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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

2001年第1回定例本会議  一般質問

山本信(渋谷区選出)  2001年2月28日

前近代的なフランチャイズ商法の健全育成は大きな課題、在宅医療廃棄物の処理方法の確立を

-- 目 次 --

新規開業の四十七%はフランチャイズ方式

〇十三番(山本信君) 初めに、フランチャイズビジネスについて伺います。
 今日、コンビニエンスストアに代表されるフランチャイズ方式の経営は、ハンバーガーやコーヒー、居酒屋はもとより、水道工事やリフォーム、ベビーホテルや学習塾などあらゆる業種に拡大し、最近四年間の新規開業の実に四七%を占めるに至っており、その健全育成は産業政策の上からも大きな課題であります。
 さて、昨年十二月の六日に、渋谷区内のコンビニエンスストアに、六十人もの男が押しかけ、商品を初め棚やレジまで持ち去ろうとし、あたりは騒然となりました。私はその日の夕方に現場に行きましたが、トレードマークの看板は外され、店内はがらんどうで、買い物に来たサラリーマンが、一体どうしたんだ、もめごとがあったからといって、いきなり店をつぶすなんて、客のことを全然考えてないじゃないかなどと話し合っている声が耳に残りました。
 この事件は、繁盛店譲りますと勧誘をされて、赤字の直営店を押しつけられた加盟店のオーナーがコンビニ本部を訴えたことに対する報復措置だったのであります。そこで、私はフランチャイズ商法に疑問を持ち、なぜこうした事態に至ったのか、その店のオーナーはもちろんのこと、本部の横暴に怒りながら頑張っているコンビニや宅配すしチェーンのオーナー、また被害を受けた経営者の皆さんが組織をしているコンビニ・FC加盟店協議会から実情を伺いました。

驚くべき前近代的実態、世界と比べ法整備が遅れている日本

 そこから浮かび上がってきたのは、前近代的なフランチャイズシステムの実態であります。二十四時間三百六十五日の営業が強制され、家族の葬式を出すために店を閉めることすら許されない。睡眠不足で、今ただただ眠りたい。四〇%を超えるロイヤルティーを払い、家賃やアルバイトの人件費を払うと何も残らない、まるで奴隷だ、だまされたなど深刻な話があふれ出し、それではなぜやめないのですかと伺うと、やめたいけれどもやめられない。それは本部からの借金や一千万円近くの解約違約金が払えないからだ、こう訴えられて、このシステムの残酷さに鳥肌の立つ思いでありました。
 こうした事態が起きる原因の一つに、日本の法整備のおくれがあります。フランチャイズシステムは、アメリカでは既に百年前に始まり、ヨーロッパはもとよりアジアにも広がっています。アメリカでは、フランチャイズに関する連邦開示規則が定められ、州法などでも、契約書の開示にとどまらず、加盟店の義務規定、閉店数や訴訟件数など、本部にとって不利な情報も書面による開示を義務づけているのであります。フランチャイズ法は、ヨーロッパ各国、アジアでも韓国、シンガポールなどで既に整備をされています。
 知事、こうした日本におけるフランチャイズシステムの前近代的なあり方、また法整備のおくれをどう受けとめておられるのか、お答えください。また、法整備を国に求めるべきと考えますが、所見を伺います。

不平等な契約、クーリングオフ制度で救済を

 もう一つの大きな問題は、契約です。
 フランチャイズシステムは、本来、本部が営業のノウハウを加盟店に託し、共存して利益を上げるものだと思いますが、日本における契約書には、本部は同一チェーン店をどこにでも出店でき、加盟店はそれを拒否できないとか、本部への送金がおくれた場合、年利一八・二五%の遅延損害金を課すなど、加盟店にとって大変に不平等な契約となっています。
 では、なぜこれほどひどい契約を結んでしまうのかと思いますが、そこには大きな落とし穴があります。加盟時の事前の説明はバラ色の売り上げ予測と成功物語ばかりで、相手がテレビコマーシャルでも宣伝している一部上場企業だと信じて契約に合意をする。すると、判こを押すその日に、三時間もかけて分厚い契約書をひたすら読み合わせ、これをもって合意されたとみなされる仕組みになっているといいます。
 しかも、口頭での取り決めがあったとしても、契約書にはちゃっかり、本契約に記されない限り一切の効力を有しませんと記され、契約には素人の加盟店側が裁判で争っても敗訴する仕掛けができているのであります。
 そこで東京都として、一つは、フランチャイズ契約の締結に当たっては、本部の情報公開と加盟希望者への説明責任をはっきり位置づけ、違反者に対する行政指導を徹底することです。二つには、契約後は一定期間内であれば無条件で解除できるクーリングオフ制度を適用すること。三つには、弁護士による支援の仕組みをつくることなどが急がれていると思いますが、いかがでしょうか。見解を求めます。

