環境・建設委員会 東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例提案 アオヤギ有希子都議(八王子市選出)
★2025年3月19日環境・建設委員会 議事録速記録より
〇曽根委員長 次に、議員提出議案第4号を議題といたします。
本案について提出者の説明を求めます。
〇アオヤギ委員 それでは、東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例案について、都議会立憲民主党、ミライ会議、地域政党自由を守る会、グリーンな東京、都議会生活者ネットワーク、そして、私ども日本共産党東京都議会議員団を代表して提案説明をさせていただきます。
既に先日、3月11日に記者会見を行いましたが、この条例案は、神宮外苑再開発をやめ、自然と歴史・文化を守る東京都議会議員連盟に参加する6会派で共同で提案するものです。
神宮外苑再開発に対しては、日本イコモス国内委員会による幾度にもわたる意見や質問状が東京都や事業者に送付されています。さらに、国際イコモスヘリテージアラート、国際影響評価学会日本支部による見直しの要請、日弁連による工事停止の検討を求める声明、国連人権委員会ビジネスと人権作業部会による勧告など、国内外の様々な団体から厳しい批判や要請が行われてきました。
しかし、事業者及び東京都は、これらの学識経験者や団体の指摘に一切耳を傾けることなく、外苑再開発の手続を進めてきてしまいました。外苑は今、神宮第二球場脇や建国記念文庫の樹木が次々と伐採され、その痛ましい姿に多くの人が胸を痛めています。さらに、事業者は現在、秩父宮ラグビー場に向かうイチョウ並木を含む19本について、移植を検討するとして調査を開始しています。もともとは、移植は困難、つまり伐採する計画だったものであり、本当にこれらのイチョウが保全されるのか、疑いの目が向けられています。これ以上、神宮外苑の希有な緑と100年の歴史に傷をつけさせるわけにはいきません。
神宮外苑議連は、東京都に対して、再開発に関わる手続について、今後より一層厳しく、厳正に対処することを求めていく構えです。
今回の環境影響評価条例の一部改正案は、第一に、審議会の判断で、審議会の委員以外の専門家などの出席を求め、意見や資料の提出を求めることができるようにするものです。第二に、環境影響評価手続において虚偽の記載があった場合に、知事が事業者に対して必要な措置を勧告できるようにするものです。
まず、72条の2の改正についてですが、現在、環境影響評価条例は、第74条の2において、調査審議を行うため必要があるときは、事業者その他関係者の出席を求めと規定していますが、 ここでいう事業者その他関係者とは、あくまで事業者の関係者を指すというのが都の解釈、見解です。
そこで、私たちはこの文言を、事業者その他適当と認める者と改め、審議会の判断で、 より広く、そして確実に学識経験者などを招致することができるようにします。そのことにより、より科学的な、また住民の意見を取り入れた審議を可能とするための改正です。91条の改正についてですが、日本イコモス国内委員会は、2022年12月の時点で、4列のイチョウ並木の衰退について指摘をし、そのことが反映されていない環境影響評価書案について、繰り返し是正を求めてきました。結局、評価書はそのまま作成され、事業は着手されました。そして、イコモスの指摘から2年近くもたった昨年9月の事後調査報告書でようやく、衰退の事実が記載されることになりました。
こうした事態となった背景の一つに、現行条例では、評価書等に事実と異なる記載があるということが想定されていない、そういう条例の立てつけになっているという問題があります。ここを是正し、評価書等の記載に問題があった場合に、知事が事業者に対して必要な措置を勧告できるようにする、そのための改正を行うものです。
以上のことから明らかなように、この2つの改正ポイントは、神宮外苑再開発の問題の現実から浮き彫りになった本条例上の課題、不備を是正するものです。同時にそれは、単に神宮外苑の問題だけに当てはまるものではなく、東京都の環境アセスが真に自然環境や住環境を守るための機能を発揮するための第一歩であるとも考えます。
委員の皆様におかれましては、ぜひ忌憚のないご議論をいただくとともに、本改正案の趣旨をご理解をいただき、何とぞご賛同をいただけるよう、心からお願いを申し上げまして、提案説明といたします。
〇曽根委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇曽根委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇曽根委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。