過去のページ
■ 議会での質問 日本共産党東京都議団 |
-- 目 次 --
日本共産党を代表して質問します。
かつて経験したことのない不況とリストラの嵐のもとで、都民のくらしと営業は悪化の一途をたどっています。
所得、消費、生産が連鎖的におちこみ、物価下落が同時にすすむ、いわゆる「デフレスパイラル」が経済を脅かしはじめています。これは、戦後の日本も、世界の主要国でも経験したことのないことです。
ところが、小泉内閣は、「構造改革なくして成長なし」という空疎なスローガンをくり返し、乱暴な不良債権の処理や大企業のリストラ応援、医療制度の改悪など、経済と生活を破壊する路線に固執し、事態を打開する力も、将来もみとおす力も示せないまま、国民にはげしい痛みをおしつけています。
このようなときにこそ東京都が、都民のくらしと福祉をまもるという地方自治体の、基本的立場にたちかえり、全力をつくすことが求められるのではないでしょうか。
石原知事は、施政方針演説で、不況でくるしむ中小業者のために、二十三区での小規模な店舗や事業所用地の固定資産税の軽減措置や、国の対策の立ちおくれに対して「地球温暖化阻止・東京作戦」の実施を宣言しましたが、当然の施策です。
しかしながら、石原知事は、今後の都政運営については、「積極的果敢な行動」「連帯・連携の強化」「メッセージの発信」という三つの基本的視点をしめしましたが、肝心の不況にくるしむ都民のくらしと営業、福祉をどう守るのかという視点は示されませんでした。
知事、都政運営の基本というのであれば、なにより、都民のくらしと営業、福祉を最優先にすえることが欠かせないのではありませんか。見解を伺います。
都政運営の基本が示される、来年度予算案が今定例会に提案されていますが、これも、深刻な事態に直面している都民のくらし福祉をどう守るのかという立場で編成することが求められているものです。
そこで、都政と来年度予算に課せられた緊急でかつ切実な課題について、しぼって提案を行うものです。
まず、小泉政権の医療改悪とかさなって、「痛み」がひろがっている福祉切りすてについてです。
石原知事が「福祉改革」をすすめるといって、まっ先に「改革」の名でやったことは、高齢者や障害者の命綱である医療費助成と福祉手当の切りすてであり、シルバーパス全面有料化でした。
シルバーパスの利用者は、全面有料化で七万五千人もへりました。そのうえ昨年一万円の人は、今年は一万五千円になります。住民税が均等割のみに軽減されている高齢者にたいし、無料だったものを、わずか二年で一万五千円に引きあげるのが、知事、「改革」だと言うのですか。
老人医療費助成・マル福の対象からはずされる人は十万人をこえ、医療費の負担に苦しんでいます。
寝たきり高齢者への老人福祉手当はどうでしょうか。支給額は年額六十六万円から十六万五千円に大幅削減で、それも来年度かぎりで廃止となります。支給をうけている人数も半減しています。わが党は、あらためて実態調査をおこないましたが、深刻な状況がうきぼりとなりました。
私が直接話を聞いた方は、夫婦とも八十歳をこえており要介護度四と三で、娘さんが介護をしています。二年前まではヘルパー派遣は無料でしたが、いまは介護保険の利用料と保険料の負担もあり、月に夫婦で五万円をこえる負担増になっています。そのうえ老人福祉手当は夫婦で五万五千円の削減です。「老人福祉手当がなくなってしまったら、くらしは維持できなくなる」と切々と訴えていました。
このほかにも多数の方が、この二年間に経済的負担も介護の負担もふえたと回答しています。介護保険の保険料・利用料など負担増の一方、老人福祉手当は大幅削減で、サービスの利用をへらす、家族の負担がふえるという結果になっているのです。「とうとう貯金が底をつき、これからどうすればいいのか」という声もありました。こんな切ない話はないじゃありませんか。
老人福祉手当は来年度かぎりで廃止という方針は再検討すべきです。お答えください。
介護保険がはじまるからと言って、老人福祉手当の廃止を決め、削減してきましたが、逆に必要性は高まっているのです。練馬区や江戸川区は、シルバー福祉手当、熟年者激励手当などのかたちで、都の老人福祉手当切りすてをおぎなう努力をつづけています。
また豊島区が、要介護認定をうけた高齢者の入院費用の一部助成制度の創設を決めたように、新たなとりくみもはじまっています。全国のほとんどの政令市では、シルバーパスの無料制度や老人医療費助成を、財政がきびしいもとでも継続しています。
以上述べてきたように、いっそう深刻になる経済悪化と、医療費、介護保険などの負担増とあいまって、都の経済給付的福祉施策切りすてによるに都民の痛みがひろがっていることを、知事は、どう認識しているのですか。
住民のいのちと健康、くらしをまもることこそ地方自治体の第一の責務であり、その原点にたちかえって、経済給付的事業のきりすては中止し、もとにもどすようもとめるものです。知事の見解を伺います。
経済給付的事業にかえて、在宅サービスなど新しい福祉施策を充実するとしていましたが、実態はどうでしょうか。二〇〇〇年度決算によれば、予算の執行率は、知的障害者の重度生活寮は二〇%、ガイドヘルパーは一・五%など、実に三百十六億円もの福祉費を使い残しています。
医療費助成や福祉手当はばっさり削り、新しくつけた予算は三百十六億円も使い残すという結果を、知事は予算執行の責任者としてどう考えているのか、認識を伺います。
経済給付的事業と在宅サービス・施設サービスの両方を、ともに拡充していくことが、深刻な事態においこまれている都民の生活にとって、不可欠であることをあらためて指摘しておくものです。
知事が「医療改革」だと言ってすすめているのも、「改革」どころか、都立病院の大幅統廃合です。地域医療から手をひいて、十六の都立病院を八病院に半減させようという都立病院改革会議の報告を、そのまま都の「マスタープラン」として具体化したばかりか、知事は所信表明で、「スクラップ・アンド・ビルドは避けられない」などと述べました。
二十六万人以上の署名が集まっている八王子、清瀬の小児病院や、世田谷の母子保健院の存続をもとめる都民と自治体の切実なねがい、身近な安心のよりどころとなっている病院がなくなってしまうという住民の痛みを、知事はいったいどう考えているのですか。
なかでも差し迫っているのは、ことしの十二月末廃止がうちだされた母子保健院です。母子保健院は夜間・休日も小児科医が救急対応できる、世田谷区内で唯一の病院です。世田谷区の年間六千人の新生児のうち、千人が母子保健院で生まれています。母親が出産で入院するとき、上の子を併設している乳児院であずかるという、少子化対策にとって貴重なサービスも喜ばれています。
