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質問・条例提案

予算特別委員会 曽根はじめ都議(北区選出)の一般総括質疑

動画(都議会ホームページです。)
★速記録速報版より

  1. ヤングケアラー支援について
  2. 訪問介護事業所への支援について
  3. 高額療養費制度について
  4. シルバーパスについて
  5. 地域公共交通について
  6. 特定整備路線・補助八六号線について

1、ヤングケアラー支援について

○曽根委員 私からは、最初にヤングケアラーについて質問します。
 ヤングケアラーとは、本来は大人が担う家事や家族の世話を日常的に行っている子供や若者のことです。国が行った実態調査では、例えば中学生二年生で家族の中に世話をしている人がいる子供の割合は約六%とされています。平日一日当たりに世話に費やす時間は平均四時間で、七時間以上という子供も一割以上いるなど、家族の世話で重い負担を負うヤングケアラーの実態が、その一端が明らかになりました。
 ある母子家庭の子供は、母親が乳がんで末期で、日常的に、頭を洗ったり体を拭いたりしていましたが、祖母も同居していましたが、重度の難聴で、意思疎通はこの子供が中心となって行っていました。
 また、別の方は、三人きょうだいのうち自分以外の二人が神経難病で、母親も難病になり、幼い頃から家族のケアや家事を担って生活していまして、父親は家を出てしまい、二人のきょうだいは皆二十代で亡くなり、母も亡くなったということです。当時は、なぜこんな生活なのか、どうしたらこの状況を変えられるのか全く考えられなかった、周囲から聞かれても、これが当たり前だと思っていたといいます。
 ヤングケアラーは、ケアの役割を過度に負うことにより、健康を損なう、学校に行けない、休み、遊ぶ時間がないなど、様々な子供の権利が守られていないおそれがあります。にもかかわらず、家庭内の問題だとされて、支援の対象として認識されにくく、本人も、この状態が当たり前ではないと自覚しにくいわけです。
 だからこそ、今、行政が、子供の権利に関わる問題として、しっかりと支援をしていくことが求められます。
 そこで知事にお聞きしますが、知事は、都としてヤングケアラー支援に取り組むことの意義をどう認識しておられますか。

○小池知事 ヤングケアラーのお尋ねでございます。
 ヤングケアラーは、本来、大人が担うような家事、家族のお世話などを日常的に行っておられる子供や若者であり、また、適切な支援につなぐことが必要と考えております。
 都は、区市町村や関係機関等との連携強化を図るなどいたしまして、ヤングケアラーへの支援に取り組んでいるところでございます。

○曽根委員 適切な支援につなぐことが必要という答弁でしたが、なぜ必要なのかということを、残念ながら、答えていただきたかったんですけど、必要だということですので、これから具体的にどのようなことを進めるべきかについて、質問していきたいと思います。
 まず、的確な対策のためには実態調査が必要です。その点で都道府県の役割が重要なのは、第一に、高校で接点を持っている高校生です。
 区市町村は、小中学校は自ら調査できます。一方で、高校生の調査は、区市町村は直接はできませんし、各高校には様々な自治体に住んでいる生徒がいますから、学校を通じての調査は難しく、郵送が多くなります。そうすると、学校を通じて調査するのと比べて、回収率が低くなります。例えば、杉並区が行った実態調査の結果を見ますと、区立の小中学生の回収率が八割近くに上った一方で、郵送で調査した十六から十八歳の回収率は一八%程度だということでした。そして、困難な状況にある子供ほど、余裕がなく、回答しない割合が高いのではないかと推察されます。
 もちろん、高校に通っていない子供を取り残さないようにという視点は不可欠ですし、私立学校の子供の場合は、いずれにせよ自治体が直接調査できるわけではありません。しかし、現に都が持っている都立高校生との接点は、この実態調査に大いに生かすべきではないかと思います。
 第二に、調査において都道府県の役割が重要なのは、活動圏域が広域になる若者です。
 こども家庭庁の来年度予算案の資料にも、都道府県は高校生世代を対象として実態調査を行うことや、主に十八歳以上のヤングケアラーを把握することを目的とした実態調査を実施する旨が書かれています。
 そこで質問しますが、今後の取組を推進するためには、区市町村の調査とともに、高校生との接点を持つ都自身が、都内全域での高校生のヤングケアラーの実態調査を行うことや、また、十八歳以上を含む実態調査を行うことが重要ではありませんか。いかがですか。

