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質問・条例提案

予算特別委員会 和泉なおみ都議(葛飾区選出)のしめくくり総括質疑

★録音を文字起こししたものです。

  1. 理事者、説明員のあり方について
  2. 外郭団体OB役員名簿(天下りポストリスト)について
  3. 平和への取りくみについて
  4. 子ども、学生の交通費について
  5. 高齢者の補聴器購入費助成について
  6. 物価高騰対策/ 水道料金10%値下げ提案について

 


1、理事者、説明員のあり方について

〇和泉委員 日本共産党都議団の和泉なおみです。都議団を代表して、締めくくり総括質疑を行います。
 質問に先立ち、先ほどの都議会自民党、松田副委員長の我が会派に対する発言に一言申し上げます。
 自民党の裏金問題に対する国民、都民の批判が広がっている中、今定例会が始まってから今日に至るまで、都議会自民党から自らの裏金問題に対する反省や謝罪の言葉は一言もありません。そればかりか、自民党の裏金問題を告発し、追及してきた日本共産党としんぶん赤旗に悔し紛れで攻撃の矛先を向けるのは筋違いです。政治倫理条例検討会で裏金問題の議論をうやむやにし、棚上げしたいという意図も見え見えです。
 裏金問題の真相解明に背を向け、反省するどころか、こんなことを続けていたら、ますます国民、都民の信頼を失うでしよう。まず、自らの裏金問題に関する事実を全て明らかにすることを進言しておきます。
 破防法についての発言もありました。
 公安調査庁は多額の税金を使い、七十年以上にわたって我が党への不当な調査活動をしていますが、破壊活動の証拠は何一つとして見つかりません。にもかかわらず、我が党へ の調査活動を続けていることは、憲法の保障する結社の自由に対する重大な侵害であり、直ちにやめるべきです。

 質問に入ります。
 初めに、理事者、説明員のあり方について質問します。
 我が党の斉藤まりこ委員の予特質疑の際、質問のテーマが英語スピーキングテストに入 ったタイミングで配布されるはずの資料を、どういうわけか、質問に入る前から坂本教育長が所持していました。委員の皆さんも、ほかの理事者の皆さんも、まだ持っているはずのない資料を坂本教育長だけが持っているという考えられないことが起こりました。これは、我が会派の多くの議員が目撃しましたし、私自身もまだあるはずのない資料が坂本教育長の席にあるのを間近で確認しています。
 資料をいつ配布するかは、議員の権限に属する問題です。質疑に関わる資料の取扱いについて、議会局は次のように見解を示しています。
 質問者が質問で使用する資料は、質疑を補足するために用いられるもので、質問者の質疑内容と密接に関連するものである。よって、議会局は、質問者の意向に沿うよう資料を取り扱ってきた。質疑に際して資料を配布する場合は、質問者に資料配布のタイミングを確認し、それをメモにして執行機関分の資料とともに財務局に渡す。
 つまり、配布資料については、事前に理事者のまとめ役である財務局に渡したとしても、配布するまでは理事者は見ないという約束と信頼関係のもとに渡しているのであって、配布は質問者が指定したタイミングで行うことが決まりなんです。
 資料を入れた封筒の現物はこれです。ここには、英語スピーキングテストの資料は、英語スピーキングテストのテーマに入ったときに、委員への配布時と一緒に配布するようにと議会局が作成したメモもついています。
 ところが、坂本教育長は斉藤委員が指定したタイミングの前から、この資料を持っているという、まさにあり得ないことが起きたんです。
 財務局に伺います。斉藤委員の質疑で使う英語スピーキングテストの委員会配布資料を、財務局の職員が坂本教育長に渡しましたね。坂本教育長は、財務局の職員にどのように声をかけて、いつ、どのような場で渡したんですか。また、ほかの理事者には渡したんですか。

〇山下財務局長 この件を該当の職員から聞き取りました。この聞き取りによりますと、 斉藤委員の質疑が始まる直前の休憩中、本委員会室の理事者側入り口付近の事務局席にお きまして、質疑開始以降、速やかに資料を配布するため、事務局席の職員が資料を広げて仕分けを行っておりました。そうしたところ、本委員会室に入室をし、その資料の仕分け作業 を行っている現場を目にして、教育長からスピーキングに関する資料はあるのと聞かれた とのことでございます。
 その際、当該資料は、質疑開始の前に理事者席に机上配布する性質のものではないこと を説明すべきところ、そうした説明をしなかったと報告を受けており、教育長にその資料の性質を十分にお伝えできていなかったと認識してございます。
 財務局といたしまして、限られた時間の中での資料の管理や、チーム内の報告の徹底などに課題があったと認識してございまして、今後、再発防止に努めてまいります。なお、ほかの理事者からのお尋ねについてはなかったとのことでございます。

〇川松委員長 計測をとめてください。
 本件については、当日から共産党の交渉係の大山理事から、理事会等で取り計らっていただきたいという申入れが私のもとにありました。ただいま財務局長から、この予算特別委員会における質問者の資料取扱いについて、財務局として不手際があった旨の発言がございました。これは円滑に質疑を行うために、各委員と各理事者の皆様方との信頼関係において、事前に資料配布のタイミングもお伝えし、議会局とのやり取りがあったということであります。それゆえに、二度とこういうことが起きないように、今般のようなこの質問があること自体あってはならないことだというふうに私は思います。
 財務局のみならず、各局、各理事者の皆様方には、こういった委員会の資料取扱いについて、二度とこういうことが起きないように、徹底して資料の取扱いについて申し送りし ていただき、再発防止に取り組むよう委員長として強く求めさせていただきます。  
 以後に向けても、しっかりと今年だけに限らず、来年以降もこういうことをちゃんと申 し送りして、意識を共有していただくことを委員長から要望させていただきます。
 計測を始めてください。

