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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団
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青年の雇用をめぐる事態は、東京と日本の未来に直結する重大問題
鳥インフルエンザ感染防止と早期発見対策の強化を
・大企業がその社会的責任を果たし青年の正規雇用を拡大するよう求めること
・中小企業支援と公的機関の雇用拡大を
・感染防止と早期発見対策の強化を
・荏原病院、豊島病院の存続と医療圏ごとの感染症病床の整備を
・【答弁】******************************
大企業がその社会的責任を果たし青年の正規雇用を拡大するよう求めること
東京の十五歳から二十四歳の青年男子の失業率はこの数年九%から一一%台という高い水準を続けており、大学を卒業しながら就労の場のない大卒無業者は三万人で大学卒業者の二割、高卒無業者は約一四%で全国平均を上回っています。さらに、働く場を得たとしても、東京の青年の六人に一人・六十五万人はフリーターという不安定雇用をよぎなくされ、その多くが、低賃金と長時間労働を強いられているのが実態です。
大田区の青年たちが、毎月、弁護士とともに「街角労働相談」をおこなっています。その中には「大学四年生。百十六社面接したが、結局決まらず、四月からはフリーターとなる。自分が否定されているおもいだ。」とか、二十九歳の男性は「一日、一日の契約で、明日の予定は前日に自分で会社に電話をしてきかなければならない。」など、その実態は胸の痛くなるものばかりです。また、私の聞いた二十代の女性は、学生時代、就職の面接をしたら、「即戦力にならないから駄目」といわれた。その夫は、朝八時に出勤し、帰ってくるのは夜中の一時が通常で三時、五時になることもある。会社から電話がくれば、土日の出勤もあり、これでは過労死してしまうと訴えます。
青年の雇用をめぐるこうした事態は、一人ひとりの若者の人生に重大な影を投げかけるとともに、東京と日本の未来に直結する重大問題です。わが党は、これまでも東京都が青年の雇用問題解決のために全庁あげた対策をとることなど提案してきましたが、あらためて今日の深刻な事態打開のために以下の三点にしぼって提案するものです。
その第一は、大企業がその社会的責任を果たし青年の正規雇用を拡大するよう求めることです。青年雇用をめぐる最大の問題は、青年の就労意欲の低下ではありません。大企業が青年の採用を長期にわたって抑制する一方で、徹底したリストラとパート、アルバイトなど低賃金の非正規雇用にシフトしてきとことにあります。東京の大企業における若年者の比率は十年間で、三七%から二五%と一二ポイントも後退しています。
大企業はリストラによって史上空前の利潤を上げており、その一部を取崩すだけで、青年雇用を拡大することは十分可能です。リストラと新規採用抑制をやめ、青年雇用を確保することは、経済界とそれをリードする大企業の社会的役割ではないでしょうか。いまなお広く横行しているサービス残業を一掃するだけでも、東京で二十三万人の雇用拡大をはかることができるのです。
都として大企業にたいして青年雇用の抑制策をやめ、青年の雇用拡大に努力するなど、その社会的責任をはたすよう強くはたらきかけるべきです。知事の答弁をもとめます。
都の公共工事、物品納入には、多様な企業が出入りしています。
都の公共事業の発注、物品購入先に、青年の雇用を求めること。指名業者選定にあたって、青年の雇用状況を配慮するなどのインセンティブをあたえることも、実効性を高めることになります。それぞれ、お聞きします。******************************
中小企業支援と公機関の雇用拡大を
第二は、中小企業が青年の雇用を促進できるよう、支援策をとることです。いま若年労働者、若年技能者を確保することは、後継者不足、若年労働者不足に悩む中小企業にとっても切実な要望であり、地域経済の活性化にとっても重要な課題です。
