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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団 |
-- 目 次 --
〇百二十六番(木村陽治君) 私は、日本共産党を代表して石原知事に質問いたします。
まず、都民にとって重要な課題となっている福祉の問題であります。
年金、医療などの後退や倒産、リストラの中で、都民は将来への不安を強めています。とりわけ都政においては、一年前、シルバーパスの全面有料化、老人医療費助成と老人福祉手当の段階的廃止、障害者やひとり親家庭の医療費有料化、特別養護老人ホームへの補助金の大幅カットなど福祉切り捨てが行われ、その痛みが広がる中で、東京の福祉はどうなるのかという心配と怒りの声が広がっているのであります。
重度障害児の家庭では、一日たりとも親亡き後のことを心配しない日はない、子どもに少しでも蓄えを残そうと働きづめに働いたら、所得制限オーバーで医療費助成が打ち切られた、リハビリを受けさせたいが、負担が重くて回数を減らざるを得なかった、このような訴えが口々に出されているのであります。
老人クラブでは、一生懸命働いてきて、年をとったら少しは楽になるかと思ったら、最近はシルバーパスだ、介護保険だ、医療費値上げだとお金を取られることばかり、本当に腹が立つ。次から次へと高齢者の負担がふえてくる。年寄りは金持ちだというが、そんな人はごく一部の人で、多くは国民年金でやっと生きているんだと、まさに怒りの声にあふれております。
町の中では、若い人の間でも、うちのおじいちゃん、おばあちゃんが困っている。自分たちの将来にかかわる大事なことだといって、福祉のことが話題になっています。
きょうは、時間の関係もありますので、シルバーパスとマル福の老人医療費助成に絞って伺います。
シルバーパスが全面有料化され、住民税課税者が二万五百十円の費用負担となりましたが、ことし七十歳になったお年寄りからは、私の収入では二万五百十円も払えない、どうしたらよいのかという相談が幾つも寄せられています。これは、住民税課税者で昨年十月までにパスの交付を受けていた人は、昨年は五千円、ことし十月からは一万円という経過措置がありますが、新規に申し込む人はこの経過措置がなく、いきなり二万五百十円取られるからであります。二万五百十円の対象となる住民税課税者は、高齢者の三人に一人に及びます。
さらにその上、住民税非課税者の人まで千円の費用負担が導入されました。千円といえども、軽い負担ではありません。介護保険の負担もある。医療費値上げもある。都営住宅家賃の免除がなくなり、負担がふえた人もいます。
東京の高齢者のうち、おおよそ五十万人は月額四万円以下の国民年金受給者と推計できますが、その人たちにさえ容赦なく負担が押し寄せています。住宅費や食費など物価が日本一高い東京でも、年金の額は共通です。それだけに東京の高齢者の暮らしは深刻な打撃を受けているのであります。
高齢者のお宅を訪ねてみると、一つのお弁当を二回に分けて食べているとか、食事を一日二回に減らしているとか、冬でも暖房をできるだけつけないようにして我慢している、そういう場合が少なくありません。毎日の生活の中で十円、二十円を節約している。その中での千円の重さというのは、やはり特別なものがあると私は思います。
しかも、その千円という負担額も条例で決められているわけではなくて、議会にかけずに知事の裁量で改定できる仕組みですから、いつまでも千円という保証はありません。一たん有料化されたものが次第に値上げの歯どめがかからなくなるのは、老人医療費の例を見ても明らかであります。
以上のような見直しにより、パスの利用はどうなったでしょうか。郵送や民生委員さんが届けてくれた交付方式が変更され、わざわざバスの営業所などに行って受け取ることになった負担も重なり、今まで無料パスだった七十八万人のうち、何と十万五千人が利用をやめる結果となりました。
そして、高齢者の方々からは、老人クラブの会合や行事の参加に支障が出ている、五千円から一万円に上がったらもう買えない、こういう声が上がっているのであります。この声を知事はどう受けとめますか。今後、五千円のパスの値上げが続いたら、シルバーパスの利用者はさらに減って、お年寄りの社会参加の機会と生きがいを奪うことに なると考えますが、知事の見解を伺います。