〇和泉委員 委員長ありがとうございます。
 斉藤委員の質疑ですから、英語スピーキングテストの委員会配布資料を財務局の職員が、 先ほど申し上げましたね。今、財務局からいただいた答弁、重要なことが二つあるんです。

 一点目は、坂本教育長は、斉藤委員の質疑が始まる直前の休憩中に、坂本教育長の方からスピーキングテストに関する資料はあるかと声をかけ、資料を入手したということです。
 そもそも、一般職員にとって教育長は明らかに優越的な立場にあります。教育長に求められたら断ることは極めて困難です。坂本教育長がその地位を利用して、本来入手しては いけない資料を入手したということが問題なんです。財務局の責任だということではなく て、この問題の本質はこ坂本教育長がそういうことを行ったということなんです。そこを強調しておきたいと思います。

 しかも、事前に入手したその資料をもとにして、部課長を呼び寄せて、この委員会室で打合せをしているということも、私、目の前で確認をしました。

 先ほどの答弁で重要な点の二点目です。ほかの理事者は誰一人としてそんなことをした 人はいないということです。
 今回だけでなく、過去にも坂本教育長以外に事前に資料を入手しようとした理事者はい ません。それは、その行為が議員の権限を侵す、やってはならないことだと誰もが分かっ ているからです。それゆえに、先ほど委員長からも特別に時計をとめて発言があったんです。坂本教育長の行為は前代未聞のルール違反だということです。

 坂本教育長に伺います。委員会で質問者が配布する資料を事前に入手することは、問題のある行為だという認識をお持ちでしようか。

〇坂本教育長 作業をしている状況から、資料は既にオープンになっているものと考えていたところでございます。
 
〇和泉委員 ちょっと驚きの答弁です。もう既にオープンになっているものだと思ってい たと。委員会室に入って、ご自分の席に着かれて、ほかの理事者に誰もこの資料が配られていないというのは、見ればすぐ分かることです。理事者がもう既にオープンになっていると思っていたと、そんなこと胸を張っていえることでしようか。本当に、そういうこと自体が恥ずかしいことだというふうに思います。

 先ほど述べたとおり、これまで誰一人として、そんなことをやった人はいないんですよ。あなただけがオープンになっているものだと思って勝手に自分でそう判断して、自分の手に取っていい、そんなことがあり得るでしようか。本当に教育長がやったことを正当化す ることは到底できないと思います。

 そして、もう配布されてオープンになっているものだと思っていたと、あたかも職員が悪いかのようにいいますけど、それ自体がとんでもないことですよ。自らが声をかけて、本来配られるタイミングまで待たずに、自ら声をかけてルール違反で資料を入手して、そ してそれを職員に責任転嫁するなんていうことはもってのほかです。
 本当に教育長、教育行政のトップとしてやるべきことではありません。坂本教育長に教育分野に携わる資格はないといわざるを得ないと思います。
 知事に伺います。このまま坂本教育長に東京の教育行政を任せていいんでしようか。知事、いかがですか。

〇小池知事 ご承知のように、教育長の職責というものは都議会の議決を得て任命をしているものでございます。
 明るい未来をつくるのは人であると何度も私申し上げてまいりました。次世代を担う子供たちが新たな時代への扉を開く、そして力強く羽ばたく力を身につけられるように、坂本教育長には教育行政の先頭に立って存分に力を発揮していただいております。

〇和泉委員 知事ね、子供たちの明るい未来に向かって、教育行政を担うんだ、坂本教育長に引き続き任せるんだと、そうおっしゃいましたけれども、今回、坂本教育長がやった ことは重大な議会のルールを違反したということですよ。私、質疑していても、本当に東京の子供たちに恥ずかしいと思いますよ。
 しかも、議会の議決を得ているんだというふうに知事は今おっしゃいました。職員に責任転嫁するだけでは事足りなくて、今度は議会に責任転嫁するんですか。議会が選任の同意を与えた、その議会をあなたはその信任を裏切ったんじゃありませんか。
 委員長、これは特別職の理事者が委員会のルールを公然と破り、議会を冒涜した重大な問題だというふうに、先ほど委員長からもありましたけれども、委員会としての対応が必要だと思います。このようなことは絶対にあってはならないということを委員会として確認をしていただきたいと思います。
 そして、こに至るまで坂本教育長からは反省の言葉が一言もないんですよ。同時に 本会議への委員長報告に入れるなど、再発を防ぐために、しかるべき対応をしていただくことをお願いします。

2、外郭団体等OB役員名簿(天下りポストリスト)について

〇和泉委員 続いて、外郭団体等O B役員名簿について質問します。
 我が党の代表総括質疑で白石委員が、総務局人事部が作成している外郭団体等O B役員 名簿について質疑しました。総務局長は名簿の存在を認め、人事担当者が人事事務の一環として可能な範囲で、主な元幹部職員の再就職先や連絡先を把握するために随時つくって いるものだとの答弁を繰り返しました。
 白石委員が連絡を取るための名簿であるなら、個室があるかどうかとか、秘書がいるか どうかとか、年収が幾らかなどという待遇の情報がなぜ必要なのかとただしても、明確な答弁ありませんでした。単なる退職した幹部職員の連絡名簿なのか、それとも天下りポス トのリストなのか、はっきりさせる必要があります。
 改めて確認していきたいと思います。この名簿には新設ポストと記載があります。これ はどういう意味ですか。