すでに全国では、地域経済の振興とむすび、取り組みがはじまっています。滋賀県の高卒未就職者雇用促進奨励金事業など、中小企業にたいする支援策や、鳥取県では二年間で約千七百人もの雇用創出の成果をあげています。富山市では、製造業創業希望者に一定期間、工場・建物を廉価で賃貸し、独立開業を支援しています。空き店舗利用の商業につても同様、経営指導から、販路の拡大まで、総合的なサポート体制に取り組んでいます。
都内でも世田谷区では、区内企業による合同説明会を区が開くとともに、国の若者トライアル雇用促進奨励金に区独自に一人月額二万五千円の加算を行い区内中小業者による雇用促進をはかろうとしています。
大田区でも、昨年7月から週一回、区役所にハローワークの出張窓口を設置し、就職相談や就職紹介等をおこなっています。これまでに九五〇人の利用があり、35歳未満が28%をしめています。
地元中小企業が青年の採用を促進できるよう支援策をはかるとともに、青年が起業する場合の、場所の確保、専門家によるサポート支援、金融支援など総合的支援の仕組みが必要です。答弁を求めます。
第三は、深刻な事態打開のために、自治体が自ら職員の採用拡大を図る努力を強めることです。都が公立小中学校全体で三十人学級に踏み出すなら新たに七千人の雇用創出となり、消防士などの配置基準未達成を解消すれば千七百二十一人、保育所の待機児解消を行うなら千八百人の雇用をうみだすことができます。
また、都の職員構成は、定数削減、退職不補充を続けてきた結果50歳代が35%に比し、20歳代が12・6%と、先細りにゆがんでおり、新規採用状況は10年前の25%まで、おちこんでいます。
この点でもすでに、鳥取県では、三十人学級と図書館司書の配置、保育分野での低年齢児加配などで三百二十二人の就労を確保してきました。大都市部でも、大阪府では職員の時間外勤務を削減し、若年者百名の就業体験雇用を創出するワークシェアリングを実施しするなどの努力がはじまっているのです。
都としても、教育や福祉施策の拡充をはかり、青年の直接雇用拡大を推進することをもとめるものです。お答えください。******************************
感染防止と早期発見対策の強化を
つぎに鳥インフルエンザ対策について質問します。
京都の養鶏場で大量の感染死が隠されたまま一部が出荷され、兵庫、香川などに被害が拡大し、厚木市にまで卵が入荷されていたことは、大きな衝撃をあたえています。毒性のつよい高病原性鳥インフルエンザは、養鶏業者等に大きな被害をおよぼすだけでなく、食の安全への不安をひろげています。人に感染する力はつよいものではないとされていますが、世界保健機構WHOは、流行が拡大するなかで人から人にうつるウイルスに変異し、全世界に大流行する可能性があると警鐘をならしています。そんな事態をまねかないため万全の対策が求められています。
いま必要なことは、感染防止と早期発見対策の強化です。
都は一月末から、国の防疫マニュアルにもとづくモニター検査を開始しましたが、これは他県にくらべ遅い対応でした。東京の養鶏業者は二百四十二戸十五万羽と決して多くありませんが、大分では個人のペット用のトリに感染したことを見ても、東京に感染がひろがる可能性は十分にあります。しかも、近県の茨城県は養鶏業者が全国一位、千葉県は第四位という地域です。東京しゃも、東京うこっけい卵など、貴重な特産品に被害をださないためにも、緊急の対策を求めるものです。
国の防疫マニュアルは、多いところでは百万羽以上にのぼる各都道府県の養鶏場でわずか一カ所、十羽の定点監視、月一回というものであり不十分です。都は一月の調査では全養鶏農家の巡回調査をおこないましたが、今後も継続的な全戸調査が必要です。防疫対策の実施状況や、防鳥網の設置状況、異常なトリの早期発見など、巡回指導、相談支援の強化を求めるものです。見解を伺います。
養鶏農家の調査、指導や、ウイルス検査をおこなっているのは、都の家畜保健衛生所ですが、ここはO-157やBSE対策など、つぎつぎ出てくる新しい感染症への対応で業務がふえつづけています。それに加えて鳥インフルエンザへの万全の対応が求められており、職員の増員をはじめ検査・調査体制の強化が急務です。お答え下さい。
