文書質問 中小・零細企業で物価高騰を上回る賃上げが実現できる環境づくりについて 藤田りょうこ(大田区)
2024年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 藤田りょうこ
質問事項
一 中小・零細企業で物価高騰を上回る賃上げが実現できる環境づくりについて
答弁
一 中小・零細企業で物価高騰を上回る賃上げが実現できる環境づくりについて
一 中小・零細企業で物価高騰を上回る賃上げが実現できる環境づくりについて
都民の暮らしを守り、経済の好循環を生み出すカギは、物価高騰を上回る賃上げです。そのためには、中小企業が賃上げできるようにする支援と環境整備が重要です。
日本商工会議所と日本労働組合総連合会が6月5日に公表した調査結果から、大企業と中小企業、とりわけ労働組合のない小規模事業者との格差が大きいことが明らかとなりました。小規模な企業でも物価高騰を上回る賃上げができる環境をいかにつくるか、が課題です。
中小企業庁が公表した、「令和5年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引公正化に向けた取組」によると、昨年度、下請法違反や、その恐れがあるとして企業に対して行った「指導」は8,268件で、2年連続で8,000件を超えました。また「勧告」の件数は13件と、ここ10年で最多です。
1 都の下請センター東京では、昨年度1,800社に対し企業巡回を行ったとのことです。どのような職種の職員が何人で巡回したのですか。また、1,800社というのは、どのように企業を選んだのですか。
2 下請センター東京が昨年度巡回した企業のうち、従業員300人以上の企業及び300人未満の企業はそれぞれ何社ですか。巡回した目的についても例示してください。そのうち従業員20人以下の企業は何社でしたか。同じく、巡回した目的について伺います。
3 下請センター東京で行っている価格交渉支援と原価管理支援を行っている職員はそれぞれ何人ですか。また、支援内容について具体的に伺います。
4 昨年度、価格交渉アドバイザーが実施した支援は35社ということですが、そのうち従業員が20人以下の企業は何社ですか。
5 価格交渉支援と原価管理支援について、中小企業への周知はどのように行っていますか。
6 下請センター東京で把握または対応した件について、中小企業庁や公正取引委員会と連携することはありますか。
都の産業労働局事業概要には、地域商業・商店街について「都内には、約2,400の商店街があり、都民の日々の暮らしに必要な商品やサービスを提供するとともに、それぞれの地域の特性を活かしながら、地域経済や雇用を支える場として、地域住民の生活やコミュニティの核として、大変重要な役割を果たしている。」と記載されています。
7 2001年度の事業概要には、商店街の役割についてどのように記載されていますか。また、当時の商店街数について伺います。
8 都が3年ごとに実施している「商店街実態調査報告書」によると、チェーン店の数は調査ごとに増加しています。質問でチェーン店の数を聞くようになったのは、いつの調査からですか。またなぜ、設問に入れたのですか。
9 「商店街実態調査」では、以前、「不足している業種」という設問がありましたが、どのような目的で把握していたのですか。また、いつから、なぜ、設問から外したのですか。
10 商店街での大きな課題は資金繰りです。商店街の店舗が使える都の融資制度はいくつありますか。その予算の総額と、2022年度の実績を伺います。
11 産業労働局が実施する過去20年間の中小企業向けファンドについて、それぞれの開始年と事業目的、および2022年度までの事業実績について伺います。また、終了した事業については、終了した理由と最終年度の事業実績について伺います。
2024年第二回都議会定例会
藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 中小・零細企業で物価高騰を上回る賃上げが実現できる環境づくりについて
1 都の下請センター東京では、昨年度1,800社に対し企業巡回を行ったとのことだが、どのような職種の職員が何人で巡回したのか伺う。また、1,800社というのは、どのように企業を選んだのか伺う。
回答
都では、下請センター東京に下請法や下請ガイドライン等に詳しい専門の相談員を9名配置し、発注側・受注側の企業双方に電話やメールで幅広くアプローチし、アポイントが取れた企業を巡回しています。
質問事項
一の2 下請センター東京が昨年度巡回した企業のうち、従業員300人以上の企業及び300人未満の企業はそれぞれ何社か伺う。巡回した目的についても伺う。そのうち従業員20人以下の企業は何社か伺う。同じく、巡回した目的について伺う。
回答
都では、中小企業が適正な価格で取引を行えるよう、発注側・受注側双方の企業を巡回し、下請法等の普及啓発に取り組んでいます。なお、昨年度に訪問した従業員300人以上の企業は113社、300人未満の企業は1,774社、従業員20人以下の企業は967社です。
質問事項
一の3 下請センター東京で行っている価格交渉支援と原価管理支援を行っている職員はそれぞれ何人か伺う。また、支援内容について具体的に伺う。
