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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団 |
-- 目 次 --
〇木村委員 まず、福祉についてお尋ねいたします。
本会議の代表質問で、我が党の秋田議員が、厚生省の社会福祉のあり方に関する検討会報告も引用しまして、九〇年代の不況のもとでのリストラ、倒産、多重債務など、社会経済環境の変化によって、これまでにない新たな不平等、新たな格差が拡大しているということを強調して、改めて今日的な経済給付的事業の重要性というものを指摘した。これに対して知事は、国の社会保障が格段に充実したと、こう述べて、これまでの都の経済給付的事業を抜本的に見直すことは当然だと、そういう認識を示したわけですね。
しかし、これほど逆さまな話はないと思うんです。国の社会保障は、九〇年代を通じて次々と後退させられたのが現実なんです。一九九一年九月、老人保健法の改悪で自己負担の引き上げ、九二年三月、健康保険法の改悪、九四年六月、さらなる健康保険法の改悪で、入院給食費が有料化した。九四年の十一月、年金改悪が成立をして、基礎年金部分が六十五歳に繰り延べられて、保険料が引き上げられた。九七年の六月、また健康保険法が改悪されて、本人の二割負担になった。そして、二〇〇〇年三月、年金改悪で最大限一千万円以上の給付が削減された。しかも、この間に消費税が三%から五%に引き上げられた。だから、経済企画庁、国民生活に関する調査、厚生省、国民生活基礎調査、いずれも、老後に見通しがない、生活が苦しくなったという返事が、過半数から八割になっている。
その上、ことしは一月から老人医療費の改悪が行われ、そして十月には介護保険料の全額徴収が始まるわけです。国の高齢者への負担は、これで年間二兆から三兆円の増、消費税の一%分の値上げに匹敵するといわれている。高齢者総攻撃という状況が続いているんですね。
知事、近年のこういう社会保障に加えられたさまざまな攻撃、これが都民生活を現に圧迫しているというふうにお考えになりませんか。どうでしょうか。
〇石原知事 現況、日本の経済はデフレでありまして、デフレというのは非常に見えにくい、やっかいな構造を持っているわけでありますが、一口にいうと、物価がむしろ今下降している、賃金は横ばいであるということは、実質賃金というのは高くなっているわけですね。
それから、いわゆるあなたがおっしゃる高齢者というのは、日本にはだんだんふえてきまして、その中にはいろいろ所得の差がありますけれども、その中のマジョリティーの方々は、ある意味では日本で一番裕福なんですね。可処分時間、可処分給与というか、そういうものを一番持っていらっしゃる。それは、平均値をとってみても、統計ではっきり出ています。ですから、その高齢者にとって、ある意味でデフレというのは、非常にピンポイントで、特殊の企業なり、限られたところを、要するにいじめていますけれども、その企業の当事者なり周辺の方々は、例えばホームレスになったりしてひどい目に遭っているけれども、一般の国民大衆というのは、経済的に、今、余り痛痒を感じてない、実態としては。これは非常に見えにくい構造だけれども、実際そうなんです、平均値とってみると。これがデフレのやっかいなところなんですよ。
ですから、あなたがおっしゃるみたいに、高齢者というのが一方的に国の従来の措置で逼迫しているとは、私は思いません。しかし、ある立場の方々は、それはやっぱり困窮していらっしゃる。それは一つの例としてあるでしょう。しかし、それをもってすべて高齢者という形でくくることは、私はやっぱり、これからの現代の福祉を考えていく上で、一つ大きなバリアにならざるを得ないと思います。
〇木村委員 私は全然違うと思いますよ。私が引用したのは厚生省の調査あるいは経済企画庁の調査で、今、生活が苦しい、見通しがないという人が八割を占めているという現実、それがきのうきょうじゃなくて、この十年間続いた中で生まれているんじゃないかということをいっているんです。
せっかく高齢者のマジョリティーは痛痒を感じてないというお話をされましたから、そっちの方の話にしたいと思いますけれども、これは、昨年の予算特別委員会で、当時の福祉局長が、高齢者の所得と資産の状況から十分に対応できると、経済的給付の切り下げについての理由を説明したわけですね。高齢者は豊かであるという認識が、土台に、今の答弁のようにあるんだと思うんです。
そこで、前川高齢者施策推進室長に伺いますが、東京都が行った直近の高齢者の生活実態では、高齢者本人の収入が三百万未満の比率というのはどうなっているでしょうか。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 都が行いました直近の高齢者の生活実態調査でございますが、これは平成七年度のデータしかございませんけれども、高齢者本人の収入が三百万円未満の方は、全体で六九・八%でございます。ただ、これは、男性と女性では相当差がございます。男性では四八・六%、女性では八七・三%と、倍近い差がある次第でございます。
〇木村委員 七割ですよ。年間百万円未満が三一・六%、百万円から二百万円未満が二一・一%、二百万円から三百万円未満が一七・一%で、局長がいったように約七割。
さらに、貯蓄で見るとどうなるのか。(パネルを示す)これなんですがね。政府での高齢者金持ち論が社会保障の改悪の口実になっているんですが、実態は余りにもかけ離れているといわなきゃならない。(資料1質疑末尾参照)
厚生省の一九九八年度国民生活基礎調査、高齢者世帯の貯蓄を見ると、貯蓄四百万未満が全体の五一・四%。しかも、色分けしてありますけれども、その貯蓄の半分は将来に備えての生命保険です。高齢者の貯蓄は二千万円以上だなどといわれていますけれども、実態は、三千万以上、一億円、十億円など−−こっちですね−−高額所得者が全体の平均を引き上げているのであって、これは八%なんです。わずか八%の高齢者が全体の平均を引き上げている。これでどうして高齢者が豊かなどということがいえるのか。確かに、高齢者は一生懸命働き続けてきたわけですから、一定の貯蓄があるのは当然。しかし、百万、二百万というのは、例えていえば、自分の葬式代をためているということをいっても差し支えないと思うんですね。それをもって高齢者の負担能力があるというのは、世間には通用しないと私は思います。
しかも、我が国の所得格差は、八〇年代、九〇年代を通じて、急速に格差が拡大をしている。主要国の中でも最も所得格差の大きな国の一つになっている。政府の統計でも、国民の五分の一、五分の一をとってみますと、低所得層を占める五分の一と高所得層を占める上からの五分の一というものの所得格差は、一九八一年には七・四倍だった。それが一九九六年には三十三・二倍というふうになっているんですね。
知事、このような高齢者の負担能力の実態、所得格差の拡大ですね、これについて、もう一度、どういう考えを持っているか、答弁してください。
〇石原知事 断っておきますけど、私が高齢者が裕福といったのは、相対的に裕福ということでして、要するに可処分所得、可処分時間というのが若い人に比べて豊富にあるということも踏まえて、何も絶対的に、私、裕福といっているわけじゃない。ですけど、とにかくその現況の中で、時代のニーズに応じて新しい福祉の体制をやり出したわけですよ。そのゆがみ、ひずみも部分的にあるでしょう。それにたえられない高齢者がいないとは、私、いいませんよ。しかし、その方たちに対しては、国は責任持って生活保護という保障を構えているんだから、そういうものを踏まえて、福祉全体の話をしようじゃないですか。
〇木村委員 知事は、二言目には生活保護があるというんですよね。確かに生活保護は、社会保障の最後のとりでとして大事なものですよ。だが、厚生省の担当課長でも、もう少し気軽に使えるようにしなくてはいけないと、このごろはいっているんです。福祉事務所へ行ったら、貯金が例えばあと五万になったらもう一度来なさいというふうにいわれますよね。だから、心ある福祉事務所の職員に聞くと、やはり生活保護というのは身ぐるみはぐようなところがあるなというふうにいっています。
社会的なセーフティーネットというのは、いろいろな制度が重層的にあって当然で、生活保護も否定しませんけれども、その前の段階でどう生活を支えるかということが、私、大事だと思うんです。
この前の本会議で、知事は、所得格差の是正や所得保障、そして負担と給付のバランスをとることは、国の責任で対応すべきだという答弁をされましたよね。だけど、国がその責任を果たしてないから問題なんです。国がその責任を果たしてないからこそ、そのとき地方自治体が何をやるべきかと。それは国にちゃんと求めると同時に、自治体として独自に可能な限りの対策をとるというのが自治体の役割、そう思いませんか。
