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■政策と主張

福祉、くらし、教育、環境の充実で、住みよい東京を――都議選にむけての重点政策

2001年5月9日  日本共産党東京都委員会

-- 目 次 --

 都民のみなさん
 六月二十四日に都議会議員選挙がおこなわれます。四年前の選挙では、日本共産党はみなさんの大きなご支援で、都議会第二党に躍進させていただき、都民生活をまもるために全力をあげてきました。自公保政権によって、都民のくらし、経済がいっそう深刻になっているだけに、大きな財政力をもつ都政の役割はこれまで以上に大事になっています。
 いまこそ、都政に都民のくらし、福祉を守る役割を最大限発揮させるために、日本共産党への大きなご支援をよろしくお願いします。

 みなさん
 いま、全国で「自民党政治を変えたい」の声がひろがっていますが、東京では、すでに六年前から自民党都政が都民から見はなされ、青島知事、石原知事と二代にわたり自民党推薦をうけない知事がつづいています。
 私たちは、石原知事が憲法否定のタカ派的な立場を都政にもちこむことには反対です。だからといって、〃石原知事のやることには全部反対〃という態度をとっていません。「いいことはいい、悪いことは悪い」……是々非々の立場でのぞんできました。
 実際、自民党政府が気にいらないことでも石原都政がやったことでいいことがいくつかあります。大銀行に特別に課税する、ディーゼル車の排ガス規制に特別の対策をたてる、首都を東京から移転することに反対する、米軍横田基地の返還を要求していることなどです。これらは、日本共産党のかねてからの主張にあうことでもあり賛成し、協力しました。
 しかし、都民いじめの政治を乱暴に押し通そうとするやり方には、キッパリ反対し、都民のためにがんばりぬいています。水道料金の値上げ問題、中小企業への融資や私立学校への助成の切り下げ、多摩格差をなくすための予算を削る問題などは、都議会での質問や都民のみなさんの運動とむすんで、現在までこれを許さず、制度を基本的にまもってきました。
 いま、都政で必要なのは、このように都民の利益第一にがんばることができる政党ではないでしょうか。
 四年前の都議選で、一番の焦点だったお年寄りや障害者の福祉の制度は、石原都政になって残念ながら切りすてられました。国の社会保障がつぎつぎ削られて、年金の切り下げや医療費の値上げで大変なのに、シルバーパスは全面的に有料化され、マル福(老人医療費助成)や老人福祉手当も、段階的に縮小・廃止されることになったのです。
 その結果、シルバーパスが無料だった人は、住民税非課税の人は千円、住民税を払っている人は五千円とられるようになって、利用者は十万六千人も減りました。五千円の人は今年秋からは一万円に、来年秋には一万五千円に、再来年には二万五百十円に負担が増えます。これでは、住民税を払っている人は、シルバーパスを使うな、ということになってしまうではありませんか。
 マル福は、本来医療費助成をうけられることになっていた人がすでに十万人はずされ、六年後には七十歳未満の高齢者は全員助成がうけられなくなります。老人福祉手当も、たとえ寝たきりであっても、ことし四月から新たに支給される人はいなくなり、すでに受けている人も毎年四分の一ずつカットされ、二年後には一円も支給されなくなります。全国の大都市でも無料のパスを有料にきりかえたり、おとしよりの医療のささえになっている医療費助成を廃止するというようなひどいことをやっているところは一つもありません。
 四年前の選挙では、当選した議員の七割以上がシルバーパスの現行制度を「まもる」とハッキリ約束しました。それなのにこうした公約を投げ捨てて、お年寄りいじめに賛成した自民党、公明党、民主党、社民党などの責任はほんとうに重大です。
 「すでに決まったこと」だといってすますわけにはいきません。今度の都議選は、東京都の福祉切りすては認めないという、みなさんの声をあつめて、都民の福祉を充実させていく方向にきりかえるかどうかがかかった大事な選挙です。力をあわせてがんばろうではありませんか。

