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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団 |
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◯三十二番(浅川修一君)
私の地元、立川では、業務核都市づくりによるビル建設や大型店の出店で商店街の衰退が進み、とりわけ立川北口の商店街は、シャッター通りといわれるくらいに空き店舗が並んでおります。このような商店街の衰退の危機は全都的に広がっています。
このようなときに行政に求められるのは、閉ざされたシャッターを押し上げて、活気に満ちた商店をよみがえらせることです。そのために、まちづくりの視点からの商店街の振興や、各地での先進的な取り組みを敏感にとらえて、いち早く施策に生かしていく姿勢が不可欠です。
私は、都が準備している産業振興ビジョンがこのような立場で策定されることを要望するとともに、今、とりわけ急がれている振興策について提案するものです。
まず、タウンマネジメント制度の導入です。
衰退、空洞化が進む商店街を生き返らせるために、まちづくりや個店経営など総合的な診断と対策が欠かせません。その役割を果たすのがタウンマネジメントであり、国の中心市街地活性化事業でも位置づけられているように、その役割は大きなものがあります。
既に立川市では、市の援助で地域タウンマネジャー養成塾をつくり、さらに地域のタウンマネジメント組織を設立する準備を進めています。三鷹市では、路線商店の集約化事業をタウンマネジャーの力をかりて進めています。これからこのような事業を始めようとしている自治体も少なくありません。
しかし、このタウンマネジメントという分野は、多くの自治体にとって新しい課題であり、知識も人的なつながりの蓄積もありません。都として相談窓口をつくることや区市町村への財政支援、タウンマネジャーの派遣など、自治体と商店街を支援する仕組みを提案するものです。
また、当然、区市町村によって商店振興の考え方も振興策も違います。工業集積活性化事業のように、区市町村が独自に計画する振興計画を支援する制度を立ち上げることが急がれていると思います。
深刻な商店街を生き返らせる取り組みの一つとして、一つ一つのお店のレベルアップや業種転換などの対策を支援する事業、すなわち、個店対策事業に取り組む先進的商店街が生まれてきています。
石川県は、県の単独事業として、商店街施策の柱の一つに個店対策事業を位置づけ、支援を始めています。この事業は、金沢市内の片町商店街というところで、国の中心市街地活性化事業とあわせて既に活用され、喜ばれています。
長く続いてきたお茶屋さんが、商店街の道路のモール化に合わせて、一階部分を全部お店に改造し、抹茶の製造機を店内に設置したり、抹茶を生かしたソフトクリームコーナーなどを工夫、また呉服屋さんも、お店をだれもが入りやすいように改造したことで、これまでには入ってこなかったお客さんを迎えることなど、成果を挙げています。
金沢市の担当の方は、これからの商店街振興は、本当に個店対策抜きには考えられないと説明してくれました。
都内でも、品川区内のある商店街は、都の元気を出せ商店街事業の資金を使って個店対策を進めています。商店街の役員の方は、イベントで人を呼んでも、お店に定着できなければ本当の活性化にはつながらないと、個店対策に踏み切った理由を説明してくれました。
従来の商店街振興策に加え、都の施策の柱として個店対策を位置づけ、施策を拡充する方向に踏み出すときが来ているのではありませんか。
元気を出せ商店街事業は、商店街にとって使い勝手がよく、歓迎されています。そのため、ことしは申し込みが殺到しました。問題は、都が、予算の枠を超えてしまったということで、第二次分について交付金をいまだに支給していないということです。立川市でも、二つの商店街が立川市を通じて申請を行い、合計三百十七万三千円かけて夏祭りや朝市などのイベントを開催したのですが、交付金が支給されないため、大変困っています。
