文書質問 朝鮮学校の子どもたちの権利について 福手ゆう子(文京区選出)
文書質問 朝鮮学校の子どもたちの権利について 福手ゆう子(文京区選出)
朝鮮学校の子どもたちの権利についてこれまでも様々な場面で朝鮮学校の子どもたちの権利について取り上げてきましたが、今なお解決していないため、以下質問をいたします。
1 予算特別委員会の質疑において、国籍を問う質問に対する答弁で「条例の理念と施策の性質を踏まえて判断されるべきもの」と答えたことは、「全ての子どもが誰一人取り残されることなく」と条例に規定されている事と大きく矛盾していますが、見解を伺います。
北朝鮮が拉致問題を起こしていることを理由に、子どもの学ぶ権利の保障に係る朝鮮学校への補助金支給を停止するということは、こどもに制裁を加えることだという声があります。
2 子どもの権利条約に、こどものあらゆる差別の禁止とあります。国際社会では、政治的な理由でこどもを差別することは認められていませんが、認識を伺います。
いったん支給されていた補助金の支給を停止したことは、こどもの最善の利益が後退したものとして、こども基本条例に反するものであると考えます。
3 都は補助金を停止した際、どのような調査を行ったのか伺います。
朝鮮学校で子どもたちは、日本で朝鮮人として生きていくために必要なアイデンティティを確立するため、学習指導要領に基づく教育と併せて、母語や文化、歴史を学んでいます。
4 在日外国人であるこどもが、母語を学んだり、母国の文化や歴史を学ぶ民族教育は、子どもにとって重要だと考えます。東京都こども基本条例の第8 条( こどもの学び、成長への支援) に照らし、子どもの学ぶ権利について現状の認識を伺います。
5 「こどもの最善の利益」を保障するには、こどもに国籍や民族、思想などは問われますか。
6 「都民の理解がえられない」という言葉は朝鮮学校のこどもたちに対するヘイトだという都民の声がありますが、受けとめを伺います。
7 こどもが「自分も一人の人間として大切にされている」と実感することが重要とされていますが、朝鮮学校のこどもたちは昨年3 月に渡した「こどもたちの声」には、「日本人の中には私たちに対して嫌な感情を持っている人が多い」「朝鮮だからといじめられたり、朝鮮語を話しているだけで人々の目が鋭くなり悪く言われる時もある」「ミサイルの報道などで差別され心ない言葉を受けた」などの差別と偏見を受けるこどもたちの声があります。人権尊重条例の理念について都の認識を伺います。
朝鮮学校の子どもたちは日常的に差別と偏見の中で過ごしています。都として差別を無くすことが求められています。都は、こども基本条例の理念と都の実施する施策の関係について、「施策の性質を踏まえ判断されるべきもの」と説明していますが、新年度から都は授業料無償化などの学校授業料の負担軽減や所得制限の撤廃を実施する予定であり、全ての子どもの学ぶ権利を尊重するとも言っています。しかし、朝鮮学校の子どもたちに対しては「施策の性質を踏まえ判断されるべきもの」と言って、朝鮮学校に対して補助金の支給を停止したままにしているのは差別と考えます。
8 都は、朝鮮学校の子どもたちに対して行われている差別を知っていながら、放置し続けていることが、在日朝鮮人や朝鮮学校への差別を助長することに繋がっていると思いますが、都はこれをどう解決するのですか。
子どもを朝鮮学校に通わせる保護者が、予算特別委員会での質疑を見て、このような感想を私に寄せてくれました。「子どもたちは、差別になれることはありません。この間深く傷ついてきましたし、傷つけられてきましたが、補助金停止に賛成する人たちは朝鮮学校差別になれきってしまい、差別を当たり前であると、思い込んでしまっているのではないかと思っています」と。また、「子ども基本条例で尊重されるこどもに、国籍は関係ないと言えない都に、恐ろしさを感じました」と言っていました。これは非常に重い言葉です。都は、この当事者の言葉を重く受け止めるべきです。そして、朝鮮人学校に対する補助金を再開するべきです。
2024年第一回都議会定例会
福手ゆう子議員の文書質問に対する答弁書
質問事項一の1
予算特別委員会の質疑において、国籍を問う質問に対する答弁で「条例の理念と施策の性質を踏まえて判断されるべきもの」と答えたことは、「全ての子どもが誰一人取り残されることなく」と条例に規定されている事と大きく矛盾しているが、見解を伺う。
回答
東京都こども基本条例第1 条においては、「この条例は、こどもの笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都が取り組むべき施策の基本となる事項を定めることにより、こどもの健やかな成長に寄与することを目的とする。」と規定されているものと認識しており、施策の実施に当たっては、東京都こども基本条例の理念と施策の性質を踏まえ、判断されるべきものと考えています。
質問事項一の2
子どもの権利条約に、こどものあらゆる差別の禁止とある。国際社会では、政治的な理由でこどもを差別することは認められていないが、認識を伺う。
回答
東京都こども基本条例の前文において、「こどもの権利条約では、こどもに対するあらゆる差別の禁止、こどもの最善の利益の確保、生命・生存・発達への権利及びこどもの意見の尊重を一般原則としている」と規定されているものと認識しています。
質問事項一の3
都は補助金を停止した際、どのような調査を行ったのか伺う。
回答
平成23年12月から平成25年10月までの間、現地調査等を実施しました。
質問事項一の4
在日外国人であるこどもが、母語を学んだり、母国の文化や歴史を学ぶ民族教育は、子どもにとって重要だと考える。東京都こども基本条例の第8 条( こどもの学び、成長への支援) に照らし、子どもの学ぶ権利について現状の認識を伺う。
回答
東京都こども基本条例第8 条に「こどもの学び、成長への支援」の規定もあり、子供の学びや成長への支援は重要です。
質問事項一の5
「こどもの最善の利益」を保障するには、こどもに国籍や民族、思想などは問われるか伺う。
回答
東京都こども基本条例に規定されている子供とは、全ての子供であると認識しています。
質問事項一の6
「都民の理解がえられない」という言葉は朝鮮学校のこどもたちに対するヘイトだという都民の声があるが、受けとめを伺う。
回答
本邦外出身者に対する不当な差別的言動については、人権尊重条例第8 条に規定しております。
質問事項一の7
こどもが「自分も一人の人間として大切にされている」と実感することが重要とされているが、朝鮮学校のこどもたちは昨年3 月に渡した「こどもたちの声」には、「日本人の中には私たちに対して嫌な感情を持っている人が多い」「朝鮮だからといじめられたり、朝鮮語を話しているだけで人々の目が鋭くなり悪く言われる時もある」「ミサイルの報道などで差別され心ない言葉を受けた」などの差別と偏見を受けるこどもたちの声がある。人権尊重条例の理念について都の認識を伺う。
回答
人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透していくことは重要であると認識しています。
質問事項一の8
朝鮮学校の子どもたちに対して行われている差別を知っていながら、放置し続けていることが、在日朝鮮人や朝鮮学校への差別を助長することに繋がっているが、都はこれをどう解決するのか伺う。
回答
人権尊重条例の理念に基づき、引き続き、様々な機会を捉えた効果的な啓発を行っていきます。