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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団 |
-- 目 次 --
〇三十二番(浅川修一君) まず、東京の未来にかかわる重要課題の一つである青年の雇用問題についてであります。
我が党は、昨年の第四回定例会において、二十一世紀の東京を展望したとき解決が求められる問題として、青年の失業やフリーターの増大など青年の就労をめぐる深刻な事態を取り上げ、その抜本的、総合的解決を提案しましたが、ことし一月に発表された労働力調査の速報値で、青年の失業率が二十五歳未満の男子ではついに一〇%を超えるなど、その後の事態はますます切迫しています。
こうしたもとで我が党は、ことしに入って、日本民主青年同盟や就職難に負けない東京学生ネットワークなどの団体とともに、弁護士の協力も得て、新宿駅西口で青年向けのストリート労働相談を実施しました。私も青年の皆さんと立川駅北口で相談会を行い、じかにこの人たちの置かれている実態を聞き、改めてその深刻さに気づかされました。仕事は正社員と同じなのに、健康保険も雇用保険もない。週五回、八時間ずつ働いても月九万五千円などの実態とともに、このままでは結婚もできないという声も寄せられました。また、学校を卒業して六年も就職できない、このまま五十や六十までフリーターが続くのかという深刻な相談もありました。
都の調査でも、フリーターや派遣労働など不安定雇用をふやしている企業が、その理由として、正社員の代替、従業員の抑制を挙げています。
もちろん、この問題の解決は、雇用確保や失業青年への対策、職業訓練、フリーターや派遣労働者の権利の確立など、総合的で、かつ具体的な対策が必要であり、多くは国がやるべき問題です。しかし、東京都には労政事務所など労働行政が現に存在し、昨年までは職安行政も担っていました。また、労働行政そのものが広域性を持つものであるだけに、都がイニシアチブを発揮して、可能な限りの取り組みを行うことが強く求められています。
既に山梨県では、県当局と県教育委員会、山梨労働局、企業代表による検討委員会が設置され、中高校生への職場体験、インターンシップの導入検討などの努力も始まっています。
知事は、前定例会で、我が党の提起に対して、本人にとっても社会にとっても大きな損失であるとの認識を明らかにし、都として、若者が希望する職業につき、充実した生活が送れますように、総合的な施策を展開して充実を図っていきたいと答弁されました。今、多くの青年が、この知事答弁とその具体化に期待を寄せているのです。
都として、青年の知恵を結集して、トータルに青年の支援を行う若者サポートプランといったものを策定し、全庁的な支援を行うなど、新しい課題にふさわしい取り組みが今求められていると思いますが、どうか。
また、問題は雇用の改善にとどまらず、東京の産業の活力、社会保障など広範囲にわたります。総合的な施策展開の第一歩として、労働経済局だけでなく、教育庁や生活文化局を初め、庁内挙げた体制を確立すること、東京労働局や企業代表、専門家、青年代表も含めた委員会を早急に立ち上げることを提案します。答弁を求めます。
とりわけ支援が急がれているのが、フリーター、派遣労働者の問題です。お茶の水女子大学の耳塚寛明教授は、高校を卒業後未就職の青年の実態を調査してきた方ですが、フリーターについて次のように語っています。フリーターは働かない人ではなく、安い賃金で働かされる人とした上で、職業人としての技能蓄積が期待しにくい環境で、正社員より低い賃金で使い捨てにする、現状は青年の人生の搾取ですとまで厳しく述べています。
一月のストリート相談会でも多くの訴えが寄せられましたが、フリーター、派遣労働者をめぐる労働条件は、低賃金な上に、福利厚生、各種保険制度もなく、ルールなき無法状態となっており、この解決は急務です。
まず、東京都として、だれもが気軽に相談できるフリーター向けの総合的な相談、支援の窓口を設けること、国に対しても、フリーター、派遣労働者などの権利を守る法制度の確立を求めるべきと考えます。所見を伺います。
職業教育も、対策の拡充が急がれています。現在、この問題での支援は、都の技術専門校での受け入れや、民間の職業訓練を受けた場合の国の助成金制度などがありますが、今日の深刻な事態に対応できていません。とりわけ問題は、高校などの新規卒業者や雇用保険に加入していない青年は、雇用保険で実施されている各種事業から除かれ、職業訓練中の生活費支給から除外され、民間の訓練の場合も国の助成金ももらえないことであります。何をおいても、民間の職業訓練を受けながら国の助成金の対象から外される青年に対して、都として何らかの支援を行うことが求められています。