そもそもシルバーパスは、高齢者の社会参加促進と生きがい支援のための主要な柱となる施策であります。そして、通院、買い物など日常生活にとってなくてはならない足となっております。昨年、交通バリアフリー法ができるなど、高齢者、障害者の社会参加への保障をようやく国全体でつくり上げようとしているときに、首都東京がそのシルバーパスを大きく後退させたことほど、時代に逆行することはありません。
シルバーパスと同様の制度は、全国三百の自治体に広がり、四百万の高齢者が利用しています。政令市はすべて実施しており、十二市のうち九市は所得制限なしの無料交付です。東京のように後退させたところは一つもありません。
千葉市に伺いますと、敬老パスは高齢者の社会参加を促す価値があると考えており、見直しは考えられないといわれました。広島市は、交通不便地域の市民要求にこたえるために、タクシーの初乗り十五回分の無料券と選択できるようにしました。名古屋市では、六十五歳以上が対象で所得制限なしで、その上、第三セクターの新交通システムにも利用できるようにしました。このように拡充の流れも生まれているのであります。
石原知事は、シルバーパスの意義、役割について一体どのようにお考えでしょうか、見解を伺います。
先ほどの名古屋市を初め、札幌、千葉、横浜、大阪、神戸、広島の七市は、第三セクターのモノレールなどにも敬老パスを適用しています。知事がシルバーパスの意義、役割が重要だと考えるならば、東京でも、多摩モノレールにも対象を広げるべきではありませんか。ぜひ沿線住民の切実な願いにこたえていただきたい。答弁を求めます。
六十五歳からの老人医療費助成、マル福の段階的廃止も、都民の中で大問題になっています。
マル福は既に九万六千人が門前払いとなり、今後さらに対象者が減って、二〇〇六年に廃止されます。今、区や市の窓口や医療機関には、六十五歳になってもマル福の医療証が届かない、マル福はどうなっているのかという問い合わせが多数寄せられています。六十五歳になったらマル福で虫歯が治せる、白内障の手術ができると思っていたの に、余りにもひどい、これから医療費をどうやってやりくりすればいいのか不安で仕方がないなどの訴えもあります。
マル福があると、今は一割負担。ない場合は、国保で三割、退職者国保で二割負担ですから、今回のマル福見直しで、今後六十五歳からの医療費負担は二倍から三倍の負担増になります。医師や多くの都民 の方々から、受診抑制につながるとの声が上がっています。
マル福廃止で受診抑制が起きる心配の声が上がっていることをどう考えているんですか。起きないとあなたはいえるんですか。知事の答弁を求めます。
都の患者調査の結果によれば、医療機関にかかる受療率は六十代から急上昇し、通院患者数は、六十五歳から六十九歳が七万六千五百人で最多数、七十歳から七十四歳の人よりも多くなっています。また、都立駒込病院のがん入院患者の年齢も、東京都リハビリテーション病院の脳疾患患者の年齢も、六十から六十九歳が一番多くなっています 。
客観的に見て、六十代の高齢初期の方に対する医療的支援の重要性が非常に高いことは明らかです。高血圧、糖尿病、高脂血症など、高齢者につきものの慢性疾患が多くなるのも六十代であります。例えば糖尿病の場合、早期発見、早期治療を行い、継続した治療と健康管理を行えば、軽症のまま抑えることができますが、発見がおくれたり、治療の中断があれば重症化し、失明や寝たきりに至る危険が多くなります。
しかも、六十五歳ぐらいの高齢期に入ると、病気の特徴が大きく変わり、一人で幾つもの病気をあわせ持ち、複数の医療機関にかかるようになること、しかも長期化することも、都の老人医療センターを初め多くの医療関係者が指摘しているところであります。つまり、この年代はさまざまな形で医療費の負担がふえていく。しかも、それが継続的に必要となる。ところが、一方で年金生活に入り、収入は大きく落ち込むという構造があるのであります。
知事、高齢初期に病気の早期発見、早期治療を行い、医療を継続することが病気の重症化を防ぎ、ひいては介護予防のためにも非常に重要であるということについても、認めないでしょうか。答弁を求めます。
高齢初期の医療費助成は重要であり、これを実施している十一の政令市のうち、見直しはしても、東京のように廃止をするようなところは一つもないんです。京都市に聞いてみたら、助成制度がなければ患者者負担は三割にはね上がるから、お年寄りにとっては大切な制度だというお答えでした。千葉市では、廃止をすれば市民への影響が大きく 、廃止は考えていないとの返事でありました。東京都がまさに突出しているのであります。
私は、知事が都民に負担と痛みを押しつけるのではなくて、都民の暮らし、福祉を守る立場で都政に当たり、国に対しても働きかけるよう求めるものであります。見解を伺います。