〇石原知事 だから東京は可能な限りやっているわけですよ。
〇木村委員 可能な限りやったかどうか、そこが問題だよ。大体、西欧諸国と比べても、日本の社会保障給付は、国民所得比で一五・二%です。アメリカが一八・七%です。イギリスが二七・二%です。ドイツが三三・三%です。ドイツの半分ですよ。この水準を引き上げない限り、国民の老後の不安というのは解決はされないんです。
私どもは、世界で経済的給付事業が行われているということを紹介したいと思いますが、都議会報告のチラシなどを配りますと、ファクスでいろんな都民からのご返事があります。
その中で、十年間香港に住んでいて、昨年五月に東京へ帰ってきた女性からありまして、香港では、六十五歳以上はフェリーは無料、地下鉄、バスは半額だった。七十歳になってシルバーパスも楽しみにして帰ってきたら、制度が変わっていた。マル福や老人福祉手当もなくなるという。本当に福祉が後退していて、日本はどうなったかということで驚いたと、こういう話がありました。イギリスに住んでいた人も帰ってきて、手紙が来ました。イギリスでは医療費は無料だし、薬代は安かった。動けない人を介護しているための手当も、月に四万五千円受けていたと、こういう話が来ました。
まさにこれらの国々では、経済的給付が必要不可欠の制度として社会に根づいて、ほかの社会保障と一体のものとして国民の生活を守る役割を果たしているわけです。
知事、東京でも、在宅サービス、施設サービスと一緒に経済的給付事業も、ともに充実をしていく、そういうことが求められているんじゃないかと、こう思うんです。これを切って、こっちだけやりますというんじゃなくて、在宅サービスや施設サービスも必要ですし、経済的給付事業も必要だ、ともに充実すべきじゃないか、こう思いますけれども、どうですか。
〔前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務発言を求む〕
〇木村委員 いやいや、これだけいったんだから、知事、答えてください。基本の問題です、基本。基本ですよ。
〇石原知事 必ずしもそうは思いません。あとは局長から答弁いたします。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 二点お答え申し上げます。
経済給付の充実と個別のサービス、両方とも充実できればそれにこしたことはないー福祉局長答弁
一つは、日本の福祉のヨーロッパとの比較で、ともすれば日本が絶対的に劣っているという議論がよくなされるわけでございますけれども、私どもの認識では、少なくとも国民皆年金、国民皆保険をこういう形で実現している国というのは、これはなかなか、世界の中で見てもまれな例であろうと思います。例えばアメリカと比較をいたしましても、アメリカは公的な保険もなければ、いわば失業保険もない世界であります。そういう中で我々日本人は、戦後のいわば焼け跡の中からこういう制度を、メニューが出そろった制度をつくってきた。そういう点では誇りにしていいと思っております。
それからもう一点、経済給付の充実と、それから個別のサービスと両方とも、それはもう、できればそれにこしたことはないのは当たり前であります。ただ我々は、今こういう時代で、基本的に福祉の方向を変えていこうと。つまり、これまでのように行政がいわばお仕着せ的にやっていたような世界から、個人が選択をする世界に変えていく、それによって本当に豊かな世界をつくっていこうというふうに考えているわcbであります。
〇木村委員 国によって制度が違うから、わざわざ国民所得との比較でもって数字を挙げたんじゃないですか。それを、何かあれこれの制度の違いでもって説明しようたって、それは無理なんです。筋が違う。
それから、経済給付ですけれども、今あなたのようにそういわれましたけれども、実際に来年度予算では、乳幼児医療費助成制度を就学前に拡大しているじゃないですか。所得制限も緩和したじゃないですか。乳幼児医療費助成制度は、まさしく経済給付的事業そのもの。だから、どう否定しようと、都民にとって経済的給付事業が必要だということの何よりの証明なんです。とりわけ所得の低い高齢者にとっては命綱になっているんだということを、私は強調したんです。
それでは、具体的な問題に入ります。マル福と老人福祉手当は、何ら低所得者への配慮もなく段階的に廃止をするもので、その影響ははかり知れません。来年度の影響を見ましても、マル福の対象者は九万六千人が削減されて、全体として五十一億円の負担増になります。老人福祉手当は、対象が寝たきり高齢者ですが、月額五万五千円が既に四万一千二百五十円になって、さらに来年は二万七千五百円に減額される。これで総額二百十七億円に及ぶ給付の削減が行われたことになる。
きょうはマル福について聞きます。
ことし一月から高齢者医療費の値上げが大問題になっていますが、これは一回につき五百三十円の定額制度が、原則一割の負担になったものですね。全国の保険医団体連合会が、全国千四百二十一の医療機関と患者二千百三十五人から調査した結果がありますが、高齢患者の五一%が、負担がふえて非常に困る、あるいは困ると回答した。それから、どう対応するかと調べたところ、二八%の患者が、受診回数を減らす、あるいは受診している医療機関を減らすと、こう回答した。さらに、ほかの支出を切り詰めると答えた人も一五%に及んだ。また、半数以上の医療機関が、高齢患者が実際に減ったと、それから二五%の医療機関が、負担増が原因と考えられる受診中断があったと、こう答えています。つまり、病人はいるけど患者がいないという事態ですね。医療費負担がふえれば、受診抑制につながることは明らかだと思うんです。
そこで伺いますけれども、マル福がなくなって、長期的な影響として受診抑制、医療の抑制が起きないということがいえるのかどうか。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 今お尋ねのマル福、いわゆる都の老人医療費助成制度でございますが、これは昨年の見直しにおきましては、現在対象となっている方は、引き続き国の老人保健制度の対象となるまで助成を行うこととしたわけでございます。また、今後、助成対象とならない方については、現在加入されている医療保険により、負担が変わることなく給付を受けられるわけであります。
したがって、少なくとも当面、全体としては必要な医療は確保されていると、こう考えております。
〇木村委員 現在マル福を適用されている者が切られないということぐらいは知っていますよ、さんざんやったんだから。徐々に対象年齢が引き上がって、六年後には完全に廃止になる。マル福を、そういう形で受けられなくなる人が大変な影響を受けるんです。
マル福の廃止ということは、五百三十円の定額が一割に上がるどころの話じゃありません。マル福が受けられない人は、国保の三割負担、退職者国保でも二割負担ということが続くんです。助成対象にならない方の負担は現状と変わらないと今いわれましたけれども、この負担が重い、三割、二割の負担が。
例えば、去年の七月三日生まれで、わずか三日おくれでマル福に間に合わなかった、二年待ちになったという人がいますが、高血圧とB型肝炎で継続的に医者にかかっている。この人のここ半年の医療費を見ると、合計で二万三千六百八十円払っている。これが、マル福が受けられれば七千四百四十円で済む。単純計算すると、一年で払う医療費が四万七千三百六十円、マル福の切り下げがなければ、このうちの三万二千四百八十円の負担が軽減されるということになるわけですね。念のためにいいますけれども、こういうのは別に特殊な例ではありません。高齢者にはよくある、そういうケースです。
もう一例挙げれば、例えば糖尿病でインシュリン注射が必要で、高脂血症の合併症がある人、これもまあ高齢者によくあるケースですけれども、この人は、ここ半年で医療費が四万六千百五十円、マル福があれば三千七百八十円で済む。やはり単純計算でいえば、一年でこの人は九万二千三百円の医療費がかかるわけですから、マル福の見直しがなければ、九万二千三百円のうちの八万四千七百四十円が軽減されるわけです。
これまでならば、年金生活でいろいろ大変な中でも、少なくとも命にかかわる医療費だけは、六十五になればぐっと負担が軽くなる、そこでほっと一息つくということができたんです。これがなくなった。ですから、生活の不安というのは非常に高くなったというふうにいわざるを得ない。
国民年金の平均月額がおよそ五万円です。この中から、今いったように年間四万円とか年間九万円とか、医療費を継続的に払わなきゃならないという人が少なくないわけですけれども、これはやはり重い負担だと思わないですか。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 ご質問は大きく二つの点であろうかと思います。