同じように支給されていない商店街は、全都で四百九十八商店街、四億五千万円に上り、区によっては数千万円もの未支給になっているところもあります。東京都の提案を受けて積極的に商店街が実施したのに、東京都の都合でお金を払わないなんて、ひどいではありませんか。
知事、直ちに支給するとともに、交付の追加を行うべきと考えますが、どうですか。答弁を求めます。あわせて、来年度も商店街の皆さんの期待にこたえて事業を継続することを強く要望するものです。
次に、横田基地返還についてです。
一国の首都に半世紀以上にわたって外国の巨大な軍事基地が置かれていることは、世界に例を見ない異常な事態であります。私は、この横田基地を取り戻し、爆音も戦争の危険もない平和な東京を築くことは、二十一世紀に向けての都民の悲願であると考えます。
この点で、石原知事が進めている軍民共用化の路線は、この都民の願いに水を差し、不一致点を持ち込むことで、基地の早期全面返還に障害をもたらすものにほかなりません。それは、軍事基地をアメリカから取り戻すことは、全都民の一致した粘り強い共同の戦いがあって、初めて道を切り開くことが可能となるからであります。
これまでの東京都と周辺自治体、住民の運動は、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会に結集され、横田基地返還を求める自治体の意見書は全都で二十九自治体に広がり、そして、東京都議会も全会一致で横田基地の返還を求める意見書を決議するに至っているのであります。
知事が軍民共用化を具体的に表明された以後も、この都民世論の流れは変わっていません。そのことは、最近、政策報道室や都議会各会派の議員が参加して開催された横田基地の返還を求めるトーク集会の実行委員会が行った住民アンケートによく示されています。
アンケートでは、一日も早い返還を求めた人が七二%にも上っています。一方、知事、あなたが提案をした軍民共用化を現実的だと評価した人はわずかに六%にすぎなかったのです。そのほか、明確に軍民共用化が基地の返還にはつながらないとした人が四分の一を超え、さらに一層ひどい爆音被害を受けると答えた人を合わせると、九割の人が軍民共用化を否定的に受けとめているのです。知事はこのことを厳粛に受けとめるべきであります。見解を伺います。
では、なぜ都民は一日も早い返還を求め、軍民共用を拒否するのでしょうか。それは、そもそも横田基地が、朝鮮戦争や軍用機の大型化に伴い、その都度住民を追い立てるようにして拡張され、騒音被害やまちの分断など基地被害をまき散らしてきたからにほかなりません。軍用機は毎日休みなく飛び交い、航路に当たる小学校では、授業が爆音で中断することもあります。余りの爆音被害のため、集団移転を余儀なくされた地域もあります。
この点で知事は、共用化に向け行った調査をもとに、影響は広がらないとしていますが、現在の軍用機に加え民間機も飛ぶことになれば、だれが考えても騒音被害が拡大することは明らかです。それなのに影響がないという報告が出されたのは、実際に一日百八十七回も米軍機が飛んだことがあるのに、調査は半分の一日最高で九十八回しか使用されていないという都合のよいまとめ方をしているからにほかなりません。
しかも、この調査は、最も騒音被害をもたらしている空母艦載機の離発着訓練、いわゆるNLPを除外するというひどさです。一九九六年一月十日に行われたNLPは、午前九時十六分から午後九時二分の十二時間の間に何と五百四十二回、およそ一分間に一回程度の離発着が繰り返されました。
せめて正月の三が日や、子どもたちにとって記念すべき学校の卒業式や入学式、高等学校の入学試験のときには訓練を中止してもらいたいというのが住民の切実な願いとなっています。
新横田基地訴訟団は、この調査について、現状でも航空機騒音環境基準を達成できていないのに、民間機の騒音をふやせば、さらに悪化するのは明々白々だと分析しています。
知事、こんな都合のよい報告書をもとに、被害に苦しんでいる住民にさらに民間航空機の騒音まで認めろというのですか。
