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質問・条例提案

予算特別委員会 あぜ上三和子都議(江東区選出)の討論

 2025年3月26日の予算特別委員会で、あぜ上三和子都議(江東区選出)が討論を行いました。

★討論の原稿です。

討論原稿(PDF)


 日本共産党都議団を代表して、第一号議案、一般会計予算外7議案に反対、わが党提出の予算の編成替えを求める動議に賛成の立場から、討論を行います。
 
 お米も野菜も驚くほどの値上げで、家賃も大学の学費も上がり、悲鳴の声が上がっています。賃上げは物価高騰に追いつかず、年金は目減りするなど、都民のくらしは深刻です。
 一方、新年度予算案の財政規模は、一般会計だけで9兆1,580億円、総額も過去最高を更新し、17兆8千億円を超えました。スウェーデンの国家予算に匹敵する、この巨大な財政力を全面的に使って、都民のくらしを守り抜き、地域経済を立て直すために、本気で取り組む予算編成が求められていました。
 ところが予算案は、最も光を当てるべき物価高騰対策が、きわめて不十分です。今年度予算にくらべ3.2%、52億円しか増えていません。高すぎる国民健康保険料の引き下げも、ひとり親家庭を支援する児童育成手当の増額も、障害者福祉手当や障害者医療費助成の拡充もありません。中小企業の賃上げなどを支援する奨励金事業は、事業規模年間わずか1,400社と変わりません。商店街振興予算は51億円のまま9年連続増やさず、スタートアップ企業支援の予算は70億円増額の525億円と偏重しています。

 都民の批判が広がる巨大噴水整備に26億円もの予算を計上していますが、予算案発表後の2月に、海水ではなく水道水に変更したことが、わが党の質疑で明らかになりました。設計変更が必要になるなど、いくらかかるかわからない事態になっている巨大噴水整備は中止すべきです。

 さらに、新宿、品川駅周辺、泉岳寺など、財界の目先の利益のための再開発に240億円、外環道や特定整備路線をはじめとした大型道路建設に510億円など、「財界ファースト」の事業に巨額の予算がついています。
 わが党は、都が至れり尽くせりの誘導策を行うことで、都内各地で進む再開発により土地の価格が上がり、住宅費や家賃の異常な高騰を招いていることを明らかにし、再開発の規制へ政策のカジを切るよう求めました。
 また、知事が提案したファンドを活用した「アフォーダブル住宅」は、低所得者向けにはならず、何戸供給されるかも答弁できないことが、質疑を通じて明らかになりました。
 わが党が提案した、100万世帯への月1万円の緊急家賃補助、所得に応じた家賃で住み続けることができる「都型社会住宅」を10年間で5万戸、都営住宅を10年間で10万戸供給する政策の具体化を求めます。

 英語スピーキングテストは、38億円もの予算をかけていますが、試験の15分前まで試験監督のアルバイトを募集していたことをはじめ、いかにトラブルが続発し、ずさんなものだったかを、わが党は明らかにしました。
 受験した中学生たちの批判の声を受け止めようとせず、公正公平な試験が実施できない英語スピーキングテストは中止すべきです。
 また、「誰一人取り残さない」と言いながら、夜間定時制高校の廃止を推し進めていることは重大です。学びのセーフティーネットを切り捨てるべきではありません。

 高校の授業料が実質無償化されたもとでも、高校生の通学費は重い負担となっており、進学先が制約される実態があることは深刻な問題です。日本共産党都議団は、神戸市の経験にも学び、高校生の通学定期代の無料化に踏み出すことを都に求めました。

 高齢者の2万510円のシルバーパスが、新年度から12,000円に、4割値下げになることは重要です。さらなる負担軽減をはかるとともに、都内すべてのコミュニティバスをはじめ、都県境のバス路線、東急世田谷線、知事が公約した多摩モノレールへのシルバーパス適用に、一日も早く踏み出すべきです。
 
 日本共産党都議団は、高齢者の補聴器購入費助成の拡充を求め続けてきました。
 その中で2024年度から、区市町村を支援する「高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業」が実施され、新年度予算では、都内52区市町村で実施できるよう予算が増額されたことは、大事な前進です。
 都内全区市町村で、より充実した内容の制度が実施できるよう、都の財政支援の拡充が必要です。
 
 日本共産党都議団は、物価高騰対策の中でも、都が自ら、すぐにできることとして、一般家庭や小規模事業所の上下水道料金の10%、消費税分の値下げを提案しています。
 質疑を通じて、年間195億円あれば、東京都水道局の契約者全体の97%に対して水道料金の10%値下げができることが明らかになりました。新年度一般会計予算のわずか0.2%です。実現を強く求めます。
 
 かつて石油ショックを契機にした狂乱物価の1974年に、都は「緊急生活防衛条例」の制定とともに、物価局を設置しました。
 物価・生活物資対策本部会議や、物価問題研究会などを通じた調査・研究をはじめ、生鮮食品の安定供給を確保するためにジャガイモや玉ねぎを買い付け、キャベツや白菜の価格差補償なども行って品不足を防ぐ取り組みなどを進めていました。
 困窮する都民のくらしに寄り添い、解決しようとする自治体として誠実な当時の姿勢に、都は学ぶべきです。

 終わりの見えない物価高騰、追いつかない賃上げ、窮迫する都民の暮らしをどう支えるのかが、問われています。
 日本共産党都議団は、物価高騰から暮らしを守り、すべての人に光を当てる予算に編成替えを求める動議を提出いたしました。みなさんのご賛同を心から呼びかけます。
 
 戦後50年の1995年に、都が主催した平和祈念式典で、参加したすべての人々が賛成して採択された「都民平和アピール」は、次のように決意を表明しています。
 「私たちは、軍縮と核兵器の廃絶を機会あるごとに強く訴え、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓います」「次代を担う子どもたちに、戦争の悲惨さと、それを防止することの大切さは東京大空襲の体験などとともに語り伝えます」
 これを実現する確かな足場となるのが、「東京都平和祈念館」です。東京大空襲80年に、実現へ新たな一歩を踏み出すことを、最後に心から呼びかけて、討論を終わります。