〇佐藤総務局長 お話の名簿ですけれども、例えば適材推薦団体への推薦ですとか、審議 、有識者会議、委員の就任に当たっての人材情報の確認、それから過去の事業の経緯を尋ねるなど、何か問い合わせるときに元幹部職員がどのような状況にあるのか持続的に確認するための資料でございます。
 お話の記載につきましては、当該職に都の元幹部職員が初めて就いた場合に、人事担当者がそのような記述をしてきたものと認識をしております。
 名簿は、人事事務の一環として以前から可能な範囲で把握できた再就職先や連絡先、勤務条件などの情報をその時々の担当者が適宜書き留めてきたものでありまして、そのため以前から更新されていない情報ですとか、不確実なものも含まれております。全てにお話のような記載があるわけでもございません。
 いずれにせよ、元幹部職員の再就職につきましては、条例に基づき適切に運用を行って おります。

〇和泉委員 長々ご答弁されましたけれども、つまり新たな天下りポストができると新設 ポストとしてリストに追加されるということなんです。ポスト管理なんですよ。
 続けて伺いますが、人事部所管ポストというのはどういう意味ですか。

〇佐藤総務局長 名簿は、人事担当者が人事事務の一環として以前から可能な範囲で把握できた再就職先や連絡先、勤務条件などの情報を適宜書き留めてきているものであります。
 適材推薦団体への推薦や営利企業等への人材情報の提供についての実務を総務局人事部が担当する旨を、人事担当者がそのように記述してきたものではないかと認識しておりま す。あくまで担当者用の資料でありまして、以前からそのままとなっている記載もござい ます。
 いずれにいたしましても、元幹部職員の再就職につきましては、条例に基づき、適材推薦団体への推薦、営利企業等からの求人申込みに対する人材情報の提共、個人による求職活動の承認を行うなど、都民の信頼を損なうことがないよう適切に運用を行っております。

〇和泉委員 総務人事部が窓口として対応することとした、そういうふうに私は聞いているんです。再就職先や連絡先を把握するのに、総務人事部が窓口として誰と、どんな 対応が必要なのか。先方となのか、本人となのか、あるいはその両方なのか、それについては答弁ありませんでしたけれども、いずれにしても窓口として対応しているポストだということなんですよ。
 先ほど条例でってありましたけど、厳格な運用のもとで公表されている条例の外で、公表されない天下り先を管理する裏リストがあるということなんですよ。だから、年収がどうだとか、秘書がいるかいないかとか、個室があるかないかとか、送迎の車があるかないか、退職金があるかないか、それを把握する必要があるんではないんですか。
 知事に伺います。白石委員に対し、知事は名簿について承知していないと答弁をされました。その名簿について確認をされましたでしょうか。したか、していないか、イエスかノーかでお答えいただけますでしようか。

〇佐藤総務局長 名簿の性格なんですけれども、人事担当者が人事事務の一環として扱っ ているもので、可能な範囲で連絡先ですとか、勤務条件などの情報を適宜メモとして書き留 めてきているもので、適材雄薦団体への推薦ですとか、審議会等への委員の就任に当たっての情報の確認ですとか、問合の際などに使用しております。また、元幹部職員がどのような状況にあるのか持続的に確認するためのものでございます。  
 あくまで人事担当者が基礎資料としてメモしているような資料でありまして、以前から更新されていない情報ですとか、不確実なものなども含まれておりまして、そもそも知事に確認をいただくような性質の資料ではございません。
 したがって、本資料につきましては知事にご確認をいただいておりません。

〇和泉委員 私、知事に伺ったんですよ。この名簿がどういう性質の名簿かというのは、 知事がご自分の目で確認していただければ、すぐに分かることだというふうに思います。なぜそれをやらないのか、現実をちゃんと直視してなぜ対応しないのか、極めて疑問です。


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 こちらのパネルをご覧ください。知事が当時代表を務めていた都民ファーストの会の公約です。ここには、都庁職員OB都議会会派への天下りを取り上げています。何と書かれているか、皆さんの手元にも資料が配ってあります。都庁OB職員が一部会派の控室の職員として採用され、都庁と都議会の慣れ合いが問題視されていると指摘しています。
 もう一度、知事にお聞きします。この一部会派というのは、自民党のことですね。知事、お願いしますよ。

〇佐藤総務局長 まず質問の前提なんですけども、元幹部職員の当該団体の再就職につきまして都は関与しておりません。名簿を再就職のあっせんに使っているという前提でご質問されていると思うんですけれども、人事担当者が自らの人事事務に使うための基礎資料として、可能な範囲で把握できた情報について記載しているものでありまして、適材推薦団体へ適材な人選を推薦する場合の人材情報の確認ですとか、審議会、有識者会議の委員への就任に当たっての人材情報の確認、過去の事業の経緯を尋ねるなど、何か問合せするときに、また元幹部職員がどのような状況にあるのかを持続的に確認するために使っている資料でございます。

〇和泉委員 知事の公約について聞いたんですよ。なぜ局長が答えるんですか。総務局長に聞いていませんよ。知事、知事ご自身の公約の中に 一部の人間、集団の利益のために都政があってはならない、こういっているんです。私は本当にそのとおりだというふうに思うんですよ。
 都庁幹部職員の会派への再就職、天下りは禁止するべきではありませんか。知事の公約です。ぜひとも知事に答えていただきたい。

〇小池知事 先ほどから局長がお答えしているとおりでございまして、このおっしゃている名簿でございますが、使い道については局長が述べたとおりと、このように認識いたしております。
 また、知事就任以来、様々な公約を掲げ、志を同じくする都議会の皆様とともに新しい都政をつくるべく、この間、大改革を推し進めてまいっております。退職管理条例に基づきまして、退職管理の厳格な運用はもちろんでございますし、また再就職情報の公表範囲の拡大など、これまで一層の透明化を進めてまいりました。都民ファースト、都民が第一の信念のもと、しがらみのない、真に都民のための都政運営に邁進しております。