○山口福祉局長 ヤングケアラーに関する実態把握は、地域の実情に応じて区市町村が実施をしております。
 なお、都では、令和三年度、国が実施したヤングケアラーに関する実態調査の都内分を独自に集計したほか、区市町村や学校へのヒアリングを通じまして、具体的な事例などの実態を把握いたしました。

○曽根委員 東京都がやる気になれば、都立高校生なら学校を通じて調査用紙を配布できるなど、接点が格段に多いわけです。調査を都が主導してやるべきだと申し上げたい。改めて都が実態調査を行うよう強く求めるものです。
 また、調査とともに、日常的に子供と接する中でヤングケアラーに気づき、支援につなげることも重要です。学校は子供と接する機会が大変多い場で、ヤングケアラーに気づきやすい場所です。
 教育長にお聞きしたいんですが、昨年十月に出された都立高校におけるチャレンジサポートプランの中で、ヤングケアラーについての記述がありまして、ヤングケアラーを周囲の人が見つける、関係機関につなぐための取組を強化していくことが重要と述べています。これをどのように進めるんでしょうか。

○坂本教育長 都立高校では不登校経験など困難を抱える生徒が増加し、そのニーズも多様化をしているため、総合的な支援が必要でございます。
 そのため、各都立高校において、不登校や発達障害等のある生徒のほか、日本語指導の必要な場合について、専門家相談を行う体制を設け、教室外での居場所の確保も行っております。
 また、都教育委員会は、教職員向けにデジタルによりリーフレットを配信するほか、高校の現場からの相談に応ずる窓口等を設けることで、ヤングケアラーを早期に把握し、福祉などの関係機関につなぐ体制を確保しております。

○曽根委員 私、どう進めるのですかと聞いたんですが、今やっていることをおっしゃっただけでした。しかし、都立高校のヤングケアラー支援の体制、私にいわせると、まだまだ不十分です。
 都立高校でヤングケアラーを福祉等の外部の機関につなぐために中心的な役割を果たすのはスクールソーシャルワーカーです。都ではユースソーシャルワーカーと呼んでいます。
 ある都立高校夜間定時制の先生からお話を聞きましたが、例えば担任の先生が、ある生徒の事情を知って外部につなぐためにはやっぱり校長先生を通すことになり、授業などの準備や生徒の指導に追われている教員ではかなり無理があると述べていました。その点、スクールソーシャルワーカーであれば、生徒を外部の支援機関につなぐことを中心的な仕事として、自分の判断でつなぐことができます。
 しかし、スクールソーシャルワーカーというのは、各都立高校に配置されているわけではありません。継続的に派遣されている都立高校は五十二校ありますけれども、全都立高校の三分の一にも及びません。体制の充実を早急に進めるよう求めておきます。
 また、あるところでは、知的障害があり特別支援学校に在籍していた十七歳の子供が、男の子ですが、父親から暴力を受けて共産党の事務所に相談に来たことがありました。彼は、祖母の家に洗濯と食事のために通うヤングケアラーでもありました。本人には全くヤングケアラーという自覚はありませんでした。複数の課題への対応が必要なケースでしたが、特別支援学校でも、子供がヤングケアラーかもしれないという視点を持って、外部の支援機関と連携して、支援をすることが必要だということが大事だと思います。チャレンジサポートプランは都立高校についてのものですけれども、ぜひ都立の特別支援学校においても対策を強めることを求めるものです。
 ヤングケアラーなど困難を抱える若者への支援を進めるためには、当事者の声を聞くことが大原則ですが、そのことが、事実に基づく対策にもつながっていきます。
 都としてヤングケアラーなど困難を抱える若者から意見を聞くべきではないかと思いますが、いかがですか。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 現在策定中の第三期東京都子供・若者計画におきましては、社会的自立に向けた若年支援施策の一環といたしまして、困難を抱える若者から意見を聞くこととしております。