 みなさん。
 日本共産党は公約をまもり、東京の福祉を守りぬくためにがんばっています。
 今年三月の都議会では、〃国の社会保障が充実し、シルバーパスやマル福など経済給付的な福祉事業は、時代遅れになった〃とか〃高齢者は金持ちだから負担に耐えられる〃などという都の言い分の誤りを徹底して明らかにし、とうとう、東京都は福祉切り下げにたえられない高齢者がいることを認め、「経済給付の充実と、個別のサービスと両方ともできるにこしたことはない」と経済給付的事業の必要性を認めざるをえなくなったのです。
 介護保険の保険料、利用料の減免についても、高齢者の深刻な実態などをつきつけて議会のたびに追及するなかで、〃都として減免制度をつくることは考えていない〃というかたくなな態度をとっていた石原知事もついに、〃社会福祉法人などがおこなう利用料減免にたいし支援する〃ことを約束し、減免制度の確立にむけた大事な一歩がひらけました。
 東京都の予算は全部あわせると約十二兆円あります。無料のシルバーパスを復活するためには二十億円、マル福復活には五十四億円、老人福祉手当復活には六十三億円あればできます。月に十二万円の家計にたとえると、シルバーパスが二十円、三つあわせても百三十七円のやりくりでできます。
 日本共産党都議団は、今年度の東京都予算について、臨海副都心開発などのムダづかいを減らし、六十四項目の都民の切実な要求を実現する予算の組みかえ提案をおこないました。この提案を実行すれば、お年寄りや障害者の福祉の復活と充実だけでなく、子育てへの支援や、教育の充実、中小企業支援、失業者支援と雇用の促進、環境対策の強化など都民の切実な要求が実現します。この組みかえ提案は、十二万円の家計にたとえていえば、千七百九十一円のムダをはぶいて、どうしても必要なところに九百十九円まわすというささやかな提案で、やる気があればすぐにでもできることです。しかも、財政を立て直していく道もひらけます。
 このような財源の裏づけをもって予算の組みかえ提案をおこない、都民への責任を果たそうとしている政党は、日本共産党だけです。

 みなさん。
 公約をまもり、都民のみなさんの運動との共同をひろげて、建設的な提案で都政を動かす日本共産党をさらに伸ばせば、都政は確実に変わります。日本共産党は、みなさんのご期待にこたえて、次の重点政策の実現に全力をつくします。ごいっしょに住みよい東京をつくろうではありませんか。

(1)シルバーパス、マル福、障害者医療費助成などきりすてられた福祉をもとにもどします

 マル福(老人医療費助成)、老人福祉手当(ねたきり手当)は今後さらに削減されて、マル福は二〇〇七年、老人福祉手当は二〇〇三年に廃止されます。障害者福祉では、医療費助成や重度手当などの削減により、命の危険と背中あわせにいる重度障害児をもつ家庭では、一年間に百万円をこえる負担増になる場合もでてきます。他の県や大都市で、お年寄りや障害者にたいしてこんなひどいしうちをしたところは、どこもありません。このままでは東京は、大都市のなかで福祉のおくれた自治体になってしまいます。 都の福祉きりさげは、高齢者や障害者、ひとり親家庭の命綱をうばうものです。ストップをかけて、かけがえのない東京の福祉をとりもどすために、全力をつくします。

シルバーパスは無料に、マル福(老人医療費助成)は六十五歳からの制度にもどします。老人福祉手当は削減・廃止を中止し、制度の充実をすすめます。
障害者、ひとり親家庭の医療費助成は無料にもどします。
児童育成手当、障害者福祉手当の所得制限はもとにもどします。重度障害者手当への所得制限導入は中止します。
都営住宅の家賃免除制度をもとにもどします。