一つは、マル福の廃止によって過大な負担がかからないかという点でございます。
これにつきましては、一つは老人保健法の制度自体が、例えば長期入院している場合については、六十五歳から六十九歳であっても給付の対象、寝たきり等の場合については対象としているわけであります。それからまた、高齢者について高額療養費の制度が当然設けられておりますので、低所得者の場合には、例えば一回から三回の間は月三万五千四百円、それを超えれば、低所得者の場合には二万四千六百円という形の頭打ちの限度額が設けられている。これは、私どもは十分にリーズナブルなものであろうと考えております。それが一点でございます。
それからもう一点、今お尋ねがあった月五万円の生活費云々の問題でありますが、これは、そういう方が、それだけで暮らしている方がいるとすれば、それはそれで、私ども大変な問題であると認識をいたしております。しかしそれは、先ほど知事が申し上げたように、基本的には生保の問題であり、あるいは国の所得保障の問題であって、そういう問題として議論すべきであろう、医療保険の問題ではないというふうに考えております。
〇木村委員 こっちが提起したことについて、条件をずらして答えるという形になるわけですね。国民年金だけで暮らしている人っていうのは、たくさんいるんですよ。だから、もしいればの話じゃない。
六十代は、糖尿病や高脂血症、高血圧などの慢性疾患がちょうど出てくる時期なんですね。この時期の早期発見、早期治療が極めて大事だ。それは医療の常識なわけです。しかも治療の継続が必要で、早いうちからちゃんとした医療を受けていれば、重症化を防ぐことができる。逆に、治療の継続が切れた途端に重症化する。合併症や寝たきりにつながる。
年金生活になり、収入は激減するときに、このように必要な医療費が膨らんでいく。だから、マル福の医療費助成が必要だと思うんですね。長期的に見れば、重い負担で受診が抑制されて重症化が促進されることになる。マル福廃止は、結局目先のことしか考えないものだ。
改めて知事に聞きますが、六十五歳からの制度、これはやっぱりもとへ戻すべきじゃないかというふうに思うんです。どうでしょう。
〇石原知事 戻すつもりはございません。
〇木村委員 大体、介護保険は六十五からなのに、医療費助成は何で六十五からのをなくすのかという問題ですよ。介護保険は、福祉と医療が密接に連携するということを理念としているはずですよね。それならば、介護保険も六十五、医療費助成も六十五からという方が、ずっと筋が通ると私は思うんです。その点でも、東京都の六十五歳からのマル福は先駆的な制度だったんです。これを撤廃する理由は全くないというふうに思います。
自治体独自の高齢者の医療費助成を行っているほかの政令市、全部聞いてきました。東京のように丸ごと廃止というようなところは一つもないです。大阪市は大きな切り下げをしましたけれども、で、私たちは、このことについては批判的な立場ですけれども、それでも廃止はないんです。住民税非課税の人には、この制度は続いているんです。京都市は全く見直しの予定はない、こういっていました。それだけ大事な制度なんですね。
さっきも出ましたが、議会の審議を経て決めたというふうにいわれましたけれども、一度決めたことでも、国の医療の改悪などがあり、実施後の現状を検証して再検討を行う、せめて現時点に立って、立ちどまって再検討する、そういうのが知事の役割だと私は思いますけれども、再度答弁求めたいと思います。
〇石原知事 行政というのは、複合的なものでございましてね、とにかく何も福祉だけが行政じゃない。それは、福祉は行政の主軸の一つではありますけどね。やはり東京は最後の、非再建団体、つまり、その土俵を割るまいとして私たち努力しているわけです。だから、その一環として、やっぱり見直すものは見直す。まして片っ方で、国が新しい福祉というもののフレームワークをつくり、発想を変えて出直しているときに、私たちやっぱりそれに呼応して、しかし、それで足りないところは東京プロパーで策を講じるということでやっていくつもりでおりますから、おっしゃったような提案に耳を傾け、それをもとに戻すというつもりはございません。
〇木村委員 行政は複合的だといいましたけれども、やっぱり福祉は、本当に最後まで守っていく自治体の本来の任務なんですよね。高齢社会に本格的に対応するには、寝たきり予防や健康寿命を延ばすということに本気になって取り組むかどうかということだと思うんです。そのためには、マル福はほかにかえることができない貴重な制度であって、今後、役割はますます大きくなるだろうということを改めて申し上げておきたいと思うんです。
シルバーパスについて次に聞きますけれども、住民税非課税の人にまで千円の負担を押しつけた結果、利用者が大きく落ち込みました。昨年のこの予算特別委員会の資料では、千円のパスの利用者数は七十三万一千人というふうに、そちらから出た資料で推計されております。実際は五十四万二千九百人にとどまった。十八万八千人も推計を下回った。あなた方自身の推計に比べて、実績がこれほど大きく落ち込んだという理由をどう考えていますか。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 年間千円負担をしていただいている千円のパスでございますが、今ご指摘があった、推計から落ち込んだ理由は大きく二つあるかと思っております。
一つは、無料パスにつきましては、従来、郵送とか民生委員の方によって配布をしていたわけですが、これを地域での窓口の発行に改めた。これによって、いわばパスをただ死蔵するのではなくて、真にパスを利用する意思のある方が発行を受けたためであるのが大きな理由であろうと思います。
もう一点は、千円パスと見込んだ方のうちで、実際には、これはこちらの推計の問題でありますが、相当数が五千円のパスの対象であった、そういう交付者数が推計よりも多かったためでございます。
〇木村委員 郵送を改めるなんていうのは、あなた方が推計を出したときにはもう決まっていたことじゃないですか。だから、後からそんなこといったって通用しませんよ。
この負担のためにシルバーパスをあきらめて、余り出歩くことがなくなったという人はたくさんいるんです。いろんな負担が二重三重にかかっている、シルバーパスだけじゃなくて。そういう高齢の低所得者にとって千円の負担というのは、あなた方が予想したよりも重かったんだというふうに思うんです。それは、あなた方にとってみれば千円かもしれない、たかが千円かもしれないけれども、住民税非課税のお年寄りにとっては、されど千円という、そういう重みがあったんですよ。これに加えて来年度、五千円パスが一万円に値上げになります。このままではシルバーパスの利用者はもっと減るという結果になるだろうと思います。
シルバーパスは、高齢者の社会参加促進のための大事な事業です。これも、ほかの政令都市みんな聞きました。あれは大事な事業だから見直さないというところが圧倒的ですよ。シルバーパスの利用者が減ってしまったのは大きな問題だと私は思います。改めてシルバーパスを無料に戻すとともに、交付を受けやすくするための改善を求めます。
次に、介護保険について伺います。
これから本格的な高齢化社会を迎えて、介護保険制度を改善し、改革し、これを定着させることは国家的な大事業だと思います。過日、我が党の小竹議員が本会議質問したときに、知事は、共産党は介護保険制度そのものの否定というものを口にされるという発言がありました。この認識は間違いです。我が党は、介護保険制度そのものを否定したことはありません。それどころか、この制度が本当に都民の役に立つように、だれもが安心して介護が受けられるようになる制度にするために、国会はもちろん、地方議会でもあらゆる場でいろいろ提案をし、力を尽くしている、そういう立場です。
さらに、介護保険が実施されてから一年たちました。一年たったこの今日の介護保険の現状をどう見るか、今後どうしていくのかというのは、高齢福祉だけでなくて、行政のあり方そのものにかかわる重要な問題だと考えます。
知事はこれまで、おおむね順調というばかりだったんですが、さきの本会議では、質問に答えてようやく、介護支援専門員への支援など解決すべき幾つかの課題が生じていることも事実だと、こういう認識を表明しました。これは一歩前進だと思うんです。しかし、問題の切実さから見ると、まだ余りにも大きな乖離があるというふうに思います。
