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質問・条例提案

2024.06.12

文書質問 学校スタンダードについて フリースクール等の利用者等支援事業(助成金)について 清水とし子(日野市選出)

2024年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 清水とし子


質問事項
一 「学校スタンダード」について
二 「フリースクール等の利用者等支援事業(助成金)」について

答弁
一 「学校スタンダード」について
二 「フリースクール等の利用者等支援事業(助成金)」について


 

一 「学校スタンダード」について
 多くの小中学校で、「くつはかかとをそろえてくつ箱に入れる」「あいさつは、前に立っている人を見て、『おはようございます』といってから礼をする」「他のクラスには入ってはいけない」といったいわゆる「学校スタンダード」が作られています。
 挙手や起立の仕方、机の上に出すものの指定など、児童生徒の行動をこと細かく型にはめようとするものや、「黙って掃除をする」など一般社会では見られないものもあります。
 これは子どもを独立した人格として認めず、「調教」しようとするものではないでしょうか。そして、こうした管理教育の加速が児童生徒にとって学校を息苦しい場とし、不登校を増やしているのではないでしょうか。
 都教育委員会として、実態の把握と是正を求めます。

1 都内公立小中学校でいわゆる「学校スタンダード」を持っている学校の数、割合はどのようになっていますか。

2 「学校スタンダード」はどのような人たちによって検討、作成されていますか。

3 「学校スタンダード」の対象には、児童生徒以外にどのようなものがありますか。

4 児童生徒対象の「学校スタンダード」のうち、児童生徒が議論に参加して作ったものはありますか。

5 「あいさつは、前に立っている人を見て、『おはようございます』といってから礼をします」というものがありました。登校中すれ違う人には、このようなあいさつはできません。
 また、「手を挙げるときはだまってまっすぐ上げる。指名されたら、返事をして立ち、いすをしまい、発言する」というものもありますが、ここまでこと細かく定めることが必要なのでしょうか。都教委の見解を求めます。

6 児童生徒は多様です。こと細かなルールを定めれば、そこからはみ出る児童生徒がたくさん出ます。「学校スタンダード」は、ルールを守れない児童生徒を教室から排除することにつながる危険性があるのではないですか。

7 児童生徒が排除されたと感じるような対応はしてはならないと思いますが、いかがですか。

8 中学校では「トラブル防止のためにも他教室への侵入はいけません。また、他学年のフロアへも行ってはいけません」といったルールが見られます。
 他のクラスの友達と話をするためにそのクラスに行くと、どのようなトラブルが発生するのでしょうか。これまで、そうした事例はどのくらいあったのでしょうか。

9 学校だけで通用するルールに対して児童生徒が疑問を持ったとき、子どもが納得するまで対話する時間や余裕がない場合、「決まっていることだから」と従わせることは、子どもの考える力や主体性を育てる機会を失うことにつながりかねないと思いますが、いかがですか。

10 子どもを独立した人格として認めず、「調教」しようとする学校スタンダードは、児童生徒にとって学校を息苦しい場とし、不登校を増やしています。
 都教育委員会として、区市町村立学校の実態把握と必要な助言をすることを求めますが、いかがですか。

11 学校スタンダードをはじめとする学校のきまり、ルールは、子どもたちや保護者の意見を踏まえ、生徒の人権尊重に十分配慮した内容にすることが必要ですが、見解を伺います。

 

二 「フリースクール等の利用者等支援事業(助成金)」について
 今年度から、フリースクール等に通う不登校状態の児童・生徒に対する利用料の助成事業が始まることは保護者の願いに応えるもので、歓迎します。
 都のホームページには、「助成金は、フリースクール等の利用実績を確認した上で、年4回程度に分けて支給する予定です。なお、初回の支給は、令和6年10月下旬を予定しています。」とあります。

1 保護者などからは、10月では遅い、もっと前倒ししてほしいとの要望が寄せられています。支給時期を前倒しすることを求めますが、いかがですか。

2 フリースクールの利用料は高額なため、助成金は毎月支給が保護者にとっては最善です。支給回数の見直しを求めますが、いかがですか。

 


2024年第二回都議会定例会
清水とし子議員の文書質問に対する答弁書

 

質問事項
一 「学校スタンダード」について
1 都内公立小中学校でいわゆる「学校スタンダード」を持っている学校の数、割合はどのようになっているか、伺う。

回答
 生徒指導提要では、校則は、児童生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長・発達していくために設けられるものとされており、全ての都立小中学校において各学校長の判断で定められています。
 区市町村立小中学校については、各学校長の判断で実施されているものと認識しています。
 なお、校則をスタンダード等と呼んでいる学校もあることは承知しています。

質問事項
一の2 「学校スタンダード」はどのような人たちによって検討、作成されているか伺う。

回答
 生徒指導提要では、校則は、最終的には校長により適切に判断される事柄であるが、その内容によっては、児童生徒の学校生活に大きな影響を及ぼす場合もあることから、その在り方については、児童生徒や保護者等の学校関係者から意見を聴取した上で定めていくことが望ましいとされています。また、その見直しに当たっては、児童会・生徒会や保護者会といった場において、校則について確認したり、議論したりする機会を設けるなど、絶えず積極的に見直しを行っていくことが求められています。
 都立小中学校では、校長が定める校則については、児童生徒の実情や意見等を踏まえて、毎年点検し、必要な見直しを行っています。
 なお、区市町村立小中学校については、各学校長の判断で実施されているものと認識しています。