(2)介護保険の保険料・利用料減免を実現し、介護、福祉、医療を充実します

 介護保険の重い負担に多くの都民、高齢者のみなさんが苦しんでいるのに、十月から保険料が二倍にはねあがります。「なんとかしてほしい」「サービスが利用したくでもできない」という切実な声が、ますます高まっています。
 都内の三十八区市町村が保険料や利用料減免にふみだしていますが、東京全体でしっかりした制度をつくるために都の支援がどうしても必要です。東京都は重い腰をあげ、社会福祉法人等がおこなう利用料減免への支援をおこなうと表明しました。本格的な利用料減免制度をつくり、さらに保険料減免にもふみだすかどうかが、都議選の大きな焦点です。
 東京は、デイサービス、ショートステイ、老人保健施設の整備は全国最低レベルです。また特別養護老人ホームは待機者がふえているだけでなく、都の補助金が大幅削減され、楽しみにしていたレクリエーションが中止になるなど、多くの施設で利用者サービスが低下しています。こうした問題の解決をはじめ介護をささえる支援の充実にとりくみます。

介護保険の保険料・利用料の本格的な減免制度をつくります。
特別養護老人ホーム、デイサービス、ショートステイ、老人保健施設、グループホーム、ケアハウスなどの整備目標をひきあげ、介護サービス基盤の緊急整備事業にとりくみます。
介護保険前のサービス水準が維持できるよう、特別養護老人ホームへの補助を充実します。
生活支援ヘルパーや生きがいデイサービスなどの事業を拡充します。
身近な地域にリハビリテーション支援センターを整備します。多摩地域へのリハビリ拠点病院をはじめ、専門病床の整備をすすめます。
ノンステップバスや駅のエレベーター設置、住宅改造助成の充実をはじめバリアフリーのまちづくりをすすめます。

(3)不況から都民のくらしと雇用、中小企業の営業をまもります

 戦後最悪の不況のもとで、都民のくらしと営業は本当に大変です。
 東京の企業の倒産は三千二百七件、負債総額は十五兆円と五年前の七倍以上にふくれあがるなど全国最悪です。中小企業は大企業の生産拠点の海外移転や大型店の出店ラッシュで打撃的な影響をうけています。一方、大企業は七割の企業がサービス残業を社員におしつけるなど、バブル期なみの高利益をあげています。大企業がいくらもうけても、都民の家計にはまわってきません。
 日本共産党は、消費税減税、三兆円の福祉切りすて計画の凍結、サービス残業をやめさせ雇用を拡大することなど、日本経済の六割を占める個人消費をあたため、景気を回復するために全力をつくします。
 そして、地域経済の主役である中小企業をまもるために、大企業の横暴をおさえるルールづくりをすすめ、中小企業振興対策を抜本的につよめます。

ヨーロッパやアメリカなみに大企業の身勝手なリストラやサービス残業を規制する〃東京雇用ルール〃をつくり、経済団体や大企業にたいし、サービス残業をなくすための厚生労働省通達の全面実施やリストラの抑制を申し入れるなど、東京都として雇用の創出に全力をあげます。
青年の雇用確保のために若者サポートプランを策定し、フリーターのための相談窓口の開設などを緊急にすすめます。失業者の生活支援のための融資制度をつくります。
地域経済振興条例をつくり、商業、工業、建設業など分野ごとの振興プランをたてて支援します。大銀行の貸し渋りをやめさせ、制度融資を拡充します。
工業集積地域活性化事業を継続、拡充し、機械金属、印刷製本、アパレルなどの三大地場産業をはじめ製造業への支援を強めます。多摩地域や城北地区の中小企業振興センターの開設を急ぎます。
大型店の身勝手な出店・閉店を許さないため新しく大型店などを規制する法律の実現をめざします。空き店舗対策など区市町村の商店街振興計画を本格的に応援し、元気を出せ商店街事業を拡充します。
東京の農業を「重要産業」として位置づけ自給を高めます。生産緑地の指定の拡大や重い税負担の軽減をはかります。産直や有機栽培など消費者の要望に応えた農業の振興をはかります。

