、国際社会の声に対し、知事はまたしても答弁に立たず、あくまで計画を進める立場が明らかになりました。
国連ビジネスと人権作業部会の報告書は、市民の声を広く踏まえることの不十分さなどを理由に、神宮外苑再開発が人権に悪影響を及ぼす可能性があるとの懸念を表明しています。国は、その全面削除を要請しましたが、この国の意見を検討・作成したのは東京都であることが、わが党の国会質疑で明らかになりました。
「都民が決める。都民と進める」という小池知事の公約は、反故にされました。都民の声を聞かず、国際社会の指摘に背を向ける、小池都政を続けるわけにいきません。
築地再開発は、市場跡地の都有地を巨大イベント施設や超高層ビル群に変えるもので、「築地は守る」という知事の公約は影も形もありません。公約違反の責任を政治家としてどう考えていますかという質問に、知事は答えませんでした。築地再開発の検討は、非公開で進められました。これも、情報公開を進めるという知事の公約違反です。審査や計画の情報を全て明らかにするよう求めましたが、知事は答弁しませんでした。三井不動産やトヨタなど大企業の目先の利益のための計画は白紙撤回し、都民参加で再検討すべきです。
知事は、多摩格差ゼロの公約も言わなくなりました。公約を実現するため誠実に努力する姿勢がない小池知事に、これ以上都政をまかせることはできません。
都は選手村に1,000億円の税金を投じつつ、時価総額1,300億円とも言われる都有地を129億円で特定建築者11社に譲渡した上、企業の儲けは非公開です。晴海フラッグの三分の一の住戸に居住実態がなく、投機目的に売買されていることが報道されています。誰のための都政なのかきびしく問われています。
大型道路推進の自民党政治への先祖返りも重大です。
知事は、予算を増やし、新たに「機動取得推進課」を創設しました。さらに土地収用の運用を改悪して「任意折衝による円満解決を原則とする」の文言を削除し、用地買収を強引に推し進めるものであることが、わが党の質問で明らかになりました。この実働部隊が、知事の地元・豊島区の補助82号線に集中的に投入されることもわかりました。強権的に進めることは断じて許されません。
小池知事は環境に熱心というのは虚像であることが、はっきりしました。
知事は所信表明で、東京は緑豊かな都市として進化していると述べましたが、神宮外苑、葛西臨海水族園、日比谷公園などで実際にやっていることは樹木の伐採をはじめ真逆であり、見せかけの緑政策「グリーンウォッシュ」です。
小池知事は2030年までにカーボンハーフを実現するとしていますが、現状は2000年比で2.3%しか進んでいないことが、明らかになりました。石炭火力廃止をめざす必要があるという姿勢も示さず、「原発ゼロ」の公約も投げ捨てました。小池都政のもとで2030年カーボンハーフなど実現不可能です。再エネ・省エネに本気で取り組み、樹冠被覆率の目標をもち樹木を増やす都政への転換が必要です。
第三に、人権や平和を大事にしない小池知事の姿勢も、鮮明になりました。
知事就任後の8年間で小中学生の不登校は2倍以上に激増するなど、東京の子どもたちの人権は重大事態です。ところが知事が唯一答弁したのは、「少人数学級は国の責任で行われるべき」、つまり国まかせにする宣言です。英語スピーキングテストにいたっては、教育長が「音漏れがあっても、適切に実施されている」と、あり得ない答弁をしました。6年間で210億円も投じ、周りの生徒の解答が聞こえるテストは、どこから見ても不適切です。
少人数学級を拡大し、英語スピーキングテストをやめ、すべての子どもの給食費無償化ができるよう区市町村に全額補助する都政への転換が必要です。
知事が、「人口は国力そのもの」と言って進める婚活支援・少子化対策には、大きな問題があります。
大切なのは、女性が自己決定でき、人々の生活の質が向上しているかどうかです。国力のために子どもを産んでもらうための対策ではなく、ジェンダー不平等をなくすために力をつくす都政への転換が必要です。
すでに42道府県が行っている非核平和都市宣言に、知事は背を向けました。また米軍横田基地が、戦時の司令基地、特殊作戦部隊の基地に変質しているという大問題に、答弁すらしませんでした。
知事の学歴詐称疑惑については、知事自ら都民に対しきちんと説明することが必要です。そのために、カイロ大学の卒業証書および卒業証明書を提出すべきです。
自民党の裏金問題に国民の怒りが広がっています。知事はパーティー券を含む企業・団体献金が政治をゆがめているという認識を示しませんでした。それは知事自身が企業・団体献金を受け取り、パーティー券を購入してもらっているからにほかなりません。
小池都政の行き詰まりは明確です。今や裏金自民党と二人三脚です。新しい都知事を誕生させて、暮らしやすい、あたたかな東京をつくるために力を合わせることを都民のみなさんに心から呼びかけます。また、日本共産党都議団は現在19議席ですが、同時に行われる都議補選でさらなる前進に向け全力をつくします。
以 上