先日も入間基地の自衛隊機の墜落事故がありましたが、横田基地関連でも、一九五一年にはB29が立川市内に墜落し、百十一軒の民家が被害を受け、数年前には油漏れ事故も起こしています。このように、基地があるがために、地元住民は生活のあらゆる分野にわたって被害を受けているのであります。
加えて、核兵器の持ち込み疑惑、基地内のごみ処理に伴うダイオキシン対策、物資投下訓練による誤投下、さらに、一たんアジア地域で戦争が起これば真っ先に攻撃を受けることになりかねないなど、周辺住民の不安は募るばかりであります。
知事のいう軍民共用化は、このような基地被害や住民の不安を解消することができるのでしょうか。私は、反対に被害を一層拡大することになると思いますが、知事、違いますか。あわせて伺います。
軍民共用は、まちづくりや基地の跡地利用の上でも不一致点を持ち込むものです。
現在、基地によって、JR八高線を初め国道一六号線、五日市街道などが分断され、迂回させられることで、一六号線と五日市街道が合流する区間は毎日のように渋滞が続いています。このように、基地の存在は、まちづくりの上でも大きな障害をもたらしており、その改善も急がれています。
私の住む立川市にある立川基地跡地は、現在、多くの都民が利用している昭和記念公園や広域防災施設、病院、住宅などに利用され、都民に大変喜ばれています。同様に、七百十三万六千平方メートル、東京ドームの百七十八個分の広大な面積を持つ横田基地は、都民に、とりわけ多摩都民にとって残された貴重な土地であり、その跡地利用について、昭和記念公園のような都民の憩いの場として利用したいなどの期待と夢が寄せられています。知事が持ち込んだ軍民共用化は、この周辺自治体と住民の夢を無残にも打ち砕くことになるのではありませんか。
しかも、住宅密集地の中に軍民共用空港という考え方は、これからの空港のあり方にも反するものです。国の第七次空港整備七カ年計画でも、人口密集地での空港建設は避けるべきであることが指摘をされています。だから、東京都もこれまで、住宅地と空港は両立しないからこそ、その矛盾を少しでも解消するために、地元自治体と共同して飛行回数の縮小などを国、米軍に求めてきたのではありませんか。軍民共用は、その方向に真っ向から逆らうものです。
以上、るる述べてきましたように、軍民共用は都民にとって到底受け入れるわけにいかないものです。我が党は、軍民共用化について立川市長、瑞穂町長と懇談を行いましたが、立川市長は私に、これ以上飛行回数がふえれば、基地に隣接する西砂地域は人が住めなくなると悲痛な訴えをされました。また瑞穂町長は、入間基地の被害があったが、瑞穂でも戦後二回墜落事故が起きていると、決して他人ごとではないといわれました。これは自治体の長として当然の立場であります。
さらに、昭島市長は、軍民共用利用の促進は、これまでの東京都、五市一町で共同して取り組んできた飛行回数の削減や騒音被害の軽減への取り組みとも相入れないものであると述べています。
ところが、知事が呼びかけて設置した横田基地の民間利用を考える会は、この軍民共用化に疑念をあらわしている三つの自治体の長を事実上排除してつくられたのであります。
知事に、これまでの到達点である横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会にレールを戻して、横田基地の早期全面返還の一致点での共同を広げ、都民の世論と運動で返還を実現するという至極当たり前の姿勢に立ち返ることを求めるものです。
答弁を求めて質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
◯知事(石原慎太郎君) 浅川修一議員の一般質問にお答えいたします。
横田基地返還運動のアンケートの結果についてでありますが、これからもいろいろなアンケートをいろいろな範囲で行うでありましょう。
いずれにしろ、戦後長年にわたる基地の存在から、安全性や騒音等の地元への影響があったことは確かであります。しかし、これらの軍用機の飛行と、今、今回想定している民間航空機の就航には、その航路あるいはエンジンのもたらす騒音等、大きな相違点があり、この点について理解を求めていくことが必要であると考えております。