高齢者福祉について、主婦連合会会長の和田正江さんは、こんなふうに話しています。
今は、長生きしてもつらいことばかり。高齢者は豊かな人が多いなどとよくいわれますが、実態と違う。私たちは、十円でも二十円でも安い物を一生懸命探して、日々の生活を何とかやっているんです。それに、これだけ将来不安があれば、ある程度の貯金がなければ、おっかなくて生きていかれない。せっかく今まで東京都は、ある程度高い水準で高齢者への手当てをしてきたのに、一斉に切られたり後退したりするのは本当に困る。シルバーパスも医療費助成ももとに戻してほしい。
福祉の復活というのは、何も我が党だけがいっているわけじゃないんです。多くの都民皆さんの共通の願いであります。東京都の調査でも、都政に対する都民要望の第一位は、この十五年間にわたって高齢者対策です。男性では三十代以上はすべて一位です。女性は四十代以上がすべて一位です。つまり、高齢者福祉は都民全体に共通する要求であり、都政の中で特別の位置づけで取り組む必要があるのであります。
我が党は、それにふさわしく、介護基盤整備やケアリビング、在宅サービスの充実と同時に、シルバーパスをもとへ戻すこと、マル福を六十五歳からの制度に戻すことを初め、切り捨てられた福祉の復活を目指し、都民の皆さんと力を合わせて全力を尽くすものであります。
もう一つの重要な問題は、介護保険についてであります。
十月から、六十五歳以上の方の保険料が二倍に引き上げられます。その通知を受け取った高齢者からは、驚きと怒りの声が上がっています。ある区では、通知送付後、二週間で二千件を超える電話が区役所に殺到しました。私がお会いした年金暮らしのおばあさんは、十月からどこを切り詰めたらいいか、今から考えてい本当に心細いと途方に暮れていました。だれもが安心して介護が受けられる制度にするために、何とかしてほしいという切実な声は一層高まっております。
知事は、さきの予算議会で、社会福祉法人等による利用者負担の軽減措置の活用に向けた区市町村の努力に対し、都としての支援策をできるだけ早く検討し、行いたいと表明しましたが、都として本格的な利用料減免制度を一日も早くつくり、実現することが求められています。
その際、第一に、国の特別対策に対し、対象サービスや事業主体を拡大するとともに、所得制限をできるだけ緩やかにして、都民が利用しやすくすることが必要であります。第二に、社会福祉法人を初めとする事業者負担はできるだけ軽減し、事業者にとっても実施しやすいものにすることであります。第三に、区市町村が既に行っている利用料減免を妨げず、一層充実できるようにすべきであります。以上の点について見解を求めます。
さらに重要なことは、利用料の減免だけではなくて、保険料の減免制度実施を国に要求すると同時に、都として踏み出すことであります。我が党議員団は、さきに介護保険のはがきによるアンケートを実施し、千三百五通の返事をいただきましたが、うち、保険料の負担が重いと答えた人が七四・九%、さらに国や自治体が保険料の減額制度を行うことに賛成と答えた人は、九三・五%に及びました。この声はまことに切実なものがあります。
厚生労働省の調査によれば、既に百三十九の市町村で保険料減免に踏み出し、その数はこの半年で倍増になっています。この流れは、十月の保険料二倍引き上げが近づくにつれて加速することは明らかです。東京でも、一区四市の自治体が独自の保険料減免に踏み出していますが、都民の切実な願いにこたえるためには、都として支援に踏み出すことが、どうしても必要です。答弁を求めます。
今述べてきたシルバーパスや老人医療費助成の復活、介護保険の減免に踏み出すことは、財政的にも困難なことではありません。我が党が三月の予算議会で提案した予算の組み替え提案で示したように、例えば、シルバーパスを無料に戻すのに必要な予算は二十億円、老人医療費助成をもとに戻すのに五十四億円、介護保険の保険料、利用料の減免に必要なのは八十五億円であります。切り捨てられた福祉の十事業と介護保険の減免を合わせても、四百九十億円で済む話であります 。社会基盤整備基金や大型開発の資金の一部を充てるだけでも、実現可能であることを指摘しておくものであります。
さて、自民党を変える、日本を変えるといって誕生した小泉政権が誕生して一カ月余りたちました。今、国民の高い支持が集まっていますが、これは自民党政治を変えてほしいという思いが、国民の間でいかにみなぎっているかを示しています。そして、小泉政権が国民の願いにこたえて自民党政治を本当に変えることができるのか、多くの国民が見守っています。今、自民党政治を変えるというならば、経済の問題では、大型公共事業や大銀行にお金をつぎ込むというやり方を改め、何よりも実体経済を立て直すために、日本経済の六割を占める個人消費、家計を直接温めることが必要ではないでしょうか。