〇和泉委員 本当に残念だなというふうに思います。
 厳格に運用されているはずの条例の外でつくられている公表されないリストがあるということを私は問題ではないかとして取り上げました。そして、そのリストの中に都議会自民党のポストがあるということを知事に伺ったんです。これ自体を知事が問題視されていたんです。そのことについて一言も触れることをしない、そしてその名簿を自ら確認することもしない、本当に残念だなというふうに思います。東京大改革は一体どこに行ったんでしよう。都政の透明化は一体どこに行ったんでしようといわざるを得ないです。
 改めて、皆さんにも訴えたいというふうに思います。
 今こそ都議会自民党と東京都の癒着構造にメスを入れるべきです。引き続き、全容解明 と都庁と都議会自民党のゆがんだなれ合いにメスを入れるために、日本共産党都議団が全力を挙げることを申し上げて、次の質問に移ります。

3、平和への取りくみについて

 ロシアによる核の威嚇に世界中で多くの人々が不安を募らせている一方、核兵器禁止条約の締結後、核廃絶を求める世界世論は大きく広がり、昨年はついに日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。
 終戦八十年、東京大空襲八十年、そして被爆八十年の今年、憲法九条を持つ日本が世界の平和と核廃絶にどう貢献するのか、東京大空襲で大きな犠牲を生んだ東京が平和を守る ためにどう取り組むのか、それが問われています。
 都議会議事堂の一角には、戦後五十年の一九九五年に東京都が主催した平和の日記念式典で、参加した全ての人々が賛成して採択された都民平和アピールのモニュメントがあります。当時の都議会の全ての会派も一致して賛成をした都民平和アピールは、冒頭、東京大空襲の被害とともに、広島、長崎への原爆投下の悲劇に言及しています。
 知事、私たちは、軍縮と核兵器の廃絶を機会あるごとに強く訴え、戦争の惨禍を再び繰 り返さないことを誓いますと決意を表明した都民平和アピール、軍縮と核兵器の廃絶を併 せて強く訴えていることの意義を知事はどう受け止めていらっしゃいますか。

〇小池知事 これまでも申し上げてまいりましたが、原爆、そして戦争の記憶を次の世代へ語り継ぐ、平和の大切さを伝えていくということは重要でございます。そのため都は、東京都平和の日条例を制定して、三月十日の記念式典をはじめとする東京空襲資料展などを実施いたしております。
 なお、核廃絶に向けました取組は、国の安全保障に関わる問題でございます。国の脅威に対する都民、国民の不安を踏まえまして、国で対応するべきものと、このように考えております。

〇和泉委員 知事は、都民平和アピールを読んだことがあるでしょうか。私たちは、軍縮と核兵器の廃絶を機会あるごとに強く訴え、日々の生活において、平和を脅かす問題に毅然として立ち向かい、忍耐強く取り組むことを都民平和アピールは固く決意しているんです。核廃絶に向けた取組は、国で対応するものなどという知事の立場は、都民平和アピールと相入れません。
 私の母は広島の出身で、疎開先から原爆投下後間もない広島に戻って被爆しました。ですから私は被爆二世です。けれども、十二歳で両親が離婚し、母と離れ離れになるまで、母から原爆の話を一度も聞いたことがありません。疎開先から戻って、母が目にした光景 は、子どもに語ることができるものではなかったんだと思います。
 世界中の人に二度と自分と同じ思いをしてほしくない、核兵器はこの世にあってはなら ないと被爆の体験を語ってきた被爆者は、自らの傷をえぐるような痛みに耐え、苦しみを何度も乗り越えて語り継いできたんだと思います。その思いを世界は正面から受け止め、 核兵器禁止条約へと結実し、被団協のノーベル平和賞受賞につながりました。
 唯一の戦争被爆国である日本こそ、核廃絶の先頭に立つべきでず。知事、核兵器禁止条約の署名、批准を国に強く求めていただきたい。
 すでに全国では、岩手県議会、長野県議会、沖縄県議会をはじめ、三月二十二日現在で七百十三の自治体が核兵器禁止条約の署名、批准などを求める意見書や決議を上げています。都議会も、この大きな流れに連帯し、ぜひ意見書を上げることを呼びかけるものです。ま た、都が直ちにできるのは非核平和都市宣言です。全国の多くの道府県が既に非核平和都市宣言を行っています。
そこで伺います。現在、非核平和都市宣言を行っていない都道府県はどこですか。

〇佐藤政策企画局長 日本非核宣言自治体協議会のホームページによりますと、非核平和都市宣言をしていない都道府県は、青森県、栃木県、東京都、新潟県、岐阜県の五都県でございます。

〇和泉委員 非核平和都市宣言を行っていないのは、全国四十七都道府県中、東京都を含め、わすか五都県だけなんです。
 知事は、毎年葛飾で行われる原爆犠牲者追悼の集いに参加されています。昨年の集いでは、被爆者が長く耐え難い日々を過ごしていることに思いを寄せ、原爆の記憶を人類共通の記憶として次世代に語り継いでいくことは、今を生きる私たちの重要な使命と述べられました。その使命を果たすためにも、非核平和都市宣言を行うことを求めます。あわせて、 被団協のノーベル平和賞受賞を祝う横断幕を都庁に掲げることを提案します。
 一九四五年三月十日、米軍は東京大空襲を決行し、たった二時間半で十万人もの民間人が亡くなりました。下町は焼き尽くされ、道端や川で亡くなって仮埋葬された方は九万八千人に及びます。その日からちょうど八十年です。
 人として葬られることも、名前すら刻まれることもなく、戦争の犠牲になった多くの人々のことを語り継ぎ、不戦の誓いを次の世代につなぐのは、私たちに課せられた大きな責任です。
 都民平和アピールは、私たちは次代を担う子どもたちに戦争の悲惨さと、それを防止する ことの大切さを東京大空襲の体験などとともに語り伝えますと決意しています。戦争を直接体験して証言できる方が少なくなっている今、この決意の具体化がますます重要だと思いますが、知事の認識を伺います。
 東京大空襲八十年の今年、知事は次代を担う子どもたちに戦争の悲惨さと、それを防止することの大切さを東京大空襲の体験などとともに語り伝えますという都民平和アピールの決意をどう具体化なさるんでしょうか。

