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東京都は「産業振興ビジョン」(2000年7月)を発表しました。それは、国の産業構造改革路線に沿うもので、全体として東京の産業政策をITなどにシフトさせ、中小企業支援から手を引く方向が打ち出されています。
日本共産党都議団は、企業の99%を占める中小企業が元気を出してこそ、景気も回復し、地域の活力も生み出されるという立場から、中小企業振興対策を抜本的につよめ、地域経済振興条例をつくり、工業、商業、建設業など分野ごとの振興プランをたて支援することなどを提案しています。
都内の小規模小売店数 | |
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1979年 |
1999年 |
商店数 |
商店数 |
79年との比 (%) |
東京 |
小売業全体 |
133,032 |
88,503 |
66.5 |
食肉 |
4,871 |
2,016 |
41.1 |
鮮魚 |
3,610 |
1,604 |
44.4 |
野菜・果実 |
7,490 |
3,294 |
44.0 |
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「商業統計表」より
・小規模小売店は、従業者規模5人未満
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今、大型店の無秩序な出店で東京の商店は大きな打撃をうけ、とりわけ生鮮三品は、20年前に比べ半減してしまいました。各地の商店街のみなさんからも「ルールをつくってほしい」との声が強くでています。日本共産党は、大型店の出店規制をする大店法の制定を提案しています。
商店街の活性化への支援では、空き店舗対策の充実、地域資源を生かした商業振興策への支援、タウンマネージャーの派遣事業、個店対策支援などを求めてきました。
最近でも、商店街活性化総合支援事業は、すべての区市町村分の予算を用意し、すぐに実行に移せるよう来年度予算を準備を準備すること、元気出せ商店街事業は拡充し、支給の敏速化や対象事業を柔軟にすること、商店街と連携したシルバー人材センターやNPOの取組みも、空き店舗対策事業の対象にすること、支援事業の手続き処理の簡素化と都の体制の強化など、都の事業が有効に活用されるよう提案しています。
また、商店街の活発な活動をになう振興組合についても「法人住民税の減免、事務局体制充実の支援」など、事務局体制の充実に支援を求めています。
工場数、従業者の変化 | |
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89年 |
98年 |
増減比 |
東京都 |
工場数 |
41,685 |
33,945 |
-18.6% |
従業者数 |
777,946 |
624,421 |
-19.7% |
大阪府 |
工場数 |
42,662 |
36,045 |
-15.5% |
従業者数 |
860,167 |
702,005 |
-18.4% |
全国 |
工場数 |
421,857 |
373,713 |
-11.4% |
従業者数 |
10,963,094 |
9,837,464 |
-10.3% |
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全国工業統計調査より
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東京都が実施し、注目を受けている工業集積地域活性化事業は、日本共産党都議団がくりかえし要望し、実現させてきたものです。最初に指定をうけた大田区では、この事業を活用したペットボトル破砕機が実現し、板橋区では「経営品質賞」が実施されるなど役立っています。
その他、「都の工業振興プランを策定し、東京の三大集積産業を位置づける」「工業集積活性化支援事業の継続、拡充」「国の地場産業創出・育成支援事業の活用」「物づくり基盤技術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進」「中小企業にIT対応の補助を」「可能性を秘めた中小企業に、無利子もしくは低利の据置期間の長い特別融資を」「セーフガードの出動の要請」など提案しています。
都内の建設業者は5万2千社、従業者は60万人以上にのぼります。長引く不況で、倒産件数は全産業に占める比率が2割を超える状況です。中小建設業を守るためにも、公共事業のあり方をくらし・福祉中心に見直す必要があります。
東京都の中小企業への発注率は、都営住宅や福祉施設は7割から9割近くですが、臨海副都心開発では、99年度までの11年間に発注された1兆5千億円の工事のうち中小企業への直接発注は、7.3%にすぎません。圏央道では、地元中小企業は1社も入っていません。
公共事業を都営住宅や特別養護老人ホーム、学校施設の老朽化対策、段差の解消、歩道の整備など生活と福祉中心にあらためるだけでも、中小企業へ仕事がまわります。
発注の方式についても、大企業独占をふせぐため、分離分割発注を拡充するよう提案しています。
その他、建設産業振興プランの策定、下請代金の保証、中間ブローカーの排除など、下請企業を保護するための制度を確立するとともに、専門の窓口の設置と下請保護Gメンを配置すること、元請や親会社の倒産にともなう連鎖倒産の対策として、東京都が関係業界にも呼びかけて、保険制度を設立すること、建物倒壊を防ぐための木造個人住宅の耐震補強や耐火改造などの事業化など、具体的な建設業振興策を提案しています。
無担保無保証人融資制度は、革新都政のもと、日本共産党と業者の運動で実現させた制度の1つです。また、「財政健全化計画」をはじめ、さまざまな見直しの動きがありましたが、守りぬいてきた制度です。
長引く不況の中で、東京商工会議所、東京商工団体連合会など中小企業団体も、融資の拡充を都に要望しています。日本共産党都議団は、こうした切実な要望にこたえるよう求めています。東京都は昨年、一定限度内でくり返し借りられる極度融資を廃止しましたが、日本共産党が何度も質問し復活を求めるなかで、経営資金計画対応資金として復活しました。
また、銀行の貸し渋りをやめさせ、物的担保偏重の窓口の姿勢を正すこと、信用保険料率の見直し、保証料の引き下げ、保証料補助の範囲の拡大など、資金調達コストの低減なども提案しています。