私たち日本共産党は、そのために消費税を三%に引き下げる、老人医療や介護保険、年金などの三兆円もの負担増、給付カットを凍結し、将来不安のない社会保障の体系をつくる、雇用拡大のために、リストラを抑え、中小企業への支援、サービス残業をなくす国民的大運動を行うという緊急経済対策を提案しています。この個人消費、家計を直接温める方向こそ、国民の願いにかなうものと考えますが、知事の見解を伺います。
これまでの国会の答弁を聞いた限りでは、小泉政権の構造改革で明らかになってきていることは、銀行が抱えている不良債権の最終処理や社会保障の見直しです。
不良債権の最終処理の中身は、融資を打ち切り、資金を回収する、それもこの二、三年の間に一気に処理しようというものであります。第一生命経済研究所、ニッセイ基礎研究所などの民間の研究機関の試算では、これをやれば、百万人から百三十万人の新たな失業者が生まれるとされています。しかも、そのうちの八割は中小企業です。
社会保障については、小泉首相は厚生大臣当時、高齢者に一割から二割程度の定率の自己負担の導入、サラリーマンの自己負担の三割への引き上げなど負担増の改革案を打ち出しました。既に、ことしの一月からお年寄りの医療費一割負担が導入されましたが、小泉首相のもとで来年度から本格的な具体化を図る、これが革の方向です。これでは、大銀行、ゼネコンを応援し、専ら国民に痛みを押しつけるという従来型の自民党政治そのものではないですか。
知事は、小泉内閣について所信表明で、相通ずるところがある、歴代の内閣がなし得なかった改革を速やかに断行することを期待すると述べられましたが、私がお会いした中小業者や都民の多くは、こんな改革が押しつけられたら、さらなる大不況になる、資金を引き揚げられたらもう中小企業はやっていけないと、口々に訴えられました。知事、このような都民の声をどう考えますか。失業者や中小企業の倒産の増大、そして社会保障について国民のさらなる負担増を求めるという改革についての知事の見解を伺うものであります。
私は、景気対策としても、都民の暮らしを守る上でも、都政としての取り組みが求められている幾つかの課題があると考えます。
その第一が、サービス残業の一掃です。この問題では最近、大きな前進が生まれました。それは、厚生労働省が四月に、サービス残業をなくすための通達を出したことであります。この通達が出るまで、日本共産党は国会で八十九回も質問を行いましたが、社会生産性本部は、サービス残業がなくなれば全国で九十万人の雇用が創出できると試算を発表しております。産業労働局の調査でも、東京では七割の大企業で何らかのサービス残業が行われていることが判明しており、サービス残業がなくなれば、東京でも大きな雇用効果が見込まれます。
日本共産党都議団は、先日、経済同友会と東京商工会議所を訪ね、サービス残業をなくすために行動を起こすように申し入れを行いました。これに対して、それぞれ、おっしゃるとおり、啓発したいなどと回答がなされました。
知事、経済界もその必要性を認めています。しかし、同時に、一企業だけでやれば競争に負けてしまうともいわれました。企業任せで改善を図ることは困難です。社会全体での改善が必要であり、東京都が積極的に旗振りをすることが求められているのではないでしょうか。
東京都として、都内企業にサービス残業をなくすための呼びかけを行い、とりわけ都の仕事を請け負っている企業などに対しては、是正を厳しく求めることが重要であります。また、都職員のサービス残業についても、実態の調査と是正を行うことは率先して実施すべきと思いますが、答弁を求めます。
雇用の問題では、国の緊急雇用対策がことしで終了しますが、その継続を求める声が広がっています。全国では百五十六の自治体で継続を求める意見書、決議が採択され、さらに広がっています。東京都も継続の要望を国に行うと聞いておりますけれども、継続の要望にとどまらず、交付金の増額、就労期間の延長、再就労など改善を求めることが必要と思いますが、どうか、知事の見解を伺います。
経済対策では、公共事業の見直しが強く求められています。この点で、石原知事は都市再生を政策の中心に掲げ、所信表明でも十兆円プロジェクトを推進することを表明されました。その内容は、三環状道路などの交通渋滞解消、広域廃棄物処理施設、防災、電線地中化などが挙げられています。