〇古屋生活文化スポーツ局長 戦争の記憶を風化させることなく、次の世代に語り継ぎ、平和の大切さを伝えていくことは重要でございます。
 そのため都は、東京都平和の日条例を制定し、毎年継続して三月十日の記念式典をはじめ、東京空襲資料展の開催など平和関連事業を実施しております。

〇和泉委員 私はこの間、知事が繰り返し語られていることをどのように実践するのか、ぜひとも知事の口で語っていただきたかった。知事は、戦争の記憶を風化させることなく次世代に語り継ぐことは重要と、先ほども局長の答弁にありました。知事も繰り返してこられました。
 記意を風化させないために必要なのは、記憶を記録にして伝え続けることです。それを実現する確かな足場となるのが東京都平和祈念館です。広島、長崎、沖縄をはじめ、名古屋、大阪、神戸など空襲などによる被害を受けた経験を持つ都市では、公立の平和祈念館や戦争資料館が設置されています。ところが、東京都にそれがありません。
 ほかの自治体の平和祈念館や戦争資料館について、どのような理念で設置をされたのか、どのような展示がなされているのか、どのような役割を果たしているのかなど、現地の視察も含めて調査を行うべきだというふうに思いますが、いかがですか。

〇古屋生活文化スポーツ局長 平和祈念館(仮称)の建設につきましては、平成十一年の予算審議におきまして、都議会の合意を得た上で実施することとの付帯決議がなされた経緯がございまして、都議会での一定の審議と合意が必要であると考えてございます。

〇和泉委員 質問をお聞きになっていたでしょうか。
 ほかの自治体の平和祈念館や戦争資料館について、現地の視察も含め視察や調査を行うべきではありませんかというふうに聞きました。いかがですか。

〇古屋生活文化スポーツ局長 都外にそうした施設があることは承知しております。
平和祈念館(仮称)の建設につきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、都議会の付帯決議がなされた経緯がございまして、これに関連する事業につきましては、都議 会での一定の審議と合意が必要であると考えてございます。

〇和泉委員 承知してらっしゃるのは当たり前のことなんです。私は、そこに対して調査を求めたんです。
 東京都が平和祈念館(仮称)建設委員会を設置したのが、都民平和アピールの翌年、 一九九六年です。都民からの意見募集も行い、五千点もの遺品が寄せられ、基本設計の予算も計上されました。
 しかし、一九九八年、九九年の都議会の付帯決議をきっかけに計画が凍結されて以降、 四半世紀を超える歳月が流れました。これ以上待っことはできません。
 東京空襲犠牲者遺族会会長の榎本喜久治さん、映画監督の山田洋次さんらが呼びかけ人となって、東京都平和祈念館(仮称)建設の具体化を求める緊急アピールを発表し、吉永百合さんをはじめ、二百三十六人の個人と八十三団体が賛同しています。
 東京都、都議会、都民の皆さんが今こそ力を合わせて、東京大空襲八十年の年に、東京都平和祈念館の建設へ新たな一歩を踏み出そうではありませんか。日本共産党都議団は、心から呼びかけるものです。
 東京大空襲八十年の記念事業として、東京大空襲の語り部育成事業の実施を提案しますが、いかがですか。
〇古屋生活文化スポーツ局長 都は、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い、三月十日を東京都平和の日と定め、この趣旨を広く都民の皆様に伝え、次の世代に語り継ぐため、毎年、平和の日記念式典等を実施しております。
記念行事は、企画検討委員会の意見を伺いながら実施しております。

〇和泉委員 ぜひ検討していただきたいと思うんです。
 もうーつ提案します。
 都民平和アピールの正規の外国語版は英訳のみです。東京都は、こども基本条例については、日本語のほか三か国の正規の外国語版を公表しています。都民平和アピールについ ても、できるだけ多くの言言の翻訳をして普及することを提案しますが、いかがですか。

〇古屋生活文化スポーツ局長 都民平和アピールにつきましては、東京都平和の日記念行事報告書や都のホームページ等で周知をしております。
 記念行事につきましては、企画検討委員会の意見を伺いながら実施しているところでご ざいます。

〇和泉委員 企画検討委員会は、今年度は年二回開催されましたけれども、企画検討委員 の音見を聞きながら実施しようというんであれば、年二回の開催では足りません。開催回数をさらに増やして大いに議論しましよう。私たちも提案していきます。
 ぜひ委員の皆さんの協力も得ながら、東京大空襲八十年、被爆八十年、戦後八十年にふさわしく、一年を通して東京都平和祈念事業を実施し、今と未来を生きる都民へ語り継ぐ平和のメッセージとなる取組にしようではありませんか。日本共産党都議団を代表し、心から呼びかけるものです。

4、子ども、学生の交通費について

〇和泉委員 続いて、子ども、学生の交通費についてです。
 子どもの移動に欠かせない電車やバスなどの公共交通の運賃は、中学生から大人料金となり、大きな負担となっています。子どもの交通運賃が中学生から大人料金になるのはなぜですか、その理由及び根拠規定をお示しください。

〇谷崎東京都技監 鉄道運賃等は、国土交通大臣の認可の下、事業者が上限を定め、その範囲内で設定しております。
 国の鉄道運輸規程の第十条によりますと、鉄道は、旅客の同伴する六歳未満の小児を、旅客一人につき少なくとも一人まで無償で運送することとしており、また十二歳未満の小児を、大人の運賃の半額をもって運送することと定められております。