○曽根委員 今、困難を抱える若者から意見を聞くという答弁でした。そうであればヤングケアラーも当然対象に含めるべきです。確実な実施を求めておきます。
 ヤングケアラーへの支援を行うに当たっては、ヤングケアラー本人と、ケアを受けている人を含めた家族全体を支援する視点が必要であり、多くの機関の連携が不可欠です。また、一人一人の状況は多様で、連携すべき機関は異なります。こうしたヤングケアラーを支援につなぐに当たって核になるのがヤングケアラー・コーディネーターであり、重要な役割を果たしています。
 ヤングケアラー・コーディネーターを配置する自治体は今、都内で十六だと聞いていますが、来年度は幾つになる見通しなんでしょうか。

○山口福祉局長 都は、ヤングケアラーを家庭の状況に応じて適切な福祉サービスなどにつなげられるよう、関係機関と連携して支援を行うヤングケアラー・コーディネーターの配置に取り組む区市町村を支援しております。
 来年度は、三十一自治体分のコーディネーター配置経費を予算案に計上しております。

○曽根委員 取り組む自治体が大きく増えることは重要です。早期に都内全自治体への配置を目指すことを求めておきます。
 ヤングケアラーとして、過度なケア負担を負っている子供が直面する問題というのは、直接的なケアの負担の重さだけではありません。その一つが、友達と遊びに行くとか、部活動や習い事をするとか、家族と旅行に行くとか、誕生日をお祝いしてもらうなど、他の子供、多くの子供が体験しているようなことが体験できず、子供らしい子供時代を送ることができない、いわゆる体験格差です。
 ヤングケアラーの負っているケアの負担を減らすことが必要ですけれども、必ずしもそのことだけで、子供らしい時間を取り戻せるとは限らないわけです。例えば、旅行に行くなどのことをしようとすると、多くの場合、子供一人では難しいでしょう。また、そもそも、ケアに追われ、自分のしたいことをする、してもらうということがずっとできていなかった子供は、時間ができても、急に自分のやりたいことを出せるようになるとは限りません。
 もちろん何かをするよう押しつけをするわけではありませんが、支援者が積極的に関わって、遊びや楽しみの体験を可能とする機会を提供することが大切だと思います。
 こういう支援の中で、家族の介護などで、自分自身が自由な時間や体験を持てなかったことによる体験格差を取り戻す、こういうことへの支援も大変重要だと思いますが、いかがでしょうか。

○山口福祉局長 都は、ヤングケアラーが、学習や部活動、友人との交流など子供らしい時間が持てるよう、家事や子育てなどを支援するヘルパーの派遣等を行う区市町村や民間団体の取組を支援しております。
 来年度は、ヤングケアラーを含む全ての家庭の子供に多様な体験機会を提供できるよう、自然と親しむ野外活動やスポーツ観戦などの事業を実施する区市町村を支援することとしております。

○曽根委員 これまで、ヘルパーを派遣すると、ヤングケアラーが負っている家事や介護の負担分を若干減らすことができる。それだけではなくて、その子が何か外に出たりして新たな体験を持つことができるような、そういう援助をする区市町村も応援すると。この点は大変重要なことですので、積極的な推進を求めておきます。
 東京都が子供たちの最善の利益を保障するというこども基本条例の立場でヤングケアラー問題に取り組むよう強く求めるものであります。

2、訪問介護事業所への支援について

 次のテーマに行きます。次に、訪問介護事業所への支援について質問します。
 訪問介護事業所に対する抜本的な支援を求めての質問です。
 昨年四月から、国は訪問介護の基本報酬を切り下げてしまいました。
 すぐに、もう本当に地域から、これではもう小規模な介護事業所は立ち行かなくなるとの声が上がりました。
 この状況を見て、私の地元北区の日本共産党区議団などが、区内の中小の介護事業所を直接訪ね、調査を行いました。
 調査にご協力いただいた二十三か所、このうち、既に廃止してしまった介護事業所が二か所ありました。事業廃止を検討しているとの回答も二か所からありました。また、約八割の事業所が新たな介護報酬では苦しい、またはとても苦しいという答えでした。
 知事は、都内の訪問介護事業所の、こうした厳しい現状をどう受け止めておられるでしょうか。お聞きします。

