文書質問 「よつぎ療育園」について 和泉なおみ(葛飾区選出)
令和年2024第4回都議会定例会
文 書 質 問 趣 意 書
提出者 和 泉 な お み
質 問 事 項
一 「よつぎ療育園」について
回答
一 「よつぎ療育園」について
一 「よつぎ療育園」について
よつぎ療育園は、日常的な健康管理や基本的な生活の支援などとともに、レクリエーション、季節の行事等を楽しむことができる通所施設と、診療、リハビリテーション、相談等が行える外来診療が一体的に整備されています。よつぎ療育園は、なくてはならない重要な施設です。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために通所日数が減らされ、本人と家族の生活と健康に重大な影響が出ていることが保護者の皆さんのアンケートからも浮き彫りになり、私は、令和2年第三回定例都議会において、文書質問で改善を求めました。
コロナの感染対策において、よつぎ療育園由来のクラスターは発生していません。このこと自体は大変重要です。関係者が感染対策の基本意識が高かったことに加え、通所の回数やバスの乗車人数を減らし、活動制限を行ったこと、外来診療も人数を制限し、時間も完全予約制にする、発熱患者を制限する等、厳しい利用制限を行ったことによる効果です。
しかし、この対応に対する関係者の満足度はきわめて低いものでした。通所利用者は、厳しい通所制限で自宅での介護は限界となり、外来利用者からは他院で診てもらえないから「よつぎ」なのに、と声が上がり、困っている利用者の支援ができないことに対する医療職・福祉職の職員からの批判が相次ぎました。歴代育ててきた「よつぎ」の良さが失われた、と関係者は語っています。
「ここまでやれば感染などおきないでしょう」というレベルまで絞り込まないと、通所の維持が困難な状況になったのは、施設が狭隘である事や、診療と外来の入り口が分離されていないなど、職員や利用者の工夫が不可能なほど構造上・立地上の問題が多かったからにほかなりません。
よつぎ療育園は開設以来、拡張性のない施設の狭隘さ、外来ニーズに応えきれないという一貫した課題を抱えてきました。加えて、通所では重症者の増加による資源不足で定員での運用が困難になっており、診療でも神経・知的発達症の増加など、医療需要も増えていて、人員・設備ともに足りない状況でした。現場の工夫は、限界を迎えていることに、都は正面から向き合うべきです。
コロナによって、より浮き彫りになった、このような状況を踏まえ、以下質問します。
1 療育施設は、肢体不自由児のリハ、整形、ソーシャルスキルなどの自立支援、心のケア、重症心身障害児者の在宅支援、医療、被虐児・養育困難児への対応、地域支援、地域機関のバックアップ、サポートなど、地域の多様なニーズに応える複合施設として重要な役割を果たすべきであると思いますが、都の認識を伺います。
2 療育施設が役割をはたすうえで、人員の確保や施設・設備の充実にかかる都の責任は大きいと思いますが、都の認識と取組みについて伺います。
3 現在のよつぎ療育園は、「重症化」の進展と、感染症流行時などにおける「安全」に対する考え方の変化に対応できていないという声が、現場から上がっていることを都は、どう認識していますか。
4 通所利用者の多様な全身管理、いざというときに入院管理が可能な診療体制が必要だという現場の切実な要求に、都はどう取り組むのですか。
5 看護師が添乗する医療バスも現在確保できるのは2台が限度です。医療バスを増やせるよう都として予算措置を行なうべきですが、いかがですか。
6 外来事業では、歯科の設置基準が満たせず、検診しか行えていません。歯科の設置に向けた都の対応を求めますが、いかがですか。
7 臨床検査のための脳波計、心電図など老朽化した機械の買い替えが必要です。現場の実態をよく調査して、設備の更新のために都が予算措置を行なうべきですが、いかがですか。
8 そもそも、施設が狭隘である事、都営住宅の1階にあり、施設と住民の動線が分離されていないことなど、構造的課題は、現場の努力と工夫だけでは解消できません。今後、都立療育施設が老朽化した際には、施設の整備に向けた検討を行う必要があると考える。都の見解を求めます。
令和6年第四回都議会定例会
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書
質 問 事 項
一 よつぎ療育園について
1 療育施設は、肢体不自由児の支援、重症心身障害児者の支援、被虐児・養育困難児への対応、地域機関のバックアップ、サポートなど、地域の多様なニーズに応える複合施設として重要な役割を果たすべきだが、都の認識を伺う。
回 答
都立重症心身障害児者施設であるよつぎ療育園は、地域における重症心身障害児者の在宅生活を支援するため、通所事業と外来診療を実施しています。
質 問 事 項
一の2 療育施設が役割をはたすうえで、人員の確保や施設・設備の充実にかかる都の責任は大きいが、都の認識と取組みについて伺う。
回 答
よつぎ療育園は、障害者総合支援法に基づく生活介護事業所及び児童福祉法に基づく児童発達支援事業所であり、都条例に定める人員や設備の基準に基づき運営されています。
また、指定管理者制度に基づき都が指定する法人により運営されており、都は必要な経費を負担しています。
質 問 事 項
一の3 現在のよつぎ療育園は、「重症化」の進展と、感染症流行時などにおける「安全」に対する考え方の変化に対応できていないという声が現場から上がっていることを、都は、どう認識しているか伺う。
回 答
よつぎ療育園では、医療的ケアが必要な重症心身障害児者を対象に外来診療や通所訓練等を実施しており、感染防止策を講じながら利用者の安全を最優先に考え、施設運営を行っています。
質 問 事 項
一の4 通所利用者の多様な全身管理、いざというときに入院管理が可能な診療体制が必要だという現場の要求に、都はどう取り組むのか伺う。
回 答
よつぎ療育園の通所利用者の入院管理が必要な場合には、東部療育センターなど、近隣の都立重症心身障害児者施設と連携して対応しています。
質 問 事 項
一の5 医療バスを増やせるよう都として予算措置を行なうべきだが、見解を伺う。
回 答
よつぎ療育園では、通所事業の送迎のため、酸素や吸引器具などを常備したバス5台を運行しており、都は、必要な予算を措置しています。
質 問 事 項
一の6 外来事業で歯科の設置に向けた都の対応を求めるが、見解を伺う。
回 答
よつぎ療育園における歯科診療については、東部療育センターなど、近隣の都立重症心身障害児者施設と連携して対応しています。
質 問 事 項
一の7 臨床検査のための脳波計、心電図など老朽化した機械の買い替えのため、現場の実態をよく調査して、設備の更新のために都が予算措置を行なうべきだが、見解を伺う。
回 答
都は、各都立施設における設備の耐用年数や使用状況等を踏まえ、更新に必要な予算を措置しています。
質 問 事 項
一の8 施設が狭隘、施設と住民の動線が分離されていないなど、構造的課題は、現場の努力と工夫だけでは解消できない。今後、都立療育施設が老朽化した際には、施設の整備に向けた検討を行う必要があると考えるが、都の見解を伺う。
回 答
東京都障害者・障害児施策推進計画では、都立重症心身障害児者施設の老朽化に適切に対応することとしています。