しかし、このような大型プロジェクトが国や都の財政を破綻に追い込んできたのであり、その見直しが今問われているのではないでしょうか。確かに、こうした社会基盤整備の多くは、住民合意のもとで適正に進めることは必要です。しかし、このことによって国や都の財政破綻を一層激しくしたり、環境破壊をもたらすことは許されません。
今、東京が迫られている緊急の課題というのならば、全国一立ちおくれているデイサービスやショートステイなどの介護基盤、都心から排除されつつある低所得者や若年ファミリーの世帯のための安い家賃の住宅、保育所の増設、世界の主要都市の中で最低水準の緑や公園、生活道路やバリアフリーの促進、こうしたものに重点的に資金を投入して取り組む必要があるのではないでしょうか。また、高齢者福祉の充実、子育て支援のための仕組みなども都市再生に欠かせない課題ではありませんか。
例えば、特別養護老人ホームです。介護保険に移行して一年たった現在、東京都が、特別養護老人ホームを希望して入れない待機者の数すらつかんでいないという実態が放置されています。措置制度ではなくなり、複数の施設に申し込む人もいるのでつかめないという話は通りません。既に千葉県では、四月一日現在のダブりを除いた正確な待機者を掌握しています。都内二十三区でも、十七区が同様に実態をつかんでいます。それによれば、十七区だけで一万二百八十九人と、一昨年の一・七四倍に及んでいます。全都的に待機者が大幅にふえているのであります。
知事、正確な待機者をつかみもしない計画では、だれも納得しません。都として早急に待機者の実態を掌握すべきと考えますが、どうか。福祉改革プランというなら、都が特別の予算を組んで、待機者解消のため、特別養護老人ホームの建設を促進するのが当然と考えますが、どうか。それぞれ答弁を求めます。
また、全国最低水準のデイサービスなどの施設を引き上げるために、都として緊急整備計画を立てて促進すべきではありませんか。答弁を求めます。
法施行から四十七年たちながら、いまだ未実施の学校が残されている中学校給食の実施も緊急課題です。二十三区は九九%の学校で実施されていますが、多摩地域では、まだ半分の中学校で給食が実施されていません。学校給食が進まない一番の理由は、施設整備に多大な経費が必要とされ、財政が厳しい多摩地域の自治体では、やりたくてもやれない事情があるからにほかなりません。
教育長に伺います。学校給食法は、児童及び生徒の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に寄与するものとして、学校給食の普及充実を図ることを定めています。こうした中学校給食の役割と意義をどう認識されていますか。また、すべての中学生が給食を受けられるようにするために、国の補助の拡大を求めるとともに、東京都として財政支援を行うべきだと思いますが、答弁を求めます。
いよいよ都議選が目前に迫りました。日本共産党は、東京の福祉を取り戻し、さらなる拡充を図ること、そして都民の暮らしと営業を守ることを高く掲げ、全力を尽くす決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君)木村陽治議員の質問にお答えいたします。
またまたまたまたシルバーパスの見直しについてでありますが、お答えは同じでございまして、シルバーパス制度を含む経済給付的事業については、制度発足後の社会経済状況の変化を踏まえ、負担の公平や制度間の整合性の確保などの観点に立って、福祉改革の一環として見直しを行いました。
福祉改革推進プランにおいては、五千二百億円を超える財源を集中投入し、福祉サービスの充実に向けた基盤整備などに取り組むことにしております。
シルバーパスについては、新しい制度のもと、多くの高齢者がパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用していただいており、パス本来の目的に十分沿っているものと考えております。
次いで、老人医療費についてでありますが、保険料収入が伸び悩み、他方では老人医療費が国民所得を上回る伸びを示す中、高齢者医療の負担と給付の問題は国民的課題。国においても、平成十四年度を目途に高齢者医療制度の見直しについて検討をしております。
お尋ねの、昨年の都における老人医療費助成制度の見直しに当たっては、経過措置として、これまで対象となっていた方が国の老人保健制度の対象となるまで引き続き助成いたします。
