文書質問 都内の酪農家が営みを続けていくための支援について 藤田りょうこ(大田区選出)
2024年第4回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 藤田りょうこ
質問事項
答弁
一 都内の酪農家が営みを続けていくための支援について
牛乳の購入価格は年々高騰し、物価高騰を上回る賃上げや年金の引き上げが実現しない中では、これ以上乳価を上げることは困難です。
収入が増えない中、酪農経営を支えるためには、燃料費や飼料代などの支出による負担を軽減することが不可欠となっています。都内酪農の現状と、酪農経営を支える実効性ある支援を求めて、以下、質問します。
一般社団法人中央酪農会議(所在地:東京都千代田区)は、全国の指定団体で受託している酪農家の戸数を集計した結果、2024年10月に初めて1万戸を割り9,960戸となったと公表しました。日本の酪農は生産基盤の危
機を迎えています。
1 都内の酪農家の数はどうなっていますか。2005年以降について、5年ごとの数とともに、直近5年間の数についても伺います。
酪農家の半数が離農を検討しており、その背景には、生産コストの上昇や収入の減少に直面しているという実態があります。中央酪農会議の調査では、酪農家の6割が赤字で、8割が経営環境の悪さを感じていました。
農林水産省の調査によると、2022年の生産コストは、えさ代の高騰などの影響でそれまでの10年間(2013年~2022年)の平均より18%余り上昇しました。一方、収入はほぼ横ばいの状態が続いているため、手元に残る所得は10年間の平均より60%減ったということです。
2 私がお話を伺った酪農家の方も、今年度は赤字になるだろうと話されていました。また、酪農家の間では「離農がブーム」になっているというお話もあります。都内の酪農家が減少していることについて、都はどう認識していますか。
酪農家のお話では、赤字の原因は、乳価が低いことと、原材料費や燃料費が高騰していることだと言います。赤字にならないための支援が必要です。
都内の酪農家が搾った牛乳のうち、多摩地域の牛乳は協同乳業が集め「東京牛乳」として出荷しており、都は、「地域特産品認証食品」として、付加価値を付ける取り組みを支援しています。
東京牛乳は1本300円であり、市場のほかの牛乳に比べやや高い価格で販売されていますが、愛好家が多く、すぐに売り切れています。
一方で、今年の夏の猛暑日は、過去最高の日数となった昨年を更新し、平均気温も高くなりました。そのため、畜産や酪農では牛が暑さで死亡したり、お乳が出にくくなったりしています。酪農家では、牛の体温が上がらないよう、扇風機や冷風機などを使っていますが、そうした電気料金の値上がりが、経営に大きな負担となっていると言います。
酪農経営の赤字のうち、大きな負担となっているのが光熱費です。調査でも、上昇を感じている生産コスト(複数回答可)は、「光熱水料・動力費」が81%となっています。
3 都内産牛乳の生産量が不安定になれば、都の地域特産品の認定にも影響します。乳牛の健康管理に、猛暑対策が欠かせなくなっていることからも、酪農業への光熱費の支援が必要ではありませんか。
酪農経営が悪化している要因(複数回答可)について、ほとんどの酪農家が「上昇している生産コスト」だと回答しています。上昇を感じる生産コスト(複数回答可)についても、94%が「濃厚飼料費(配合飼料等)」と答えています。
海外から輸入している穀物や牧草などのえさ代は、この数年で以前の倍近くに上がっています。そのため都は、国産飼料の輸送費の補助を行っており、酪農家からも大変助かっていると言う声があります。
中長期的に国内の酪農を支えていくには、現在、輸入が半分程度を占めている餌の国産化をさらに進める必要があります。
4 農業経済学が専門の北海道大学大学院の小林国之准教授は、「地域の農家が連携してこれまで水田だった所で牧草を作るなど、えさの確保を目指す取り組みも徐々に始まっている。手間はかかるけれども地道な取り組みをどう育てていくかが非常に重要なポイントだ」と述べています。この指摘をどう受け止めますか。
5 濃厚飼料(配合飼料)代に対する支援として都は、配合飼料価格高騰緊急対策事業を実施しています。これは、配合飼料の価格上昇により影響を受ける畜産農家の負担を軽減するため、国の「配合飼料価格安定制度」で畜産農家が負担する積立金の一部を補助する制度となっています。
国の制度は、輸入原料価格を抑えるための基金であり、もっとも負担が大きくなっている配合飼料代そのものの負担は軽減されません。都として緊急に、酪農家への飼料代補助を行うべきではありませんか。