年内廃止の理由として、同じ区内に国立成育医療センターが開設されることをあげています。しかし世田谷区内にはもともと、国立小児病院と、地域医療にとりくんでいた国立大蔵病院に小児科・産科があり、この二つが統合されて高度先進医療が中心の、しかもナショナルセンターという位置づけの成育医療センターになるのですから、そのことをもって母子保健院を廃止する理由にはなりません。
わが党は、厚生労働省に出むき責任ある肩書きの方に直接確認しましたが、「母子保健院がなくなるから、成育医療センターで受けましょうということは、まったく考えていません」との回答でした。
地域住民から、かけがえのない母子保健院をなくさないで、という声があがっています。世田谷区は、マスタープラン発表からわずか一年で廃止というのは拙速すぎると訴えています。
昨年の第四回定例会で、「マスタープランはゴールではなく、あくまで出発点である」との答弁がありました。そうであるなら、母子保健院の年内廃止を前提とすることなく、地元自治体と区議会、住民の声に耳をかたむけて、誠実な協議をおこなうべきです。答弁をもとめます。
知事は施政方針で、「患者中心の医療の実現に努める」と言いましたが、八王子、清瀬でも、世田谷その他でも、都立病院の統廃合に反対の声をあげているのは、ほかならぬ患者とその家族であります。その声を無視して、患者中心の医療の実現などありえないと考えますが、所見を伺います。
都の「マスタープラン」を一方的におしつけて実施することはやめ、患者と住民、自治体との協議をつくすことをもとめておきます。
慢性肝炎と肝硬変・肝がんのヘパトームを難病指定からはずし、ことし十月以降、難病医療費助成をうちきろうという計画も、重大な問題です。
その一方で、新たなウイルス肝炎対策として入院のみ対象の助成制度を創設し、さらに当面三年間にかぎり、住民税非課税世帯にたいしては通院・入院とも現行制度を適用するなどの経過措置を講じるとしています。しかし、現在、慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームの難病医療費助成をうけている患者三万一千人のうち、新たな入院助成の対象者はわずか四千人、経過措置の対象者は六千二百人にすぎません。
慢性肝炎や肝硬変の治療は、インターフェロンの投与をはじめ、非常に重い医療費負担が長期にわたって継続します。それもほとんどは通院治療です。入院は、ごく初期の短い期間か、肝がんにまで進行した場合にかぎられており、通院医療費助成の廃止は、患者にとってまさに死活問題であります。
それにもかかわらず、なぜ入院助成に限定し、かんじんの通院助成は廃止するのですか。お金のない人は治療が継続できないという深刻な事態をまねくものであり、まったく道理がないと考えますが、答弁をもとめます。
そもそもウイルス肝炎は、旧厚生省がWHO勧告をなおざりにして注射針・注射器の使い回しを多年にわたり放置したことや、手術の際の輸血や血液製剤によって感染がひろがったものであり、薬害エイズと同様、責任はずさんな衛生行政にあります。そのことが明らかになり、国は来年度からようやく検診事業などを開始します。その時に、都が国に先駆けてとりくんできた通院医療費助成を廃止するのは、重大な逆行であります。
それだけに、患者団体や肝炎の専門家、医療関係者から都の計画にたいし怒りの声があがっています。現行の医療費助成の継続をもとめる患者団体の請願には、都議会の過半数におよぶ七十名が紹介議員になっています。石原知事、この声にどうこたえるのですか。慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームにたいする医療費助成は、通院・入院とも現行どおり存続することをもとめるものであります。所見を伺います。
来年度予算は、環境や少子化対策など前進もみられますが、全体として福祉やくらしに冷たい予算であるとともに、都市再開発と幹線道路建設にかたよった「都市再生」に重点的に予算を配分するという逆立ちぶりも際だっています。
この点で知事は、来年度予算案の編成の基本として、「都財政の危機への対応」をあげました。しかし、具体的に示されたものは、職員定数の削減と都民生活に係わる事業の廃止・休止、さらには公共料金の値上げなど、都民サービスを後退させ、「痛み」を都民におしつけるものばかりです。
今日の都財政を圧迫している元凶ともいうべき、大型の公共事業の見直しについては言及しませんでした。
知事の肝いりで、来年度予算編成ではじめて取り入れられた「重要施策」では、約四〇〇〇億円の事業費のうち、雇用と産業対策には一%の四二億円、福祉・医療費はわずか十二%の四百八十億円しか配分されないのに、幹線道路など、知事がおしすすめている「都市再生」のための予算には、五七%、実に二千三百九十五億円もつぎ込まれることになっています。
「首都圏環状メガロポリス構想」の具体化である「都市再生」は、都財政への影響だけでなく、地球環境や都市環境などさまざまな分野に影響を及ぼします。
すでにこの構想を具体化するための「都市づくりビジョン」がまとめられ、現在、「土地利用計画の見直し」が、トップダウン方式で区市町村をまきこんですすめられようとしています。その特徴は、すでに先行している汐留や六本木などの開発にくわえ、あらたなに秋葉原、丸の内などの都心部での大規模再開発を、規制緩和と民間主導ですすめるもので、超高層のオフイスビル開発がそこら中で建設されることになります。
この点では、住都公団の開発に係わっている建築家の、「都市インフラの再生だ」という批判は的をいたものです。
また、「都心居住」といっても、実際は、申し訳程度にすぎません。汐留の再開発の基本フレームでは、六万人の従業人口に対して、供給される住宅はわずか六千戸で、しかも庶民には届かない億ションばかりです。
一極集中が促進されることで、自動車のあらたな集中、さらには周辺区や多摩地位の経済的衰退の心配も指摘されています。
この点について、「都政新報」は社説で、「財政危機克服が緊急の課題といわれるなかで、新年度予算は将来に金のかかる事業を多く予算化」「これで本当に財政危機を打開できるのだろうか」と懸念を表明しています。
都財政をたてなおすうえで、知事が、施政方針演説で、臨海副都心開発について、「過大な見積もりを行ったこと」を認め、「事業の全面的な見直し」をおこなうことをはじめて表明したことは、きわめて重要です。しかし、千三百億円の支出を削減することについては、収支の改善には役立つものの、抜本的解決にはほど遠いものであるといわざるを得ません。