全体として、必要な医療は確保されているものと認識しております。
次いで、国民の願いにかなった政策についてでありますが、これは小泉政権にかかわる、我が国に今必要なことは、小手先の対策ではなくて、抜本的な改革により国家を再生に導くことであります。それが、結局は個人所得の増加、ひいては個人消費の拡大にもつながるものと思います。
東京が提言し、国も本腰を入れて取り組みを開始した首都圏の再生は、国家再生の早道であり、景気対策としても高い効果があります。さきに提案した十兆円プロジェクトなど、首都圏の再生策を早急に実行することが国家として選択すべき政策であり、都民、国民の願いにかなうものであると思っております。
次いで、小泉内閣の改革についてでありますが、国民の多くが疑問を感じていながら、これまで手をつけなかった構造改革を実行することこそが、雇用機会の拡大や、トータルで見た国民の負担の抑制につながるものであります。
痛みを伴う改革にもあえて取り組もうとする小泉内閣の姿勢は、多くの国民が理解を示しており、高い支持率となってあらわれております。
ちなみに、共産党が主張していらっしゃるような消費税の三%引き下げというものも、私からいわせれば、非常に退嬰的な策でしかないと思いますし、前衛という名前を最近捨てられた共産党らしい、何の変化もない、何の変化ももたらさない策でしかないと私は思います。
いずれにしろ、景気を、私も国民の一人として、国をつかさどる小泉内閣に期待をしておりますから、小泉純一郎総理が反対する勢力の抵抗にひるむことなく、構造改革を早急に断行することを、国民、都民とともに期待しております。
その前哨戦であります、参議院の前にやってまいります都議会の選挙で、事の是非をひとつ皆さん、ぜひはっきりとつけていただきたい。国民の皆さんにそれを期待しております。
以下は関係局長が答弁いたします。
〔教育長横山洋吉君登壇〕
〇教育長(横山洋吉君) 中学校の学校給食についてでございますが、学校給食は、児童生徒の健康の増進、体位の向上及び正しい食習慣の形成など、教育上の意義を有していると考えております。
この公立小中学校の給食の施設整備にかかわる経費につきましては、学校給食法によりまして、設置者でございます区市町村が負担することとされておりますが、一方で、国は学校給食の開設に必要な施設設備にかかわる補助制度を設けておりまして、その経費の一部を助成いたしております。
公立小中学校の給食施設整備に当たりましては、この国の助成制度を十分活用し、設置者である区市町村が適切に対応すべきものでございまして、東京都として財政支援を行うことは困難であると考えております。
なお、都としましては、これまでも他の地方自治体とも連携をしまして、国の公立小中学校の給食施設整備予算の拡充につきまして、国に要望を行ってまいりましたが、今後とも要望してまいります。
〔福祉局長前川燿男君登壇〕
〇福祉局長(前川燿男君) 八点のご質問にお答えいたします。
最初に、シルバーパスにつきまして、まず、その意義でございますが、シルバーパスは高齢者の社会参加を助長し、福祉の向上を図ることを目的としている制度であります。若年世代との負担の不公平などの課題があったことから、制度を存続させるために見直しを行いました。新しい制度のもとで、多くの高齢者に引き続きご活用いただいており、十分ご理解を得ているものと考えております。
次に、シルバーパスの対象についてでありますが、シルバーパスは都電、都営地下鉄及び路線バスを対象とするものであり、新たな対象の拡大は考えておりません。
続きまして、老人医療につきまして、まず、病気の早期発見等についてでありますが、病気を早期に発見し治療を行うことは、重症化の防止や介護予防のために重要なことと認識をいたしております。
現行の医療保険制度におきましても、高額療養費の支給により、実質的に一定の負担限度内で医療が受けられるとともに、低所得者に対しては、一部負担金の減免や食事療養費の減額制度もあり、六十歳代も含め、真に必要な医療は確保されていると考えております。
また、早期発見や予防という観点から、老人保健法に基づく健康診査、健康相談などの各種保健事業や、見直しにより新たに立ち上げた高齢者いきいき事業の積極的な展開も図っております。
次に、老人医療費助成制度の見直しについてでありますが、本制度は昭和四十四年に開始いたしましたが、その後、老人保健法の施行や高額療養費支給制度の創設等により、医療保険制度は格段に充実をしております。これに加え、年金給付水準が改善されたことや、若年世代との間に負担の不公平が生じていることなどから、福祉改革の一環ととして見直しを行ったものであり、見直しに合わせ、利用者本位の視点に立った施策を積極的に展開しております。したがって、本制度をもとに戻すことや、国への働きかけを行うことは考えておりません。