○山口福祉局長 訪問介護は、高齢者が地域で安心して暮らすためのサービスでございまして、その担い手の確保が重要でございます。
 そのため、都は、介護人材の確保に向け、職場体験や資格取得支援のほか、介護職員等を対象に居住支援特別手当を支給する事業者への支援など、様々な取組を実施しております。

○曽根委員 私、今年二月に、せいの恵子前区議会議員と共に、改めて介護事業所四か所を訪ねて、詳しく状況をお聞きしました。十か月たっています。もう想像以上に大変でした。
 まず、来年まで継続は困難と昨年に話していた王子のNPO法人を訪ねると、もう事業所閉鎖を決めて、皆さんで事務所を片づけていました。訪ねた当日に。そこのチーフは、訪問介護事業所への基本報酬が下げられたらもうどうにもやっていけないと訴えていました。本当に深刻でした。
 ある医療生協の事務所では、使える支援や補助は全て使って、やりくりしたが、事業所としてこの十か月の減収は合わせて約百万円だと、このままでは事業は維持できないといいました。この医療生協は、二か所の介護事業所を運営し、それぞれ五、六十人を対象に訪問介護をしています。訪問介護を必要とする要介護者はますます増えている中で、このような事態を放置すれば、家族介護の負担は増大するし、介護離職もなくなるわけがありません。
 そこで、都が、事業所の、例えば電動アシスト自転車購入補助とか猛暑対策などを行うことは大変重要ですが、それにとどまらず、今こそ都として、訪問介護事業所の経営を抜本的に支えるための支援が、さらに必要ではないでしょうか。いかがですか。

○山口福祉局長 介護サービス事業は、国が定める介護報酬等により運営されることが基本でございます。
 都は、国に対して、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬とするよう、繰り返し提案要求をしております。
 また、介護人材の確保に向けまして、職場体験や資格取得支援のほか、介護職員等を対象に居住支援特別手当を支給する事業者への支援など、様々な取組を実施しております。

○曽根委員 もう一つ例を挙げますと、自宅を事務所にして家族でやっている十条のある事業所は、都や区のヘルパー支援制度は手続と報告が非常に煩雑で、うちは事務員がいないので手続すらできていないと、かなり怒りに満ちた話をしていました。制度が複雑になって事務量が増えることには、多くの事務所が困っています。
 また、地域の訪問介護事業所、とりわけ賃貸物件を利用している小規模な訪問介護事務所は、家賃その他、諸経費と物価の高騰なども追い打ちをかけています。
 事務所家賃への補助とか、事務員への人件費の支援など、こういう支援メニューを訪問介護でも検討すべきではありませんか。

○山口福祉局長 介護サービス事業は、国が定める介護報酬等により運営されることが基本でございます。
 都は、国に対して、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬とするよう、繰り返し提案要求をしております。
 また、介護人材の確保に向けまして、職場体験や資格取得支援のほか、介護職員等を対象に居住支援特別手当を支給する事業者への支援など、様々な取組を実施しております。
 来年度は、電動アシスト自転車や電気自動車などの購入経費を補助するとともに、暑さ対策に資する物品の購入や求人サイトへの掲載などを支援することとしております。

○曽根委員 いや、答弁は実施しておられることの説明なんですけど、それがあっても苦しいのが現状だということを分かっていただきたい。
 例えば、東京都の方でも、皆さん自身が、今度の新年度予算案には、介護職員昇給制度の調査費として六千万円を計上しています。これは当然、現状の対策では不十分だから、介護職員の処遇改善を進めるために行うという位置づけの調査にするべきですが、どうですか。

○山口福祉局長 繰り返しになりますが、介護サービス事業は、国が定める介護報酬等により運営されることが基本でございます。
 都は、国に対して、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬とするよう、繰り返し提案要求をしております。
 また、介護人材の確保に向けまして、職場体験や資格取得支援のほか、介護職員等を対象に居住支援特別手当を支給する事業者への支援など、様々な取組を実施しております。
 来年度は、電動アシスト自転車や電気自動車などの購入経費を補助するとともに、暑さ対策に資する物品の購入や求人サイトへの掲載などを支援することとしております。