〇和泉委員 今答弁のありました国の運輸規程ですけれども、これ、いつ、つくられたんでしようか。

〇谷崎東京都技監 鉄道運輸規程における十二歳未満の小児を大人の運賃の半額をもって運送することの規定につきましては、昭和十七年の鉄道省令第三号、鉄道運輸規程の改正時に定められました。
 なお、鉄道運輸規程は必要に応じて適宜見直しが行われており、直近では、令和五年に 部について改正がなされております。


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〇和泉委員 パネルご覧いただきたいと思います。皆さんの手元にも、もう資料を既に配ってありますけれども、これが現行の鉄道運輸規程なんです。時代遅れであることは一目瞭然です。
 今、ご答弁にあったとおり、つくられたのは昭和十七年、八十三年前です。戦時中ですよ。 答弁されたのは第十条三項です。これは、十二歳未満の子どもの運賃は大人の半額を超えて はならないという規定です。半額より安くしたり、年齢を広げてはならないという性質のものではないんです。
 東京都こども基本条例や子どもの医療費助成制度と同様、十二歳未満でなく十八歳未満まで、大人の半額の子ども運賃にするよう、都内の鉄道やバス事業者に都として働きかけること、公共の福祉の増進を使命とする都営交通が率先して踏み出すことを求めておきます。
 日本共産党東京都委員会が今年二月から行っている交通費の要求アンケート調査には、 多摩モノレールの通学定期代は月一万円かかるなど、通学費についての実態が寄せられています。交通費の負担によって進学先を諦めた、諦めかけたという回答は一七%もありました。
 知事は、子育てと教育にお金のかからない東京へと公約をし、高校の授業料は無償化されましたが、現実には、通学費の重い負担によって進学先が制約される実態があることをどう認識していますか。

〇坂本教育長 家庭の経済状況にかかわらず、都立高校等に通う生徒が多様な教育活動に 参加できるよう、保護者負担の軽減を図ることは重要でございます。
 都教育委員会はこ都独自の給付型奨励金等によりまして、低所得世帯への支援を実施をしております。

〇和泉委員 子育てや教育にお金がかからない東京という知事の公約に照らして、通学費の重い負担について伺いましたが、これも残念ながら知事のご答弁ありませんでした。
 それでは、文部科学省の子供の学習費調査で、公立学校の判交教育費の中で最も負担が重いものは何ですか。

〇坂本教育長 国は、公立等の学校に子どもを通学させている保護者の学校教育や学校外の活動に係る経費などの実態を把握し、施策の検討や立案の基礎資料とする調査を実施をしております。この結果を、子どもの学習費調査報告書として取りまとめ、二年に一回報告を しております。
 最新の令和五年度の報告書では、全国の全日制の公立高校において、学校教育のため各家庭が支出をした生徒一人当たりの様々な経費が出ております。このうち最も金額が多い のは、通学費となっております。

〇和泉委員 通学費なんです。授業料が無償化されても、公立高校であっても、そのほか入学金、制服、体操着、上履き、教科書、副教材など、多くの費用がかかります。その中でも、最も負担が重いのが通学費なんです。
 中央教育審議会の高等学校教育の在り方ワーキンググループにセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが提出した調査結果見ても、高校選択の際に通学費の負担を重視したと答えた人は七割を超えています。
 国土交通省が実施した大都市交通センサス調査で、首都圏、東京圏の通学定期の利用にはどのような特徴がありますか。

〇谷崎東京都技監 国の第十三回大都市交通センサスでは、東京駅までの鉄道所要時間が 二時間以内となるなどの条件を満たす一都七県を首都圏の調査対象地域としております。首都圏の定期利用者について、所要時間帯別の人員分布の現状と推移が示されております。
 この調査におきましては、通学定期利用者は通勤定期利用者に比べて所要時間が短い人 の割合が少なく、所要時間が長い人の割合が多い傾向が見られると公表されております。
 なお、本調査は一都七県における定期券購入者を対象としたものでございまして、都内在住者の通勤通学のみを対象としたものではございません。

〇和泉委員 通学定期利用者は所要時間が長いというのは、要するに長い時間、電車やバスに乗っていて、乗り継ぎもあるなど、それだけ定期代がかかっているということです。
 また、通学費の負担の重さから、多くの高校生が自転車を利用して通学をしています。通学定期利用者は、自転車では通えない場所まで通学しているから所要時間が長くなる、そういう背景もあるんじゃないでしようか。この調査結果からも、通学費の負担の重さがうかがえます。
 私は、葛飾区から都立産業技術高等専門学校に通っている生徒の話を決算特別委員会で も紹介しました。彼は、祖父から続く町工場で、幼い頃からものづくりに励む祖父や父親の姿を見て、自分もものづくりの技術者になりたい、中学を卒業してすぐにそれを学べるのは高専しかないと、この学校に進学しました。高校の授業料が無償化になったので、思 い切ってこの学校に行くことを決めたそうです。
 けれども、葛飾から品川まで通う通学費は半年で五万六千円にもなり、高くて親に申し訳ないと語っています。それ以外にも、教科書代が年間四万から五万、作業服や科目ごとに必要な道具などにもお金がかかります。せめて、通学費が無料になったらと話していました。
 親の姿を見て、ものづくりの道に進もうと頑張っている彼が、重い負担で親に申し訳ない気持ちを抱きながら学んでいるんです。これが特別なケースじゃないということは、先ほどの調査結果にも表れています。
 高校生からは、校外学習で映画館現地集合というものがあったが、交通費がかかるから行かなかったなど、高い交通費が体験格差にもつながっています。
 電車やバスなど公共交通を担う事業者の努力はもちろん大事ですが、本来、政治の責任 で取り組む課題です。だからこそ全国では、例えば千葉県勝浦市、南房総市、御宿町、茨城県つくば市、神奈川県湯河原町、北海道札幌市、京都府など、多くの自治体が高校生の通学定期代への何らかの補助を実施しています。
 そして、神戸市は全国で初めて高校生の通学定期代を無料にしました。神戸市が実施し ている全国初の高校生の通学定期代の無料化はどのような制度か、把握していますか。