なお、老人医療費助成を実施している県のうち、約半数は見直しを予定していると聞いております。
続きまして、介護保険制度につきまして、まず、社会福祉法人等による利用者負担の減免措置についてでありますが、さきの第一回東京都議会定例会予算特別委員会におきまして、国の特別対策である本措置に関し、事業主体及び対象サービスの拡大並びに事業者負担の軽減を図るよう、ご提案をいただきました。
介護保険制度におきましては、既に所得に応じた限度額の設定や特別対策による減免措置が講じられており、低所得者に対する一定の配慮はなされていると認識をいたしております。
しかしながら、区市町村が、事業者負担という制度の根幹は堅持しながら、本措置の活用に向けて工夫を凝らすことは有意義でございます。サービスを利用していない人との公平に配慮した支援策について、都として現在検討を行っております。
なお、区市町村が独自に講じている利用者負担の減免措置に対する支援は考えておりません。
次に、介護保険料の減免についてでありますが、介護保険制度では、すべての被保険者が公平に保険料を負担することが、制度の健全かつ円滑な運営のために不可欠であると認識をいたしております。既に本制度におきましては、低所得者への配慮として、所得に応じた保険料設定方式が設けられており、かつ、保険料率などの弾力化も可能とされております。
国民の共同連帯を理念とした介護保険制度につきまして、都としては、ご提案のような取り組みは考えておりません。
続きまして、特別養護老人ホームについてでありますが、介護保険制度の実施に伴い、いわゆる待機者の概念はなくなりましたが、特別養護老人ホームの入所希望者数や必要施設数の把握は、引き続き区市町村の役割とされております。都としても、広域的な立場から、今年度、区市町村と協力してニーズ調査を行う予定でございます。
また、福祉改革推進プランに基づきまして、特別養護老人ホームなどの整備を今後とも計画的に進めるとともに、新たに住まいとケアとを組み合わせたケアリビングに取り組んでまいります。
最後に、デイサービスについてでありますが、デイサービスの施設につきましては、都は、東京都高齢者保健福祉計画に基づき、区市町村と連携して整備を進めております。これまで都は、特別養護老人ホームに併設する高齢者在宅サービスセンターの用地取得費助成や、国の整備費補助単価への加算など、大都市の特性を踏まえた独自の補助を実施いたしております。
今年度は、新たに高齢者在宅サービスセンター等緊急整備支援事業を実施し、利用者サービスの向上とサービス量の確保を図ることといたしております。
〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕
〇浪越産業労働局長 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都内企業のサービス残業についてですが、労働基準法に基づく監督権限は国が直接所掌するものであり、お話の厚生労働省通達による、いわゆるサービス残業など労働時間管理の適正化に関する指導監督も、東京労働局が行っております。
都としても、都民の労働環境の向上を図る観点から、東京労働局と連携して、適正な労働時間管理が行われるよう、使用者に対するセミナーや職場改善訪問事業などの取り組みを通じて普及啓発に努めています。
次に、国の緊急雇用対策についてですが、このうち、緊急地域雇用特別基金事業については、平成十一年度から区市町村とともに最大限の活用に努めており、引き続き、一人でも多くの雇用機会の創出へ向けて着実に取り組んでまいります。
なお、お話の点は、まず、本事業があくまでも常用就職までの臨時、応急的な雇用機会の提供を目指すものであること、二点目として、常用雇用の創出は本来民間によってなされるべきこと、三点目として、かつての失業対策事業のような失業者の滞留を生じさせてはならないことなどから、十分慎重に対応すべきと考えております。
〔総務局長大関東支夫君登壇〕
〇総務局長(大関東支夫君) 東京都職員のサービス残業についてでございます。
都における職員の勤務時間の管理につきましては、これまでも超過勤務を含め、勤務時間及び服務管理に関する諸規定に基づき、適正な管理に努めてきております。今後とも、厳正かつ適切な管理に努めてまいります。