そこで、「全面的な見直し」を現実のものとするための、いくつかの提案をおこないたいと思います。
まず、見直しにあたっては、企業都市づくりという開発目的の是非について、また、ゼネコンや大銀行のための開発計画であったことなど、問題の根本にさかのぼった総括が欠かせません。
くわえて、土地利用の見通しが立たない現実をふまえ、七千億円といわれる負の遺産をどう解決していくのかも重要です。小手先の収支見通しで、問題解決を先に延ばしすることはゆるされません。
開発がすすめられたとはいえ、残された未利用地は都民にとって貴重な土地空間です。見直しあたっては、都庁内部の検討にゆだねるのではなく、少なくとも、前回見直しの時のように、都民参加でおこなうことは欠かせません。以上の点について、それぞれ、知事の見解を伺うものです。
東京都は投資的経費を抑制したといっていますが、来年度から特別会計に移管される住宅局分の経費をくわえると昨年と同水準、さらに来年度予算案と同時に発表された今年度最終補正予算案の投資的経費をくわえると今年度より八百億円も上積みされたことになります。
問題は、こうした経費の財源として、借金があてられていることです。わが党の試算によれば、「都財政の収支見直し」が示した、毎年、三千五百億円の都債発行をつづけるならば、三十年後にいたっても、六兆七千億円の借金が残されることになります。ところが、来年度予算で、三千七百億円の都債が積みましされることで、都債の残高は、住宅局分を除いても、今日の都財政規模を大きく上まわる七兆円にたっし、特別会計もあわせると
八兆円を超えます。
この路線をとりつづけるならば、いつまでたっても借金地獄から抜けだすことはできないではありませんか。
知事、どのようにして借金地獄からぬけだすつもりなのか、具体的にお答えください。
今日の財政状況を考えるならば、公共事業は国の補助事業を中心にし、都財政立てなおしでゆるされる範囲にとどめること、また、その内容も、中小企業の役に立つ都営住宅や介護基盤整備など生活に密着した事業を中心にすることを提案するものですが、知事の見解を伺います。
いま、指摘したように、大型公共事業にかたよった都財政運営の転換はさけて通れません。同時に、税金の使い方を都民のくらし・福祉中心にきりかえることで、切実な都民要望にこたえることも可能となります。
その立場から、切実で緊急な課題について提案します。
まず、さしせまっても解決に迫られている雇用、とりわけ深刻な若者の雇用と生活支援についてです。
東京の完全失業者は三十五万人を超えましたが、そのなかでもとりわけ、深刻なのが若者の就職問題です。昨年度の失業率は、年齢別に見ると、十五歳から二四歳までの失業率が実に八・五%、しかも男性は十人に一人が完全失業状態となっており、三五歳から五四歳までの二倍前後の高い水準となっています。しかも、これは完全失業率ですから、キチンとした就職できない若者は、その二倍も三倍もいることが予想されます。
高校の就職担当の先生方のレポートを読ませていただきましたが、「昨年までは問題にならなかった成績上位の生徒も落ちてくる」「求職者が求人数に満たないのに、落とす企業が増えてきた」と深刻な事態が報告されています。厚生労働省の調査でも高校新卒者の採用計画をやめる企業が増えているとされています。
私は、この間、多くの若者と懇談する機会がありましたが、だれもが、真面目に自分の進路をかんがえ、自分の力で働いて、生活を支えたいと願っていました。
やがて、この日本、そして東京を支えることとなる、有為の若者の多くが、勤労の機会を得ることなく、すごすことを見過ごしていて良いのでしょうか。
私は、このような若者の働く場を保障せず、その意欲と能力を生かすことができないということは、社会の損失であり、国の将来をもゆるがしかねない重要な問題と考えますが、知事の見解を伺います。
また、若年者の雇用がすすまないことは、技術の継承や人材育成にとって、世代間の断絶をまねきかねません。大企業に若年者の雇用をおこなうよう申し入れるとともに、中小企業が、計画的に若年者を雇用する場合に、東京都が助成をおこなうことなど、実効性のある対策をもとめるものですが。答弁を求めます。
東京都をはじめ自治体の役割も重要です。待機者の多い保育園や特別養護老人ホームなど遅れている介護基盤整備、教職員定数改善の前倒し実施など、自治体として当然の仕事をおこなうだけでも、おおきな雇用効果を上げることができるではありませんか。
東京都として、こうした立場から将来の都政をになう人材を計画的に採用することは欠かせないと思いますが、どうか。
「就職する前に、失業者になっている」という若者を救うために、失業手当の給付などの対策を国にもとめること、都としても、若年失業者を対象とした職業訓練教育や、自己啓発のための助成などを実施することも、考えられますが、それぞれ答弁を求めます。
国の緊急地域雇用特別基金事業が、来年度も継続されることになり、期待も寄せられています。私は、労働者や失業者自らがつくったNPOなどと懇談をおこない、これまでの基金事業を実際に活用してきた経験や要望など、つぶさに伺いました。
そこでだされた要望は、「NPOが委託事業に参加できるようにして欲しい」、「建設労働者や自営業者などが、仕事がなく、いわゆる『ひま場』状態で、失業状態にある場合も、対象にして欲しい」というもので、東京都がその気になれば、すぐに実現できるものです。この切実な要望にただちに応えるべきではありませんか。
同時に、これらの個別の対策で根本的な解決にはいたりません。私どもは、くりかえし野放しとなっている大企業の身勝手なリストラや海外移転などを規制すること、日本だけにまかり通っているサービス残業をなくすことで、賃下げをともなわないワークシェアリングが実現でき、あらたに九十万人の雇用を拡大できることを明らかにしてきました。
石原知事が、「都政の守備範囲を超えることがあっても、速やかに行動」するというのであれば、雇用をまもるために迅速に行動することを要望しておくものです。
信用金庫・信用組合など、地域金融機関のあいつぐ破たんから、中小企業をまもる課題も切実です。
小泉政権の「不良債権早期一括処理」の方針にもとづいて、金融マニュアルの機械的押しつけがおこなわれた結果、昨年だけで全国で五十三もの信金・信組が破綻、そのうち二割を東京が占める勢いです。