商店街との共存にむけガイドラインの検討を

 また、チェーン店の中には、商店街のイベントなどには人手は割けない。二十四時間営業で会合にも出られない。会費さえも払わないなど、商店街としてのルールが守られないケースがふえています。その多くが本部の方針によるもので、チェーン本部から、商店街の役員などやる暇があるなら店に立てなどと指導され、商店会の役員をおりたという例まであります。
 セブン-イレブンというなら、営業も名前どおり、七時から十一時までの営業に戻してほしいというコンビニ経営者の声も聞きます。私は、これだけ多種多様にフランチャイズシステムの出店がふえているもとで、改めてこの実態調査を行い、周辺小売店への影響を配慮して、事前協議による合意形成などの義務づけ、本部の身勝手な出店や営業時間の規制など、フランチャイズシステムの健全な育成と商店街との共存のために、東京都としての指導要綱やガイドラインを検討すべきと考えますが、どうでしょうか。答弁を求めます。

医療廃棄物の事故防止のため、法改正を

 次は、医療廃棄物の問題です。
 私事でありますが、末期がんで在宅での治療を受けておりました母が先月亡くなりました。在宅での終末医療に、部分的とはいえ、かかわりましたことが、昨年医療廃棄物の不法投棄を調査し、この議場で取り上げた私の目を、在宅医療と廃棄物の関係に向けさせたのであります。
 もともと糖尿病の自己注射から始まった在宅医療の対象は次々に拡大し、内容も日々高度化しています。現在、糖尿病や血友病の方の在宅自己注射療法では、ディスポーザブル注射器、万年筆型注入器、脱脂綿類が、また大腸管大量切除による栄養障害の方のための在宅中心静脈栄養法では、輸血バッグ、注射器、採血用輸血用器具、そして在宅人工呼吸では、気管カニューレ、チューブなど、また在宅寝たきり患者の場合は、膀胱用留置カテーテル、導尿用カテーテル、鼻腔栄養チューブなどの資材が廃棄物として家庭から排出されるようになっているのであります。
 そのため、一般廃棄物として出した点滴パックなどを入れたごみ袋をカラスがつつき、中から点滴のチューブを引きずり出してしまうなどという事件も起きております。なぜこのようなことが起きるのかというと、現在廃棄物の区分は、医療機関から排出されるごみを医療廃棄物と規定し、家庭から出るごみは在宅医療で発生する点滴パックや注射なども一般廃棄物でよいとされているからであります。
 私の母の場合は、点滴パックや注射器、座薬挿入の際に使うプラスチックの手袋などの廃棄物は、プラスチック製の専用容器に入れて保管し、病院指定の業者が有料で引き取るやり方でしたが、これはむしろまれな例だといわれています。
 現在、東京では、在宅医療で使用された注射針等の鋭利なものは医師や看護婦などが回収するというシステムが実行に移されています。これは、在宅医療廃棄物の処理について、環境局と東京都医師会との間で、注射針などの鋭利なものについては医師が持ち帰って、特別管理産業廃棄物として処理するが、それ以外は一般廃棄物として扱うという合意に基づくものです。
 しかし、医療機関による回収は、医療機関にとっての本来業務ではなく、いわば善意による対応にすぎません。このままでは、たとえ注射針などが別回収となっても、その他の医療廃棄物は一般のごみと一緒に出される不安があり、不測の事故も心配されるのであります。
 そこで、医療廃棄物による事故を未然に防ぐためには、廃掃法を改正し、在宅医療によって発生する廃棄物を医療廃棄物として適正に処理する方向に踏み出すことが求められていると思いますが、どうでしょうか。見解を伺います。

在宅医療廃棄物の処理ルール確立は急務

 医療廃棄物の処理ルールの確立とその徹底が急務であります。日本では、家庭から発生する医療廃棄物の取り扱いについて、自治体間の統一したルールがいまだにつくられていません。しかし、アメリカでは統一的なルールがあり、政府の環境保護局が、在宅医療廃棄物の処理についての提言、安全性をより以上に期するためにと題するわかりやすいリーフレットを発行し、留意点や実際の注射針などの捨て方が絵入りで大変にわかりやすく書かれているのであります。
 東京でも、在宅医療廃棄物の処理方法をわかりやすく徹底するために、医療関係者や廃棄物処理業界、廃棄物行政に当たる区市町村などと協力して、東京都の責任で患者向けのリーフレットを作成すべきと考えますが、どうでしょうか。答弁を求めます。

