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質問・条例提案

2025.03.28

2025年第1回定例会を終えて(談話)


2025年第1回定例会を終えて

2025年3月28日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ

 都議選直前の予算議会が終わりました。日本共産党都議団は、都議会野党第一党として都政をきびしくチェックするとともに、都民の願いに応えるための具体的提案を行い、その実現のために19人の都議が都民の運動と力を合わせて取り組みました。

1 物価高騰から都民のくらしを守りぬく都政に

① 知事提出の予算案に、わが党を含め7会派41人が反対

 物価高騰が止まらず、お米をはじめあらゆるものが値上がりし、悲鳴の声があがっています。物価高騰から都民のくらしをどのように守り、地域経済を立て直すのかが、今定例会の最大の焦点でした。東京都は1974年に、「緊急生活防衛条例」を制定し物価局を設置して、石油ショックを契機にした狂乱物価対策に総力をあげた歴史があります。こうした地方自治体本来の姿勢に学ぶことが必要です。
 ところが、自民党、公明党、都民ファーストの会が支える小池都政の予算案は、シルバーパスの負担軽減など都民の運動と日本共産党都議団の論戦で切り拓いた貴重な前進があるものの、物価高騰対策は予算総額のわずか0.9%で、前年度から微増にとどまり、高すぎる家賃・住宅費や国民健康保険料(税)の負担軽減はなく、商店街振興予算は9年連続増やさないなど、くらしに冷たいものです。
 その一方で、財界の目先の利益のための都内各地で行われる再開発や、外環道・特定整備路線をはじめとした大型道路建設など「財界ファースト」の事業には巨額の予算がついています。都庁舎を照らすプロジェクションマッピングに3年間で64億円もの税金を使い、お台場に世界最大級の巨大噴水を26億円かけて整備する予算が計上されています。大企業は巨額の利益をあげ、都税収入は2017年度から1.8兆円も増え、過去最高を更新しています。東京都にないのはお金ではなく、都民に寄り添い、くらしを守り、広がる貧困と格差を是正する姿勢です。
 知事提出の一般会計予算案(9兆1580億円)には、わが党をふくめ7会派41人、都議会議員の3分の1が反対しました。

② すべての人に光をあてる都政へ──日本共産党都議団の提案

<予算組み替え>
 日本共産党都議団は、予算の6.6%を組み替えるだけで、中小企業や福祉労働者の賃上げ、100万世帯に月1万円の家賃補助、国保や後期高齢の保険料の値下げなど、くらしを守り、都民の権利を保障し、切実な要求を前に進める145項目が実現できることを示しました。

<中小企業の賃上げ応援助成金条例・子どもの国民健康保険料ゼロ円条例>
 都が実施している中小企業の賃上げなどの奨励金は、事業規模が小さく、申し込んでも抽選でふるい落とされる上に、支給まで1年半もかかります。しかも賃上げはあれこれのメニューのひとつにすぎず、賃上げの奨励金に限れば、2023年度分で昨年末までに支給決定したのは、わずか53社、276人であることが質疑で明らかになりました。これでは、物価上昇を上回る流れを確かなものにしていくという知事の答弁は、絵に描いた餅です。
 わが党の条例提案は、岩手県や徳島県が実施しているように、賃上げだけを要件とするシンプルなもので、一人12万円、年間1万社対象に、賃上げを支援します。
 また、国保料の条例提案は、子どもが増えるたびに数万円の保険料が増える、子どもの均等割保険料を都が全額負担し、所得ゼロの子どもの国保料をゼロ円にするものです。

<水道料金の10%、消費税分の値下げ>
 都が自らできることとして、一般家庭や小規模事業所の水道料金の10%、消費税分の値下げを提案しました。予算特別委員会の質疑を通じて、年間195億円あれば、東京都水道局の契約者全体の97%に対して水道料金の10%値下げができることが明らかになりました。新年度一般会計予算のわずか0.2%であり、やる気になれば、すぐに実現できます。
 予算の組み替えや条例提案は、自民、公明、都ファなどの反対で成立しませんでしたが、すべての人に光をあてる都政へ──提案した内容が実を結ぶところまで、引き続き力を尽くします。

③ 「東京アプリ」の普及に800億円使うより、物価高騰対策を

 2024年度最終補正予算案で、「東京アプリ」をダウンロードするために、7000ポイントを配る「キャンペーン」に800億円も投じることに、税金の使い方が間違っているなどの声が寄せられています。この事業は、そもそも物価高騰対策ではありません。しかも、スマホとマイナカードの両方を持っていなければ、ポイントを受け取ることさえできません。任意のマイナカードを事実上強制していくようなやり方も、抜本的に見直すべきです。