質問事項
一の3 「学校スタンダード」の対象には、児童生徒以外にどのようなものがあるか伺う。

回答
 生徒指導提要では、校則は、児童生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長・発達していくために設けられるものとされています。

質問事項
一の4 児童生徒対象の「学校スタンダード」のうち、児童生徒が議論に参加して作ったものはあるか伺う。

回答
 都立小中学校では、校長が定める校則については、児童生徒の実情や意見等を踏まえて、毎年点検し、必要な見直しを行っています。
 なお、区市町村立小中学校については、各学校長の判断で実施されているものと認識しています。

質問事項
一の5 「あいさつは、前に立っている人を見て、『おはようございます』といってから礼をします」というものがあるが、登校中すれ違う人には、このようなあいさつはできない。また、「手を挙げるときはだまってまっすぐ上げる。指名されたら、返事をして立ち、いすをしまい、発言する」など、こと細かく定めることが必要なのか、都教委の見解を伺う。

回答
 生徒指導提要では、校則は、児童生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長・発達していくために設けられるものとされています。校則の在 り方は、特に法令上は規定されていないものの、これまでの判例では、社会通念上合理的と認められる範囲において、教育目標の実現という観点から校長が定めるものとされています。

質問事項
一の6 「学校スタンダード」は、ルールを守れない児童生徒を教室から排除することにつながる危険性があるのではないか、見解を伺う。

回答
 生徒指導提要では、校則は、児童生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長・発達していくために設けられるものとされています。

質問事項
一の7 児童生徒が排除されたと感じるような対応はしてはならないが見解を伺う。

回答
 生徒指導提要では、あらゆる場面において、児童生徒が人として平等な立場で互いに理解し信頼した上で、励まし合いながら成長できる集団をつくることが大切とされています。

質問事項
一の8 中学校では「トラブル防止のためにも他教室への侵入はいけません。」などといったルールが見られる。他クラスの友達と話すためにそのクラスに行くと、どのようなトラブルが発生するのか、これまでそうした事例はどのくらいあったのか伺う。

回答
 生徒指導提要では、校則は、児童生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長・発達していくために設けられるものとされています。

質問事項
一の9 学校だけで通用するルールに対して児童生徒が疑問を持ったとき、納得するまで対話する時間や余裕がない場合、「決まっていることだから」と従わせることは、考える力や主体性を育てる機会を失うことにつながりかねないが見解を伺う。

回答
 生徒指導提要では、校則の在り方について、児童生徒や保護者等の学校関係者から意見を聴取した上で定めていくことが望ましいとされています。
 また、校則の運用の中で、校則に基づく指導を行うに当たっては、校則を守らせることばかりにこだわることなく、何のために設けたきまりであるのか、教職員がその背景や理由についても理解しつつ、児童生徒が自分事としてその意味を理解して自主的に校則を守るように指導していくことが重要であるとされています。

質問事項
一の10  子どもを独立した人格として認めず、「調教」しようとする学校スタンダードは、児童生徒にとって学校を息苦しい場とし、不登校を増やしている。都教育委員会として、区市町村立学校の実態把握と必要な助言をすることを求めるが見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、生徒指導提要について、教員の理解を図るためのデジタルリーフレットを作成し、区市町村教育委員会に対して周知しています。
 なお、区市町村立学校の実態把握及び指導は、設置者である各区市町村の教育委員会で適切に行われていると認識しています。

質問事項
一の11 学校スタンダードをはじめとする学校のきまり、ルールは、子どもたちや保護者の意見を踏まえ、生徒の人権尊重に十分配慮した内容にすることが必要だが、見解を伺う。

回答
 生徒指導提要では、指導に当たっては、児童生徒の基本的人権に十分配慮することが求められており、また、校則の制定に当たっては、少数派の意見も尊重しつつ、児童生徒個人の能力や自主性を伸ばすものとなるように配慮することも必要とされています。

質問事項
二 「フリースクール等の利用者等支援事業(助成金)」について
1 保護者などからは、10月では遅い、もっと前倒ししてほしいとの要望が寄せられている。支給時期を前倒しすることを求めるが、見解を伺う。

回答
 助成金の支給には、保護者からの交付申請とフリースクール等の利用状況報告が必要であり、助成金の適正な執行のための審査期間も考慮し、令和6年度は初回の支給を10月に予定しています。

質問事項
二の2 フリースクールの利用料は高額なため、助成金は毎月支給が保護者にとっては最善である。支給回数の見直しを求めるが、見解を伺う。

回答
 助成金の請求に当たっては、フリースクール等の利用状況や通所状況等の報告書の提出が必要であり、保護者やフリースクール等の負担軽減を図る観点から、四半期ごとの支給としています。