また、技術専門校には、三十歳以下の青年向けの一年訓練と二年訓練のコースがありますが、一年訓練は七百四十五人の定員に対して倍近い千五百人が応募するなど、いずれのコースも希望者が殺到しています。ところが、都は毎年のように定員を削減させ、一年コースは、二年前に千三百七十人あった定数を七百四十五人に減らして、来年度は六百人にしてしまおうとしているのです。知事の答弁に逆行していると思いませんか。定員を削減するのではなく、採用枠を大幅に拡大することこそ、都がまず行うことではありませんか。あわせて答弁を求めます。
この問題の最後に、青年の雇用にとって、若者の能力開発が極めて重要な課題となっていると思いますが、知事の認識を伺います。
次に、商店街振興対策についてです。
長引く不況、個人消費の落ち込み、大型店の進出、空き店舗の増加、後継者難など、商店街を取り巻く状況は厳しいものがあります。地域経済とコミュニティの中心である商店街の振興策の実態に即した充実が求められています。
代表質問でも紹介しましたが、我が党は、都内五十二自治体に商業振興策についてのアンケートを実施しました。現在までに、三十三の自治体から回答をいただきました。その中で各自治体が力を入れているものの一つが、空き店舗対策です。
空き店舗の数では、私の地元の立川市が百九軒で比率が四・二%、新宿区は空き店舗が二百六十六軒で三・二%、大田区が三百十一軒で三・五%など、二十八自治体で三千八百六十六軒にも上り、急増していることがわかります。
そこで、都の空き店舗対策ですが、対象枠の拡大とともに、対象事業の要件緩和も自治体の強い要望となっています。
立川市では、シルバー人材センターやNPOと商店街の新しい取り組みが進んでいます。シルバー人材センターがリサイクル品を販売するお店を出したり、センターの仕事として、草取り、ふすま張り、サークル活動など多面的な取り組みをしています。こうした活動を商店街と提携し、空き店舗を活用し、シルバー人材センターの仕事請け負い所、サークル活動の交流の場として取り組むことで商店街を活性化しようとしています。
また、介護サービス、配食サービス、障害者問題、環境問題などに取り組んでいるNPOがありますが、どこも資金もなく、事務所探しにも苦労しています。活動の拠点を必要としている側と空き店舗を使ってほしい側を、うまく結び合わせることが必要となっています。
そこで、空き店舗対策も、新しい視点に立ち、商店街と連携したシルバー人材センターやNPOなども、空き店舗対策事業の対象とすべきと思いますが、いかがでしょうか。
商店街振興策は、商店街の目線に立って、すぐに改善できるところから取り組むことも必要です。アンケートの中で、各自治体は東京都の商業振興策について、前年度申請のため緊急性に欠ける、交付時期が遅い、活用しやすくするための要件緩和、事務処理、補助金交付の簡素化、迅速化などを挙げ、改善を求めています。
例えば、一つの事業を受けるのに、意向調査の申請、事業申請、予算の申請、最後に本申請と四回も書類を出さなければならない場合がある、こんなに書類が要るのか、煩雑過ぎる、改善できないのかという指摘があります。また、書類を提出すると、その都度チェックがあり、注文がつく、なぜ一度にいってくれないのか。区で監査を受けたのに、東京都がまた監査をするのか。商店街はそんなに暇ではないという声があるのは当然です。
さらに、予算が出るのが遅過ぎる。申請してから何カ月もたってから、場合によっては一年もかかる。事業が終わって支払いをしなければならないので立てかえている。ある商店街では、去年の七夕のイベントの補助金がいまだに出ていない。もうひな祭りになってしまうと悲鳴を上げていました。
書類の申請は一回でできるようにすること、基本的なチェックは市区町村におろして事務処理を簡素化すること、補助金など速やかに交付する必要があるのではないでしょうか。それぞれ答弁を求めます。
事務処理が進まない原因に、都の体制があります。都内の商店街は約三千軒、元気出せ商店街の申し込みだけで約一千件あります。それ以外にも各施策があります。これを実質五人で処理していますが、余りにも少な過ぎます。体制の強化が必要と思いますが、見解を求めます。
立川南口のある商店会会長は、二十数年前は百軒以上あったが、今では六十三軒。商店街を法人化しているが、法人住民税の均等割だけで七万円、税理士費用も五万円かかる。街灯の電気代などを引けば、年間九十万円の会費の半分も残らないといわれ、また別の方は、都の指導で法人化を進めたが、負担ばかりふえると話しています。振興組合への法人住民税の負担減免のための支援が求められていますが、どうか。答弁を求めます。
商店街では、会費集め、街灯の管理、会議の日程を合わせること、書類の申請など役員の仕事も結構あります。活発な活動を進めようと思えば、事務局体制の充実は欠かせません。商店街が独自に、あるいは共同して事務所が持てたり、専従の事務局が置けるように支援が必要です。あわせて答弁を求め、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 浅川修一議員の一般質問にお答えいたします。
