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質問・条例提案

2025年度予算組み替え提案

 日本共産党都議団は3月24日、「2025年度予算組み替え提案」の記者会見を行いました。
 物価高騰からくらしを守り、すべての人に光をあてる立場からの組み替え提案です。


★記者会見する(左から)里吉ゆみ、藤田りょうこ、池川友一、曽根はじめ、尾崎あや子の各都議(2025.3.24)


物価高騰からくらしを守り、すべての人に光をあてる
2025年度予算組み替え提案

2025年3月24日
日本共産党東京都議会議員団

 長期の経済停滞によって、くらしが疲弊している時に、物価高騰が襲いかかり、都民の悲鳴の声が上がっています。あらゆるものが値上げとなり、とりわけ東京では住宅費の高騰も深刻です。
 一方、大企業は巨額の利益をあげ、都税収入は2017年度から1.8兆円も増え、過去最高です。この巨大な財政力を、くらしを守り、広がる格差を是正するために使うことこそ必要です。
 ところが、小池知事の提出した予算案は、「財界ファースト」でくらしに冷たい姿勢が色濃く現れています。予算案の物価高騰対策は微増にとどまり、総額のわずか0.9%です。高すぎる家賃や国民健康保険の負担軽減はありません。その一方で、財界の目先の利益のための都内各地で行われる再開発や、外環道・特定整備路線など大型道路建設に巨額の予算が計上されています。急成長が見込まれる一部企業の支援に525億円。都庁舎などを照らすプロジェクションマッピングに3年間で64億円もの税金を使うのに続き、お台場に世界最大級の噴水を26億円かけて整備するとしています。
 日本共産党都議団は、こうした予算のあり方を見直し、「物価高騰からくらしを守り、すべての人に光をあてる」立場から、予算の組み替え提案を行うものです。

(1)物価高騰から都民のくらしを守り、地域経済を立て直す

① 都民の手取りをふやすため、東京から賃上げをすすめる
• 中小企業で物価高騰を上回る賃上げを後押しするため、一人あたり12万円の助成を行います。
• 年間9万件、1兆7500億円にものぼる都の契約で、賃金や労働条件などの基準を定めた公契約条例制定や重層下請けの実態調査を行います。
• 高齢者福祉や障害福祉、児童福祉等の分野で働く労働者全体の賃上げをすすめます。
• 非正規公務員となっている学校司書、学校用務員、産休・育休代替教員を正規雇用にします。

② 地域経済を立て直し、文化・芸術活動を支援する
• 商店街まるごと耐震化の実施、商店街の街路灯の電気代を補助します。
• 都内で減少する銭湯に対して、燃料費の補助を行うとともに、利用拡大のための「東京1010クーポン」を実施します。
• 畜産事業者を支えるため、高騰する飼料代の支援を行います。
• 介護報酬の引き下げにより、危機に直面する訪問介護事業所の経営を支援します。
• 文化芸術団体やアーティストが活動する稽古場や事務所など固定費に対して支援を行います。

③ 家賃高騰への対策として、住まいの支援を強化する
• 100万世帯に対し、月1万円の家賃補助制度(緊急対策として当面3年間)を創設します。
• 26年間新規建設ゼロの都営住宅を、5000戸ふやします(新規建設再開、建て替え時の増設、借り上げ都営住宅の活用の「3点セット」で10年間で10万戸を供給)。

④ 高すぎる保険料の引き下げ、医療費の負担を軽減する
• 国民健康保険料、後期高齢者医療保険料をひとり1万5千円引き下げます。
• 国民健康保険料の子どもの均等割をゼロ円にします。
• 多摩・島しょ地域で残されている、18歳までの医療費の通院1回200円の窓口負担をなくします。
• 75歳以上の低所得者の医療費を無料にします。

⑤ 子育て・教育費の負担軽減をすすめる
• 保育園の副食費の負担をなくします。
• 公立小中学校と都立学校の修学旅行、制服・学用品等への支援を行います。
• 私立高校の入学金、施設費など授業料以外の学校納付金への助成を行います。また、私立学校に通う世帯への昼食費補助を実施します。

⑥ 困難な立場にある方への経済的給付を増額・拡充する
• 28年間1円も上がっていない児童育成手当(ひとり親家庭や障害児のいる家庭への支給)を月6500円増額します。
• 心身障害者福祉手当を月6500円増額し、精神障害者も対象にします。また、重度心身障害者手当を月1万円増額します。
• 心身障害者医療費助成の対象を拡大します。

(2)都民の権利を保障し、切実な要求を前にすすめる
① 移動権・交通権を保障する
• シルバーパスを無料化するとともに、多摩モノレール、ゆりかもめや現在対象外のコミュニティバス、都県境を越える路線などでも利用できるようにします。
• 学生フリーパスを創設します。都営地下鉄は子ども料金を50円にして、通学定期は半額にします。
• コミュニティバスの運行補助を3年間で打ち切らず、継続して補助します。
• 地域公共交通基本条例をつくるための審議会を設置します。都内のバス路線の維持や運転士不足を解消するための協議会をつくります。