〇田中子供政策連携室長 各自治体の施策につきましては、それぞれの判断で実施しているものと認識しております。

〇和泉委員 各自治体でやってるんだから各自治体の判断でやるのは、それはそうでしょう。私はね、そういうところから学ぶべきだといいたかったんですよ。
 神戸市では、対象を低所得世帯に限定せず、市内の高校に通う全ての公立だけでなく私立高校生も専修学校生も、通学定期代が無料化されました。市内の高校に通ってほしいというだけではなくて、高校生の未来の選択を応援したいと、その制度概要で述べています。
 通学費が最も重い負担になっている、そのために学校の選択が狭められている今の状況を正面から受け止め、神戸市の取組に学ぶべきです。
 我が党は、公共交通のどもも料金の年齢を十八歳まで拡大すること、通学定期の負担軽減とともに、学生フリーパスの創設など、子どもの移動権を保障し、交通費の負担軽減に取り 組むことを提案しています。
子育てと教育にお金のかからない東京へという知事の公約を前に進めようと思ったら、 交通費問題は避けて通れません。都として、できる支援の検討を始めるよう求めます。

5、高齢者の補聴器購入費助成について

 次は、高齢者の補聴器購入費助成です。
 今回の予算案の概要、緑の冊子に、高齢者のくらしへの支援という項目が置かれたことは重要です。三百八十九億円という予算額は、都の財政規模から見れば少ないですが、今年度当初予算に比べ八十八億円増えています。長寿社会に対応できるよう、この予算をさらに五倍、十倍に増やしていただきたいと思います。
 そして、高齢者のくらしへの支援三百八十九億円の中に、高額シルバーパスの利用者負担の四割軽減とともに、補聴器購入費を支援する高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業が入っています。高齢になって、会話が聞こえにくい、何度も聞き返してしまう、聞こえているふりをしたことがあるなどの経験を多くの方がしています。それは、決して年を取ったから仕方ないと諦めなければならないことではありません。
 行政が補聴器購入費助成などの聞こえの支援に取り組み、高齢者の尊厳ある生活を守っ ていく必要があります。都として、加齢性難聴対策に取り組む意義を都はどういうふうに考えているでしょうか。

〇山口福祉局長 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によりますと、加齢に伴う難聴は治療が困難な反面、補聴器で聞こえを補うことにより生活の質の改善が可能とされておりまして、都は、高齢者への補聴器の支給などに取り組む区市町村を支援しております。

〇和泉委員 補聴器で聞こえを補うことにより生活の質の改善が可能だというのは大事な点です。そのための支援で重要な前進がありました。
 今年度から、個別の補助事業として高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業を始めた意義を伺います。知事、いかがでしようか。

〇小池知事 加齢性難聴は、早期発見、早期対応が重要でございまして、都は今年度の予算から、より多くの自治体で高齢者への補聴器支給などの取組が進みますよう、補助要件の明確化、普及啓発に係る補助の拡充など、支援の強化を図っております。

〇和泉委員 日本共産党都議団は、二〇一二年に、補聴器購入費助成を含む高齢者の聞こえの支援の提言を発表しました。二〇一九年には、補聴器購入費についての都民アンケートを実施し、学習会も開催し、他の会派からも複数の都議の方にご参加いただきました。
 さらに、二〇二一年、二三年の二度にわたり条例提案を行い、本会議、予算特別委員会、 常任委員会で繰り返し質問し、予算要望でも提案してきました。
 そして、ついに今年度、個別補助事業の高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業が 実施され、補助要件の明確化や普及啓発に係る補助の拡充など支援が強化されたと、ただいまご答弁がありました。とても大事な前進だと思います。
 それでは、高齢者を対象とした補聴器購入費助成を実施する都内の自治体は、来年度何 自治体でしようか。

〇山口福祉局長 都は、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業により、補聴器の支給や加齢性難聴の早期発見に取り組む区市町村を支援しておりまして、今年度、三十三の自治体に補助を行っております。
 令和七年度予算案には、五十二自治体での事業実施に必要な経費を計上しております。

〇和泉委員 高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業を実施した狙いどおり、実施自治体が増えてきています。
 一方で、課題も残されています。
 都は、二〇二六年度までに都内全自治体で補聴器支給助成等を実施する計画を掲げていますが、二〇二五年度、予算案のとおりに増えたとしても、十自治体が残ります。また、 助成内容の充実も必要です。
 今年度、高齢者を対象とした補聴器購入費助成を所得制限なしで実施する都内の自治体は何自治体でしょうか。

〇山口福祉局長 都は、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業において、補聴器を 支給する区市町村への補助基準額を、住民税非課税者には一人当たり十四万四千九百円、 住民税課税者には半額の七万二千四百五十円としておりまして、その二分の一を区市町村 に補助しております。
 各区市町村における高齢者への補聴器支給に係る助成において、今年度、所得制限を設 けずに実施しているのは十自治体となっております。
〇和泉委員 所得制限がないのは十自治体にとどまります。
 また、東京都は、一人当たり上限十四万四千九百円まで補助していますが、この上限額まで補助しているのは一自治体だけで、大半は三万円から五万円程度です。実施する区市町村を増やすとともに、内容の充実も進める必要があります。
 いずれもハードルになるのは、費用の二分の一を区市町村が負担しなければならず、財政力の厳しい自治体では踏み出しにくいということです。聞こえの支援は、人権に関わる 問題であり、格差なく実施していく必要があります。
 学校給食の無償化についても、二十三区では早期に全自治体で実現しましたが、多摩地域では、都が補助を始めた後も未実施が残っていました。都内全自治体に広げる決め手と なったのが、都の財政支援の充実でした。
 来年度に実施予定のない、ある市は、昨年東京都が行った調査に対し、東京都の補助を十分の十にしてほしいと回答したとのことです。学校給食無償化で行ったような思い切った支援の充実を行うことを改めて求めます。