この本議会に付託されました請願、介護保険の利用料、保険料の減免制度を都として実施してほしい、また、国にも実施を要求してほしいという請願署名が都内各地で行われました。我が党都議団は、この署名に協力してくれた都民にお願いして、はがきアンケートに協力してもらいました。今日までざっと千二百通を超えるはがきが届いて、多くのはがきには、びっしりと実情や意見などが書き込まれていました。ほんの一部だけ紹介をさせてもらいます。
私は介護は受けておりませんが、義母、実母とも九十歳前後の年齢になっており、介護保険料のほかに治療費等のお金がかかることばかり、私は会社員として働いておりますので何とかなっておりますが、今後が不安で、考えると夜も眠れなくなることがありますと。
あるいは、デイサービス、ショートステイを利用していますが、サービスは変わりませんが、自己負担額が多くなりました。介護保険が始まってから負担が多くなるし、福祉手当もなくなり、在宅で介護していくのも家族にとってとても大変になり、経済的にも負担がとても苦しくなってきました。
あるいは、私の扶養家族である一銭の収入もない妻に保険料がかかるということは納得できない。七十八歳の老妻が、何か保険料のために働き場所を見つけなきゃならないというようなことは納得できないと、こういうような話です。
これが高齢者の多くの声だというふうに思うんですね。所得の低い高齢者にとって、介護保険の利用料、保険料の負担がいかに重いかということがうかがわれると思うんです。で、東京都には介護保険についてどのような要望が寄せられているでしょうか。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 私どものところには、いろんな各種団体からの要望が多いわけでありますけれども、その要望の中には、主なものとしては、保険料及び利用料負担の減免であるとか、人材の養成であるとか、基盤整備の推進等が挙げられております。
〇木村委員 いろいろな課題がある中でも、やはり保険料、利用料の軽減、これはとりわけ切実な問題なんです。中でも、保険料はことしの十月から今の倍になります。例えば、東京の平均的な保険料基準額三千円で計算しますと、世帯全員が住民税非課税という比較的所得の低い第二段階の場合、夫婦二人で一年間の保険料額は、今年度は十月から半額徴収でしたから、今年度一万三千五百円、これが来年度は、半額が九月で終わって十月から全額になりますから、四万五百円にはね上がる。再来年度は一年通して満額徴収ですから、これが五万四千円になる。今でさえ負担が重いと悲鳴が上がっているのに、この先どうなるか。この三年間で、一万三千五百円から五万四千円になってくる。
知事は、さきの本会議答弁で、低所得者に配慮して、所得に応じた保険料の設定方式が講じられているといいましたけれども、例えば第二段階の中に、国民年金が月額二万円とか三万円とか四万円とか、あるいは無年金という人も含まれているわけです。つまり、実質的には生活保護基準以下の収入しかない人も多数含まれている。今は食費や何かを切り詰めるなどして何とかなっているけれども、このままでは到底払い切れないという人が続出するということは明らかだと思うんですね。
本会議答弁でも、高齢者も能力に応じて負担を分かち合うことが必要だというふうに知事はいいました。それ自体は、私も同感です。しかし、これは、能力のない人に負担を強いるということとは別の話です。払いたくても払えないという人がいるんです。そういう人は、一体どうすりゃいいのか。
さらに、知事は、介護保険は国民の共同連帯を理念とするものだというふうにいいました。保険料を払えない人への支援策を講じることが、一番の共同連帯のあるべき姿じゃないかというふうに思うんです。
国は、保険料の階層を六段階に設定するなどの弾力化は認めますが、これが保険料の低所得者層対策だといっているんですけれども、実際には、低所得者層の多い地域ほど、このやり方では解決にならない。実際には、払いたくても払えない人がいて、国の対策では救えないから、住民に密着した区市町村では、保険料の減免に踏み出して、東京都に対して減免制度の実施を要望している。
例えば立川市長は、議会答弁でこういっています。東京都に対し、都独自の保険料減免措置の支援策を講ずることを要望していると述べただけじゃなくて、東京都がてこになり、国の制度改正を促すことになれば大変よいことであるとの期待を、議会答弁で表明しました。保険料の独自の減免措置に踏み切っている都内の自治体は、十一あります。まだ踏み切っていない区市町村も、都が実施してくれれば踏み出せる、こういっています。
知事、都として保険料の減免制度をつくるということに踏み切るべきだと思いますが、どうでしょう。知事に。知事の本会議答弁も含めて。
〇石原知事 その辺の裏づけになる詳しい数値について精知しておりませんので、まず、局長の答弁を聞いてから、それについての印象を申し上げます。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 私どもは、介護保険制度につきましては、これはやはり国民の、先ほど先生からお話がありましたけれども、共同連帯の制度であると、すべての国民が保険料を負担して制度を維持すると。そのために、生活保護制度においても、生活扶助の中に保険料分相当が組み込まれているわけであります。たとえ生保を受けている人であっても保険料を負担してもらうという、これは大きな制度の根幹であろうと思っております。
ご指摘ありましたように、それなりに制度の中で、所得に応じた設定方式であるとか、それをさらに弾力化するような方法とかも国は既に講じているわけであります。したがって、これを私どもは大いに活用すべきであろうというのが根本的な立場でございます。
なお、低所得の方の保険料の負担が非常に重いというお話がありますけれども、逆に申し上げると、じゃ保険料を免除すれば、その方々の生活は楽になるのかと、そういうことは全くないわけであります。したがって、これは全然別の問題であると。生活の保障の問題、所得の問題と介護保険の問題とは別の問題であると考えております。
〇石原知事 設定されてから期間の短い新しい制度でありまして、その合理的な運用についても、各区市町村、まだまだふなれといいましょうか、策を講じ切れていないと思います。もう少し時間を見て、いうべきことは都なりに精査して国に要求しますし、また、都でできることは、それに対処していきたいと思っております。
〇木村委員 知事の方が少しずつ認識が深まっていると。(笑声)
私は、低所得者に対する保険料の軽減に踏み切った大阪へ行ってきました。直接、担当者に会ったんです。保険料の負担が何とか軽くならないのかと、横浜のように六段階をやりたいけれども、大阪は、第一段階、第二段階でもう四〇%もいるんだと、こんなところじゃできないというような、いろいろな話を聞きました。苦悩に苦悩を重ねて、独自の軽減措置に踏み切ったという経過を聞いたんです。
その担当者は何といっているか。国と都道府県と市区町村が重層的に支え合うのが介護保険じゃないか、保険料の軽減措置についても、それぞれが重層的に負担を分かち合うべきだと思う、こういっていました。そして、やはり東京都からそういう動きをつくってもらって国を動かしてもらえたら、これほどありがたい話はない、こういうふうに表明されたんです。大都市大阪市が、政令市として踏み切ったんですよね。
知事、あなたは常々、東京から国を動かすといっているじゃないですか。だから、首都東京が国に力強く要求する、それだけじゃなくて、かつて東京都が老人医療費の無料化に踏み切ったことによって国の制度につながったように、都が独自の保険料減免に踏み切って、大いに国民的な議論を巻き起こして、東京都がてこになって国に減免制度を実施させていく、こういうことこそやるべきじゃないですか。都内の自治体も、他県の自治体も、みんな注目しているんですよ、どうですか。
〇石原知事 あなたにおだてられて舞い上がるほど、私はうぶじゃございませんが(笑声)何も東京だけじゃなしに、地方自治体もそれぞれしっかりして、いい提言をして国を動かしていったらいいじゃないですか。大阪市か大阪府か知らないけれども、東京を眺めて東京に期待する前に、自分たちでやったらいいんじゃないですか。それが政治家というものじゃないですかね。
〇木村委員 大阪が政令市としてやったんだということ、大阪でやれて、何で東京でこういう事態なんだろうかということなんですよ。それは、知事として無関係じゃないはずです。
次に、利用料の減免についても、我が党は繰り返して要求しました。知事がこれにこたえる姿勢を見せていないというのも問題です。我が党都議団は、都下の自治体に対して、介護保険実施一年たって実績を聞くというアンケートをお願いしました。二十三区の集計が終わったんですが、在宅サービスの利用者が、年度当初の計画に対して、実際は六割程度にとどまっていることがわかりました。