若者の職業能力開発についてでありますが、若者の多くは、社会参加して、自分の努力で未来を切り開き、仕事について社会にも貢献したいと思っていると思います。日本という国の将来を考えますと、東京が中心になって、日本を若者の創造力が十分に発揮できる舞台にしなければならないと思います。次代を担う若者たちが能力を十分に発揮できないことは、社会的にも大きな損失であると思います。このため、個性や創造性豊かな人材育成の仕組みが大切であるとも思います。
私は、東京の若者一人一人が、みずからの能力を開発するために、目的意識を持って主体的に判断し、行動することを強く期待しているものでございます。
その他の質問については、労働経済局長から答弁します。
〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕
〇労働経済局長(浪越勝海君) 青年の雇用問題並びに商店街振興についてのご質問にお答えを申し上げます。
まず、青年雇用問題のうち、青年への就職支援についてでございますが、若者が希望する職業につき、充実した生活を送ることは重要なことであると認識しております。
都は、昨年十二月に策定した東京構想二〇〇〇の中に、在校生や既卒者に対する就業促進施策などを盛り込んでおり、今後とも、これらの施策の実現に向けて全庁的に取り組んでまいります。
なお、ご提案の委員会につきましては、改めて立ち上げる考えはございません。
次に、青年の相談窓口の設置等についてでございますが、都では、労政事務所において、都民の方々からの、賃金や社会保険を含めた労働問題全般にわたる相談に常時応じているところでございます。また、働く人の権利について、フリーターや派遣労働者を対象とした啓発セミナー等を実施しております。
なお、ご指摘の法制度につきましては、いわゆるパートタイム労働法や労働者派遣法などが制定されております。都としては、法制度が遵守されるよう普及啓発に努めているところでございます。
次に、民間の職業教育を受ける青年に対する支援についてでございますが、技術専門校等においては、一般の求職者と同様、新規学卒者や雇用保険を適用されていない青年に対しても、幅広く職業訓練を受ける機会を提供しているところでございます。
経済的に困難な状況に置かれながらも職業訓練を受けている青年などに対しては、雇用・能力開発機構の技術者育成資金の奨学金制度の周知を行っているところです。
なお、都においては、民間の職業教育を受ける場合に利用できるものとして、各種資金の貸付制度がございます。
次に、技術専門校の訓練規模についてでございますが、青年などが希望する職業につき、充実した生活を送るためには、必要な職業能力を習得することが重要であると考えております。
都はこれまで、雇用失業情勢や技術専門校の訓練実績、また、他の教育訓練施設の動向等を考慮して、公共職業訓練の推進に努めてきたところです。平成十三年度については、今年度と同規模としております。
次に、商店街振興に関してですが、まず、NPO等と連携した空き店舗対策についてでございますが、地域コミュニティの核としての役割が期待される商店街が、ボランティアやNPOとの連携を図ることは重要なことと認識しており、既に障害者団体との連携により、空き店舗を活用し、事業を実施している例もございます。
都としては、今後ともこのような商店街とNPO等との連携に対し支援を行ってまいります。
次に、都の商店街振興対策事業に係る補助金の申請手続の簡素化についてですが、申請手続に当たりましては、事業を適正に執行する上で必要な調査を行ってきたところであり、これまでも手続の簡素化を図ってきたところです。また、これらの事業は、都が区市町村を通じて商店街を支援するものであり、都はこれまでも、区市町村と役割分担を行った上で、緊密な連携を図りながら進めてきたところです。
今後とも、商店街の事務処理の負担軽減の観点をも踏まえつつ、適正な運用に努めてまいります。
次に、商店街振興対策事業の事務処理体制についてですが、これまでも、都としては所要の体制を整備し、商店街振興施策の迅速かつ適切な実施に努めてきたところです。
今後とも、事務の一層の合理化に努め、効率的な事務処理を行ってまいります。
次に、商店街振興組合への法人住民税の負担軽減のための支援についてでございますが、商店街振興組合に対しては、各種の税制上の優遇措置が講じられております。一方、商店街振興組合が行う事業活動に対し、活力ある商店街育成事業、元気を出せ商店街事業などにより、資金面から支援を行っているところです。
最後に、商店街事務局への支援についてでございますが、商店街の運営のための事務所経費や人件費などの一般的管理経費は、本来、その構成員が負担すべきものであると考えます。このため、都はこれらの経費への支援は考えておりません。