地域経済を支えてきた、これらの信金・信組の破たんは、地域の中小企業に深刻な打撃と不安をあたえています。それは、これまで手形割引など即時に対応できたものが、一週間から十日もかかったり、あらたな融資が受けられなくなったりするなど、即刻、被害がおよぶからです。出資金も没収されます。さらに、管財人が入り、不良債権の区分によって、RCCすなわち整理回収機構送りともなれば、借入金の一括返済や担保物件の差し押
さえなど、倒産、廃業に追いこまれるからです。
私ども都議団は、この問題で、東京都信用金庫協会、東京都信用組合協会、中央小企業団体中央会、東京商工会議所をたずね、懇談をおこないました。そこで、共通して指摘されたのが、中小企業のための金融機関に対し、大銀行と同じ基準の検査マニュアルを適用することの理不尽さでありました。
東京商工会議所では、会頭・副会頭会でこの問題が話題となり、また、二三区のブロック会議でも対策が求められたそうです。いずれの団体でも、ダブルスタンダードの必要が訴えられました。政府は口をひらけばグローバルスタンダードといいますが、アメリカでは、農協規模の金融機関など全国に無数にあり、検査機関も金融機関別に四つもあるとのことです。
一律のマニュアルの適用で信金・信組をつぶすやり方は、あらためられるべきと考えますが、知事の所見を求めます。
これ以上の無用な信金・信組つぶしをやめさせるために、地域金融機関にふさわしいマニュアルをつくらせること、出資金については、受け皿の金融機関に引き継ぐことを、つよく国に要望する必要があります。
また、不良債権扱いとなったなかには、東京都の制度融資も多く含まれていることもわかりました。本来、制度融資は不良債権ではありません。この基準がまもられていれば、破たんを免れた信金・信組もあったはずです。改善がいそがれると思いますが、あわせて、見解を伺います。
介護予防の抜本的な強化もいそがれています。
健康で長生きしたいというのは多くの都民のねがいであり、同時に医療費や介護費を適正におさえるためにも大事な課題です。ところが日本の介護予防のとりくみは、欧米諸国にくらべ、あまりにも貧弱だと言われています。しかし衛生局の調査でも、リハビリなどの適切な対応がとられれば、多くの場合に寝たきりは防ぐことが可能であることが示されています。
知事、リハビリをはじめとした介護予防の抜本的強化で、要介護高齢者を半分にへらすぐらいの思い切ったとりくみを推進することを提案するものですが、いかがでしょうか。
その具体策のひとつとして、いわゆるパワーリハビリの導入を提案するものです。これは、フィットネスマシンなどをつかった筋力トレーニングを高齢者にたいしておこなうもので、アメリカやドイツではひろくおこなわれています。日本ではいくつかの自治体や病院、老人保健施設などのとりくみが始まったばかりですが、自立歩行できなかった高齢者が、テニスの壁打ちができるまで回復した事例も報告されています。川崎市は、ことしか
らモデル実施を開始し、市内全域にひろげようとしています。
都としてパワーリハビリの普及促進にただちにとりくんでいただきたいと思いますが、答弁をもとめます。
重い介護保険の負担の軽減では、都内でもすでに二十におよぶ自治体が保険料の独自軽減にふみだしています。自治体関係者からは、とくに住民税非課税の第二段階を中心とした低所得者の負担軽減の必要性を指摘する声が共通してあがっています。
保険者である基礎自治体が苦労しているのに、国の対応は立ち遅れています。都として国に先駆けて、保険料減免をおこなう区市町村の支援制度にふみだすことを提案するものです。
また、国にたいし、新たな保険料減免措置を講じるよう、もとめる必要があります。所見を伺います。
都が実施した利用料の軽減制度は、所得制限を緩和し柔軟に対応することや預貯金の制限をやめること、事業者負担の問題など改善し、さらに拡充するようもとめておきます。
地球温暖化の問題では、知事が、「地球温暖化阻止・東京作戦」を発表し、積極的にとりくむ姿勢を示したことは、アメリカが京都議定書の調印をこばみ、小泉政権も企業への義務づけを先送りしようとしている時だけに、重要であり、今後のとりくみを期待するものです。
この問題では、一月に策定した「環境基本計画」で、温室ガス排出量を二〇一〇年までに一九九〇年度比で六%削減する目標がもりこまれました。これは、わが党がかねてから提案してきたものであります。つづいて、今回の「東京作戦」では、オフィスなど大規模事業所の二酸化炭素の削減義務を導入するとしており、歓迎するものです。そのうえで、わが党は、東京作戦を効果あるものにするために、東京都自身が何ができるのか、について、いくつか提案をおこなうものです。
まず、排出源についていえば、産業構造の変化を受け、産業部門が減り、民生部門、運輸部門が急増していることをふまえ、「東京作戦」の実施にあたっては、削減の義務づけをオフィスだけにとどめるのではなく、中小企業に配慮しつつ、運輸部門にも拡大することが必要であると思いますが、知事の見解を伺います。
自動車に大きく依存した交通システムの転換もいそがれています。ヨーロッパでは、工場で使う部品をLRTで運んでいる都市も生まれています。なんでもすべからく、自動車にたよるというやり方はもう切りかえるときが来ているのではないでしょうか。私の地元北区では、新聞の印刷工場の建設計画がすすんでいますが、このままでは新聞用紙を積んだ大型トラックが四百台も一つの工場めがけて集中してくることになります。
さいわい、工場は隅田川に接しており、船をつかった運搬も検討されています。都として、これをモデル事業として積極的に位置づけて、実現につとめるよう提案するものですが、答弁を求めます。
民生部門の削減では、都民参加が欠かせません。埼玉県川口市では、ボランティア団体が、市の協力も得て、「エコライフデー」をよびかけ、電気製品の電源を切るなどで、二酸化炭素の削減量をはかるシートを配ったところ、一万人あまりの参加があったそうです。
そこで、東京都として、毎週曜日を決めて「エコライフデー」を都民に呼びかけること、また、その日には、庁用車の利用も控えるなど都が大きな旗振りをすることなど、どうでしょうか。答弁を求めます。
知事は、施政方針で、深刻な環境の危機のあらわれの一つとして「緑の減少」をあげました。だとするならば、自然の宝庫の高尾山にトンネルをぶちぬく、圏央道計画は抜本的に見なおしてしかるべきと考えます。
あわせて、知事が言う「センターコア」内での都市公園の拡充や、保全緑地の公有化資金の拡大などが、きわめて重要な役割をはたすと思いますがどうか、また、自然公園内の保全地域の指定の拡大、生産緑地の指定拡大など、都市部やその周辺でのみどりの再生に全力をつくすことが必要と考えますが、答弁を求めます。