このように、在宅サービスの利用の伸び悩みという事態を、東京都はどう考えていますか。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 まず、在宅サービスの利用状態の把握についての前提を申し上げますが、これは、区市町村が第一線で保険者としてこの介護サービスをやっているわけですけれども、制度発足間もないこともありまして、全区市町村を通じた厳密なデータがなかなか把握できないというのが正直なところでございます。
ただ、私ども二、三、幾つかのあれを調べてみましたけれども、一つは、ある区の状況でございますけれども、ホームヘルプサービスが、四月と十月を比べると約四〇%近く伸びているとか、利用者数についても二割以上伸びているとか、あるいは、ある市の場合であっても、同じようなことがいえるかと思います。
それから、これはマクロのデータでございますが、高齢者のホームヘルパーの派遣状況は、去年の三月でいいますと、派遣世帯数は、四万一千百五世帯でございます。これに対して、昨年十二月の審査分によると、七万四千五百四十一件と。これは世帯と件数ですので単純に比較はできませんけれども、現在、在宅サービスが全都を通じて全体で低調だということは、必ずしもいえないというふうに考えております。
〇木村委員 介護が必要と認定された人で、実際にサービスを利用する人が少ないというのは、何も我々の調査だけじゃないんですよ。
先日、朝日新聞社が発表した介護保険に関する全国市町村アンケートの調査結果、これは注目すべき内容ですね。この中でちょっと内容を紹介しますと、核家族化が進み、施設が足りないために、在宅サービスの需要が高い政令指定都市や東京二十三区でさえ、在宅サービスの利用が予想どおりだったとしたのは四割にとどまり、ほぼ半数が予想より少ないと答えた。認定を受けながらサービスを受けていないと思われる人も予想以上に多くて、東京二十三区でも五人に一人に上ると。
在宅サービスが伸びなかった理由の複数回答で一番多かったのが、自己負担の重さ、六三%。このように、利用料など自己負担の重さが利用が伸び悩んでいる原因だと指摘していますけれども、例えば訪問看護は、以前は一時間二百五十円だったのが、介護保険で八百三十円に上がった。訪問入浴は、一回五百円ぐらいだったのが千二百五十円になった。デイサービスは、これも一回五百円ぐらいだったのが、千二百円から千五百円ぐらいになった。ヘルパーさんは、大体八割の人が無料だった、これが一割負担になった。特に夜間のヘルパーさんは、割増料金が高くて断らざるを得ないという人が続出している。
介護支援専門員の人が、お年寄りから、月二万も三万も払えない、一万ぐらいのケアプランをつくってくれと、こういうふうな頼まれ方をするというのはごく当たり前の状態になっている。利用料負担の重さが、必要なだけの在宅サービスを利用できない最大の要因になっていることは明らかだと思うんです。
これは、民間事業者からもそういう声が上がっています。例えば有料老人ホームの社長の滝上宗次郎さんという人が、「週刊東洋経済」にこう書いています。在宅介護事業者の業績は惨たんたるものである、利用者の数も一人当たりの利用額も、限度額の三割、四割とまことに低調である、一割の自己負担が利用者に余りにも重いという行き過ぎた結果は、深刻に受けとめなければならないといっているんです。
知事、こういう指摘をどう受けとめますか。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 私どもの事実認識として申し上げますが、ホームヘルプサービスが伸びない理由はいろいろあろうかと思います。
例えば、よくいわれますけれども、家庭内に他人を入れるのが嫌であるとか、あるいは介護保険の利用手続が若干煩雑であるとか、そういったことに加えて、確かに今お話がありましたように、その新聞の調査によっても、そういう利用料の問題が挙げられているのは事実であろうと思います。
それからもう一点、階層によって、ホームヘルプサービス等について、措置時代と比べて、これまでなかった負担が出てきている層があるのも事実であろうと思います。
〇木村委員 局長はもう現実を見ようとしていない、そういうことがありありとわかりますね。
利用料の問題ですけれども、知事はさきの本会議で、我が党が利用料減免を要求したことに対して、既に制度上、利用者負担が著しく高額とならないための仕組みが設けられているほか、特別対策として、利用者負担の減免も可能とされていると答弁しましたよね。
しかし、まず第一に、制度上、利用者負担が著しく高額にならないための仕組みが設けられているというけれども、世帯全員が住民税非課税という所得の低い人の上限額が、一月二万四千六百円。介護の場合は、若い人が何カ月間か入院するという一時的な出費と違って、何年にもわたって継続的にこの費用負担が続くわけですね。平均月額五万円程度の国民年金の人が、月二万四千六百円、年に二十九万五千二百円も継続的に負担するということは、できるわけがないんです。
第二に、国の特別対策というふうにいいましたけれども、その一つは、社会福祉法人がヘルパー派遣やデイサービス、ショートステイ、特別養護老人ホームの利用料を低所得者に対して減免できるという、そういうものですよね。しかし、これは、国は減免に必要な経費の半分を持つだけで、あとの半分は法人の負担なんです。これは、法人の善意にすがってやるやり方なんですね。ただでさえ民間企業が参入して、競争で運営が厳しくなっている社会福祉法人に、自前で負担をして、低所得者の利用料減免をする余力はないのが実態です。実態に合わないんですよ。
だから、この東京全体で、いまだに実績ゼロです。社会福祉法人への財政的支援なしには、この特別対策というのは前へ進まないということははっきりしているんじゃないでしょうか。
知事、そもそも利用料の減免というのは、行政が責任を持ってやるべきことでしょう。社会福祉法人に半分負担させるということ自体、筋が違うんじゃないか、こう思うんですけれども、どうでしょうか。
〇石原知事 再三申したことですけれども、人間のつくった制度ですから、最初から十全、一〇〇%正しいというのはあり得ないと思いますよ。ですから、皆さんも選挙の前なので、いろいろな都合のいい事例を構えられて、皆さんの論を−−いや、私はこれ、別にどの政党といっているわけじゃないんですよ、論を通そうとなさるでしょうけれども、やはり新しい制度ですから、ある時間の経過を見て、さっき例に挙げられたような否定的な事例も、肯定的な事例も、懐疑的な事例もあるでしょうから、そういったものをデータとして踏まえて、ある時間が経過した後に、見直すものは見直すべきだと私は思いますし、そのときの音頭を東京都がとるということもあり得ると思います。(「今とってほしい」と呼ぶ者あり)いえ、まだまだちょっとその時期じゃない。やはりある時間を、経過を見ようじゃないですか。
〇木村委員 ある時間ある時間といいますけれども、私は、一番最初にいいましたけれども、この制度が発足してちょうど一年という時点をとらえて、現時点で起きていることについてどう考えるか、どういうふうに受けとめていくかということが、これからの高齢福祉にとって大事だということをいったんです。だから、我々は、今起こっていることについて前向きに取り組むということが東京都として非常に大事だと思うからいっているんです。あなたの場合、もうちょっともうちょっとというけれども、実際にお年寄りは毎日毎日、利用料を払う苦労をしているわけですよ。
ですから、そういう意味で、これからやっていくんだというふうにありますけれども、例えば今のような社会福祉法人に半分持たせるなんといっても、法人によっては小さいのもあるし、単一の施設しか運営していないのもあるんですよ。だから、どだい無理な話。それをこの間、本会議でああいう形で我々の要求に対して答弁したから、いっているわけです。
さらに、もう一つの特別対策というのは、介護保険が始まる前からヘルパー派遣を受けている人に限って、ヘルパー派遣の利用料を一割負担から三%にするというものでしたよね。
そこで伺いますけれども、この特別対策の利用者は何人なのか、また、在宅サービスの利用者全体に占める割合はどうなのか、お答えいただきたい。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 都内における介護保険の居宅介護サービスの利者数でございますが、これは昨年の十月分、十月時点でございますけれども、先ほど申し上げた制度発足後の混乱の関係で全区市町村ではありませんが、四十七区市町村から受けた報告でございますが、九万九百十四人でございます。この中で、国の特別対策による、今ご質問があった経過措置の利用対象者数は二万三千九百三十六人でございまして、今申し上げた全体の二六・三%でございます。