○曽根委員 私、先ほど聞いているのは、介護職員の昇給制度について調査を始めるという予算がついているので、これは相当期待したいと思っているんですよ。小池知事も、さきの知事選挙で東京版介護職員昇給制度の構築というのを公約にもされていますよね。都として早急に抜本的な処遇改善制度を、その実現を求めておきたいと思います。
 同時に、事業所の運営自体ができない実情にかみ合った基本報酬の引上げが何といっても大事ですから、国に対し、強く求めるべきです。
 もう一つ申し上げたいのは、要支援の高齢者への訪問介護が総合事業に移されているため、支払い額があまりに少なく、事業者が訪問すればするほど赤字になるという、そういう事態も起きています。適切な介護を受けながら、健康や生活の維持が可能になるよう、要支援認定者が要介護にならないような訪問支援に対して、十分な支払いが行われるよう都が補助することも併せて求めておきたいと思います。

3、高額療養費制度について

 次に、都民施策について何点かお聞きします。まず、高額療養費の問題です。
 もう今、大問題になっていますが、高額療養費制度というのは、これは非常に大きな意義があると思いますが、これは知事に伺いたいんですけど、高額療養費制度の意義について、どうお考えですか。

○雲田保健医療局長 高額療養費制度は、国が設けた公的医療保険制度上の仕組みであり、患者が医療機関や薬局で、その月に支払った医療費の自己負担額が上限額を超えた場合に、超過金額が保険者から給付される制度でございます。
 本制度は、家計に対する医療費の自己負担が過重にならないよう設けられたものとされております。

○曽根委員 今でも医療費の自己負担が重くて必要な医療を受けられない方はいらっしゃいますが、高額療養費制度が改悪されれば、生きるか死ぬかはお金次第という事態がさらに大きく広がることになります。
 がんや難病の患者を中心とする広範な世論に追い詰められて、石破政権はようやく、今年八月に予定していた負担上限額引上げを見送ることを決めましたが、しかし、全面的な撤回ではなく、再来年度以降の制度の在り方について今年の秋までに再検討するとしています。
 知事、高額療養費制度の変更は全面的に撤回することを国に求めるべきですが、いかがですか。

○雲田保健医療局長 高額療養費制度は、公的医療保険制度におきまして、患者が医療機関や薬局で、その月に支払った医療費の自己負担額が上限額を超えた場合に、超過金額が保険者から給付される国が設けた仕組みでございまして、国が責任を持って対応すべきものと考えております。

○曽根委員 高額療養費制度は患者の命綱ですよ。引上げの検討の余地は全くありません。都民の命と健康を守る立場から、国にきっぱりと意見を東京都からいうべきです。
 同時に、島根県議会では、引上げの撤回を求める意見書が全会一致で可決されましたので、私たち東京都議会からも意見書を出すことを、各会派の皆さんに呼びかけるものです。

4、シルバーパスについて

 次に、シルバーパスについて質問します。
 新年度の予算案にシルバーパスの軽減が盛り込まれたことは大変重要です。
 予算案では、二万五百十円のシルバーパスが一万二千円に、四割安くなります。一万二千円という金額にした根拠を伺います。

○山口福祉局長 シルバーパスにつきましては、制度導入以降の高齢者像や交通事情の変化を踏まえまして、高齢者施策全体を総合的に議論する中で、ICカード化により利用実態を把握しながら、検討することとしております。
 抜本的な制度の見直しまでの間、高齢者の社会参加を後押しするため、年間の利用者負担額を二万五百十円から一万二千円に引き下げ、利用者の負担軽減を図るものでございます。

○曽根委員 今のお答えでは具体的な根拠の答弁はありませんでした。あくまで抜本的な見直しまでの間の措置だということで、明確な根拠がないのであれば、高齢者の社会参加促進のために費用負担がどうあるべきかを改めて考え、さらなる見直しを進めるべきです。
 知事に伺いますが、シルバーパスの利用者を増やすことは大変重要だと思いますが、いかがでしょうか。