次に、大きな流れになろうとしている三十人学級についてです。
国の差別と選別、受験競争一本槍の教育のおしつけのもとで、東京の教育は、不登校が過去最高を記録し、学級崩壊やいじめも深刻さをますばかりで、一向に解決の兆しが見えません。こうしたもとで、ゆきとどいた教育、とりわけ三十人学級をもとめる都民の声と運動はひろがり、この都議会にも、請願が百七十万人も寄せられています。
それは、現在の四十人学級では、多様化した子どもたちに対応できず、すべての子どもたちに目をゆきとどかせることは困難で、荒れや、学級崩壊などをふせぐことは難しいからです。
私は、先日、いち早く三十人学級への移行を決断した福島県を訪ね、くわしく話をうかがってきました。お会いした、三十人学級を求める請願運動にとりくんだ方の話では、福島ではダムや空港や港湾開発にさんざんお金をかけてきたこと、そのため自治体は疲弊し、地域は衰退の一途をたどっていること、そうしたなかから、今後はせめて未来を託す子どもたちにこそよりよい教育をという世論が、県民全体にひろがったとのことでした。そして、ついに知事も、今年年頭の所信表明で、春から小・中一年で、来年は小二でも三十人学級を実施する決断をしたのです。
福島だけでなく昨年来、山形、長野、埼玉と、形はさまざまですが、三十人学級にむけたとりくみや決意が発表され、すでに少人数学級を一部始めていた新潟、秋田、広島などをふくめ急速に全国に広がっています。これらの自治体は、東京都と比べて決して裕福ではなく、むしろ、非常にきびしい財政状況におかれています。であっても、父母や子どもたちの願いにこたえようとする姿勢こそ自治体のあるべき姿を示していると思います。
ところが、都教委は、習熟度別少人数学級でことたりるとして、いまだに、三十人学級に応えようとしていません。しかし、先行した各県は、いずれも議論の末に、教科別の少人数授業だけでは不登校や学級崩壊問題は解決しないこと、学習と生活の場は、一致していることが望ましいという結論にいきついたのです。
知事に伺いますが、このように全国で、県知事の決断によって三十人学級が広がっていることについて、どう受け止めていますか。所見を伺います。
東京都内でも、三十人学級を国や都に求めるとともに、自ら踏み出そうという動きが起きてきています。町田市では、「市独自に小学校一・二年生の三十人学級の早期実現を」との請願が、市議会で全会一致採択されました。
知事、東京より数段、財政のきびしい県で、実施にふみきっているわけですから、東京都にできないことはありません。子どもたちに、楽しく勉強できる環境をつくってあげようではありませんか。知事の決断を求めるものです。
四月からの、学校週五日制完全実施が目前にせまっています。わが党は、第四回定例会で、都として地域や学校や区市町村のさまざまな取り組みに本格的な支援策をとるよう求めましたが、都の来年度予算案には、都としての五日制に対応する予算はみあたりません。
しかし、各区市町村では五日制に対応する事業の具体化に力をいれており、東京都とは対照的です。たとえば、北区では、週末に子供たちが地域に根付いた体験をできるようにと、「子供の居場所作り」を狙いとした、ボランティア中心の「地域寺子屋」という事業を始め、博物館見学や体験学習を計画しています。また、科学離れに対応する「サイエンススクール」として大学の実験室訪問や、ロボット製作講座などを検討しています。
文部省も、モデル事業ですが基礎的自治体での独自の取り組みを支援する「子ども放課後・週末活動等支援事業」を打ち出しました。
いまからでも遅くはありません。都として、国の支援策に抜本的な上乗せをおこなうなど、区市町村のとりくみを支援するよう予算措置をとることをもとめるものです。答弁をもとめます。
今定例会に、議員提案で、幹部職員にくわえ一般職員の給与カットを、二年間にわたり延長するための条例改正案が提案されようとしています。
すでに、わが党が、第四回定例会で指摘したように、一般職員の給与カットを今年度末で、うち切ることについては、すでに労使間で合意されているのであります。
そもそも、地方自治体の職員の給与は、争議権など労働基本権が制約されているもとで、民間の給与水準を反映するしくみである、第三者機関としての人事委員会の勧告にもとづき、労使間での合意によって決定されるという、ルールが確立しているものです。
給与カットのおしつけが、道理がないことは、自民、公明、保守の小泉連立政権のもとで、国会議員の歳費の削減はおこなわれたものの、国家公務員の給与カットについては、経済に与える影響がおおきいとして、見送られた一事を見ても明らかです。
また、東京都は、都税収入が落ち込みを、給与カットのあらたな根拠にしようとしていますが、今日の財政の困難をもたらしたのは、都財政難にもかかわらず、大型開発に税金をつぎ込み、浪費とムダを温存してきた東京都の行財政運営にあることは明白です。そのしわよせを、職員に押しつけることはゆるされないことをも申しのべておくものです。
私は、福祉・医療、雇用、中小企業、生活支援、環境、教育などについて、石原知事が、都民の切なる願いにこたえるよう求めてきました。たしかに、都税収入が大きく減少するなど、都財政をめぐる状況には、きびしいものがあります。
しかし、都民のくらしと福祉をまもることが、自治体に課せられた責務である以上、この実現に全力をあげることに最優先にとり組まなければなりません。そして、たとえきびしい財政であっても、大型開発におおきく偏った税金の使い方をきりかえれば、都民の願いにこたえることは可能であることを申し述べて、質問を終わります。
〇知事(石原慎太郎君) 曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
都政運営の基本についてでありますが、指摘されるまでもなく、都民が不況に苦しんでいることは、よくよく認識しております。この東京を見ると、雇用不安や産業競争力の低下、治安の悪化、環境の危機など、我が国が構造的に抱える危機の本質が先鋭的にあらわれていると思います。
こうした問題の背景には、社会に蔓延するその場限りの状況主義や先送りの風土に加え、危機感の不足した国の対応のおくれがあることはもう自明であります。でありますがゆえに、都もいろいろ独自の施策を展開し、首都圏の再生と都民生活の不安の解消に積極的に取り組んでいきたいと思います。
次いで、福祉施策についてでありますが、今日、日本はさまざまな問題に直面しておりますが、これは、戦後半世紀以上蓄積されてきた矛盾が噴き出した結果だと思います。この状況は、小手先のびほう策では克服できないのでありまして、抜本的な改革こそが唯一の道であると認識しております。