東京は、トリ肉、卵などが全国から集まってくる大消費地です。その多くは卸売市場をとおらないなど流通経路は複雑で、都の検査対象外の小規模なトリ肉処理業者もあります。また、ペット用のニワトリなどをあつかうペット・ショップも集中しています。私は、全庁的体制を確立して、あらゆる経路の感染防止と早期発見を確実におこなうとともに、ホームページの改善、充実をはじめ都民への情報公開をすすめる必要があると考えますが、知事の答弁を求めます。
感染が発生した地域で問題になっているのは、家畜伝染病予防法にもとづきトリや卵の移動制限が義務づけられるにもかかわらず、それによる養鶏業者等の損失や防疫対策費用にたいし国の責任で全面的に補てんする恒久対策が確立していないことです。都として国に要望すべきではないでしょうか。お答え下さい。******************************
荏原病院、豊島病院の存続と医療圏ごとの感染症病床の整備を
人から人にうつる新型ウイルスが出現すれば、国内で三千二百万人が感染し、三万人から四万人が死亡すると推計されています。国はすでにインフルエンザ治療薬の備蓄など検討を開始しましたが、私がとくに強調したいのは、医療体制の確保です。五年前の通常のインフルエンザの流行でさえ、入院ベッドが足りないことが大問題になりました。
感染症予防法により、感染症病床は二次医療圏に一カ所ずつ整備するとされていますが、都内区部においては、七医療圏中、荏原、豊島、墨東、駒込の四つの都立病院で確保されているものの、三つの医療圏は空白です。都は、二十三区全体でベッドの総数は満たしており国の了解を得ているとしていますが、昼間人口を考慮しないこと自体が重大な問題です。
感染者との接触をひろげないために、感染症病床は身近な地域に必要です。ところが都は逆に、都立病院の統廃合で、荏原病院と豊島病院の感染症病床を、駒込に移してしまう計画です。そのことによって、人口五百万人をこえる医療圏が、感染症病床空白地域となってしまいます。感染力のつよい新型インフルエンザなどが流行したような時、それでは現実的には対応できないではありませんか。
荏原病院も豊島病院も、百年を超える感染症医療の歴史のある病院です。荏原病院は昨年のSARSの時は、都内で発生した疑い例の実に六割を受け入れてきました。
この二つの病院は、都立のまま存続し、行政的医療であり、同時に不採算医療でもある感染症指定病院としての役割を継続すべきです。そして、二十三区のすべての医療圏ごとに必要な感染症病床を整備することを求めて、質問を終わります。以上
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【答弁】
〇知事(石原慎太郎君)
かち佳代子議員の一般質問にお答えいたします。
青年の雇用拡大についてでありますが、都内企業の若年者に対する求人ニーズはかなりありますが、雇用ミスマッチが大きな原因となって、就職に結びついておりません。働く意欲のある若者が仕事につけないということは、本人にとっても大変不幸であると同時に、社会にとっても大きな損失であります。
こうした若者に対して、都独自の取り組みであるしごとセンターを新設、開設するとともに、安定した就業機会の確保が図られるよう、経営者団体などを通じて幅広く要請しております。
なお、他の質問については、関係局長から答弁いたします。〇産業労働局長(有手勉君)
青年の雇用などに関する六点のご質問にお答えいたします。
まず、都の公共事業などの発注先に青年の雇用を求めることについてでございますが、ただいま知事からご答弁があったように、若者の雇用確保につきまして、東京商工会議所など経営者団体百団体を通じて、幅広く求人要請を行っております。
このほか、都内八万社を個別に訪問する求人開拓調査なども実施しているところでございます。
これらの中には、お話の発注先企業も多く含まれておりますので、発注先企業に限定して雇用の確保を求める考えはございません。
次に、中小企業に対する青年の雇用促進の支援策等についてであります。