○山口福祉局長 シルバーパスにつきましては、制度導入以降の高齢者像や交通事情の変化を踏まえまして、高齢者施策全体を総合的に議論する中で、ICカード化により利用実態を把握しながら、検討することとしております。
 抜本的な制度の見直しまでの間、年間の利用者負担額を二万五百十円から一万二千円に引き下げ、利用者の負担軽減を図り、多くの方に活用していただくことで、高齢者の社会参加を後押しすることとしております。

○曽根委員 一万二千円に引き下げるのは、負担軽減が、より多くの高齢者が活用することにつながり、社会参加の促進に役立つからだということだと思います。そうであれば、抜本的な見直しを検討するといっているのですから、さらに思い切った軽減措置、例えば無料、または一律千円にするなどの見直しを行って、シルバーパスの利用を大幅に促進することを求めておきます。
 知事は施政方針でも、多くの方々にご活用いただき、社会参加を積極的に促していきたいと述べておられましたので、そのためには、シルバーパスが使える交通機関を増やすことが重要です。
 コミュニティバスは、地域住民にとってかけがえのない役割を果たしております。
 シルバーパスをコミュニティバスで利用できるのは、どのような場合でしょうか。

○山口福祉局長 シルバーパスの利用対象交通機関は、東京都シルバーパス条例及び条例施行規則に基づきまして、都営交通及び路線バスとなっております。
 コミュニティバスは、交通手段の少ない地域の解消や公共施設などへの移動手段の確保のため、区市町村とバス事業者が、路線や運賃、運行経費の負担などについて協定を締結し、運行されております。
 コミュニティバスのうち、一般の路線バスと同等の運賃を設定しているものについて、区市町村とバス事業者の協議が調った場合は、シルバーパスで乗車できるようになっております。

○曽根委員 例えば、百円などのバスだとこれは利用できない、また、利用できるかどうかは区市町村とバス事業者の協議次第ということです。このように、一般のバスにはない制約をなくして、どのコミュニティバスでも一般のバスと同様に使えるようにすれば、知事のおっしゃっている、多くの方に活用していただくことにつながるのは間違いありません。
 ぜひ全てのコミュニティバスでシルバーパスを利用できるように検討をしていってほしいということを申し上げておきます。

5、地域公共交通について

 次に、その地域公共交通について充実を求めて、質問いたします。
 私が、コミュニティバスを中心に地域公共交通を取り上げた昨年第二回定例会の一般質問以後も、全国でも都内でも、バス路線の廃止、縮小が相次いでおります。
 私の地元北区では、国際興業のバス路線が廃止され、十年にも及ぶ住民運動により、昨年、やっとコミュニティバスの運行が実現しました。
 バスの運転手不足などによる地域公共交通の深刻な危機が広がる中で、地域に安心して住み続けるための買物、通院をはじめとした移動を保障するコミュニティバス拡充への住民の願いは切実なものがあります。
 例えば、北区で昨年から運行開始したコミュニティバスは、電動バスで静かで快適ですし、しかも大型スーパーや都営団地やマンションを小まめに回り、様々な年代の方に利用されています。この姿こそ地域公共交通の一番の魅力だと私は思いますが、いかがでしょうか。

○谷崎東京都技監 地域公共交通は、都民の日々の生活を豊かにするとともに、地域経済の健全な発展を図るために欠くことができないものであり、将来にわたって、その機能が発揮されることが重要でございます。
 コミュニティバスは、既存の路線バスや鉄道等では補えない交通需要に対応する地域の公共交通であり、地域ごとのニーズを踏まえ、区市町村が交通事業者などの関係者と連携し主体的に運行しております。
 都は、地域公共交通を取り巻く社会状況の変化に対応するため、令和三年度に策定いたしました東京における地域公共交通の基本方針を踏まえ、区市町村が主体となる交通サービス維持に向けた取組を後押しし、地域公共交通の充実を図ってまいります。