都の福祉改革は、こうした観点に立った取り組みでありまして、これこそが真の意味での都民福祉の充実に資するものと思っております。東京から全国に向けて新しい福祉のありさまを発信するものであり、ぜひぜひなし遂げたいと思います。共産党にも心からのご理解を賜りたいと思います。
次いで、福祉施策の見直しについてでありますが、都は、ただいま述べた考えに立ちまして福祉改革に取り組んでおりまして、今回、改革をさらに新たな段階に推し進めるため、福祉改革STEP2を策定いたしました。一連の福祉施策の見直しは、福祉改革の前提をなすものとして実施し、既に都民の理解を得ているものと思います。見直しをもとに戻す考えは全くありません。
福祉予算についてでありますが、予算は、知事である私が議会に提案し、お認めいただいた、東京都としての政策方針そのものであります。お尋ねの十二年度の福祉予算についていえば、社会経済状況の変化に対応した福祉見直しの実施、それによる財源を活用した新たな施策の積極的展開、この二つを一体として福祉改革を進める、これが議会のご審議を経て定められた都の方針であります。
私は、予算の執行の責任者として、この方針の目指す目的を十分に果たし得たと考えております。新規の試み、新規の予算の執行というのは、いろいろ試行錯誤も伴いますから、それが例えば使い残しても、それは別に残した予算が消えるわけではありません。それをもって非難の対象とするのは、いささか日本の旧弊の単年度会計方式に毒された発想でありまして、ちょっと筋違いな非難ではないかと思います。
それから、都立病院改革に対する都民、自治体の要望についてでありますが、都立病院改革マスタープランの策定に当たっては、地元自治体や都民からさまざまな意見や要望をいただいておりまして、都立病院に対する期待の大きさを改めて認識したところであります。
改革に当たりましては、地元自治体や地域の医療機関との役割分担も踏まえた上で、都立病院が担うべき全東京的な役割を明確にし、全都を視野に入れた医療提供体制を構築することが、都民に対する総体としての医療サービスの向上につながり、都民全体の理解が得られるものと考えております。
次いで、慢性肝炎などの医療費助成についてでありますが、慢性肝炎等は、最近の医学的知見によると、希少で原因不明、治療法が未確立という難病の定義には当てはまらず、医療費助成の対象疾病としてはなじまないために、これを再構築するものであります。新たな総合的ウイルス肝炎対策は、予防から早期発見、早期治療に至る一貫した推進体制を構築するものであります。
臨海副都心開発についてでありますが、臨海副都心の開発の目的は、業務、商業、居住、文化、レクリエーションなど多様な機能を備えた理想的な都市の形成であります。この基本目的は、開発当初から今日に至るまで、いささかも変わったものではございません。
域内都市基盤整備がおおむね終了したこの地域は、新しいまちの形成が着実に進み、多くの都民から親しまれております。都民だけではなしに、他県からの外来者も非常に多いわけでありまして、さらに、ことしじゅうに、りんかい線が新木場から分岐して大崎に達する一種の環状をなすわけでありまして、これは、この地域のこれからの発展に非常に有力な素因となると思っております。
今後とも、東京の活力を支える有力な拠点として臨海副都心の開発を進めてまいります。
公共事業についてでありますが、これについて共産党の考え方はいかにも陳腐だという気がしますけれども、東京におけるさまざまな都市基盤の整備は、次世代に引き継ぐ財産となるものでありまして、産業の活性化や国際競争力の向上はもちろんのこと、生活基盤の質を高める上でも極めて重要であります。したがって、十四年度予算においても、限りのある財源を都市再生など投資効果の高い事業に重点的に振り向けたところでありまして、今後とも、その着実な推進を図ってまいります。
なお、ご指摘をまつまでもなく、十四年度予算では、厳しい財政状況の中で国庫支出金の確保に積極的に取り組み、国庫補助事業については着実に伸ばす一方で、単独事業についても引き続き抑制を図ってまいりたいと思っております。
いずれにしろ、公共事業を通じてつくるべきものはつくらなくてはなりません。その選択の基盤となる文明工学の視点は、共産党と私はいささか異なるようではございますけれども、別にここで一々非をとらえて申しませんが、少しは現代的な発想をお持ちになったらいかがかと思います。ただのセンチメントでは行政はとても成り立ちません。(発言する者あり)自民党、静かにしてください。(笑声)
次いで、若者の就業問題についてでありますが、若者の多くは、ほとんどの若者が自分の努力で未来を切り開き、意欲を持って仕事につきたいと思っており、また、社会に貢献したいと思っていると思います。その若者たちが仕事につけないということは、本人の人生にとっても大変不幸なことでありますし、同時に、社会、国家にとっても大きな損失であると思います。
このような若者に対し、安定した就労の確保が図られるように、就業相談や技能の習得など総合的な支援策の充実に今後も支援し、努めていきたいと思っております。
次いで、金融検査マニュアルの一律適用についてでありますが、現在行われている金融検査等を通じた日本の金融システムの改善、再構築については、これは本来、国の施策として行われるべきものであります。平成十二年四月から、信用組合についても、他の銀行などと同様に、国の金融庁ですか、これが検査、監督を実施しております。そういうことになりました。
このことについては、都が意見をいう立場にありませんが、しかし、昨年、監督官庁がかわりまして、東京都が今までハンドルしておりました信用組合について、一律の検査が行われ、その結果について発表されるときには、東京は東京の地域としてのいろいろな事情があり、あうんの呼吸もあることであって、これは一概にそう乱暴な発表は慎むべきである、配慮しながら、そういうデータというものを発表し、金融庁の見解を述べるべきだということは強く申し入れたつもりであります。
次いで、「地球温暖化阻止 東京作戦」についてでありますが、我が国の温暖化対策の立ちおくれは、どう考えても甚だしく、もはや座視のできる状況ではございません。
今回、都が提案した五つの政策は、京都議定書の目標達成を真剣に考えるならば、本来、国がみずから立案し、実施すべき当然の政策であると思います。我が国においても、今後、特に運輸、業務、家庭部門での対策の強化が必要でありまして、今回の提案は、もとよりこれらの各部門を視野に入れたものであります。