酪農家の方はほぼ家族で経営する中、毎日2回の搾乳を行わなければならず休みの取得は非常に困難です。そのため、酪農ヘルパーの活用は欠かせません。
お話を伺った酪農家の方は、小さな子どもを育てており、酪農ヘルパーを毎月2・3回利用しているそうです。しかし、人出不足や人件費の引上げなどから、近年では毎年のように時給800円ずつ値上がりしていて、1回の派遣で一人2万円、ふたりだと2万8千円かかるため、負担は大きいと言います。また、酪農ヘルパーの予約には3か月前から依頼しなければならないとのことでした。
6 一般社団法人酪農ヘルパー全国協会の調査によると、東京都内の酪農家が酪農ヘルパーを利用する回数は、年間平均で20回となっていて、この5年では最低です。酪農家の方が、適切に休みを取りながら営農できることは、経営を継続するうえでも重要だと思いますが、都の見解を伺います。
7 都内の酪農家が利用した酪農ヘルパーの利用実績と、酪農ヘルパーの人数について、直近5年間の推移を伺います。
8 経営が厳しい酪農家でも、必要な時に酪農ヘルパーが使えるよう、費用負担への支援を求めます。都の見解を伺います。
2024年第4回都議会定例会
藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 都内の酪農家が営みを続けていくための支援について
1 都内の酪農家の数はどうなっているか伺う。2005年以降について、5年ごとの数とともに、直近5年間の数についても伺う。
回答
都内酪農家数の推移は、平成17年は92戸、平成22年は64戸、平成27年は51戸、令和2年は44戸、令和3年は43戸、令和4年は41戸、令和5年は39戸、令和6年は37戸となっています。
質問事項
一の2 都内の酪農家が減少していることについて、認識を伺う。
回答
都内の畜産農家の飼料価格の高止まりなどによる厳しい経営環境を踏まえ、持続可能な農業の実現に向けて後押しすることが重要と考えています。
質問事項
一の3 都内産牛乳の生産量が不安定になれば、都の地域特産品の認定にも影響する。乳牛の健康管理に、猛暑対策が欠かせなくなっていることからも、酪農業への光熱費の支援が必要ではないか。
回答
都は、畜産農家に対し、飼料となる国産の牧草の購入を後押しすることや、省エネ効果のある設備導入への支援等を行っています。
質問事項
一の4 農業経済学が専門の北海道大学大学院の小林国之准教授は、「地域の農家が連携してこれまで水田だった所で牧草を作るなど、えさの確保を目指す取り組みも徐々に始まっている。手間はかかるけれども地道な取り組みをどう育てていくかが非常に重要なポイントだ」と述べているが、この指摘をどう受け止めるか伺う。
回答
都は、都内酪農家が飼料となる国産の牧草を購入する場合や牧草を栽培する場合に、必要な経費への支援を行っています。
質問事項
一の5 都は、配合飼料価格高騰緊急対策事業を実施し、国の「配合飼料価格安定制度」で畜産農家が負担する積立金の一部を補助しているが、国の制度は、輸入原料価格を抑えるための基金であり、もっとも負担が大きくなっている配合飼料代そのものの負担は軽減されない。都として緊急に、酪農家への飼料代補助を行うべきではないか。
回答
都は、畜産農家に対し、飼料となる国産の牧草の購入や生産性を高める設備導入への支援等を引き続き行ってまいります。
質問事項
一の6 一般社団法人酪農ヘルパー全国協会の調査によると、東京都内の酪農家が酪農ヘルパーを利用する回数は、年間平均で20回であり、この5年で最低である。酪農家が、適切に休みを取りながら営農できることは、経営を継続するうえでも重要だが、見解を伺う。
回答
都は、持続可能な農業を図る上で、搾乳作業の自動化や酪農ヘルパー制度の活用など、酪農家の作業負担の軽減につながる取組を後押しすることが重要であると考えています。
質問事項
一の7 都内の酪農家が利用した酪農ヘルパーの利用実績と、酪農ヘルパーの人数について、直近5年間の推移を伺う。
回答
都内酪農ヘルパーの利用実績については、令和元年度は665回、令和2年度は647回、令和3年度は573回、令和4年度は598回、令和5年度は437回です。
また、ヘルパーの人数については、令和元年度から令和4年度までは3人、令和5年度は2人です。
質問事項
一の8 経営が厳しい酪農家でも、必要な時に酪農ヘルパーが使えるよう、費用負担への支援を求めるが、見解を伺う。
回答
都は、農家が酪農ヘルパーを利用する場合の支援を行っています。