回答
都では、価格交渉アドバイザーを2名配置し、交渉に用いるデータの準備など具体的な価格交渉の手法等を助言しています。また、原価管理アドバイザーを2名配置し、価格交渉に必要なコスト計算等のノウハウの提供をしています。
質問事項
一の4 昨年度、価格交渉アドバイザーが実施した支援は35社とのことだが、そのうち従業員が20人以下の企業は何社か伺う。
回答
都では、昨年度、価格交渉アドバイザーが要望のあった35社に支援しており、訪問した従業員20人以下の企業は9社です。
質問事項
一の5 価格交渉支援と原価管理支援について、中小企業への周知はどのように行っているか伺う。
回答
都では、価格交渉支援や原価管理支援などの支援策について、企業巡回や下請セミナー、SNS等で周知しています。
質問事項
一の6 下請センター東京で把握または対応した件について、中小企業庁や公正取引委員会と連携することはあるか伺う。
回答
都では、下請法違反が疑われる事例に関し相談する国の窓口を紹介し、オンラインでの申出のサポートも実施しています。
質問事項
一の7 2001年度の事業概要には、商店街の役割についてどのように記載されているか伺う。また、当時の商店街数について伺う。
回答
事業概要平成13年度版には、都では、地域住民が安心して楽しく買物ができるために、商店街が行う事業に対して助成を行うと記載しています。
また、平成13年の都内商店街数は2,873です。
質問事項
一の8 都が3年ごとに実施している「商店街実態調査報告書」によると、チェーン店の数は調査ごとに増加している。質問でチェーン店の数を聞くようになったのは、いつの調査からか伺う。またなぜ、設問に入れたのか伺う。
回答
東京都は都内の商店街の景況や活動状況、直面している課題などの現状を的確に把握し、今後の商店街振興施策の基礎資料とすることを目的として、3年ごとに実態調査を実施しており、チェーン店の数については平成16年度から令和4年度まで調査しています。
質問事項
一の9 「商店街実態調査」では、以前、「不足している業種」という設問があったが、どのような目的で把握していたのか伺う。また、いつから、なぜ、設問から外したか伺う。
回答
東京都は都内の商店街の景況や活動状況、直面している課題などの現状を的確に把握し、今後の商店街振興施策の基礎資料とすることを目的として、3年ごとに実態調査を実施しており、「不足している業種」については、平成7年度から令和4年度まで継続して調査しています。なお、設問から外してはいません。
質問事項
一の10 商店街での大きな課題は資金繰りだが、商店街の店舗が使える都の融資制度はいくつあるか、その予算の総額と、2022年度の実績を伺う。
回答
都の制度融資では、中小企業者等に対して小規模事業融資や事業承継融資、借換融資など20の融資メニューを設けています。
これらについて、商店街の中小事業者も利用することができます。
令和4年度における中小企業制度融資の予算は約2,320億円、融資実績は約8万件、約1兆1,700億円です。
質問事項
一の11 産業労働局が実施する過去20年間の中小企業向けファンドについて、それぞれの開始年と事業目的、および2022年度までの事業実績について伺う。また、終了した事業については、終了した理由と最終年度の事業実績について伺う。
回答
都が、平成15年度から令和4年度までに開始したファンド数は12で、ベンチャー企業向け支援や中小企業の事業承継支援等を目的としています。
令和4年度末時点で、合計412件に投資を行っています。
このうち5つのファンドが契約満了により事業を終了しており、265件に投資を行いました。
これらの内訳は、次のとおりです。
〔事業終了〕
事業目的 事業開始 事業終了年度 支援先数
東京フロンティア投資法人 ベンチャー企業支援 平成16年度 平成27年度 114件 (注釈)
東京スピリット投資法人 ベンチャー企業支援 平成16年度 平成27年度 101件 (注釈)
東京チャレンジファンド
投資事業有限責任組合 中小企業再生支援 平成16年度 平成23年度 16件
動画革命東京匿名組合 アニメ・映像産業への支援 平成17年度 平成22年度 14件
東京都中小企業事業化支援
投資事業有限責任組合 中小企業事業化支援 平成18年度 平成26年度 21件
注釈:両ファンドの支援先は1件重複している
〔運用中〕
事業目的 事業開始 事業終了年度
(予定)
東京都ベンチャー企業成長支援
投資事業有限責任組合 ベンチャー企業支援 平成24年度 令和6年度 中小企業連携促進
投資事業有限責任組合 中小企業の成長支援 平成28年度 令和7年度 インキュベイトファンド4号
投資事業有限責任組合 ベンチャー企業支援 平成29年度 令和9年度 TOKYO・リレーションシップ1号
投資事業有限責任組合 中小企業の事業承継支援 平成30年度 令和9年度 中小企業M&A
投資事業有限責任組合 中小企業の事業承継支援 令和2年度 令和15年度 インキュベイトファンド5号
投資事業有限責任組合 DXベンチャー支援 令和3年度 令和11年度 脱炭素化ベンチャー支援
ファンド・オブ・ファンズ
投資事業有限責任組合 ベンチャー企業支援 令和4年度 令和19年度