都は、活発な議論を広げながら国民的なレベルで機運を盛り上げ、国に提案の実現を迫るとともに、東京でも独自の行動を展開していきたいと思っております。
次いで、圏央道についてでありますが、圏央道の都市計画決定に際しましては、環境アセスメントを適正に実施してきておりまして、高尾山区間についても、自然環境の保全に十分配慮した計画となっております。青梅インターチェンジから日の出インターチェンジに至るまで、この三月に開通する予定でありまして、残る都内区間についても、平成十四年度以降、順次開通を目指しております。圏央道計画を見直す考えは一向にございません。
ちなみに、スイスの有名な、美しい、しかし恐ろしい山のアイガーにも、ただ観光のためにも、あの山の土手っ腹をくり抜いた、主にトンネルを使った登山鉄道が走っております。念のために一度ご視察になったらいかがかと思います。
次いで、全国での三十人学級の実施状況についてでありますが、他の道府県の中に、学級編制の強力化を実施し、もしくは検討している団体があることは十分承知しております。教育水準の維持向上を図るためには、それぞれの自治体が、地域の実態に応じて、生徒の数も含めまして、さまざまな努力、工夫を行うことが重要であると思います。
都における三十人学級の実施についてでありますが、学級を児童生徒が社会性を養うための生活集団の場ととらえ、その教育効果を考えた場合には、一定の規模が当然必要であります。このために学級編制基準は引き続き四十人とし、学習面で教科等の特性に応じた多様な学習集団が編成できるよう少人数指導の充実に努めるという都教育委員会の方針は、妥当なものと考えている。
ただ、今日の教育の荒廃、停滞というものを、単に学級の生徒の数に直接つなげて、それをもってすべてとするのは、非常に乱暴な、短絡的ないい分であると思います。今日の教育の荒廃はいろんな素因がありますが、あなた方共産党が指導している教師たちの素質、この怠慢さ、そういったものに多く起因しているということを私たちは忘れてならないと思います。
なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〇教育長(横山洋吉君) 学校週五日制に対応しました区市町村への支援についてですが、子どもが自由に使える時間の中でさまざまな社会体験、自然体験等の体験活動を活発にできるよう、体制を整えていくことは必要なことでございます。
そのため、都教育委員会は、平成十二年十一月に、学校外の子どもの活動を支援する完全学校週五日制対応行動プランを策定しますとともに、区市町村等と協働して、とうきょう親子ふれあいキャンペーン事業や、障害のある児童生徒の地域活動のための指導者を養成するモデル講座などを実施してきているところでございます。
今後とも、学校週五日制対応につきましては、さまざまな事業を工夫、活用しながら区市町村への支援に努めてまいります。
〇福祉局長(前川燿男君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、福祉施策の見直しについてでありますが、東京都は、平成十二年度から、高齢者や障害者などが地域の中で必要なサービスを選択し、自立した生活を送ることができるよう、真に都民ニーズにこたえられる福祉の実現を目指して、福祉改革に取り組んでおります。現在は、福祉改革STEP2を策定し、改革をさらに新しい段階に推し進めている状況にございます。
お話の老人福祉手当を含む一連の福祉施策の見直しは、こうした福祉改革の前提をなすものとして、昨年度、制度間の整合性などの観点に立って実施したものであり、見直しをもとに戻すことは考えておりません。
次に、介護予防についてでありますが、介護予防に向けた取り組みは重要な課題であり、既に国は、要介護高齢者への介護サービスを中心とする介護保険制度と一体で、寝たきりなどに陥ることを予防する介護予防・生活支援事業を実施いたしております。
都は、これまでも、この事業を活用して、区市町村が実施する転倒予防教室など種々の事業を支援しており、引き続き支援に努めてまいります。
次に、パワーリハビリについてでありますが、いわゆるパワーリハビリとは、要介護高齢者等を対象にして、トレーニング機器を使用して行うリハビリテーションのことでありますが、現行制度上、介護保険サービスや介護予防・生活支援事業の一環として実施することが可能であります。
都としては、こうした事業を活用しながら、パワーリハビリに取り組む区市町村を支援してまいります。
最後に、介護保険料の減免についてでありますが、介護保険制度は、国民の共同連帯を理念とするものであり、健全な運営のためには、すべての被保険者が保険料を公平に負担することが不可欠であると考えております。既に本制度では、低所得者への配慮として、所得に応じた保険料の設定方式などが講じられております。
したがって、都としては、ご提案のような独自の取り組みや国への要望は考えておりません。
〇衛生局長(今村皓一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、都立母子保健院についてでありますが、都立母子保健院は、施設の狭隘化、老朽化が著しい上に、他の診療科との連携が難しいなど、都立病院の新たな役割にふさわしい高度かつ専門的な医療を提供していくことがもはや困難であることから、国立成育医療センターの開設にあわせて廃止することとしたものであります。
都立病院改革マスタープランの策定に当たりましては、地元世田谷区を初め関係機関と協議を重ね、その要望も踏まえた上で、地域医療の確保について、その考え方を盛り込んだところであります。
今後とも、区との役割分担を踏まえながら、必要に応じて協議を行ってまいります。
次に、都立病院改革による患者中心の医療についてでありますが、都立病院の再編整備を実現し、医療機能を集約することにより、専門性が高く、より質の高い医療を効果的、効率的に提供するとともに、都立病院間を初め、他の医療機関とのネットワークを強化することにより、患者のさまざまな疾患に対して、最も適切な医療を提供できる体制を整備することが可能となります。こうした都立病院改革を早期に実現することこそが、都民の求める患者中心の医療を具体化することにつながるものと確信しております。
次に、慢性肝炎等の医療費助成についてでありますが、これは現行の難病としての施策を再構築したものであり、予防から早期発見、早期治療に至る総合的ウイルス肝炎対策として、より効果的な制度へと転換を図ることとしております。