〇木村委員 これも、特別対策を受けている人は四分の一にすぎないんですね。そもそも介護保険実施後にサービスを開始した人は適用外だし、ヘルパー派遣以外のサービスはすべて一割負担。だから、これも余りにも不十分なことははっきりしているというふうに思うんです。利用料の軽減対策というなら、当然介護保険が始まってからサービスを受けている人にも適用することが必要だと思いますけれども、また、ヘルパー派遣に限らず、より幅広いサービスの負担軽減が必要じゃないでしょうか。
知事、そのことを国に要望して、同時に都が実践すべきというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
〔「知事だよ」と呼ぶ者あり〕
〇木村委員 時間がもったいない。ただ、私が知事に聞いているのは、多摩市長会が、つまり私が要求しているだけじゃないんですよ、多摩市長会が、都として国に要望してほしい、こういっているんですよ。現在、都内の区市町村−−いいですか、六十二の自治体のうちで、三十六の区市町村が、独自に利用料減免措置の実施に踏み切っているんです。過半数を超えていますよ。
なぜだかわかりますか。それは、利用料減免に踏み切らないと救われない人が多くいるからなんです。第二段階でも、生活保護以下の収入で暮らしている人が多いんですよ。だから、直接住民と接する自治体というのは、放置できないから、次々と独自にそういう制度に踏み出しているんです。そこの自治体、市長会が知事に対して、国に要望してくれと、こういっているから、これにこたえるべきじゃないのかと。これは知事答弁でしょう。
〇石原知事 ごく最近も特別区長会がありました、その次の日に市町村長会もありました。どういうわけか、そこで議題が出ませんでしたですな。もしそういうものが正式に、特別区長会なりあるいは市町村長会から出るんだったら、都は都でそれはやはりしんしゃくいたしますけれども、そういうものが別に具体的にあるわけじゃありませんから。
〇木村委員 正式な要望書が出ています。どこかにつっかかっているんですよ。知事のところへ届けていないだけですよ。じゃ、それ調べてください。これは重大な話ですよ。
我が党の試算では、保険料、利用料の減免に要する費用というのは、区市町村と二分の一ずつ持って補助制度にするとして、年間必要財源はおおむね九十億円です。だから、やろうと思えばできると思うんですね。実現に踏み出すべきだということを重ねて強調しておきたいというふうに思います。
設定がいいかげんな「財源不足」論で福祉切りすて
そこで、その九十億円ということも含めて、財政の問題について質問をしたいと思います。
本来、自治体としては、たとえ財政がどんなに苦しくても、今私が話題にしているような福祉、医療の問題は、最優先に実施を図っていくというのが当然の立場だというふうに思います。
しかし、これまで、そうした福祉の問題について最大の障害とされていたのは、財政の問題でした。ここに一昨年十二月号に発表されました東京都の広報があります。全都民に配られたものです。ここには何て書いてあるか。「現在、東京都の財政は危機的状況にあります。このままでは、地方自治体の倒産というべき財政再建団体への転落も避けられません。」中見出しに、「東京都は今、財政再建団体転落の瀬戸際にいます。」こうあけますと、「財政再建団体になった場合には、数多くの都民サービスに影響が出ます。」覚えていますよね。
いわばこういう形で、福祉を初め、私学助成あるいは市町村に対する交付金まで全部書き込まれていて、大変だと、再建団体になってしまうと、みんなこれがだめになるよということをいったわけです。その根拠が、ここに書かれておりますように、平成十二年度以降も毎年六千億円から七千億円に上る巨額な財源不足が見込まれますと一番最初に書いてある。これは、しようがないと、仕方がないと思った都民も、私は多かったと思うんです。
問題は、ここで示された財源不足そのものの設定がいいかげんだった。例えば六千二百億円財源が足りなくなるといわれている今年度の場合、財政危機といいながら、投資型経費をバブル前の二倍、一兆円以上もつぎ込むものになっているということと同時に、公債費が六千五百億円と過大に想定されています。しかし、実際に必要と計算された予算、これは四千五百四十三億円。これより二千億円も過大になっているということですね。その後明らかになった実際の税収、これを見れば、財源不足は起こらなかったというふうにいっても過言でないと思うんですね。
そこで、今年度と来年度の都税について、プランの想定額と予算の税収見込み額、これを示していただきたいと思います。
〇木内財務局長 財政再建推進プラン、これは一昨年の七月に策定したものでございますけれども、そこでは、都税収入について、十一年度当初予算をベースにいたしまして、十二年度はその〇・五%増の三兆八千七百億円、さらに十三年度は、さらに一・〇%の増を見込んで、三兆九千百億円と見込んでございます。
また、予算における都税収入の見込み額については、十二年度の当初が三兆九千八十五億円、最終補正後は四兆二千六百八十二億円、十三年度当初が四兆三千九百四億円でございまして、先ほど、いいかげんというお言葉もございましたけれども、予算増を、予算上の増を見込みましたのは、十二年度におけるいわゆるIT関連産業の企業収益の増、あるいは銀行業等に対する外形標準課税の導入などによる増加額を予算上見込んだものでございます。
さらに、最近に至りまして、株価の動向に象徴されるごとく、我が国経済についての少しく不安感もあり、今後の税収について、財務局としてもまた注目をいたしていかなければいけないというふうに思っております。
さらに、お話の、何といいますか、プランとその後の税収の変動等々を比較して、いわんとされんことは、もういいじゃないかということをいおうとされているのかなというふうに思うので、それは、一言だけ申し上げさせていただくと、財政の構造改革というものに対する見方が異なっているというふうに思っております。
一点目は、単に収支の均衡だけを取り上げて、その数字の根拠は定かではございませんけれども、単に数年の数字の根拠だけを取り上げて、したがって、もう構造改革ではなくて、もとの政策といいますか、もとに戻すべきだということであるとすれば、それは我々と大きく見解を異にするわけでございます。
さらにまた、そうした考え方は、もう二点目だけで申し上げさせて……。
〇松村副委員長 簡潔に答弁願います。
〇木内財務局長 一言だけ申し上げさせていただくと、やっぱり構造改革について先送りすることなく、今取りかかるべきものは今行うということが、私どもとしては必要な立場であろうというふうに思っております。
〇木村委員 先回りしていろいろ−−まあ、時間が足りなくなってきたから、もう先回りして、答弁の方だけ先回りしていったんじゃ大変だから、私もいわせてもらいますよ。
ここにパネルを持ってきました。
(資料2質疑末尾参照)
このように、財政再建推進プランより、今年度は三千九百八十二億円増収です。公債費の過大分二千億円と合わせれば、六千億円という財源不足はカバーされてしまう。これは事実です。知事が示した財政再建推進プランの前提条件が、計画した年度のうちに前提が変わっている。その財源不足という前提に従って福祉が切り捨てられた。切り捨てる方は痛みは感じないかもしれないけれども、切られた方は、先ほどいいましたように毎日苦しんでいるんです。
来年度はどうか。今年度より税収はふえて、四千八百四億円増収、減債基金の過大分と合わせると、財源不足はここでも起こらない。
財源的に見ても、福祉切り下げをやる必要はなかったんです。だから、増収分を福祉の復活、充実に使うのは、これは自治体として当然の責任だ。
福祉の復活に必要な財源というのは三百九十億円。介護保険の当面の減免に必要なのは、さっきいいましたけれども、九十億円。合わせても四百八十億円。来年度の増収分の一〇%です。何も全部使えといっているわけじゃない。高齢者のためのシルバーパス、老人医療費助成、老人福祉手当の三事業復活させる。百三十七億円です。増収分の三%です。六兆二千億円の一般会計全体から見れば、〇・二%です。
私、これを配った知事として、財政的な障害はなくなったんだから、今すぐにでも福祉の復活、やれると思うんですが、どうでしょう。もう局長の話は聞いたから。
〇石原知事 話にはならないとは申しませんが、かなり乱暴な財政論でありまして、あなた方の政党がこの天下をとったら、この国はすぐ沈むなという感をまた新たにいたしました。
ご指摘の点は全く違うと。詳しくは財務局長から懇切丁寧に説明いたします。
〔木村委員「いや、要らない」と呼び、その他発言する者あり〕