○曽根委員 今の都市整備局長のお答えは、今後の足がかりになる大事な答弁です。地域公共交通は、都民の生活を豊かにするために欠かせないものだと、将来にわたって、その機能が発揮されることが重要だと。コミュニティバスは、既存の路線バスでは補えない需要に対する地域の公共交通だという認識が示されました。そうであるならば、区市町村や都民の切実な要望に、前向きに応えるべきです。
 最近、特別区長会は、誰もが移動しやすい利便性の高い移動手段を実現するため、コミュニティバス事業における車両購入や運行経費に関する補助の拡充を東京都に対し予算要望しています。多摩市長会、町村会は、コミュニティバスへの補助制度の見直し、拡充を求めています。
 区市町村のコミュニティバス等に関する最大の要求の一つが運行経費への支援です。しかし、都の財政支援が三年に限られていることから、各自治体もコミバスやデマンド交通の減便、廃止に歯止めをかけられずにいる現状です。
 区市町村によるコミュニティバス路線、またはデマンド交通などの地域公共交通に対する、都の立ち上がり支援としての三年間の補助期間について、区市町村の要望に応じて補助期間の延長や拡充について協議する場を持つべきではありませんか。

○谷崎東京都技監 コミュニティバスやデマンド交通などの地域公共交通は、区市町村が主体的、自立的に運営するため、区市町村自らが需要や持続可能性、財政負担の見通し等を十分に検討することが必要でございます。
 都は、事業の立ち上げを支援し、運営の安定化を図るため、補助率を二分の一として、導入時の調査検討費や車両購入費のほか、運行開始後三年間の運行経費の一部を区市町村に補助しております。
 さらに、令和四年度からはコミュニティバスに加え、デマンド交通やグリーンスローモビリティー等にも補助対象を拡大しております。

○曽根委員 私は東京都と区市町村の協議の場を持つことを求めました。先ほども、都は区市町村の取組を後押しするとの答弁もありましたので、それなら、どのような後押しが必要なのか、協議の場を持つのは当然のことです。具体化を強く求めておきます。

6、特定整備路線・補助八六号線について

 次に、特定整備路線、八六号線について質問します。
 私はこれまで、特定整備路線について何度か質問してきました。
 二〇一二年に、防災を理由に、住民に一切事前の説明もなく戦後復興期の大型道路計画を持ち出して、短期間に事業化して進めてきたのが二十八路線の特定整備路線です。
 今日は、北区赤羽西地区を一・二キロにわたって整備する計画の都道補助八六号線について質問します。
 この八六号線について、私は、三年前の予特でも、この道路の中央の低地部分の通称弁天通りから、西の自然観察公園に向かって八六号線道路をせり上げていくため途中から盛土による段差を設けるために、両側からの生活道路との平面交差ができなくなるなどの問題を質問しました。今回は地盤改良の問題をただします。
 知事は、今年度の特定整備路線の予算を局要求より三十六億円も増額査定しましたが、例えば八六号線でいいますと、事業の進捗も用地買収も、今年度、一年間たちますが、ごく僅かです。事業の執行率は一三%、十五億円積んで二億円しか使わないし、用地取得率は一%しか進んでいません。この進捗状況について、ほかの特定整備路線もあまり進んでないんですが、知事はどのように受け止めておられますか。

○花井建設局長 特定整備路線でございます補助第八六号線は、市街地の延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、防災上極めて重要な道路でございます。
 都はこれまで、生活再建を支援するための相談窓口を設置するなど、関係権利者に丁寧な説明を行いながら用地取得を進めてきておりまして、令和六年度には、高齢者への訪問型生活再建支援を開始いたしました。また、道路の完成イメージなどを地元の方々へ分かりやすくお伝えするため、オープンハウスを開催いたしまして、ここでいただきましたご意見も参考に設計を進めるなど、着実に事業を推進しております。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、事業を一層推進し、地域の防災性向上を図ってまいります。

○曽根委員 私、今年の初めに第六建設事務所の副所長兼工事課長とお会いして、一昨年、もう既にパースも示して、かなり道路の具体的な設計に入ったと思っていたら、二〇二五年度いっぱいかかってもあそこの道路の設計をできるかどうか分からないというお話なんです。
 何でかなと思って、出された資料をずっと調べてみましたが、あれ、道路を造る前に地盤改良をやらなきゃ駄目だというんですよ。それで、その工法が大変な、道路を塞いでしまうような工法かもしれないと。
 こういうことを住民に知らせないまま強行しているということについて、何としても私、許せないので、この道路については直ちにやめるべきだと申し上げて終わります。(拍手)