新たな対策では、国の老人保健法に基づく基本健康診査における肝炎ウイルス検診に加えて、さらに、都として精密検診や入院医療費についても助成を行うこととしたものであります。
〇港湾局長(川崎裕康君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、臨海副都心の土地処分についてでございますが、これまでも積極的に企業誘致活動を展開してきましたが、昨年、民間ニーズに的確に対応するため、土地売却方式の導入や処分にかかわる規制の緩和を実施した結果、このほど新たな進出事業者が決定するなど、大変厳しい経済環境下においても処分を着実に進めてきております。
今後、りんかい線の大崎延伸や広域幹線道路の整備を契機に、土地処分がさらに進むものと考えております。
次に、臨海副都心開発の見直しについてでございますが、現在、この開発は、都民も参加した懇談会や都議会での活発な議論を経て、総合的な見直しを行い策定しました、まちづくり推進計画に基づいて行われてきており、着実に成果を上げてきておるところでございます。
今回の事業見直しは、財政基盤強化を目的として、このまちづくり推進計画に沿って行っているもので、改めて都民参加による見直しを行う考えはございません。
〇財務局長(安樂進君) 都債残高についてのお尋ねでございますが、都債の償還額は、平成四年度以降に大量に発行した都債の償還時期が到来することにより、平成十四年度から急激に増加し、その後も当分高い水準が続くものと見込まれております。
このため、財政構造改革の一環として、新たな都債の発行を極力抑制し、将来の財政負担の軽減を図っているところでありまして、この結果、都債の発行額がピークであった平成五年度に一五・一%であった都債依存度は、十四年度予算におきましては六・三%まで下がってきております。こうした抑制基調を継続していくことにより、将来的には、都債残高は現在よりも低下し、償還額も平準化されて、健全な財政運営につながっていくものと考えております。
〇産業労働局長(浪越勝海君) 雇用及び金融に関する五点のご質問にお答え申し上げます。
まず、若年者の雇用対策についてでありますが、企業への指導や支援などを通じた雇用の確保は、基本的には国の責務でございます。しかし、働く意欲や能力がありながら仕事につけない若年者が増加しており、国の全国一律的な対応では不十分であります。
このため、都としては、「TOKYOはたらくネット」の活用や経済団体への要請を通じて就業機会の確保に努めるとともに、企業と若年者が一堂に会する合同就職説明会を新たに開催するなど、若年者が地域で円滑に就職できるよう支援しているところでございます。
なお、都としては、若年者を雇用する企業に助成を行う考えはございません。
次に、若年失業者への職業訓練などについてでございますが、都としては、若年者が必要な知識や技能を習得し、希望する仕事に円滑につけるよう、都立技術専門校や民間教育訓練機関への委託などを通じた職業訓練の充実に努めているところです。また、いわゆるフリーター等を対象とした雇用支援セミナーや、高校生や大学生を対象とした就職ガイドセミナーを開催しており、その自己啓発や職業意識の醸成を支援しているところです。
なお、お話の若年者への失業手当の給付については、かえって就業意欲をそぐおそれもあり、適切でないと考えております。
次に、緊急地域雇用創出特別基金事業についてでございますが、国の事業実施要領では、NPOへの事業委託も可能であり、建設労働者や自営業者等においても、失業状態であることが証明できれば雇用対象に含まれます。
次に、金融機関の検査監督及び出資金の取り扱いについてでございますが、金融検査マニュアルは、国の政策として作成されるものであると理解しております。
なお、出資者は出資金の範囲で責任を負うことが原則であり、出資金が受け皿の金融機関に引き継がれ、保護されることはないと聞いております。
最後に、制度融資に係る債権分類についてでありますが、金融検査の基準及びその適用については、国の事務であり、都は関知しておりません。
なお、基準では、制度融資はすべて保証協会の保証つき融資であり、不良債権として扱わないと聞いております。
〇総務局長(大関東支夫君) 雇用対策の面からも、将来の都政を担う人材の計画的な採用をすべきではないかとのお尋ねでございますけれども、新規職員の採用をできる限り計画的に行うことは望ましいことでございますけれども、現在、財政再建を達成するための内部努力の大きな柱といたしまして、職員定数の削減に取り組んでいることから、新規採用につきましても、引き続き厳しい抑制が必要であると考えております。
なお、東京都では、都民に対し、よりよいサービスを効率的に提供していくため、民間委託などの活用も進めております。これらの方法によりましても、社会全体における雇用の創出効果が図られるものと考えております。
〇環境局長(赤星經昭君) 三点の質問にお答えいたします。
まず、北区の新聞印刷工場におけます船による輸送についてでございますが、事業者から提出されました環境影響評価書によりますと、外部に搬出する残土及び建設資材の一部の運搬については、工事用車両を削減するため、船を利用することとなっております。
また、新聞輸送につきましては、船の利用は時間がかかり、速報性が失われるので、当面、極めて困難であるが、今後も可能性を探りながら研究を続けていくと聞いております。
次に、家庭部門におけます地球温暖化対策についてでございますが、東京においては、二酸化炭素排出量の二割を家庭部門が占めており、この部門に対する取り組みは重要でございます。
家庭部門からの排出削減のためには、ライフスタイルの見直しとともに、省エネルギー製品の普及を進めるための仕組みづくりが必要でございます。
都は、こうした観点も含めまして、二酸化炭素の排出抑制に向けた国民的な機運の醸成と新たな政策の実現を目指し、「地球温暖化阻止 東京作戦」を開始したものであり、積極的にこの作戦を展開してまいります。
最後に、緑の確保についてでございますが、東京を自然と共生し、持続可能な都市としていくためには、多摩の森林を再生してまいりますとともに、都市部やその周辺において、農地や残された樹林地などの貴重な緑を保全し、地上部だけでなく、屋上などにおいても積極的に緑を確保していくことが重要でございます。
このため、都は、都市公園や海上公園の整備、屋上緑化などを推進するほか、身近な緑の施策を担う区市町村との連携を図り、都民の協力を得て、東京の緑の確保に努めてまいります。