〇木村委員 私は、さっき財務局長の答弁も聞いたですよ。何が財政構造改革だ。構造改革というならば、一番メスを入れるべきは、一番財政危機をつくり出した構造にメスを入れるべきだ。大型開発や不要不急の公共事業を事実上温存しているじゃない。このままでは、ことしの予算案を見ても、借金はふえる一方、一般会計だけで十兆円に手が届くものになっちゃう。そういうやり方で構造改革自体進めようとしたら、改革ではなくなるんですよ。一方でしわ寄せを受けるのは、いつも高齢者や障害者。
私は、なぜ「広報東京都」を出していっているか。都民に、財源不足がこれだけ起きます、こういうふうに数字を挙げて財政危機を訴えて、そして福祉を切ったんですよ。その計画の第一年目から、都民に説明した前提条件が違ったんです。現に違ったんですよ、パネルで示したように。その場合、切った福祉をもとへ戻すことも含めて見直すというのが誠意ある態度じゃないですか。増収分を全部使えといっているんじゃないですよ。−−ちょっと待ってくださいよ。全部使えとか、やり直せとかいっているんじゃないですよ。しかし、ごく一部、あれだけ議論があった、そして今でも問題になっているそういうものをもう一度見直すということが、障害者、高齢者を思う心じゃないですか。そういう意味で知事に提起したんですよ。
〇石原知事 あなたの挙げられる数字は数字かもしれませんが、しかし、数字に対する解釈とか、そういったもの、解釈というものを導くいろんな方法論ってあるんですよ。ですから、こちらはこちらで専門家が、あなたがある部分の都民を代表して聞かれた質問に対して、懇切丁寧に合理的に説明しようとすると、その回答は要らないと。こんな議論ありますか。続いて次の説明をしようとしたら、聞きなさいよ。
〔木村委員「そんなことないよ」と呼び、その他発言する者多し〕
〇木村委員 局長の答父汲ヘさっき聞いたですよ。(発言する者多し)局長の答弁はさっき聞いたよ。何いってんだよ。税収が今年度三千九百億の増収になっている。そういう数字は局長だって否定してないじゃないか。(発言する者多し)
〇松村副委員長 静粛にお願いいたします。
〇木村委員 何いっているんだ。(「聞いているんだから、聞きなさいよ」と呼び、その他発言する者あり)そんなことないよ。さっき答弁したじゃないか。(「さっきと違うじゃないか、問題が。さっきの財務局長答弁と今度は違う」と呼び、その他発言する者あり)そんなことないよ。
〇松村副委員長 質問中です。ご静粛にお願いいたします。
〇木村委員 財政構造改革で答弁したんだよ。だめだよ、そんな。
〔「局長が答弁しようとしているんだから」「委員長、指名」と呼び、その他発言する者あり〕
〇木内財務局長 今パネルを示された数字について、数字的なことで、先ほど先生質問されましたように、税収が、再建プランで見込んだ数字と、何といいますか、予算の計上した数値が異なることは、数字的な意味においては事実でございます。
しかしながら、そのことの意味づけについて、あるいは下段の方の公債費について申し上げれば、この数字は予算とプランとを比較しているわけでありまして、残念ながら、予算においては、減債基金の積み立て等々について、所要額の全額を積み立てることができなかった結果の数字が落ちているということがありますので、そういう意味では、下段の方のこのパネルの数字は違っているというふうに思っております。
ただ、数字だけの問題ではなくて、我々の立場については、先ほど来申しているように、どういう立場にあるかどうかの見解といいますか、道が異なるということは残念に思っていると同時に、ただ単に数字だけのことについてだけお答え申し上げれば、ここに書いてある六千二百億とか七千億のところには、例を一つだけ申し上げれば、いわゆる隠れ借金といわれている一兆円の数字が入っていないこともこれまた事実でありまして、これに一兆円を乗せれば一兆六千二百億になって、このパネル自体が成り立たないというふうに思っております。
私どもとしては、単に数字じゃないとしても、単に数字であるということを前提としたとしても、このパネルは異なっているだろうというふうに思っております。
さらに、二点目つけ加えれば、これから先−−今この数字は、十二年度、十三年度だけの数字でもって、これがすべて正しいとしたとしても、均衡するわけですけれども、では、この先はどうなんだということが大きな問題でありまして、起債の償還、実償還額は、十三年度においては三千二百五十一億の数字が、今後五千億、六千億ということで、二千億以上ふえていく中については、二〇〇二年度以降、十四年度以降はどうしていくんだということについては全く触れてないのは、とても残念でございます。
〇木村委員 さっき聞いた答弁から新たに出てきたのは隠れ借金の話でしょう。最初は、財源が不足する、財源不足が六千億円だから、あれも我慢しなさい、これも切らなきゃならない、こういうのを全都民に配ったんですよ。しかし、計画の一年から、税収が増になった。それも三千九百億。その数字自体はだれも否定できないでしょう。だから、そのうちのごくわずかでももとへ戻せないかというのは、都民を代表すれば、だれだって考えることなんですよ。
最初は財源が不足するといって、税収が伸びてしまうと、今度は隠れ借金だと。しかし、例えば隠れ借金の羽田沖埋立会計からの借入金というのは、神戸がやっているように、一般会計に納付することで解決がつくんですよ。果実運用型基金だって、借り入れも、本来一般財源で賄うべきもので、事業局では低利で困っているんです。一般財源化してほしいと、局だってそう要望しているでしょう。これは取り崩したって何でもないんですよ。中央市場からの借入金だって、返すとしても、市場再整備に合わせて財源を確保すればいいので、十年先の話じゃないですか。
だから、私は、そっくり全部過去が間違っていたんだ、だからこうしろというようなことをいっているんじゃないんですよ。ただ、その後新たに起こった財政の状況をどう考えるかということで質問しているので、そういう意味では非常に、都民を代表して聞いていることに対して、やっぱり誠意がないというふうにいわざるを得ない。
さて、それでは、まあ、いつまでこうやってもめてもしようがないから、税収が伸びたとか財政事情が変わったとかということは一たんおいて、そもそも税金の使い方、あるべき立場はどうかという立場から質疑を続けます。
財政が苦しくてもやるべきは、浪費的な公共事業や不要不急の事業にメスを入れる、当面の対策としても、都が本来負担しなくてもよい事業を見直す、そういうことだけでも福祉を復活することはできる、そういう財源は生み出せるという点についてお話を進めたいというふうに思うんです。
それは、一つは、法律で義務づけられてもいないのに、東京都がわざわざ借金をして、しかも利息まで面倒を見ている首都高速道路公団への貸し付けの問題です。
これまで首都高速道路公団への無利子貸付は幾らで、今後の見通しは幾らなのか。また、財務局長に聞きます、これは聞きますけれども、来年度の首都高への貸付金の利息負担は幾らになるのか。
〇山下都市計画局長 首都高速道路公団への無利子貸付金は、平成元年度から平成十一年度までに総額二千七十二億円余を貸し付けております。
今後の見通しは、現在事業中の路線を対象に、現行の貸付率で試算しますと、約二千億円程度と見込まれております。
〇木内財務局長 首都高速道路公団への貸付金の財源として起債いたしました都債の十一年度における利子支払い額は、六十一億円でございます。
幹線道路である首都高速道路は、交通渋滞を解消し、環境の改善に寄与すること、東京の活力向上のために欠くことのできない重要な都市基盤であること、さらには、その整備が緊急かつ必要性の高い事業であるということの判断に基づいて、都として必要な経費を貸し付けているものでございます。
さらにまた、先ほどの、市場会計について十年云々という話がありました。これもとても残念な言葉であって、十年先であるから今は何もしなくてもいいということについては、なかなか納得いたすことはできません。
〇木村委員 ここに、高速道路に関する行政監察結果に基づく勧告という、総務庁のがあります。その中でこういっています。そもそも首都高速道路は建設費を料金で賄うものと明確に述べた上で、政府の特殊法人に関する九七年の閣議決定を前提に、事業資金を自力で資金調達することを求めています。
知事、公団に自力調達を求めるつもりはないですか。
〇石原知事 そのルールについて私も承知しておりますが、原則的には、中央の環状線を含めて、首都高速道路ネットワークというのは都の活動にとって不可欠のものでありまして、ですから、適正な料金水準を維持しつつといいながら、まあ、かなりもうかっているわけですけれども、今後、厄介な工事は地下化するその他で、いずれにしろ環状線というものを整備しませんと、東京の一番のマイナス要因である渋滞というのは解消されません。