次いで、東京都の調査結果についてでありますが、さきに公表した横田基地に関する調査報告書は、横田基地の共用化について広くご議論いただくための基礎的データを示したものです。
この調査の中でも、民間機と軍用機の騒音影響の違いに基づき、民間航空機が就航した場合の騒音影響を予測してもおります。
今後も、横田基地への民間航空機就航のために、幅広い観点から必要な調査を継続して行うとともに、騒音対策など環境面について広く議論をしていくつもりでございます。
軍民共用化と基地被害についてでありますが、これまで、基地に起因する事故の防止などについては、地元五市一町とともに国及び米軍に対し要望してまいりました。
今回、共同使用を考えている民間航空機の就航については、既に法令等によりさまざまな騒音対策や安全上の措置が講ぜられております。
今後、共用化に当たっては、これらの点も踏まえ、さらに専門家や業界の意見も聞いてまいりたいと思っております。
次いで、早期全面返還についてでありますが、基地対策については、整理・縮小・返還が基本であり、都としての最終目標はあくまでも横田基地の返還であります。
今後とも、都民や国民の要望を背景として、都議会の協力も得ながら、世論を高め、横田基地返還について強く国に働きかけていくつもりでございます。
返還までの対策として、首都圏の航空需要や地元の振興に資するため、横田基地の共同利用を促進していくつもりでございます。
ちなみに、さきの入間の航空自衛隊の事故は、これは市街地に飛行機の墜落を防ぐため、彼らはいわば殉職として入間川に、自爆に近い行動をとった。私はそれを軍人としての崇高な使命の遂行として高く評価いたしております。
その他の質問については、労働経済局長から答弁いたします。
〔労働経済局長大関東支夫君登壇〕
◯労働経済局長(大関東支夫君) 商店街振興にかかわります四点のご質問にお答えいたします。
まず、タウンマネジメント活動に対する支援についてのお尋ねでございますが、東京都はこれまでも、関係局による連絡会議を設置いたしまして、中心市街地活性化法に基づく基本計画の策定等に取り組む区市町村に対しまして必要な助言を行ってきたところでございます。
また、中心市街地における商業振興施策といたしまして、基金を創設し、タウンマネジメント機関に助成を行うなど、財政支援の充実にも努めてきたところでございます。
お話のタウンマネジャーの養成につきましては、自治体や商店街が、中小企業総合事業団が実施する養成研修や派遣事業を活用できるよう助言してまいります。
次に、区市町村独自の商業振興計画に対する支援についてのお尋ねでございますが、地域商業の振興を図るためには、地域の実情を把握している区市町村の主体的な取り組みが重要でございます。
このため都は、区市町村との連携を強化するとともに、各地域の特性に対応すべく地域別担当制を導入し、区市町村が主体となって取り組む中心市街地活性化事業や活力ある商店街育成事業などを支援してきたところでございます。
今後とも、地域商業の意欲的な取り組みに対し、区市町村と連携しながら必要な支援を行ってまいります。
次に、商店街振興施策における個々の商店への支援、いわゆる個店対策についてのお尋ねでございますが、地域における個々の商店の活発な事業活動は、商店街全体の振興のためにも、地域住民の生活の安定を図る上でも極めて重要なことと考えております。
都は従来より、商店街対策に加え、個店対策として経営の診断、各種相談、融資等を実施し、商店経営に対する支援を行ってきたところでございます。
平成十一年度からは、中小企業経営革新支援法に基づき、個別企業に対して、都が経営革新計画を認定し、さまざまな優遇措置が受けられる制度を導入したところでございます。
次に、今年度の元気を出せ商店街事業の執行についてのお尋ねでございますが、予算を超えた申し込みがございました関係上、本年度交付を予定しております助成金につきましては、ぎりぎりの調整を図っているところでございまして、できる限り速やかに支出できるよう、現在、準備を進めているところでございます。
なお、三次分の助成金につきましては、まだ受け付けをしておりません。今後検討させていただきます。