都立病院の医療廃棄物担当者に役立つ研修の実施を

 最後に、都立病院から出る廃棄物についてです。
 昨年の第一回定例会で、私は医療廃棄物について取り上げ、都立病院が契約していた中間処理業者が持ち込んでいた青森の最終処分場が違法な処理をしていたことを指摘いたしました。この業者はその後、不法投棄によって起訴をされました。あれから一年たちましたが、その調査結果と、都立病院での医療廃棄物の処理委託をどう改善をしたのか、お示しをいただきたいと思います。
 また、廃掃法の改正によって、排出事業者に最終処分場までの確認義務が課せられることになりましたが、公立、民間を問わず、病院の廃棄物の担当者は廃棄物の専門教育を受けているわけではありません。どう点検をしたらよいのか、不正をどう判断したらよいのかなどの心配が寄せられています。
 こうした心配の声にこたえて、都として、病院の廃棄物担当者にとって実際に役立つ研修を実施するとともに、中間処理、最終処分場での処理内容をチェックするためのリストなどをつくるべきと考えますが、どうでしょうか。答弁を求め、質問を終わります。(拍手)


   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 山本信議員の一般質問にお答えいたします。
 フランチャイズシステムの認識と国への要望についてでありますが、なかなか興味のあるサジェスチョンをいただいたと思います。新しい商業のシステムでありますがゆえに、それに伴う法体系がおくれているということは確かにあるのではないかと思うのです。
 これは、ちょっとケースは違うかもしれませんが、非常に悪名の高いネズミ講のようなものになっては困るわけでありまして、聞くところ、現行法制度では、加盟者が契約上不利にならないようフランチャイズ本部に情報開示と説明の義務づけをし、不公正な取引について規制をしているようであります。
 それでもなお足りない部分は、法整備に関しては国が判断して適切な処置をとるべきだと思います。東京にはそうしたケースの店舗がかなり多いようでありますから、そこで得ました知見が、国が法改正をするための役に立つならば、一つのアドバイスとして提供したいと思いますし、この問題については、与党三党の政調会長と会う機会もございますから、国へ提言の一つとして考慮を促すつもりでございます。
 他の質問については、関係局長から答弁します。

   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕
〇労働経済局長(浪越勝海君) フランチャイズシステムについての二点のご質問にお答えいたします。
 フランチャイズシステムの加盟者に対する支援についてでございますが、フランチャイズシステムに加盟する際には、加盟者は、契約の仕組みや本部の機能についての十分な情報を得て、事業計画等を慎重に検討することが必要であると考えます。
 このため、都は、商工指導所においてマニュアルを作成し、フランチャイズへの加盟者の判断の参考に供するとともに、中小企業診断士等による相談を行っております。また、トラブル等の発生に対しては、弁護士などによる相談を実施しているところでございます。今後とも、民間専門家を活用するなど、各種相談などを実施してまいります。
<  次に、フランチャイズシステムに対する指導要綱やガイドラインの検討についてでございますが、フランチャイズ業界の健全な育成と地元商店街との共存は望ましいと考えております。しかしながら、フランチャイズシステムは、契約の自由の原則のもとに、本部と加盟者が契約を結び事業を展開していくものでございまして、都としては、現在、指導要綱やガイドラインの策定については考えておりません。

   〔環境局長中野英則君登壇〕
〇環境局長(中野英則君) 医療廃棄物関連三点についてお答えいたします。
 まず、在宅医療に伴い排出される廃棄物の処理についてでありますが、在宅医療廃棄物は、廃棄物処理法におきまして、一般廃棄物として区市町村が収集、運搬、処理することとされております。しかしながら、都内においては、事故防止の観点などから、平成十一年、都と東京都医師会との合意に基づき、注射針などの鋭利な廃棄物は医師が持ち帰り、医療機関からの廃棄物として処理することといたしました。今後とも、医療機関や区市町村と連携して、在宅医療廃棄物の適正処理に努めてまいります。
 次に、在宅医療廃棄物の処理方法の周知についてでありますが、都はこれまでも、東京都医師会や区市町村とともにパンフレット等を作成し、医療機関を通じて、患者や家族に対して在宅医療廃棄物の適正な処理の徹底を図ってきました。在宅医療が一層進展する中、引き続き、これら関係機関と十分連携し、在宅医療廃棄物の適正処理について周知を図ってまいります。
 次に、医療機関の廃棄物担当者に対する研修等の支援についてでありますが、これまでも都は、東京都医師会などと連携し、医療機関の廃棄物担当者などを対象に適時研修を実施してきており、今後とも一層のレベルアップを図ってまいります。
 また、現在、医療機関等がより適切な廃棄物処理業者を選定できるよう、必要な情報項目などを盛り込んだチェックリストの基準づくりを進めているところであります。

   〔衛生局長今村皓一君登壇〕
〇衛生局長(今村皓一君) 都立病院の医療廃棄物の処理についてお尋ねがございました。
 お尋ねの医療廃棄物処理業者の中間処理施設につきましては、当局の職員が現地まで行きまして実態調査等を行った結果、都立病院から排出された廃棄物は、適正に焼却処理されていることを確認しております。
 医療廃棄物の処理委託に当たっては、国の関係機関による情報提供や環境局の実態調査結果等を活用いたしまして、必要な情報を収集し、今後とも適切に対応してまいります。