2 「財界ファースト」の都政からの転換を求め、きびしく論戦

① 再開発を規制し、高騰する住宅費・家賃の軽減を

 東京都の至れり尽くせりの誘導策により、都内各地で進む「財界ファースト」の再開発が土地の価格を引き上げ、住宅費や家賃の異常な高騰を招いています。
 知事が進めるファンドを活用した「アフォーダブル住宅」は、どれぐらいの家賃か、何戸供給されるのかも答弁できませんでした。日本共産党都議団は、「住まいは権利」という立場から、100万世帯への月1万円の緊急家賃補助、所得に応じた家賃で住み続けることができる「都型社会住宅」を5万戸、都営住宅を10万戸、いずれも10年間で供給するとともに、再開発を規制します。

② 外苑再開発などの見直しへ、環境影響評価条例の一部改正を6会派共同で提案

 神宮外苑は樹木が次々伐採され、多くの人が胸を痛めています。銀杏並木の保全をはじめ、これ以上、神宮外苑の自然と歴史、文化を傷つけることは許されません。わが党を含め都議会外苑議連に参加する6会派共同で提出した東京都環境影響評価条例の一部改正案は、神宮外苑などの再開発から自然環境や住環境を守る力を発揮できるよう、都の環境アセスを強化するものです。これも自民、公明、都ファなどの反対で成立しませんでしたが、引き続き都民の運動と連携して神宮外苑を守る取り組みを進めます。

③ IR・カジノと一体の巨大噴水、都庁を照らすプロジェクションマッピングの中止を求める

 都民の批判が広がる巨大噴水整備に26億円もの予算を計上していますが、予算案発表後の2月に、海水ではなく水道水に変更したことが、わが党の質疑で明らかになりました。設計変更が必要になるなど、予算の根拠が崩れ、事業費がさらに膨らむ事態になっています。同時に日本共産党都議団は、巨大噴水はIR・カジノに付き物であることを示し、巨大噴水整備とIR・カジノ誘致、都庁を照らすプロジェクションマッピングはきっぱり中止することを求めました。

④ 都立中央図書館まで再開発に組み込む「財界ファースト」からの転換が急務

 閑静な都立公園の一角にある都立中央図書館の老朽化にともなう改築・移転を、神宮前5丁目再開発に組み込んで実施する計画が突如示されました。利益優先の再開発により、都立中央図書館としてのあり方が根本からゆがめられることが危ぐされます。都立中央図書館の改築は、その機能の拡充・強化を最優先にして、独立した事業として実施すべきです。再開発に組み込むようなことは、すべきではありません。

⑤ 中学校英語スピーキングテストは、破たんが一層に明らかに

 都民の批判が広がる欠陥だらけの英語スピーキングテストは、試験開始15分前まで試験監督が募集され、再試験対象者が255人と昨年度の4倍、一昨年度の10倍にも増えるなど、これまで以上にずさんで、中学生に多大な被害を与えている実態が明らかになりました。きっぱり中止するしかありません。

3 都民の運動と連携して都民要求実現へ、都政を前に動かす日本共産党都議団

<防災・避難所対策>
 
わが党は、災害時の避難所のトイレ、キッチン、ベッドなどの環境確保のため国際基準の「スフィア基準」を参考にすべきだと初めて都議会で取り上げ、実現を求めてきました。避難所での生活改善を求めた質問に、「スフィア基準に準拠した」目指すべき避難所の基準を示し、「着実に進めるため、新たな補助金の創設などにより、区市町村を支援」すると都が答弁したことは重要です。

<商店街への支援>
 豪雨や暴風など相次ぐ大規模な自然災害に備える対策として、商店街が行う街路灯やアーケード等の点検の支援を実施していくと答弁しました。東京都商店街連合会が要望していたものです。さらに街路灯の電気代支援や「商店街まるごと耐震化促進事業」などの実施を提案しました。

<農地の確保>
 日本共産党都議団の提案が実り創設された農地の長期貸借を支援する奨励金について、金額の引き上げなど拡充を提案。1000㎡あたり区部30万円、市部20万円から、「120万円と充実し、農地を保全する」と答弁がありました。提案どおり区部と市部の格差もなくなります。

<障害児施設運営費補助の改善>
 都内の医療型障害児入所施設が足りないため、都外に入所するお子さんが増えています。ところが都は、2000年以降にできた都外の施設には、都独自の運営費補助である「サービス推進費補助」を出していません。わが党は補助が出ていない施設を訪ね、要望を聞き、委員会で3度にわたり質問してきました。今回、本会議で改善を求める質問に対し、都が来年度からの改善を表明したことは重要です。さらに、医療型障害児入所施設を都内で増やすことを求めました。