② 学ぶ権利を保障する
• 中学校2年生、3年生でも35人学級を実施します。
• 高校生(公立・私立)の通学定期代の支援を行うとともに、通学費実態調査を行います。
• 都立高校での給食実施に向け、都立高校生の昼食の実態調査を行います。
• 都立大学等の入学金を廃止します。
• 朝鮮学校への補助金を復活します。

③ 都民生活に不可欠な福祉・教育施設整備をすすめる
• 認可保育園の新設や園庭確保のための用地確保支援を行います。
• 教室不足や大規模化を解消するため、都立特別支援学校を新設します。また、老朽化した都立学校の改修費をふやします。
• 特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホームなどの整備を加速します。
• 区市町村のスポーツ施設整備を支援します。また、特別支援学校のプールを温水化し、障害者スポーツの場として活用できるようにします。

④ 都民の健康増進をはかる
• 都内全域で、補聴器購入費助成をひとりあたり上限14万4900円(所得制限なし)で実施できるようにします。
• 有機フッ素化合物(PFAS)対策として、血液検査や土壌調査を実施します。
• 多摩地域の保健所増設の検討をすすめ、保健師の増員を行います。
• プラスチックによる健康影響や環境汚染について調査します。

⑤ 戦後80年にふさわしく平和の発信をすすめる
• 東京大空襲、被爆、戦後80年にふさわしく戦争の記憶と平和の大切さを次世代につないでいくため「東京都平和記念事業2025(仮称)」を実施します。
• 東京都平和祈念館の建設準備をすすめます。

⑥ 若者が権利の主体として活動できる支援をすすめる
• 若者団体・グループの自主的な活動を支える補助制度を創設します。
• 青年の居場所となる拠点をつくる検討を行います。また、ユース・プラザの機能を拡充する検討をすすめます。
• 若者の美術館・博物館の入館料の引き下げを行います。

⑦ ジェンダー平等をすすめる
• シングル女性のくらしや住まいなどのニーズを把握する実態調査を行います。
• 学校における生理休暇や生理中の体育の授業の対応などについての「ガイドライン」を作成します。
• 男女平等参画審議会を常設化し、目標の達成状況を把握する第3者機関としての機能を持たせます。また、ジェンダーの視点から統計を作成・活用します。
• 性的マイノリティに関する情報の収集や発信、当事者の居場所ともなる「東京ダイバーシティセンター(仮称)」の設置に向けた検討を行います。

⑧ 都民参加の気候危機対策をすすめる
• 公立小中学校の教室の断熱改修に向けた補助制度を創設します。
• 「i-Tree(アイツリー)」を用いて、子どもが身近にある樹木のCO2 吸収量などを知ることができる体験活動を行います。
• 脱炭素社会の実現に向け、「気候都民会議」を開催します。

⑨ 防災対策を強化する
• 避難所環境整備・災害時トイレ確保に向けた補助の予算を倍加し、都が10分の10で区市町村を支援します。

⑩ 多摩格差解消をすすめる
• 多摩・島しょ地域を財政的に補完する、市町村総合交付金を増額します。

(3)財界ファーストの予算を削減し、基金を財源として積極的に活用する
• 都民の批判が強いプロジェクションマッピングや巨大噴水の予算は削除します。合わせて、IR・カジノに関する調査予算を削除します。
• インバウンド偏重の観光政策を改める立場から、外国人富裕層の誘致やMICE 誘致の予算は削減します。
• 需要のない、化石燃料由来の水素関連予算を削減します。
• 短期成長を目的とするスタートアップ関連予算を削減します。
• 海外の金融企業を誘致し、リスクある投資に都民を誘導する、「国際金融都市・東京」の関連予算を削減します。
• 公正性・公平性がなく、破たんが明らかな中学校英語スピーキングテストの予算を削除します。
• 空飛ぶクルマの実装に向けた予算は公費を出す必要がないため削除します。
• 住民の合意がない特定整備路線や外環道など大型道路整備予算を削減します。
• 新宿、品川、日本橋などの再開発関連予算を削減します。
• ミサイル攻撃を想定したシェルターの整備に関する予算は削除します。

(4)予算組み替えの規模
 知事提出予算案に計上されている事業の見直しによる歳出削減は、68項目、2167億8200万円です。
 歳出の減額により生み出した財源と財政調整基金や国からの補助金などを活用することなどにより、145項目、6055億900万円を増額します。
 組み替えの規模は、知事提出の一般会計予算案(9兆1580億円)の6.6%です。

  項目数 金額 組み換えの規模
歳出の減 68 △2147億円  知事提出の一般会計予算案の6.6%
歳出の増 145 6055億円
差 引   3888億円