6、物価高騰対策/ 水道料金10%値下げ提案について

〇和泉委員 終わりの見えない物価高騰、追いつかない賃上げ、窮迫する都民の暮らしを都はどう支えるのか、それが問われています。
 かつて、石油ショックを契機にした狂乱物価の一九七四年に、都は、五百二十五人体制 で物価局を設置しました。かって都が設置した物価局は、物価高騰に対してどういう対策 を実施したんでしょうか。

〇古屋生活文化スポーツ局長 物価局は、昭和四十九年から五十一年までの約二年半の間、臨時的に設置されまして、物価対策として、生活関連物資の価格や需給動向の調査、指導 などを実施いたしました。

〇和泉委員 都は、物価の高騰、その他経済の異常な状態から都民生活を防衛し、その安定を図ることを目的に、東京都緊急生活防衛条例を制定しました。その実現を担う部局として設置されたのが物価局です。
 当時、物価局を設置した意義を知事はどう認識していますか。

〇古屋生活文化スポーツ局長 物価局は、石油ショックを契機とした狂乱物価の異常事態におきまして、物価対策を担う組織として臨時的に設置されておりました。
 石油ショックの頃の一九七四年の消費者物価指数は、対前年比二三.二%でございました。その後、徐々に落ち着きまして、一九九〇年代半ばからのデフレ期間を経て、ここ数年の消費者物価指数は、前年比二%前後で推移してございます。
 物価局を設置した当時の物価の状況は、現在の状況とは大きく異なると認識してございます。

〇和泉委員 現在とどういうふうに状況が違っているかということがあるにしても、この 大変な物価高騰のときに、都がどういう姿勢で臨んだのかということが重要なんです。
 当時の事業概要を見ると、物価・生活物資対策本部会議や物価問題研究会などを通じた調査研究をはじめ、生鮮食品の安定供給を確保するために、ジャガイモやタマネギを各一万トン買い付け、キャベツや白菜十万トンの価格差補償なども行って品不足を防ぎ、消費者が適正な価格で購入できるような取組を行っていました。
 今の東京都はどうでしようか。食料品、光熱費、燃料費、住宅費、日々の暮らしに欠かせない、ありとあらゆるものが値上がりしています。主食である米の価格は、昨年の同時期と比較して二倍になってます。物価高騰の原因、米代の高騰の原因を都はどのように把握していますか。

〇古屋生活文化スポーツ局長 物価高騰につきましては、国が全国規模の対策を行っておりまして、令和六年十一月の補正予算において、地方交付金や電気、ガス料金の負担軽減などを実施しております。
 都は、都民生活を守るため、これまでも必要な取組を実施しておりまして、令和六年度最終補正予算では、国の交付金を活用した支援を実施するほか、令和七年度当初予算におきましても、セーフティーネット支援などの重層的な対策を講じております。
 また、米の流通についてでございますが、国が主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律に基づき基本指針を定めまして、全国一律に対応しており、一月からは備蓄米の放出などの対応を開始しているところでございます。

〇和泉委員 長々答弁されましたけど、結果的に物価高騰にづいては、国が負担軽減などやってます、米の流通については法律に基づき国が対応してますと。全て国がということ なんですよ。自ら調査研究して、原因を究明し、解決しようという姿勢はとても見られないと、そういう答弁でした。そういう姿勢では、今々窮迫している都民の暮らしに対して、都が何をやらなければならないかが分からないというふうに思います。都が自らの責任でできることに、水道料金の負担軽減があります。
 水道局に伺います。
 二〇二三年度末における二十五ミリ口径以下の小口径の件数と使用水量はどれくらいですか。全体に占める割合と併せてお答えください。
 そしてもうーつ、二十五ミリ口径以下の料金収入はどれくらいですか。全体に占める割 合と、これも併せてお答えください。

〇西山水道局長 水道局では、メーターロ径二十五ミリメートル、二十ミリメートル、十 ーミリメートルを小口径として区分しており、令和五年度末におけるこれらの給水件数は、約七百八十一万二千件、全体の給水件数、約八百八万三千件に占める割合は約九七%となっています。
 同じく、五年度における小口径の料金算定の基礎となる調定水量は約十一億七千万立方 メートル、全体の調定水量約十四億五千万立方メートルに占める割合は、約八一%となっています。
 あわせまして、令和五年度における小口径の水道料金の調定金額は約一千九百四十六億二千万円、全体の調定金額約三千百九億七千万円に占める割合は約六三%となってございます。

〇和泉委員 日本共産党都議団は、物価高騰対策、中でも水光熱費の負担軽減のため、都自らもすぐにでもできることとして、一般家庭や小規模事業所の上下水道料金の一〇%値 下げ、消費税分の値下げを提案しています。
 今の二つの答弁から、年間百九十五億円あれば、東京都水道局の契約者全体の九七%に対して水道料金一〇%引き下げることができるということが明らかになりました。新年度一般会計予算の僅か〇・二%です。一般会計で負担すべきです。
 今、物価高騰に苦しむ都民の暮らしに寄り添って予算編成することを繰り返し求め、質疑を終わります。(拍手)