(4)子育て、教育を拡充し、安心して子どもを産み育てることができる東京に

 東京の子どもの数は減りつづけ、少子化は全国一という深刻な現状です。男女がともに子育てに責任をはたせるよう働く環境を改善することや、保育・子育て支援の充実が緊急の課題になっています。また、学力低下、不登校、「いじめ」、あいつぐ少年犯罪や児童虐待など、子どもと教育をめぐる状況も、深刻な問題がひろがっています。そのなかで保育所の補助を削ったり、高校の受験競争を拡大するような都政の方向を切りかえ、都民のみなさんと力をあわせて、子育て支援や教育の充実にとりくんでいきます。
仕事と家庭が両立できるよう、中小企業への助成など育児休業支援事業を確立します。

希望するすべての子どもが入れるよう保育所を緊急に整備します。ベビーホテルの届け出条例を制定します。保育室や学童保育への支援をつよめます。
小児科の救急医療を充実します。アトピー・アレルギー相談員制度を創設します。
妊婦健診や出産費用の軽減をすすめます。乳幼児医療費助成の所得制限をなくし、入院食事代を無料にもどします。
私立学校、私立幼稚園への助成制度のきりさげをやめ、拡充します。
スクールカウンセラーや養護教員の複数配置など、学校での「心のケア」対策をつよめます。
計画的に三十人学級をすすめるなど、どの子も基礎学力が身につけられ、学校が楽しくなるようにゆきとどいた教育を実現します。

(5)公共事業の見直しと環境優先の都政で、東京のみどりと自然を保全します

 長年、大型開発優先の都政がつづけられたために、自動車の集中やビルラッシュによって大気汚染や自然破壊がすすんでいます。しかも、東京都は今後二兆円近くも都財政をつぎこむ臨海副都心開発など大型開発をいっそう大規模にすすめようとしています。これでは、都民の健康も環境もますますおびやかされ、都財政の危機も深刻化する一方です。
 日本共産党は、予算の使い方を福祉、くらし中心に切りかえるとともに、公共事業を大型開発優先から都民生活に密着した事業優先にきりかえ、人と環境にやさしいまちづくりをすすめます。この方向をすすむことにより、借金依存型の財政運営からも抜けだします。

臨海副都心開発をはじめ汐留、北新宿などの大型開発や、幹線道路優先の計画は抜本的に見直し、都財政投入を減らします。
道路整備は、遅れている生活道路整備をはじめ歩道や自転車専用道路の整備、交差点や踏切のすいすいプランなどボトルネック対策を最優先し、緊急計画を策定して促進します。
新規の都営住宅を建設し、低家賃の若年ファミリー世帯向けの公共住宅の供給をすすめます。分譲マンションの購入者保護システムを確立し、老朽診断や大規模修繕促進のための支援の仕組みを確立します。
天然ガス、燃料電池など無公害型の自動車への転換を促進し、LRT(新型路面電車)の導入、交通需要マネージメントなどで自動車総量の抑制をすすめます。
多摩地域の里山や丘陵地などの開発の抑制や、緑地の公有化などで貴重な自然を守ります。オオタカやオオムラサキなどを都の希少動植物に指定し、保全します。
市町村交付金などの財政支援を大幅に拡充し、中学校給食などの多摩格差の解消につとめます。

(6)米軍横田基地と横田空域の返還をすすめ、平和と安全をまもります

 戦後半世紀以上もたつのに、米軍横田基地のような広大な外国の軍事基地が首都にいすわっている国は日本以外にありません。横田基地は日本と東京の平和をおびやかすだけでなく、首都圏から新潟にいたる広大な空域を米軍が軍事利用しているため、民間航空機がせまい空域での飛行をよぎなくされ、ニアミスがひん発するなど空の安全がいちじるしくおびやかされています。また、米空母の戦闘機の離発着訓練が問答無用に強行され、たえがたい騒音をまきちらしています。
 平和と安全をまもり、爆音など基地被害から都民生活を守ることは都政にとって最重要課題の一つです。いっかんして横田基地と横田空域の返還を主張してきた党として、首都の平和と安全を守るために全力でとりくみます。

横田基地の返還に全力をあげるとともに、横田空域の早期返還を実現します。米艦載機の離発着訓練をやめさせます。
多摩サービスセンターや港区のヘリポート基地などの米軍施設の全面返還をすすめます。

(以上)