本会議 斉藤まりこ都議(足立区選出)の討論
2024年12月18日の本会議で、斉藤まりこ都議(足立区選出)が討論を行いました。
動画(都議会ホームページです。)
★討論全文(原稿です)
日本共産党都議団を代表して討論を行います。
物価高騰に苦しむ都民の暮らしを守り抜き、地域経済を立て直すことが都政の最重要課題です。
ところが知事は所信表明で、物価高騰に一言も触れず、補正予算も組みませんでした。「暮らしをもっと支える物価高騰対策」という知事選公約は、いったいどこへ行ったのでしょうか。
これに対し日本共産党都議団は今定例会で、暮らしの支援を真正面にすえた提案を行いました。
まず賃上げ支援です。家計を温め個人消費が伸びてこそ、地域経済は元気になります。
都が中小企業の賃上げ等を支援する奨励金事業は重要ですが、わが党の質問で、昨年約5700社が応募したのに、支給されたのはわずか159社であること、応募から支給まで1年から1年半もかかることが明らかになりました。
都は、物価高騰を上回る賃上げを後押しすることは重要と答弁しましたが、そうであれば、わが党が提案した、1社あたり200万円、1万社を対象に支援を行い、まずは20万人の賃上げを後押しする「中小企業の賃上げ応援助成金」の実施を求めるものです。
都が契約する公共工事や委託事業で働く人の賃金を引き上げる、公契約条例の制定も重要です。対象となる2万社の約9割を占める中小企業の賃上げに大きな波及効果があります。
家賃の高騰も深刻です。わが党は家賃補助の実施を求めましたが、都はやらない理由を並べるだけでした。全国一家賃が高い東京都が踏み出すべきです。
都営住宅の増設も急務です。新規建設の再開と建て替えによる増設、公社住宅などを活用した「借上げ都営住宅」を組み合わせて、今後10年間に10万戸の増設を求めます。
日本共産党都議団は、保育料の第一子無償化、子どもの医療費助成の所得制限や一部負担の撤廃、中度・軽度の障害者の医療費助成の実施、国民健康保険料の負担軽減と子どもの均等割ゼロなどを提案しました。
保育料の第一子無償化について知事が、来年9月からの開始を目指すと答弁したことは重要です。実施にあたっては、公立・私立とも、都が全額支援することを求めます。
かつて東京都の高齢者福祉は全国一でしたが、石原都政による福祉切り捨ての標的にされ、大後退したままです。
小池都政の8年間で都税収入が1兆円増え、高齢者人口も増えましたが、高齢者の経済的支援のための予算はほとんど増えていません。
高齢者が安心して生きられる社会でなければ、若い世代も希望が持てません。高齢者支援の予算を2倍、3倍に増やすことを求めます。
わが党は今定例会に、シルバーパス条例の改正案を提出しました。高齢者の社会参加を後押しするために、費用負担を一律1000円に軽減し、対象交通機関を拡大します。皆さんのご賛同を心から呼びかけるものです。
バスの運転士不足が深刻化しているという認識を都が示し、課題に取り組んでいくと答弁したことは重要です。コミュニティバスへの補助の拡充をはじめ、地域公共交通への支援に都として主体的・積極的に取り組むことを求めます。
都民の暮らしの実態と切実な声に背を向ける一方で、プロジェクションマッピングに3年間で64億円、世界最大級の噴水の整備に26億円を注ぎ込もうとしていることなど、自民党、公明党、都民ファーストの会が支える小池都政の問題点を、わが党は厳しくチェックしてきました。
都民の批判も広がっています。都の巨大な財政力、過去最高を更新し続ける税収増は、都民の暮らしの支援にこそ使うべきです。
都は、巨大噴水整備の検討段階で知事に報告したと答弁しましたが、わが党に開示された資料の中に、知事に報告した文書は一つもありません。
記録を残さず、知事に相談や報告、意向確認する場とはどのような場なのか質問しましたが、答弁はありませんでした。
まさにブラックボックスです。このまま巨大噴水の整備に突き進むことは許されません。