ということで、一定の公的負担はやむを得ないとしておりますが、私は、実は就任したときに、武蔵野スタジアムと比べて−−あれは債券化してもなかなか売れまいという専門家の意見でありましたが、これは私は売れるんじゃないかと思うんですよ。ですから、ある時点で、やっぱり都の負担も軽減するためにも、何というんでしょうか、これ、債券にして売り出すということも、いずれの時点ですか、将来もっと積極的に考えるべきではないかと私は思っております。
こういうところでそんな発言すると内部が混乱するかもしれませんが、これは私のかねての持論でありまして……(「いい、いい」と発言する者あり)余計な、あなたに褒めてもらいたくないんだよ。(笑声)都民が納得する形でできるなら、都の負担というものを軽減できるなら、こういうことも一つの方策だと私は考えております。
〇木村委員 今のは非常に重要な答弁ですよ。であれば、来年度からやってもらいたい。(知事「そうはいかない」と呼び、その他「性急過ぎるんだよ」と呼ぶ者あり)いや、それは、だけど、はっきり、やるならやるというふうにしてもらいたい。
さっきいった金額というのは、半端な金額じゃないですよ。しかも、無利子でもって貸していて、利息を東京都民が負担しているんですよ。六十一億円ですよ。せめて利息ぐらい取ったらいいんですよね。その利息六十一億円あれば、マル福が復活できるんですよ。マル福復活するには五十四億円なんだから。いや、本当です。(「株にして共産党に買ってもらうかな」と呼び、その他発言する者あり)金の話だから、やっぱり具体的です。ぜひ、まあ、来年度からというのは急過ぎるというけれども、予算案も何か今提案していますよね。来年度も二百何十億出すんですよ。そんなことをやっていたら−−これは片っ方で福祉切っておいて、片っ方でそういう閣議決定にも反して金出している。そんなことは、そんな金出している自治体ないですよ。大阪だって出してないんだから。それはぜひやってください。
もう一つの問題。だんだん時間がなくなる。もう一つの問題は、圏央道やスーパー堤防など、国が所管している公共事業の費用の一部を東京都が負担させられている国直轄事業負担金ですね。これも見直しが必要だと思うんです。その事業の是非はおくとしても、都民の施策を廃止してまで、都が国のいいなりになって税金を出してやる必要は全くないんです。
これまでの国直轄事業負担金の推移と来年度の予算での負担の金額、それから事業箇所、これを示していただきたいと思います。
〇古川建設局長 直轄事業負担金については、過去五年間にさかのぼると、平成九年度が三百三十九億円、十年度四百四十五億円、十一年度四百五十九億円、十二年度四百十億円で、十三年度は二百八十五億円を計上しております。
国の直轄事業は、複数の公共団体にまたがるものや事業の規模が著しく大きいもの、また高度な技術が必要なもの等について、国がみずから執行するものです。来年度の主な事業箇所として、道路事業では、交通渋滞の緩和と環境改善に有効な圏央道や湾岸道路など、河川事業では、東京の市街地を大規模な水害から守る荒川や多摩川の堤防整備などが予定されております。
〇木村委員 今数字が挙げられましたけれども、毎年平均で三百四十億円。国道の維持管理の費用も、九九年度は六十一億円。国の道路の管理まで東京都民が金を出す、こんなばかな話はないんですよね。
知事、こういうことを許しておくのかどうかということを、まず聞きたい。
〇石原知事 その問題については、私、小渕内閣のころから口酸くいっておりまして、今回の亀井政調会長からの依頼で都から出した原案の中にも、金目のものでなくて、例えば土地の収用法を変えるとかその他の中で、やっぱり直轄事業というものを考え直してもらいたいと。それで、その場所も勝手に向こうで決めてきて何%持てというのは一方的な話じゃないかと。これはやっぱり都のイニシアチブで、直すならここを直そうとか、こういうものを先に優先してつくろうとかということになるわけでありますからね。しかも、ほかの県と違って、まさに需要の一五〇%あるようなケースについては、これはもう、まさに首都の機能の問題でありますから、国の国事として考えてもらいたい、そういう認識を持つように、制度として改めるよう、今も強く申し入れております。
〔「何でも反対しないで、お願いしますといわないの」と呼び、その他発言する者あり〕
〇木村委員 きょうは金の話をしている。(笑声)
全国知事会の要望書がここにあります。やっぱり直ちに反対すべきだと。特に維持管理なんというのはもうすぐに廃止すべきだということを強くいっています。この維持管理だけでも、首都高速道路の利息と同じに、来年度六十一億円です。本来、だから、これも国に持たせるということになれば、マル福復活できるんですよね。(笑声)
要するに、さっきは財政構造改革について激しいやりとりになりましたけれども、そこは一たんおいても、一たんおいても、本来東京都が都として負担すべきでないもの、国と知事がやり合って、来年からやめようじゃないかと、そっくりやめるということが来年からできなければ、維持管理費だけでも払わないよということであれば、福祉の事業を復活させる財源なんというのは出てくるんですよ。
問題は、やっぱりそういう立場に立って、税金の使い道、使い方というのを改めていくことができるかどうかというのが、都民に対する思いやり、障害者、高齢者に対する知事としての思いやり、誠意ある態度ということなんです。
最後に、臨海副都心開発事業会計と埋立及び羽田沖埋立事業会計の統合の問題。
代表質問でもただしましたけれども、この三会計の統合によって、この二つの埋立会計が臨海副都心開発事業会計に貸している三千六百三十億円の資金が棒引きにされてしまうということになります。二つの埋立会計の余裕資金は、貸付金に現金も合わせると、五千億円以上になる。これが統合によって臨海副都心開発の借金の穴埋めに使われることになることから、来年三月末に残る資金は三百五十億円程度で、大半が統合と同時に消えてしまう。本来都民のために使うことができる五千億円近いお金が、臨海開発の赤字の穴埋めに消えてしまう。こんなことが一体許されるのか。
知事は、このことを承知した上で統合を許可したんだと思いますけれども、どうなんですか。知事は承知しているんでしょう。
〇石原知事 臨海はなかなか大変な問題でございまして、これを根本的に立て直していく、とにかくリカバーするためには、マクロの見地から複合的にいろいろ手を講じなくちゃいけないと思うんです。その一つの手だてとして、会計の問題をああいう形で処理したわけですけれども、付随していろんな問題が起こってくるでしょうが、しかし、解釈が違えば結果論も違ってくるわけでありまして、詳しい見通しについて、具体的な見通しについては、港湾局長から答弁いたします。
〇齋藤港湾局長 三会計統合についてのお話ですが、先ほど、借金が棒引きになるんだ、こういうお話ですけれども、私どもはそのように考えておりませんで、三会計統合は、ご案内のように、埋立事業会計に臨海副都心開発事業会計と羽田沖埋立事業会計の二会計を吸収して、新たに臨海地域開発事業会計とするものであります。
これは、債権債務の主体である三会計が統合されて、あたかも会社の合併と同じように考えていただきたいと思いますが、臨海副都心開発事業会計と羽田沖埋立事業会計の二会計の資産、負債、資本のすべてを新会計が包括的に引き継ぐものでございます。したがって、一方的に債権を放棄する借金棒引きとは考えておりません。
なお、借入金で整備された土地や施設は、都民の財産として、形を変えて存続することになります。
〇木村委員 残念ながら時間切れ。
知事は記者会見で、自分の任期中にはもう二度とこうした救済は認めないといいましたよね。臨海副都心開発事業会計は、現在、毎日一億円の赤字を出している。会計統合したとしても、もつのは一年か二年なんですよ。だから、問題は、勇気を持って大型開発に偏った税金の使い方を転換するかどうかということが、やはりこの問題でも問われている。
私は大阪へ行きましたけれども、大阪府知事は、今度の計画で、負の遺産の整理として、水と緑の健康都市の中止を打ち出しましたよね。それから、りんくうタウン、阪南スカイタウンについても抜本見直しということをいいました。やはりそういう時期に来ているんですよ。
最後に、私は、都民が切実に求めているマル福やマル障を初め老人福祉手当をもとへ戻すことや、介護保険の減免を実施することは、増収分の一部を充てることで十分できるんだし、たとえ増収がなくても、国いいなりの税金の使い方を少し変えれば十分可能であるということを、きょう明らかにいたしました。
知事が、こだわりを捨て、率直な道理と根拠ある都民の声に対しては耳を傾けて、福祉を復活するという立場に立つように強く要望して、私の質問を終わります。