<民間病院への支援>
 わが党は昨年9月議会で、民間病院の約半数が赤字という東京都病院協会の調査結果を示し、都医師会が要望していた財政支援の実施を求めました。その後、予算案に321億円の予算が計上され、今定例会でわが党の質問に知事が、急激な物価高騰等が病院経営を圧迫しているとして、緊急的かつ臨時的な民間病院への支援を表明したことは重要です。

<補聴器購入費助成>
 都民の運動と日本共産党都議団の論戦で、2024年度に実施された個別補助事業により、補助要件の明確化や補助の拡充など支援が強化され、実施区市町村が24年度36自治体、25年度予算52自治体と着実に増え、個別補助の成果が表れていることが改めて明らかになりました。

<特別支援学校の増設>
 
わが党は特別支援学校の教室不足の実態を示しながら、学校の新設を求めてきましたが、江戸川区に新設の計画が示されたことは重要です。しかし現状の計画だけでは足りません。子どもたちの安全と学ぶ環境を保障するため、施設の基準緩和は行わず、増設を進めることを求めます。

<男女賃金格差>
 
女性の半分は非正規で、低賃金となっていることがシングル女性の困窮を生み出していることへの認識を問う質問に対し、都が「働く場における男女の平等参画は十分でなく、男女の賃金格差などにつながっております」と答弁しました。さらに知事が、中小企業が非正規雇用の方を正社員化する場合、来年度は賃上げなどを行う企業に手厚い支援を進めていくと表明したことは重要です。

4 都議会自民党の裏金問題、天下りポストの裏管理リストを追及

<特定会派とのゆ着を示す裏管理リスト>
 都が退職者管理条例に基づき毎年公表している幹部職員の再就職状況一覧とは別に、天下りポストの裏管理リストを作成していることを、わが党は明らかにしました。天下りポストの年収や退職金、秘書・車の送迎・専用個室の有る無しなどが記載されています。このようなリストを作っていること自体大問題ですが、見過ごせないのは、その中に都議会自民党の政調会が入っていることです。知事が代表を務めていた当時、都民ファーストの会は「都庁OB職員が一部会派の控室の職員として採用され、都庁と都議会のなれ合いが問題視されている」古い都議会を変えると公約しました。質疑で小池知事は、この公約を投げ捨てました。特定会派と執行機関のゆ着、なれ合いを断ち切るため、都庁幹部職員の都議会会派への再就職・天下りは禁止するようきびしく求めました。

<裏金問題を徹底追及>
 都議会自民党から、自らの裏金問題に対する反省や謝罪の言葉が、今定例会で、ひと言もありませんでした。驚くべきことです。そればかりか、自民党の裏金問題を告発し、追及してきた日本共産党と「しんぶん赤旗」に、くやしまぎれで攻撃の矛先を向けてきました。予算特別委員会で都議会自民党は、都庁内の「しんぶん赤旗」の取扱いについて攻撃しましたが、その中身は、旧統一協会系団体の主張とウリふたつです。解散命令が出された旧統一協会と自民党の深いつながりをうかがわせるものでした。裏金問題への反省がなく、こんなことを続ける都議会自民党に未来はありません。日本共産党都議団は、新たに設置された政治倫理条例検討委員会で、裏金議員当事者や有識者の参考人招致を行うなど、真相解明と再発防止のために全力をあげます。

<都議会のチェック機能を取り戻す>
 小池知事が野党会派への答弁を拒否し、答弁の中身にも露骨に差をつける、「排除します」という姿勢をとっていることが、答弁者全体に影響をおよぼし、議会のあり方をゆがめています。日本共産党都議団は、住民代表機関として行政を厳しくチェックするという議会本来のあり方を取り戻すために全力を尽くします。

5 首都東京から平和の発信を

 今年は東京大空襲80年、被爆80年、戦後80年、「都民平和アピール」が採択されて30年の節目の年です。当時の都議会の全ての会派も賛成して参加者全員で採択した「都民平和アピール」は、「日々の生活において、平和を脅かす問題に、毅然として立ち向かい、忍耐強く取り組むことを決意」しています。安全保障と核兵器の問題は国の問題という後ろ向きの姿勢を改め、「アピール」に相応しい平和の取り組みを都として進めること、東京都平和祈念館の建設に一歩踏み出すことを強く求めました。

 6月に行われる都議会議員選挙まで、2カ月余りです。日本共産党都議団は、都民運動と連携し、都議会野党第一党として論戦をリードし共同を広げ、都民要求を前に進めてきました。引き続き、19議席の力を存分に発揮して奮闘する決意です。

以 上