神宮外苑再開発について知事は、都民の理解と共感が得られたと答弁することができませんでした。にもかかわらず、樹木の伐採工事が始まっています。
外苑再開発は、自民党の萩生田光一氏や森喜朗氏と都の幹部、そして三井不動産による「政・官・財」の癒着の産物です。
知事は、政治資金パーティー券を三井不動産に買ってもらったことを否定しませんでした。癒着を断ち切り、計画の中止を含め直ちに根本的に見直すよう事業者に求めるべきです。
気候危機対策についても知事は、カギを握る化石燃料からの脱却に触れようとしませんでした。世界各国で新たな検討が始まっている脱炭素の2035年目標についても答弁がありませんでした。
2030年までのカーボンハーフ・50%削減の知事の目標に対し、実際は4・4%しか減っていません。日本共産党都議団と吉良よし子参院議員が発表した60%削減実行プランを検討されてはいかがでしょうか。
教育行政の歪みによる子どもたちの権利の侵害は、深刻です。
英語スピーキングテストは、大量のタブレットの不具合や、試験監督のミスで5時間も待たされたあげく当日受験できなかった、周りの生徒の解答が聞こえたなど、これまで以上にずさんな状況で、中学3年生は多大な被害を受けました。
坂本教育長はこれを隠蔽し、「テストは適切に実施された」という答弁を繰り返しました。子どもたちに、都合の悪いことは見て見ぬふりをすればよいと教えるようなものであり、とうてい許されません。謝罪とテストの中止を求めます。
特別支援学校の教室不足はこの3年間に117室も増えていることが、明らかになりました。
教室確保に「計画的に取り組んでいる」と坂本教育長は答弁しましたが、現在の計画にも次期計画案にも、学校の新設や増改築の計画は示されていません。次期計画案からは「教室不足解消」の文字すら消えています。知事が先頭に立って学校をつくる土地を確保すべきです。
都内公立小中学校の不登校は3万人を超え、教員不足も深刻です。
子どもたちがのびのびと学び、教員も専門性を発揮できるようにするために、少人数学級が必要です。知事の公約でもある中学校の35人学級の早急な実現と、小学校では30人学級に踏み出すことを求めます。
横田基地におかれている在日米軍司令部を、都心の米陸軍基地・赤坂プレスセンターに移転する案が検討されているという衝撃の報道について、都は「何ら決まっていることはないと聞いている」と答弁しました。決まってからでは手遅れです。事実を明らかにするとともに、プレスセンター基地の即時返還を迫るべきです。
日本被団協の田中熙巳代表委員は、ノーベル平和賞の授賞式で、「2017年7月7日に122カ国の賛同を得て核兵器禁止条約が制定されたことは大きな喜びです」「核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願いです」と訴えました。
ところが知事は、答弁で核兵器禁止条約に一言も触れませんでした。今こそ核兵器禁止条約に知事自ら賛同し、政府に批准を求めるべきです。
知事は、総選挙で自民党の裏金議員を応援した理由について、都政を円滑に前に進めるため、ご協力いただいている方々と力を合わせていくという驚くべき答弁をしました。裏金議員に協力してもらうのが、都民ファーストなのでしょうか。
都議会自民党でも、現職都議を含む20人が、パーティー券の売り上げの一部を報告書に記載せず、裏金化していた可能性があることが報道されました。誰が、どのくらい中抜きし、何に使ったのか全容解明のために、まずは自民党が自ら明らかにすべきです。
金権政治を根本から断つには、パーティー券を含めた企業・団体献金の禁止が不可欠です。
国会では自民党、公明党の与党過半数割れという画期的変化が生まれています。日本共産党は、来年の都議選、参議院選挙で、この新しい政治の流れをさらに前に進めるため全力をつくすことを表明して、討論を終わります。
以上