中小企業の人材確保を支援するために、求人企業及び若年求職者が一堂に会する就職面接会の開催や、若年者向けの職業訓練など、さまざまな施策を実施しております。
また、創業の支援につきましては、創業を目指す人に対する相談指導やセミナーの開催、空き庁舎を活用した創業施設の提供、技術開発資金の助成や創業資金の融資などを行い、意欲的な若手の起業者の創業と育成を図っているところでございます。
次に、養鶏農家への巡回指導等についてでございます。
都は、昨年十二月末に海外発生情報を養鶏農家に周知し、通報等の協力要請をいたしました。また、山口県での発生直後の本年一月十五日から二十二日にかけまして、都内養鶏農家などを緊急に巡回指導、調査し、衛生管理状態や感染の疑いがないことを確認するとともに、注意喚起を行いました。
さらに、京都府での発生を踏まえ、直ちに都内養鶏農家などを再調査し、異常のないことを確認するとともに、改めて予防対策などを指導したところでございます。
次に、検査、調査体制についてでございます。
これまでも局の本庁、事業所組織を挙げて調査指導の協力実施体制を構築し、対応してまいりました。今後とも、十分な連携のもとに的確に対応してまいります。
次に、全庁的な連携体制についてであります。
都は、山口県での発生の翌日、一月十三日には、全国に先駆け相談窓口を開設するとともに、養鶏農家及び都民へ適時的確な情報提供をしております。また、関係局との連携協力により、養鶏農家等へのインフルエンザ予防接種など、迅速に予防措置を講じてまいりました。
さらに、京都府での発生を受け、昨日、ホームぺージを都民にわかりやすく改善充実するとともに、全庁的な対策会議を立ち上げました。
最後に、国に対する損失補てん等への要望についてでありますが、都は、これまでも既に移動制限に基づく損失補てん等について、各県ともども国に要望しているところでございます。〇財務局長(櫻井巖君)
都の指名業者選定に、青年の雇用状況を配慮するなどの取り組みについてのご質問にお答えします。
地方公共団体の契約は、地方自治法の趣旨に基づき、最少の経費で最大の効果を上げることが求められていることから、公正な競争により、受注者が決定されるものであります。
このため、都の指名業者選定に青年の雇用状況を配慮するなどの取り組みを行うことにつきましては、契約の本旨である良質な履行に直接結びつくものでないこと、また、中小企業の受注機会の増大を目的としました、いわゆる官公需法のように、政策的な根拠となる客観的基準が確立されていないことから、現実においては困難と考えております。〇総務局長(赤星經昭君)
都におきます職員採用の拡大についての質問にお答え申し上げます。
採用につきましては、これまで事業執行に必要な人員の確保、職員の退職動向などを総合的に勘案し、行ってきております。
しかしながら、現在、第二次財政再建推進プランにおける内部努力の大きな柱といたしまして、職員定数の削減に取り組んでおりますことから、職員の採用につきましては、引き続き抑制が必要であると考えております。
今後とも事業動向などに留意し、都政の円滑な運営のため、適切に対応してまいります。○病院経営本部長(碇山幸夫君)
都立荏原病院、都立豊島病院における感染症医療についてでありますが、都立病院改革マスタープランに基づきまして、荏原病院は医療資源の有効活用を図りまして、地域の中核病院としての機能を充実させていくため、財団法人東京都保健医療公社に運営を移管してまいります。
また、豊島病院につきましては、地域医療の一層の充実を図る観点から、板橋区の意向を十分に受けとめ、板橋区との間で移管に向けた協議を行ってまいります。
なお、両病院が担っております感染症医療につきましては、都におきます感染症医療体制確保の観点から、関係局間で検討し、適切に対応してまいります。〇健康局長(平井健一君)
感染症医療につきまして、特別区の区域内における感染症病床の整備についてですが、昼間人口を含め、人口の集中や交通アクセスが良好なことなどの地域特性を考慮しまして、特別区全域を対象として、必要病床数を確保しているところでございます。
したがいまして、二次保健医療圏ごとの整備は考えておりません。